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第2章 聖獣妃
8.触れる熱④
触れた箇所から熱くなる。
最初はやんわりと。次第に深く、強くなる。
唇を割り、歯列をこじ開けて入ってきた舌の感触に、俺の体がビクッと大きく跳ねた。
「んっ、、ぅ!」
咄嗟に逃げを打ったが許されず、腰を強く引き寄せられ、益々、舌が激しく絡め取られた。
クチ、チュッ、っと、微かに立つ音が恥ずかしい。
舌先が舐められ、軽く吸われて、背中がゾクゾクとあわだち、首を振って唇を解く。
腕を突っ張り、体を離して距離を保とうとした俺の手首が、カイザーの手にやんわりと握られる。
たったそれだけの触れ方にも、俺の体がピクッと小さく反応した。
カイザーの触り方が違う。
明らかに甘いものを含んだ、そういう意味での触れ方。
これ、ヤバいかも……
俺の体も、カイザーに触れられる事を拒否してない。
むしろ………
だけど………
「マヒロ……」
「ちょ、……ま、まっ、カイ、ザー……ストップ、、じゃなくて、たんま!……も、分かんないか?少、し、待て……!」
熱っぽく、視線だけで溶かされそうなくらい、カイザーの目が柔らかい。
うぅ……イケメンの効力、こんな時に使わないでほしい。
「嫌か?」
「い、や……とか、じゃない…と言うか、、、そうじゃないって、いうか」
「どうなんだ?」
「え~、、っと……」
嫌か嫌じゃないかと応えるなら、嫌ではない。
ただ、俺の中でせめぎ合うある感情が折り合いつかないのだ。
「あッ、、っ、ちょ、っと⁉︎」
掴まれた手首を撫でさすられ、手全体をカイザーの大っきな手で絡められて弄られる感触に、小さく悲鳴をあげてしまう。
感情が昂り、体が敏感になってしまっているようだ。
「怖いのか?」
「こ……ッッ⁉︎」
怖い…か、怖くないかなら、まぁ、怖いかもしんない。
何せ、生まれて17年。恋愛やそういった意味の対象はもちろん女の子対象。男に興味はないし、持ったこともない。抱く事はあっても、抱かれる事があるなんて想像すらした事はない。
はっきり言って、カイザーとそうなってしまったら、自分がどうなってしまうのか、未知数すぎて不安なのだ。
カイザーの事は好きだ。それはもう、認める。
おそらく、恋愛感情なんだろう。
他の誰でもない。たとえ、周りがなんと言おうと、俺が守って欲しくて、傍に居て欲しくて、居たいと思えるのはカイザーだけ。この思いがそうじゃないなら、他に何と言うのか分からない。
戸惑い、口籠もる俺に、カイザーが小さく苦笑する。
「嫌なら、怖いならやめておこう。俺は、好きな相手を怖がらせる趣味はない」
「え?」
好きな相手?
カイザーの口から出たその言葉に、俺の思考が一瞬固まる。
「カ、イザー……俺、好きなの、か?」
まじまじと見やる俺に、カイザーがバツが悪そうに視線を揺らす。
「あ~……まぁ、そう、だな。言うべきじゃないと思って言ってなかった。お前の…マヒロはそうじゃないと思っていたし、嫌がられてはないと分かっていたが、気持ちが同じ種類のものでないなら、俺の気持ちは抑えるべきかと……」
「キス……口付け、嫌がってなかったはずだけど?それでも、同じとは思わなかったわけ?」
「完全に身体を重ねる行為は駄目でも、口付けぐらいまでなら嫌じゃないっていうのはよくある事だ。だから、唇だけは逃がさないと……マヒロ?」
考え方と、恋愛の仕方の違いか?
異世界恋愛観のギャップで、こんな食い違うとは……
俺はカイザーが好き。
カイザーも俺が好き。
2人の感情は一致している、、、で、いいよな?
「……き、だよ」
「うん?」
呟くように言った言葉は、やはり聞き取れなかったようだ。
聞き返されて、頬が熱くなる。
くそ!恥ずいんだから、ちゃんと聞きとれよ!
ハァッと息を吐き、覚悟を決めて顔を上げる。
「俺も、カイザーが好き、だ。その……そ、ゆ、意味込み、で……」
言い終わるや否や、強く抱き寄せられて腕に抱き竦められた。
うわぁ~ん!心臓がすっげぇバクバクいってる!
自慢じゃないが、誰かに告白するなんざ初めてだ。
しかも、今みたいな、『あなたとならそんな関係になってもOK!』みたいな告白を、まさか、同じ男相手にかますなんざ、夢にも思わなかった。
恥ずい!!
ハッキリ言って、メチャクチャ、死ぬほど恥ずい!!
俺、今、絶対顔真っ赤。
恥ずかしすぎて、カイザーの胸元に抱き込まれた顔を上げられない。
ギュッとしがみついたカイザーの胸から、同じく速い鼓動を感じ取り、ハッとなる。
「カ……えっ?うわっ⁉︎」
視界が回り、気がついたら柔らかな敷布の上に仰向けに倒され、紺碧の光に見下ろされていた。
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