聖獣騎士隊長様からの溺愛〜異世界転移記〜

白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)

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第2章 聖獣妃

3.危険な接触 君子危うきに近寄らずとは言うけれど…①




『こんなの知ってたら……愛したりしなかった』

            *
            *
            *
            *
            *

フッと意識が浮上した。
うっすら開けた目に、ぼんやりと天井が映る。
ゆっくりと起き上がり、小さく息をつく。
また、妙な夢……
前回の見知らぬ女の子や、声だけの青年。今回は断片的。
俺がこの世界に来たのに関係するんだろうか?
そもそも、元の世界で蔵にいた辺りの記憶が曖昧あいまいだ。
何かを手に取ったのは覚えがあるが、一体何を?
ハァッと溜め息をつき、ふと見渡す。

「それはそうと、俺、何でベッドに?いつ、寝たんだ?確か昨日は……」

城でジオフェスに拐われて、どっかの屋敷でカイザーに助け出されて……
………………………………………………………………
そこまで考えてから、ボン!と、顔が一気に熱くなる。
思い出した。
俺、確か、あの屋敷でカイザーと………

「あの…貴人様?」
「ひゃい⁉︎」

急に声をかけられ、妙な奇声と共に体が跳ねる。
うぅ…みっともない。
口元を手で押さえながら振り向く。
困ったように軽く笑いながら、侍女頭のマーリャさんが立っていた。手に掲げたトレイの上に、湯気の立つカップ。嗅ぎ慣れた柔らかな香りは、この世界でもう慣れ親しんだ花実のお茶の匂い。

「起きていらっしゃるかとお茶を。お声を掛けたのですが、お返事がなく。失礼かと存じましたが、心配で勝手に入りました。ご無礼をお許し下さいませ」
「あ、ううん。じゃ、なくて!大丈夫、です」
「私に対して丁寧な物言いはお止め下さいませ」

ニッコリ笑って言われたが、いきなり、じゃあとぞんざいにもなれない。笑って誤魔化す。
カップを受け取り一口飲む。程よい温かさで飲みやすい。

「あ、の…カイザーは?」
「城へ参られてますわ。貴人様はゆっくり寝かせてさしあげろと仰せでしたので、起こしませんでした」
「そ、か……え、っと~、俺、いつ寝たんだろ?着替えさせてくれたの、もしかしてマーリャさんが?」
「いいえ。私どもは昨夜は人払いを仰せつかっておりましたので、貴人様をお世話したのはカイザー様です」

………………………………………………………………ボンっっ!!
二度目の爆発。
カイザーがって事は…カイザーがって事だ。
別に男が男に裸見られたくらいは何でもない。そう、何でもない、はずなのだ。
会ったばかりの頃なら、どうでも良かった。
でも、今は……
俺とカイザーの間にあった空気が若干変わりつつある。実際、昨日はあの屋敷で……

「わーーーーーーーーーーッッ!!!!!」
「き、貴人様⁈」

一旦忘れた事実を思い出し、再度、奇声をあげた。ボスボスとクッションを両手で叩きまくる俺に、マーリャさんが慌てたように駆け寄ってきた。

「如何なさいましたか?まだ、お体の具合が……」
「だ、大丈夫れふ……お構い、なく」

動揺に若干噛むしどもるが、赤くなる顔を手で隠しつつ何とか応えた。
駄目だ。そろそろ起きて、頭も体もシャッキリさせよう。何とか、に考えがいかないよう気を鎮めつつ、ゆっくりとベッドから抜け出す。

「まだ、お具合悪いようでしたら寝ていらした方が…」
「へ、いき。ってか、これ以上グダグダしてたら、考えがどんどん…」
「はい?」
「何でもない!!それより、カイザーが城に呼ばれたのは?」
「詳しくは存じませんが…赤の皇国と、神殿の事。関係性は分かりませんが、その二つに関する事で、留守にしていた大神官長のレーヴェ様がお戻りになったとかで」
「レー……大神官長が?戻った?」

俺を神殿に招いていた大神官長レーヴェ。結局、神殿に行った時も、神殿があんな事になった後も、何処かへ出かけたまま留守にしていた。
招いておきながら居ない事に多少気分を害していたが、いろいろ騒ぎのせいで忘れてた。
あの男の意味深な言葉のせいで、神殿へ行ったのに……結局、残ったのはあの意味不明な……
ハッとなる。
慌てて動きかけ、体がまた止まる。

どうしよう。

するなら
が、、、同時に危険な匂いも満載で。
でも…迷ってる暇もない。

「貴人様?」

呼びかけるマーリャさんへ振り返りつつ、俺は誤魔化すように笑う。

「少し、疲れたみたいだ。一人にしてくれる?」













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