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第2章 聖獣妃
5.目覚め 聖獣、吼える②
『お願いだから、目を開けてくれ』
聞こえたのは悲痛とさえ言える声。
ボンヤリする意識をふるい起こし、ゆっくりと目を開けた。目の前に映る光景に呆然となる。
真っ赤な炎。瓦礫だらけの場所。植物が焼ける煤けた匂いの中に、生き物が焼ける匂いが混じり、思わず込み上げたものに口元を押さえた。
ただ、実際俺の手は上がらず誰かを抱くように抱きしめたまま。体に意識だけが重なるように、体の外から意識だけが物事を眺めている。正にそんな感覚だ。
『レ、ア……』
耳に届く微かな呼びかけに、俺と俺が重なる体がバッとそちらへ向く。
眼に映る。抱きしめたその顔は………
*
*
*
*
*
唐突に目の前が白く煙り、元に戻る。
体から流れ出すように、仄かに翡翠がかった白く発光する光の帯が流れては消えてを繰り返す。
両目が熱い。溢れ出す涙を止められない。
体から次々と放出される力は、今なら魔導と呼ばれる力なのだと分かった。
なんでそんなものが俺の体からだとか、自分がどうなってしまったのだとかは考えられない。
今はただ、苦しくて悲しくて仕方ない。
「は、ははッ……、これ、が、聖獣妃の力。よもや、これほどとはな」
寝台から吹き飛ばされたのか、第一皇子が壁にもたれかかった形で俺を見ていた。
ぼんやりとそれを見る俺の目から、新たな雫が溢れて流れる。
「何を泣く?皇族以外とは結ばれる事はないと言われた事がそんなに悲しいか?たとえ望まざるとも、それが現実だ。聖獣妃は皇族のもの。貴様が望む相手と結ばれる事は決してない!」
聞きたくなくて思わず両耳を手で塞ぐ。
ふと、軽い既視感に襲われた。
俺………、これ、、、知って、る?
いつ?
どこで?
誰から?
次々と流れ込んでくる映像。
もう、無理だ!受け止めきれない!
プツンと何かが切れる音がした気がする。意識が三度、ホワイトアウトした。
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