うえる

アメ

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植える

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私は、チューリップの球根を植えた。この球根は道端に落ちていて、お母さんに聞
いたら、花壇に植えてもいいよって言ってくれた。
私は、花壇の隅っこに小さな球根を植えた。寒い冬を過ごせるように、土をたくさ
ん被せた。
「早く、きれいなお花を咲かせますように!」
そう言って、じょうろで水をあげた。

「早く、きれいなお花を咲かせますように!」
それが私の口癖となった。いつしか、長かった冬が終わり、春が来た。私が植えた
チューリップは花は開いていないものの、つぼみができていた。
「お母さん!チューリップがつぼみになったよ!」
毎日、お母さんに報告していた。
そんなある日。
ついに、花が開花した。
「わあ!!きれい・・・」
私は、歓声の声をあげた。太陽の光に包まれ、きらきらと光っているように見えた。
お花って、なんでこんなにきれいなんだろう・・・?
そう不思議に思いながらも、私はいつものように水を上げた。
「きれいなお花を咲かせてくれてありがとう」
いつもの口癖を少し変えて。水がかかったチューリップは、さらにきらきらと輝いて
いるようだ。私がその様子をじっと見ていると、どこからか蝶がやってきた。
「あ、ちょうちょだ!」
チューリップにとまり、おいしそうに蜜を吸うその姿は、儚く尊かった。
ちょうちょがおいしいと思ってくれるような花を、私は咲かせたんだ!
そんな思いが一気に押し寄せてきて、私は家の中に急いで駆け込んだ。
「お母さん!チューリップの花が咲いて、ちょうちょがやってきたよ!!」
毎日のように、お母さんに報告するために。




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