聖獣騎士隊長様からの溺愛〜異世界転移記〜

白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)

文字の大きさ
98 / 120
第3章 翡翠の剣姫

7.陰、差して、延びて




「カイザー……?」

急に止まった。
目を閉じたまま動かないけど、何が?
俺、何か変な事しただろうか?
呼びかけると、見下ろしてきた紺碧と視線が合わさる。
ふっと緩んだそれに、思わずホッとした。
やんわりと抱きしめる腕が温かい。
えー、、っと……嬉しいんだが、ちょっとだけ困る。
なにせ、今はその、、、まぁ、な最中だったわけで……

「カイザー…あ、のさ」

そこまで言って、言葉に詰まってしまった。
何をどう言うべきか分からん。
体は幾分か冷えたものの、中途半端にうずいたまんま。
やめられても困るが、かと言って……
『続きする?』とでも?

………………………………………………………………無理ッ!!

何だ⁉︎
そのいかにもヤリたい!とばかりなひねりもクソもない言葉は!
たっぷり数秒考えてから固まってしまった。
自分で自分が小っ恥ずかしいわ!!
赤くなるやら青くなるやらで、うんうん唸る俺の耳に微かな篭った声が届いた。
俺を抱きすくめるカイザーの体が小さく揺れている。
笑って、、、、る??

「よくも、そうまで表情が変わるもんだ。見てて飽きないな」
「あ、のなぁ……なんだよ、元はと言えばカイザーが…」

致してる最中にいきなりフリーズする奴に言われたくない。
むくれる俺に、カイザーが笑いながら視線を合わせてきた。だいぶ、見慣れたと思っていたが、やはりハッとする程整ったイケメンぶりは健在で……
相変わらず、顔面偏差値がんめんへんさちお高いことで!
不貞腐れるヒマさえ与えてくれねぇな……
色々考えてたら、体は完全に落ち着いてしまった。
ふ~、っと息を吐くと、手を取られ指に口付けられる。
何度も言いますが、本当にこういう自然な触れ方多くなったよな……まぁ、それに慣れつつある俺も俺だが。
思わず無言で見つめる俺に、カイザーが気遣うように見遣ってきた。

「疲れたか?」
「え?……あ~、、まぁ、ぅん…そりゃ、ね」

あんな事あった直後だしね。疲れないわけがない。
というか、この世界に来てから休んでいるヒマがないんですけど?

「カイザーは?」
「うん?」
「さっき……さ、、その……」

ヤッてる最中に固まった事を示唆しさするが、言いにくい事この上ない。
ゴニョゴニョ誤魔化す俺に、一瞬黙り込み、カイザーが小さく首を振る。

「俺は……何でもないな。あんな後だ。お前に無理を強いるべきではなかった」
「ぁ……え~っと、、別に無理とか……」

固まった理由を聞いたんだが、なんか違う捉え方されてしまった。

「あの、平気、だから…や、じゃなかったし」

慌てて返すが、これじゃまるで……
かぁーっと、顔が熱くなるのを感じて居た堪れず、思わず顔を逸らしてしまった。
フと小さく笑う気配がし、火照る耳に、それよりかは幾分か温度の低いものが柔らかく触れてきた。
正体を察し、顔がさらに熱くなる。
本当に臆面おくめんも遠慮もなくなったな、この隊長様は……
1人羞恥でオタオタする俺が、ただただ自意識過剰の恥ずかしい奴みたいじゃん!
抗議の声は発する前に、再び腕に抱き込まれ口を閉じる事を余儀なくされた。
腕の中、触れたとこからあったかくなる。
お互いにそういう雰囲気だったのが嘘みたいだ。
気分も体も凪いでる。
正直、不完全燃焼な感は残りまくっているが、不思議と落ち着いて、これ以上の触れ合いを求める気持ちに今はならない。
胸につけた耳に、トクトクいうカイザーの鼓動を感じる。
自然に目がとろとろしてきた。
やばい……。
こんな、あやされるようにされて眠くなるとか、子どもかよ⁉︎ってな思いが溢れ出すが、眠気という本能には逆らえない。
無意識に擦り寄る俺に、カイザーが更に深く体を抱き込んでくれたところまでで、意識が引き込まれるように沈んだ。



腕に何ものにも代え難い存在を抱き込んだまま、紺碧の瞳が自身の手を見遣る。
じっと睨みつけ、握ったり開いたりするそれを見続ける。やがて、苦々しく眉を寄せた後、諦めたように瞼の奥にそっと閉じられた……ーーーーーーーーーーー








感想 166

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます

ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。 休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。 転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。 そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・ 知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。