聖獣騎士隊長様からの溺愛〜異世界転移記〜

白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)

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第4章 白花の聖女

3.いきなりはやめてほしい……②




「キャ…」
「きゃ?」

紺碧の瞳を見据えたまま、思わず口走る。
いぶかり、こちらを見やるカイザーを認めた俺の顔が一気に茹る。

「キャラじゃないッ!!」
「………前にも言ってたな、その言葉」

苦笑され、赤く火照る頰を手の甲でやんわり撫でられた。カイザーの触れ方はまるで壊れ物を扱うようで、それが羞恥しゅうち面映おもはゆさに益々、拍車はくしゃをかける。
完全無欠かんぜんむけつ鉄壁てっぺきのストイックさを思わせた出会いの頃と変わり、カイザーの俺に対しての態度が変わり過ぎで、正直、困る。
恋人(い、言い慣れない…!)としての態度というなら、別に困ることはないのだろうが、何せ、そういう関係なりたて。それに加えて、同性の相手はまったくの初めてとくれば、まだまだ慣れるには俺の経験値は地の底で……

「おかしいか?俺がこういう事をしたら…」
「お、かしい…っていうか」

おかしいかおかしくないかで言ったら……

分かんねぇよ!

が、俺の感想。
何度も言いますが、俺の底辺すれすれの経験値じゃ分かんないんだってば!
10代の若造わかぞうに、この世界の同性間恋愛常識を当てはめないでくれ……

戸惑い、言葉を泳がす俺に、カイザーがふわりと柔らかな笑みを浮かべて、目尻、頰を指で撫で摩る。
くすぐったいそれに、肩を小さく竦める。騎士らしく、少しだけ荒れて硬い指が、俺の肌を辿り、唇を擦るように弄られた。
淫靡いんびともとれる妖しい動きに、無意識に体が緊張してしまう。
怖いわけじゃない。
ただ、触れ方が優しくて甘くて……

「カ……ィ、、ザ」

自分でもみっともないくらいに震える声。
言葉を発して軽く開いた唇に、カイザーの指が軽く入ってきた。ふるっと震えて思わず逃げかけた体が、腰を抱かれた腕に引き寄せられ動きを阻まれる。
親指は唇を割り、口内に入れられたまま、揃えられた指であごを軽く持ち上げられ上向かされた。
緩く細められた紺碧の瞳に見つめられ、込められた熱と甘さに益々動けない。
身長差がある為、抱き竦められたまま上向くのは正直かなり辛く、ハッと思わず仰け反った俺の喉から小さく息が漏れた。
その吐息に惹かれるように、カイザーの顔が降りてくる。距離は数センチ。ともすれば、くっ付きそうなくらいに近い。

「俺だとて、ただの人だ……好きな相手を前にすれば、それこそ、生身の男に成り下がる」
「好……き?…………お、、れ」

反らせた喉で必死に言葉を紡ぐ。
フッと小さく微笑い、フワッと吐息が近づいた。

「お前以外いないだろう?」

唇にかかる息を感じ、ギュッと目を閉じた。
柔らかく、少しだけ体温の低いそれが触れ、詰めていた息を吐いた瞬間、深く奪われた。
スルリと入り込んだ甘く濡れた感触が舌先に触れ、ビリリと体に電気のような痺れを感じて、思わず肩に強く縋り付く。
小さく笑い、カイザーの唇が更に深く重なり……かけたところで、不意に部屋の扉がノックされた。
ふと離れた口づけに、忙しなく息を吐く。
肩越しに視線を向け、カイザーが口を開いた。

「誰だ?」
「申し訳ありません、カイザー様。城より御使いが参っております。皇太子殿下よりのお召しにて」

執事さんの声だ。
ボーっとする意識の中、カイザーの胸元に凭れかかり息を整える。

「分かった。少し、待て」

顔を見せず、扉越しに話を進めるカイザーに何事か問うでもなく、かしこまりましたと一言だけ応え、執事さんの気配が遠のく。
優秀だ。優秀だが、悟られてるのが丸わかりでめっちゃ恥ずい。

「い、ぃの、、…か?」
「うん?」

切れ切れに訴える俺に、カイザーが首を傾げて見下ろしてきた。
ゆっくりと息を吐き、だんだん整ってきたそれにハァッと深く一度吐いてから、胸元から顔を上げる。

「城からだろ?リステア…呼んでんのに」
「ただ臣下のままならまずいがな。一応、末席にある今は、多少は殿下が融通して下さる」
「あ、そ」

王族面倒い的な事を言ってたが、便利な時もあるようだ。まぁ、諸々の面倒い的な事を聞いてる限り、なりたいとは思わないし、思えないけど。
第一、俺の場合は聖獣妃これも十分面倒いし、訳分かんないし…どっちもどっちといった具合だ。

「早く行けよ?リステア、待ってるし」
「すぐには無理だろう?」
「?」

何か会話が噛み合ってない?
軽く、眉を顰める俺に、カイザーが苦笑し俺の目元を指の背でやんわり撫で摩る。

「俺はともかく、少なくともお前はその顔をどうにかしないとな。殿下に揶揄からかいの種を与えても構わんのなら、まぁ、止めないが…俺は知らんぞ?」

顔?
はてと若干考えてから、思い至ったそれにカッと顔に朱が上った。
先程までの触れ合いで、俺の顔は……
すでに1人涼しく落ち着きを取り戻している目の前の顔を、恨みがましく睨んでやる。

「カイザーがやったんじゃん!馬鹿ッッ!!…………………ってか、俺も行くのか?」

不貞腐れたように言ってから、ふと気がついた。
話の内容を反芻はんすうしてから、それに思い至ったからだ。
ハァ~ッ、と深くカイザーが嘆息し、呆れたように目をすがめられる。
そんな顔をされる意味が分からない。
盛大に?マークで一杯になる俺に………

「置いていくとでも?お前を置いていけば、良い結果にはならん事は、嫌という程実証済みだ。連れていくに決まっているだろう?」

返ってきたのはそれだった。












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