聖獣騎士隊長様からの溺愛〜異世界転移記〜

白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)

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第3章 翡翠の剣姫

4.求める結果がそれだけだとは限らない!⑩




目の前に迫ったはずのエルシアが消え、代わりに慣れ始めた腕に抱かれた。
そっと伺うと、エルシアから離れた場所に移動していた。
震える手で、目の前にある体に縋りつく。

「さすがだね。聖下を腕にしたまま、そこまで動ける者は居ないな。ね?カイザー」

感心したように、エルシアが柔らかな笑みを浮かべて問いかけてきた。
まったく悪びれもせず、邪魔が入っても慌てもしない。
シャイアも分からなかったが、エルシアこいつはそれ以上に理解できない。

「う~ん…5人相手は厳しいかなぁ」

思ってもなさそうだ。困ったように苦笑を浮かべてはいるが、エルシアからは構えた空気や緊張は伺えない。

「相手になるなら、俺1人だ。ジディとキリアンはマヒロを護衛させる為に連れてきた。後の2人は勝手について来ただけだ」
「勝手にはひどいだろ⁈」
「おまけみたいに言うでない!!」

厳しい顔のまま言うカイザーに、ジオフェスとシャイアが抗議する。
ギャンギャン喚く2人を無視し、カイザーとエルシアが対峙たいじ。ひとしきり、カイザーを見やった後、エルシアがチラリと視線を寄越す。
情けないが、それにビクッと体が震えてしまう。
剣を突きつけられた記憶もまだ新しい。
武力なんかとは無縁に育ったのだ。誰かの庇護下ひごかに入ったからといって、すぐすぐ平然とできるほど、俺のメンタルは強くない。
それに対してエルシアが微苦笑し、カイザーに向き直る。

「なんだか、私が聖下を虐めたみたいになってるね?」
「……………………」

虐めたって………虐められた覚えなんかない。
さすがにその言い方は、男としてプライドが傷つく。
まぁ、殺されかけはしたが……
カイザーが苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた。

「まぁ、もういいかな……」

フッと小さく笑み、エルシアが剣を握る。

「降参」
「…………………………………………へ??」

ニコッと笑い、剣を鞘にしまってエルシアが両手を軽く上げた。
気兼ねもなく、あっさりとした突然の言葉に唖然としてしまう。

「降、、参?」
「ええ。確かめないといけない事は分かったし、これ以上やって、聖下に嫌われるのも、蒼の皇国アウランゼに睨まれるのも望みではないので」
「それを信じろ、と?」
拘束こうそくを受けても構わないけど?」

しばらく無言でいた後、フゥッと深く溜め息をつき、カイザーが体にまとわせていた闘気とうきを解く。

「キリアン、ジディ。マヒロを護衛して屋敷へ帰れ」
「かしこまりました」
「了解で~す!シャイア様はどうします?」
「ジオ」
「はいはい。城に連れ帰ろってね?分かってる」

ジオフェスが肩を竦めてカイザーに返す。
キリアン、ジディに両脇をがっちり固められ、いつの間にか現れたシュラインが足元に寄り添い、警戒するようにエルシアを見やる。
イライザーはカイザーの足元で、同じく警戒MAX。
悪いが俺も二頭に同意だ。

「先に屋敷へ。キリアンとジディを付かせるから、大人しく待っていろ」
「……わ、かった」
「シュライン、一緒に行け。マヒロを護れ。分かるな?」

グルルと鳴いて、シュラインが俺にピッタリくっ付く。

「聖下」
「ッッ!!」

エルシアからの呼び声に、俺の体がビクッと戦慄いた。
本気で苛つく。
トラウマになったらどうしてくれるんだ⁈
ソッと息を吐き、視線を向けると、エルシアが微苦笑を浮かべた。
意味が分からない。酷いことされたのは俺なのに、まるでこっちが悪い事したみたいだ。

「ご無礼をお許し下さい」
「エルシ……」
「隊長。それではマヒロ様をお連れいたします」
「え?ジディ……?ちょっ、、」

有無を言わせず、ジディにグイグイ押される。
見合ったままのカイザーとエルシアが気になるが、これ以上ここに居たくないし、できるなら少し休みたい。

「この世界来てからバッタバタなんだけど?平穏無事な生活どこ行ったわけ?」
「マヒロ様?」
「……………………なんでもね」

独り言ちは聞き取られる事なく、問い返すジディに、俺は深い溜め息と共に返事した。












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