五十六さんの異世界紀行譚

たらしゅー放送局

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トケイの国、クラム

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 晴れの日の野原に、ほうきにまたがり、空を駆けるきれいな男が一人…。すみません、嘘です。ごめんなさい。盛りすぎました。
 普通ぐらいの顔立ち、それでいて黒髪の男が野原を駆けていました。
 そう、私こと五十六です。生まれはミズの国、ログレルで旅人をしている十五歳です。
「おや、見えてきましたね」
 大きな門の中に、一本。大きな時計塔が見えてきました。私は門の降りてほうきを担ぎ、門の前へと歩きました。
 数秒後、着きました。あとは門兵さんの入国審査です。いつになってもこの緊張感はすごいです。
「こんにちは、魔法使いさん」
「こんにちは、門兵さん」
 意外とにこにこしていました。案外緊張しなくてよかったようです。
「この国には何をしに?」
「観光です」
「年齢は?」
「十五です」
 ほへぇ。と感心されました。そこまで珍しいことなのでしょうか?
「出身は?」
「ログレルです」
「了解しました。それでは、門を開けるので、少し下がってください」と言われたので、門から少し離れました。途端、ブー!という大きな音が鳴り、大きな音を立てながら自動で開きました。
 流石別名カガクの国。自動で開くなんて…すごい!
 そんな門をくぐると、後ろから門兵さんが声をかけてくれました。
「ようこそ、トケイの国、クラムへ!」と。

 旅の間の噂通り、クラムには時計屋が沢山ありました。
 因みに、その噂とは…
『カガクが進んでいる国』や、
『時計しかない国』などです。
 とりあえず、私は近くのカフェへと足を運びました。おなかが空いていたので。
「いらっしゃいませー!」
という声を聞きながら、私は席に着きました。
「ご注文は?」
 ウェイトレスさんが言ったので、私は適当にコーヒーとトーストを注文しました。
 注文し終えると、私は辺りをみました。お客さんが全員白衣を着ていたのです。これも実は噂通りで、カガクシャの国とも言われていました。
「お待たせしましたー!」
 といって出てきた物に私は疑いの目を向けるしかありませんでした。
 いえ、別にコーヒーとトーストという名を借りた異形の物が出てきた訳ではなく、ちゃんとしたコーヒーにトーストでした。では何が違うのか。
「…何故ビーカーにコーヒーが…?」
 そう、コーヒーがカップではなくビーカーに注がれていました。
 こんな事は初めてです。
 以前にも、カガクの国と呼ばれている国に寄って同じような物を頼みましたが、普通にコーヒーカップでした。
 私は気になって聞いてみました。
「あの、何故ビーカーなのですか?」
「?あぁ、ここ一応カガクの国ですから!」
 だとしてもやりすぎだろ!と思ったのは内緒です。

 そんなこんなで、私はカフェを後にしました。もうたぶん二度と行きません。何故かコーヒーから薬品の匂いがしましたし。
 さて、この国には三つの地域があるらしく、一つ目は普通の一般人の住む地区。二つ目は研究者の住む地域。最後が博士の住む地域となっているんだそうで。私は研究者の地区にいました。一応私、水魔法の研究者ですので。
 そんな事を考えていると、ドスンと何かが胸に当たったような…。いや、当たりましたね。
「いたたたた…!」
「大丈夫ですか?」
 当たったのは、同い年ぐらいのキャスケットを被った少女でした。
「ははは、大丈夫!」
 と彼女ははにかみました。笑顔が似合う素敵な女の子です。
「おっと、すみません!私急いでるので!」
といって慌てて去っていきました。私もそろそろどこかに行こうかな?と思った時、何かが足に当たりました。
「あ、」
 道に鉛筆が落ちていました。恐らくさっきの女の子が落として行ったのでしょう。
「慌てん坊ですねぇ…」
 私は女の子を探す事にしました。

 観光がてらに、ふらふらと街を歩いて小一時間経ってしまいました。
 全然見つかりません!
 この地区、比べて狭いのですぐに見つけれると思っていたのですが、なめていました。人が多すぎます。
「はぁ、いたしかたありません」
 私は小枝ほどの棒きれをポケットから取り出し、鉛筆に向かって一振りしました。
 すると、鉛筆に小さくまとまった霧がまとわりつきました。
 ─霧の魔法という物で、ログレルに伝わる水魔法です。しばらくすると、霧が「↑」な形に変わりました。この方向に進めば持ち主に出会えると言うものです。
 私はほうきにまたがり、その方向へ飛んで行きました。

 そうして飛んでいった先には、そこそこ立派な学生寮がありました。
「あれ?あの時の!」
 後ろから元気な声がしたので振り返って見ると、あの時の女の子がいました。
「こんにちは」
「こんにちは~!どうしたの?」
「恐らくこれ、あなたのと思いましたので…」
 私はちびっこい鉛筆をポケットから取り出しました。
「あれ?、ほんとだ!ない!」
 女の子は白衣のポケットをポンポンと叩きながら言いました。
「ありがとー!」
 私は女の子に鉛筆を渡しました。それと同時にキーンコーンカーンコーンとヘンテコな鐘が鳴り響き、同時に私の腹の虫も鳴りました。…恥ずかしい。もっと食べておけばよかった。
「お腹へってるの?」
「…大丈夫で、」
ぎゅーぐるぐる。容赦なく腹が鳴ります。
「やっぱり…」
「大丈夫です!」
ぐるぐる。
「…何か作るよ…。ついてきて」
「…はい」
 私は彼女のお世話になることにしました。

 部屋の中は女の子らしいというか、かわいらしいというか、そういう感じは一個もなく、本やビーカーが所狭しと置かれていますが、どこか整頓されている印象でした。そして一番奥には黒いローブを被った何かわからない大きな物が置かれていました。
「汚い所ですけど、まぁ、くつろいでてよ!」
 といって、彼女はキッチンへと小走りに走って行きました。
 さて、やることが無くなった私はそこら辺に転がっている本を一冊手に取りました。
 内容は、時計について。それも普通の機械仕掛けの時計ではなく、もっと原始的な、それでいて半永久的に存続し続ける時のはかり方。
「水時計について、ですか」
 水時計とは、魔法で一時間に一定量の水を落として時間を計る計り方で、形は砂時計によく似ています。
 この時計は、魔力さえ供給できれば半永久的に稼働する事が出来るため、古くから使われている時計として知られています。
 最も、今は一秒一分と時間がより細かくなったので、電気で計る時計が主流ですが。
 こんな感じで本を読みふけっていると、出来ましたー!と大きな声が聞こえました。

 さて、晩御飯です。出されたのはクリームシチューにコッペパンとなかなかにシンプルですが、有り難いです。蛙や蛇などに比べるとやはり各段に美味しいですし、あったかいご飯が食べれるだけで幸せです。
「いただきまーす!」
「いただきます」
 手を合わせると、早速シチューに手をのばしました。うーん!美味しい!すごく美味しい!
「どうどう?美味しい?」
「ええ、いいお嫁さんになれそうです」
 と言うと、ポカンとした表情をしました。あれ?これ私の国のほめ言葉なんですけど…。
「そう言えば自己紹介まだだったよね?私の名前、マグネっていうの。ここで水時計の研究をしてるわ」
「私は五十六。旅をしています。ところで、話は変わるのですが、あの奥にあるでかいのってもしかして…?」
「うん、水時計だよ。この国の時計塔のね」
 ふーん。そうですか。…え?
「あの、時計塔ってあのでかい奴ですよね?」
「そうだよ。あの時計塔、この国が出来てからずっとあるらしいの。仕掛けは昔と変わらず日時計と水時計。けど、水時計の魔力が切れちゃったのよ」
 はぁ、と彼女は可愛らしくため息をするとシチューを口に運びました。
「しかし、水時計ならすぐに修理出来るのでは?魔力を供給すれば直るんですし」
「五十六君は『科学の発展と魔法の衰退』って知ってる?」
「…ここでもなっていたのですね」
 科学の発展と魔法の衰退とは、簡単に言うと
その国の科学力が成長していくにつれ、その国の魔法使いが減ってゆく現象です。その逆もしかり。
 試しに、外を見てみるといいよ。と言って彼女はカーテンを開けました。
 …成る程、確かに針は動いてないです。
「しかし、それ教えていいのですか?『遺産』の情報は機密じゃ…?」
「いいのよ。今、国もなりふり構ってられないみたいだし」
 えへへと彼女は笑います。
──『遺産』とは、その国の成り立ち、即ち『由来』と密接に関係する物、伝統などをいいます。昔は居なかったらしいのですが、最近、その遺産や由来を壊そうとする輩がいるので、由来、遺産は国家機密なんです。
「けど、流石に由来については教えられないな~!」
「いいですよ、別に。興味無いですし」
 そう言って私は木製の匙でシチューを掬い、口へと運びました。
「ありゃりゃ。けど、本当。この国に魔法使いが来てくれればいいんですけどね~」
「あの…私、魔法使いなんですが…」
「え?」
「え?」
 案外、あっさりこの問題解決するかも…

 翌朝、私はこの国の人々に期待の目で見られながら時計塔の前に立っていました。
 一体なぜ?と思う人の為に説明しますと、あの後猛ダッシュでマグネさんが自身の学校の先生に言いふらし、先生方がこの国の国王に話し、『よーっし、早速直してもらおう!わはははは!』
…という訳です。
「中へどうぞ!」
 鍵を開けていた兵士さんが興奮気味に言ってきたので、私は時計塔の中へ入りました。
 暗い螺旋階段を登って行くと、木製のドアがありました。『制御室』と言う文字はもうかすれていました。
 私はドアを開けました。中には、殆ど壊れることのない日時計と、マグネさんの家にあった水時計がありました。
「ふぅー」
と私は息を吹きました。さぁて、一仕事です。
 私は手を前に出し、魔力を送り始めました。一見地味ですが、案外大変なんです。水時計に使う魔力は、その水時計の大きさに比例します。つまり、大きければ大きいほど魔力の消費は多くなるわけです。この水時計は縦に四メートルぐらいあります。でかい!
 しかし、受けた依頼は実行しなければなりません。
「はぁ、はぁ…」
 少しづつですが、確実に疲れが溜まります。しかし、あと少しです!
「…ふぅ、やっと終わりましたか…」
 と一言言うと、私は来た道を戻りました。

「もう行っちゃうんですね」
 門の近くでそう言ったのはマグネさんでした。
 街では、科学者も民間人も遺産復活のお祭りに夢中でした。
「そりゃ、私は旅人です。同じ国に留まるような事はしませんよ」
「そっか。じゃあ、また遊びに来てね!」
 と言って、彼女は鞄からキャスケット帽を取り出しました。
「これは?」
「私のとお揃いです。また来たときの為に目印にしましょう」
 と彼女は笑いました。
「そうですね。ありがとうございます。では」
「うん。じゃあね!」
 私は門をくぐり、ほうきにまたがると、青空へと飛び立ちました。

 あれから約一年ぐらい?たちました。今いる国はクラムからかなり離れています。それこそクラム?なにそれと言われる程に。
「お腹が空きましたね」
 私は空腹を満たすために、宿泊施設から出ることにしました。
「あ、」
「あ、」
 ドアをあけた先に、同じキャスケット帽を被った少女が、大きな荷物を持ってチェックインの手続きをしている最中でした。
「お久しぶりです」
 というと、
「はい、お久しぶりです!」
 と火打ち石から出る火花のような明るい笑顔を見せてくれました。




*ここから先はただの説明と釈明なので、別に読んでもいいですし、読まなくてもいいです。

どうも、みなさん。たらしゅーです。まず、あけましておめでとうございます。そして出せなくてすみません!一応受験生なので、許してください!

…マグネについて…
マグネですが、名前の通りマグネシウムから来ています。普段から銀色で、熱を加えるととんでもない程の光を放つので、彼女の名前にぴったりだと、当時の私は思った訳です。



…クラムについて…
クラムは、本文にも出てきた通り、三つの地域があります。とは言っても、普段働く場所が違うだけで、研究者の地域に民間人が入っても大丈夫です。
遺産は時計塔。由来は昔、この国には時という概念がなかった。しかし、(ピンポーン!)夫済まない、誰か来たようだ。て、ちょ、何をする!や、やめ、やめろー!
因みに、時計塔が直るまではデジタル時計を使っていたそうです。

最後になりましたが、乱文になってしまいましたが、読んでくださり、ありがとうこざいます!コメントなどお待ちしております!それでは今後とも、たらしゅー放送局を宜しくお願いします。
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