聖獣騎士隊長様からの溺愛〜異世界転移記〜

白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)

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第4章 白花の聖女

5.黒と白⑨




「あの……」

控えめにかけられる声。
ジークレイドの影になって分からなかった。声のした方に視線を向け、思わず息を呑む。
うわぁっと声が漏れそうになり、慌てて口を手で押さえた。
白に真珠と淡い琥珀を溶かし込んだような髪に、ピンクトルマリンの瞳。下の血が透けるような錯覚を思わせる白く抜ける肌。
神が精緻せいちを凝らして作り上げた宝石。
恥ずかしげもなく、まさにそんな言葉がぴったりな美少女が目の前にいる。
ニコと可愛らしく微笑み、美少女が俺に向かって礼をとる。

「お初にお目にかかります、聖獣妃聖下。白の皇国フレイディアの聖騎士、フィオリナ=ブランジュと申します。ご挨拶が遅れました非礼、ご容赦願います」

白の聖騎士、聖女。
思わずまじまじと見てしまった。
まさに、俺にとって今のモヤモヤの原因である。
いきなり何の心構えする間もなく、目の前にが現れてしまった。
正直、反応に困る。

「あ、の?聖下」
「ぁ、、ご、ごめん…なさい。え、っと、マヒロといいます。フィオリナ、、姫?」
「姫などと!おやめ下さいませ、聖下。私はただの騎士。貴族の地位にあれど、姫と呼ばれる身分にございませんわ」

うっかり呆然となってしまい、慌てて返した俺の返答に、逆に今度は聖女、フィオリナの方が慌てふためく。
う~ん……しかし、見るにつけて、お姫様と呼びたくなるくらいに可愛らしい。
シャイアも美人だったが、姫とは出なかった。謎だ……
改めて、視線を向けると、ニコと可愛らしく微笑まれた。思わず笑み返し、少し気分が下がる。
カイザーの婚約者だった姫(じゃないようだが、もう面倒いので心の内ではそう呼ぶ!)。
シャイアの時には感じなかった、追い詰められるような不安感が、本人に会った事で一気に膨らむ。
カイザーもリステアも、婚約者とは言っていたが、そんな言葉は気休めにもならないくらい、フィオリナ自身は可愛らしく、とても魅力的に見える。
こんな魅力的なひととどうして駄目になったのか?
なんで、こんな魅力的な女とそうであったカイザーが、聖獣妃とは呼ばれていても、所詮しょせん、ただの平凡な男でしかない自分なんかと?
女性としても騎士身分としても、完璧なフィオリナと、聖獣妃と呼ばれていても何一つ持たない不完全な男の俺。
やばい……ぐるぐる考えてたら、あまりな落差にテンションダダ下がりだ。
いずれ、姿は見る。見てやるとまで密かに意気込んでいた気持ちは、フィオリナ自身を実際見た事で、自分でも笑ってしまうくらいに、ペシャンコの粉々にされてしまった。
うぅ……後悔、先立たずとはよく言うが、先立つ前にいきなり核爆弾ぶっ込まれたくらいの勢いとタイミングだ。

「あ、の?聖下。大丈夫、ですか?どこか、お具合でも悪いのでしょうか?」
「へ?あ!いや、うん、いや、大丈夫!全ッ然!平気!」

何が⁉︎どこが、何が『平気』だというのか?
自分でも突っ込みたくなるくらいの狼狽うろたえっぷりに泣きたくなる。

「ふん!リーナを目の前にすれば仕方ないとはいえ、聖獣妃と呼ばれし者がその取り乱し様、無様ぶざま極まりない!」

横から見ていた黒の聖騎士、ジークレイドが馬鹿にしたように鼻で笑った。
こいつの敵意と反発心は最初からだが、今は一段と容赦ない。
ムッとはするものの、言われる通りなので反論もできない。悔しくてもその何かを持ってもおらず、見いだすこともできない。
情けないが、ギュッと強く唇を噛み締めることしかできない俺の目の前に、スッと影が降りた。
俺から、ジークレイドの姿を遮る形で眼に映る背中。
嬉しい反面、ツキと痛む胸にクッと胸元に拳をあてる。

「カイザー………ーーーーーーーーーーーーー」











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