断罪されるはずの推し(悪役令息)を、俺が全力で幸せにしてみせます

月乃

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明かされる真実と迫る影

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 古城での一件から一夜明け、俺たちは、それぞれの家で疲れた体を休めた。翌日の早朝、俺は父上から呼び出され、父上の執務室へと向かった。部屋には、父上が厳しい顔をして待っていた。

 父上は、俺の顔を見るなり、安堵した表情を浮かべた。

「キート、本当に無事でよかった……」



父上は、俺の肩を両手で掴み、何度も無事を確認した。



「父上、心配かけて申し訳ないです。また、助けに来てくださりありがとうございます。怪我一つないです」


 俺がそう答えると、父上は安堵の息をつき、俺を執務室の奥へと招いた。

 父上は、重々しい表情で椅子に座るよう促し、家令に命じて扉を閉めさせた。そして、部屋の隅にある台座に手をかざした。ライオネル殿下の部屋にあったものと同じ、遮音の魔道具だ。部屋は、外の音を完全に遮断し、静寂に包まれた



「キート、これから話すことは、他言無用だ」


父上は、騎士団長としての厳格な表情となり言った。


「今回の件について、犯人たちの取り調べが終わった。古城を拠点としていたのは、シャドウ・オーダーと名乗る裏組織だ。彼らは、闇属性のフィル殿を勧誘し、仲間に引き入れようとしていた」

「やはり…」

「だが、彼らは組織の末端にすぎなかった。古城のボスと名乗っていた男も、取り調べの最中に口にしたんだ。『俺がボスだって?俺らのボスは、とんでもなくすげえ人なんだぜ』とな。シャドウ・オーダーは、想像以上に大きな組織のようだ」



 父上の言葉に、俺は背筋が凍った。ゲームでは、シャドウ・オーダーはこんなにも早くに登場していなかった。しかし、この世界では、彼らも俺と同じく時を過ごしているのだと実感した…その存在が明確になり、しかも、彼らはフィルの闇の力を欲している。
 今回のフィル監禁事件はゲームでは起きていないことだった。ゲームのシナリオとは違うことが起きるのだとすると、あまり悠長に特訓している場合ではないな…




父上は、話を切り替え、今度は父親としての顔を見せた。

「キート、もう一つ話がある。お前がたった二人でフィル殿を助けに行ったと聞いた時、心臓が止まるかと思った。殿下やヘドワートが直ぐに向かうと思っていたからの行動とはいえ、危険だ。お前の行動が、どれほど俺を不安にさせたか…」



父上は、悲しそうな顔で俺を見た。



「すいません…でも、フィルは俺の大切な友人なんです。彼を放っておくことはできませんでした」


「わかっている。お前の気持ちも痛いほどわかる。しかし、俺はお前の父親であり騎士団長である。今度からは、俺のことも頼りにしてほしい。俺に知らせず、危険な場所に飛び込むようなことは、二度としないでくれ」



 父上の言葉に、俺は何も言えなかった。ただ、父の温かい思いが、俺の心に深く染み渡った。





 その日の授業終わり。
ライオネル殿下から、皆を王城に招きたいという申し出があった。全員王家の馬車に乗り込み王城へと向かった。

殿下は自室に到着し、俺たちの表情が真剣なものになると、遮音の魔道具を起動した。



「皆、今回のフィル監禁事件について、騎士団から報告を受けた」



殿下の言葉に、俺たちは皆、真剣な顔で頷いた。



「犯人たちの供述から、シャドウ・オーダーという組織が、闇属性持ちであるフィルを仲間に引き入れようとしていたことが分かった。そして、彼らは今回の事件を起こした一部にすぎない。まだ、多くの同じシャドウ・オーダーに属する者が、この国に存在しているようだ。また、同じようなことが起きるかもしれない」



殿下の言葉に、ウィルとフィル、ヘドワートの顔に、再び緊張が走った。



「そこで、皆に協力を依頼したい。今後、国に危険なことが起きた時には、皆の力を貸してほしい」


殿下の言葉に、俺たちは迷うことなく、頷いた。

「「もちろんです!殿下!」」

ウィルと俺が真っ先に力強く言った。



「僕も協力します。みんなのためなら、喜んで」

フィルも、真剣な顔で言った。



「僕もいいよ~。みんなと一緒なら、怖いものなしだね」

ヘドワートものんびりとした口調で言ったが、その瞳は、真剣そのものだった。



「ありがとう、皆。君たちの存在は、私にとって何にも代えがたい。国を守るため、そして何より、君たちの未来を守るため、私はどんな困難にも立ち向かう覚悟だ。どうか、力を貸してほしい」

殿下は、俺たちに深々と頭を下げた。
俺たちは、殿下の言葉に、胸が熱くなった。



「殿下、俺たち、もっと強くなります!もっと特訓して、どんな敵にも負けない力をつけます!」


ウィルが、目を輝かせて言った。



「ああ。私もそう思っていた。これからは、時間がある時授業終わりに、皆で特訓しよう」



 殿下がそう言うと、俺たちは皆、力強く頷き合った。
 俺たちは、今回は無事にフィルを救出できた。
しかし、今回の件は、これから起こるであろう、もっと大きな事件の序章にすぎない。
 まだまだ力が必要だ。
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