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第4章 白花の聖女
4.使者、来訪①
しおりを挟む「おや?マヒロも一緒かい?」
部屋に入ると、リステアがソファで寛いでいた。
部屋の扉を開けてくれた、スミレ色の髪の侍従さんにペコリと頭を下げる。ニコと小さく微笑んで、侍従さんが下がった。
男だが、中々に雰囲気のある美人さんだ。
毎度ながら、この世界は本当にイケメンイケジョが多すぎる。隣に並びたくないもんだ。
侍従さんですらこれだから、目の前のおうぢ様は言わずもがな。
キラキラしいを通り越して、マジ眩しい。
まぁ、俺の隣にも、その2人に負けずとも劣らない超絶ハイスペックなイケメン騎士隊長様がいらっしゃるし……
世の不公平さに、軽くグレたくなってくる。
影で溜息をつく俺に構わず、カイザーがリステアへ臣下の礼をとる。
「お呼びと伺い、参りました」
「そんなに待ってもないから大丈夫だよ。まぁ、マヒロも一緒とは思わなかったけど?」
ちらっとこちらへ視線が寄越され、何やら意味深に見つめられた後、クスと小さく笑われた。
思わず、ドキとなる。
イケメンおうぢに見つめられたから、、、ではなく。直前までに起きた出来事を見透かされたかと思ってのドキだ。顔は洗ったし、気分は大分落ち着けてきた。鏡を確認し、特に違和感も感じてない。
疚しい(まぁ、ある意味ではそうかも……)事は何もないので、別段、狼狽える必要もないはずなのだが……
喰えないおうぢ様には何か見えているようで、油断ならない。
さり気なく視線を逸らす俺に、リステアはそれ以上何か言うでもなく、視線を俺の隣に移す。
「まぁ、仲が良さそうで良かったよ。ただ、仲良くなるなら、真の意味で早く、ね?」
カイザーに向かったその言葉に、軽く息を呑んだ。
やっぱ、この皇太子油断ならない。
一体、どこまで知ってるのか……
「それは置いておいて。その事で呼んだわけじゃないからね」
「と、申されますと?」
「まずは座ろうか?立ち話する内容じゃない」
*
*
*
*
*
「使者、ですか?」
お茶を飲みながら告げられたのはそれだ。
曰く、白と黒の皇国から、使者が遣わされたらしい。
「そ。まぁ、別段驚くほどの事もない。アウランゼがマヒロを得たんだ。探りを入れに来るのは分かりきった事だしね。現に、赤と翠はすでに行動を起こした後。そうなると、その他の皇国の動きは遅いくらいだ」
言われてみれば確かに。
俺がアウランゼに属すと決まってからの、ガルンディアとショートショールの動きは早かった。他が遅いという、リステアの言葉は最もで……
「逆に早すぎるから、他が遅く感じただけ…ともとれますが?」
「え?」
キョトンとなる俺に、カイザーがちらっと軽く一瞥を寄越す。
戸惑う俺に、一瞬だけ躊躇い、カイザーが重々しく口を開く。
「無駄に不安にさせたくないので、黙っていたんですが、他が動きだしたなら……」
「そうだね。引っかかりは覚えていたよ。まぁ、確信にはなったし、こうなった以上は外に置いとくわけにはいかないだろうね。でも、カイザーがそこまでなってくれたのは、私としても喜ばしい。ぜひ、このまましっかりと囲ってガッチリ離さないでほしいね」
「……………………言われずとも、、、です」
「?????」
2人の会話の内容がさっぱりだ。
困惑する俺を再度チラ見した後、カイザーが深く溜め息をつく。
リステアはリステアで、クスクス笑っているだけ。
「さて、と。使者の話をしようか?」
改めてリステアが切り出す。
「来たのは、黒の聖騎士。それから……」
一旦、言葉を切った。
リステアの顔が、直前までの笑みを引っ込める。
若干、苦々しいものを含んでいるように見えるのは気のせいか?
「白の……………ーーーーーーーーーー聖女だ」
隣で小さく、言葉と息を呑む気配を感じた。
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