聖獣騎士隊長様からの溺愛〜異世界転移記〜

白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)

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序章 異世界転移でてんやわんや篇

2.イケメン騎士隊長登場




「ぎゃっ!!」

頬を撫でた風。慌てて、目を開けると同時に悲鳴が耳に届く。
目に飛び込んだのは、淡くクリームがかったフワフワの毛に、鮮やかな真紅のたてがみ。薄く赤みの入った透き通る角。
俺と男たちの間に立ち塞がる姿は……

「え?い……」

犬と言いかけ、口籠る。そう呼ぶにはかなり大きいし、何より……
物凄い存在感と、気高さ。

一角狼コーンウルフ⁉︎嘘だろ!なんでこんな場所に⁈」
「馬鹿野郎!ただの一角狼じゃねぇよ!”炎帝”だ!!」
「あ、兄貴!ど、どど、どうする⁈」
「阿呆か、てめぇは!!さっさと逃げんぞ!」

慌てふためき、男たちが逃げ出す。
あっと言う間に居なくなった。シンと静まり返った状況に、唖然呆然だ。
倒れ込んだまま、二の句が継げない俺に、白い犬(?)が向き直る。

「わ………」

思わず呟き息を飲む。ラズベリーレッドの綺麗な瞳。ひたと見据えられたその姿が……

「格好いい……」

ヤバい。状況的にはそんな場合じゃないって分かってる。でも、目の前の存在は、綺麗であまりにも格好良くって。
グルと小さく鳴いて、ゆっくり歩み寄ってくる。
恐怖はない。
むしろ、もっと近くで見たいし、何なら、触りたい。

「シュライン」
「え?ぁ……」

不意にかかった声に、ワンコが首を巡らせ、声の方に駆けていった。
あとちょっとで触れたのに……
残念……
つか、誰だよ?
若干、むくれて視線を向ける。

「……………………ッッ」

またもや、息を飲む。
鈍く深い銀色の甲冑に身を包み、先ほどの白ワンコと同じ、けど、たてがみが蒼色、角は薄い透明な水色のワンコを連れた男性が立っていたから。
青銀色の髪に、紺碧の瞳。
一言で言えば、イケメン。劣等感すら湧かないくらいに、物凄いいい男っぷり!
男性の傍に戻り、シュラインと呼ばれたワンコが行儀よく座る。

「いい子だ。見つけたか?」

問いかけに、シュラインが軽く尾を振り見上げた。
忠実だ。可愛すぎる♡
スッと、男性の視線が向けられる。ドキッと心臓が脈打つ俺を見据えた瞳が軽く瞠られた。

「黒髪…黒目?………本物、か?いや………」
「?」

何やらぶつくさ。
先ほどの男たちもそんな事言ってたような……
黒髪に黒目を忌避する場所はあると知ってるけど……男たちや、目の前の男性からは、嫌悪の類は感じられない。
ひとまず、俺を攫おうとした男たちは居なくなった。
いつまでも伏せてるわけにもいかないし、立ち上がろ……

「動くな」
「ッッ⁉︎」

チキっと小さな金属音。首すじに添えられるように宛てがわれた剣先。
ギラッと鋭く光る刃に、息を飲む。

「お前は誰だ?先ほどの男たちの仲間か?」
「なっ!」

あまりにあまりな言い草に、一瞬、呆けた後、一気に怒りがこみ上げた。
ムカつく!
今の俺の格好見て、どうやったらそう思えるのか。
突きつけられた剣の存在さえ忘れるくらいに腹が立ち、無駄にイケメンな顔を仰ぎ見て、思いっきり睨みつけた。

「俺の今の格好と、さっきの状況見てそう思うんなら、眼科行った方がいい」
「何?」

小馬鹿にしたように言い放つ。軽く目を瞠り、眉を顰める
男。
意図せずとはいえ、助けられた形になるからお礼を言うつもりだったけど、その気も失せる。

「言葉分かんない?なら、分かるように言おっか?被害者加害者の区別もつかないくらい目が悪いみたいだから、医者に診てもらえっつったの!」

言いたいだけ言い切り、フンと鼻で吐き捨てそっぽを向いた。
さすがに、怒りに任せて言いすぎたかと思ったが、いまさら後にも引けない。
もしかしたら、突きつけられてる剣で、いきなりバッサリなんて……思わず、ちょっと不安になり、横目でチラリと見た。
男は思案顔で、微妙な顔をしていた。

「がんか……は、医務神官の事か?ひがいしゃかがいしゃとは何だ?」
「え?」

今度は俺が微妙な顔。
えー、っと……訳分かんなくなってきた。言葉は通じてるのに、意味が通じない。
相手の喋ってる言葉も分かるし、俺も話せてる。
なのに………

「何、言って………」
「たぁ~いちょうッ!!ハァ~、やっと追いつきましたよ!」

お互いがお互いに微妙な顔のままお見合いしたままの、俺と男を遮るように、若干、場違いなくらいに軽い声が響いた。








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