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新しい世代

モノトーンの春🌸

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気づいたら4月を迎えた。4月といえば入学式が控えている。
新入生が、新鮮な気持ちで門をゆっくりと進行して入ってくる。
私は、年を取って23歳を迎えた。ピチピチの現役大学生に
劣等感を感じる。私は1年浪人しているから、私以外はみんな
現役生だ。やっぱり、この何とも言えない視線と雰囲気が苦しい。
酸素が薄い気がする。とても窮屈キュウクツで授業中は防ぎこんでいた。
とある休み時間に横から声が聞こえてきた。
「...ぃ。...おぃ、アンタずっと机にふさぎこんでノート書いてないだろ」
「俺のノート取れよ」えっ?誰?と思いながら私は小さく
「...ありがとう。なんで貸してくれるの?」とつぶやいた。
「アンタ浪人生だろ。見てれば分かるよ。うちにも浪人してる姉がいるんだ」
「アンタは美人だし、まだ目が生きてる。姉みたいにはなって欲しくないんだ」
良く分からない理由だったけど、とりあえずしばらくは頼ろうと思った。
きっとこの人もいずれ離れてく、期待は何もしない。そう心にギュっとしまった。
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