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第二章―7(隼人視点)
「――黒田……黒田、そろそろ起きて。家に着くよ」
すっかり夜闇に包まれた住宅街の一角。
朝も立ち寄った鞠花のマンション近くのコンビニの駐車場に車を停め、隼人は助手席でスヤスヤと眠る恋人に声をかけながら肩を軽く揺する。
夕映えスポットを出発したのち、隣が妙に静かになったと思ったら、鞠花が窓に頭を預けて寝落ちしていた。
弁当を作るためにきっと早起きしたのだろうし、パーク内もたくさん歩き回りはしゃいでいたのだから、疲れて当然だ。
そのまま寝かせてやろうと思い、横目でチラチラと可愛い寝顔を堪能しつつ帰路をひた走ってきたが、彼女の家が目と鼻の先に迫っているので、そろそろ起こさないとまずい。
(……主に僕の理性が)
先週は巻き込まれ事故とはいえ大いにやらかしてしまったので、今日は初デートらしく健全に努め、紳士的に家に送る誓いを立てて家を出てきた。
彼女と相思相愛になったその当日に買いに走った避妊具も、あったらつい使ってしまいそうな気がして、あえて置いてきた。決して生でしたいからではない。
車内は二人きりとはいえ、運転に集中している間は理性を保てるし、レンタカーで情事に及ぶほど非常識ではない――とはいえ、無防備な寝顔を晒している鞠花は、夜の時間帯も相まってだんだん据え膳にしか見えなくなり、情けないことに紳士でいる自信がなくなった。
――なにしろ隼人は、すでに鞠花の身体の味を知っている。
これまで経験したことのない、脳髄が痺れるような極上の快楽の味だ。
ラットというイレギュラーな状態ではあったが、彼女を愛しているからこそあれほど強烈に感じたのだと確信している。
ソファーでした触れ合うだけのキスでも、理性がグラつく音が聞こえたのだ。
うっかり舌を入れたら、もう後戻りできなくなるところだった。あの時誘惑に屈しなかった自分を褒めてやりたい。
そして今も、悪魔のささやきに耳を貸さず、忍の一字で踏ん張らなければならない。
「黒田、起きろ。起きないと襲うぞ」
などと冗談じみた口調で本音を漏らしつつ、何度か呼び掛けているうちに、鞠花が薄っすらと目を開けた。
寝ぼけ眼をこすりながら現状を把握すると、申し訳なさそうに眉を下げる。
「んっ……あ、あれ、私、寝てた? ごめん、せっかくのデートだったのに……」
「別に怒ってないよ。可愛い寝顔が堪能できて役得だった」
「もう。またそんなこと言って。えっと、ここは……うちの近くのコンビニ?」
「うん、そう。家の前で起こしてもよかったんだけど、朝飯とか何か買いたい物あるかなと思って寄ってみた」
「ありがとう、気を遣ってもらって。あ、そうだ。牛乳買わないと……」
実は薄暗くて人気のない住宅街に停めていると、あらぬことをしでかしそうだから……なんて言えるわけがない。それらしい言い訳をした隼人の真意に、幸いにも鞠花は気づかず額面通りに受け取ったようだ。
感謝されるのがいたたまれないが、顔には出さず彼女と共にコンビニへ向かう。
「ねぇ、川嶋くんはおなか減ってない? 明日の朝ごはんある? 欲しいものがあったら一緒に買うからカゴに入れてね」
「いや、そういうのって男の台詞じゃない?」
「そう? 今時、男の人がなんでも奢る前提なのは変だと思うけど。今日だっていろいろ奢ってもらったし、なんかお返ししないと気が済まないというか……」
確かに、今日の支払いはほとんど隼人が済ませた。
別にデートは男が奢るものだという見栄や先入観ではなく、単に好きな子に尽くしたい欲を発散していただけなのだが、あまりに鞠花が申し訳なさそうな顔をするので、駐車場代とドライブウェイの通行料は払ってもらった。
それで納得してもらえたのかと思ったが、どうやら彼女にとっては不平等だと感じられたらしい。
御曹司だからエリートだからといって、奢ってもらって当然とならないところが、隼人にとっては新鮮で好ましく感じるポイントだが、こっちがやりたくてやっていることなのだから、素直に受け取ってほしいし――時にその遠慮深さが命取りになることも自覚してほしい。
(ああ、もう、この天然小悪魔め! 上目遣いでそんないじらしいこと言われたら、男の理性はあっという間に崩壊しちゃうから! 『じゃあ身体で払って』とか、エロ親父みたいなこと言って押し倒したくなるから! ホント、ここがコンビニでよかった!)
「……――あー、じゃあ、ガムでも買うかな」
なけなしの理性で煩悩をねじ伏せ、板ガムを彼女のカゴに入れる。
それでもまだちょっと不満そうだったが、無理強いするわけにもいかないと思ったのか、鞠花は素直に自分の買い物分と合わせて清算し、店を出るとそれを渡してくれた。
「もう家まですぐそこだし、ここまででいいよ。大通りに出るまでに、一方通行グルグル回ってでなきゃいけないの、面倒でしょ」
「そのくらい全然面倒じゃないけど……それなら歩いて送ろうかな。家に帰るまでがデートだからね」
「遠足じゃないんだから……」
屁理屈をこねる隼人に遠慮がちな鞠花も折れた様子で、トランクからレジャーバッグを取り出し、手を繋いでマンションまでの道を歩き出す。
送迎を拒否した割に離れがたいと思ってくれているのか、デートの終点に近づくにつれて足取りがゆっくりになり、絡めた指先に力が入っていく。
そのいじらしい仕草に心臓がキュッと締められ、さりげなく隼人も握り返す。
古典的に「コーヒーでも飲んでいく?」などと言って、隼人を部屋に上げるつもりなのか。
いや、車をあのコンビニに停めたままなのを知っているし、真面目な彼女が自分の都合で長時間駐車を許すとも思えないから、きっと正面玄関が見える頃には手を離すのだろう。
それに、車に乗ったままでは欲望に負けて、ついホテルに走ってしまうとも限らない。
隼人はそれが分かっていて、あえて徒歩での送迎を選んだ。
我ながらずるい奴だと内心苦笑しつつも、紳士の誓いを破らないことが一番大事だと言い聞かせているうちに、マンション前まで着いてしまった。
「はい、到着」
「……送ってくれてありがとう。今日はとっても楽しかった」
「僕も楽しかった。本当は夜もずっと一緒にいたかったけど……」
繋いだ手を解いて鞠花の頬を撫で、触れるだけのキスをする。
「今日はこのまま君を家に帰すよ。身体目当てだと思われたくないからね」
「え……か、川嶋くんなら、別に……」
羞恥と期待が入り混じるまなざしで見つめられ、あやうく理性が瓦解するところだったが、こちらにも譲れない意地があるのでぐっと耐えた。
「黒田、僕を甘やかさないで。先週は言わなかったけど、バーに呼び出して告白したあとも、ホテルなんか寄らずに帰すつもりだったんだ。すぐに返事がもらえるとも限らないし、気持ちが通じ合わせたからってホテルに直行するなんて、がっついてるみたいでカッコ悪いだろ。けど、結局あんなことになって……正直今も全然余裕ないけどさ、初デートくらいは紳士でいさせて。僕にカッコつけさせてよ、お願い」
「う、うん……」
「ありがとう。おやすみ、黒田」
「おやすみ、なさい……」
まだ物欲しそうな目をしたままの鞠花に後ろ髪を引かれつつも、もう一度だけ軽いキスをして未練を断ち切るように手を振ると、こちらを向いたまま手を振り返しながらエントランスに向かって歩き出した。
その後姿が見えなくなるまで見送り、外廊下に再び現れた彼女を視線で追っているうちに、彼女が立ち止まった。
すぐそこにある玄関をくぐるのかと思っていたら、手すりにもたれながら階下をキョロキョロと見渡し……こちらを見留めるなり破顔して、手を振ってきた。
その可愛らしい様にドキドキとしつつも手を振り返すと、満足したのか猫のようにするりと身を翻して彼の予想通りの部屋に消えたのを確認すると、ずるずるとその場にへたり込んでしまう。
(ぐぬうあああああ……もう! 僕の彼女の天然小悪魔度は天井知らずか!)
しばらくそのまま悶絶していたが、他の住人が帰宅してきた足音が聞こえたため、慌てて立ち上がって急ぎ足でコンビニに舞い戻った。
自宅マンションに戻ってからも、デートで垣間見た鞠花の可愛らしさが脳裏をちらつき、欲求不満も手伝って悶々としたまま眠れない夜を明かした。
すっかり夜闇に包まれた住宅街の一角。
朝も立ち寄った鞠花のマンション近くのコンビニの駐車場に車を停め、隼人は助手席でスヤスヤと眠る恋人に声をかけながら肩を軽く揺する。
夕映えスポットを出発したのち、隣が妙に静かになったと思ったら、鞠花が窓に頭を預けて寝落ちしていた。
弁当を作るためにきっと早起きしたのだろうし、パーク内もたくさん歩き回りはしゃいでいたのだから、疲れて当然だ。
そのまま寝かせてやろうと思い、横目でチラチラと可愛い寝顔を堪能しつつ帰路をひた走ってきたが、彼女の家が目と鼻の先に迫っているので、そろそろ起こさないとまずい。
(……主に僕の理性が)
先週は巻き込まれ事故とはいえ大いにやらかしてしまったので、今日は初デートらしく健全に努め、紳士的に家に送る誓いを立てて家を出てきた。
彼女と相思相愛になったその当日に買いに走った避妊具も、あったらつい使ってしまいそうな気がして、あえて置いてきた。決して生でしたいからではない。
車内は二人きりとはいえ、運転に集中している間は理性を保てるし、レンタカーで情事に及ぶほど非常識ではない――とはいえ、無防備な寝顔を晒している鞠花は、夜の時間帯も相まってだんだん据え膳にしか見えなくなり、情けないことに紳士でいる自信がなくなった。
――なにしろ隼人は、すでに鞠花の身体の味を知っている。
これまで経験したことのない、脳髄が痺れるような極上の快楽の味だ。
ラットというイレギュラーな状態ではあったが、彼女を愛しているからこそあれほど強烈に感じたのだと確信している。
ソファーでした触れ合うだけのキスでも、理性がグラつく音が聞こえたのだ。
うっかり舌を入れたら、もう後戻りできなくなるところだった。あの時誘惑に屈しなかった自分を褒めてやりたい。
そして今も、悪魔のささやきに耳を貸さず、忍の一字で踏ん張らなければならない。
「黒田、起きろ。起きないと襲うぞ」
などと冗談じみた口調で本音を漏らしつつ、何度か呼び掛けているうちに、鞠花が薄っすらと目を開けた。
寝ぼけ眼をこすりながら現状を把握すると、申し訳なさそうに眉を下げる。
「んっ……あ、あれ、私、寝てた? ごめん、せっかくのデートだったのに……」
「別に怒ってないよ。可愛い寝顔が堪能できて役得だった」
「もう。またそんなこと言って。えっと、ここは……うちの近くのコンビニ?」
「うん、そう。家の前で起こしてもよかったんだけど、朝飯とか何か買いたい物あるかなと思って寄ってみた」
「ありがとう、気を遣ってもらって。あ、そうだ。牛乳買わないと……」
実は薄暗くて人気のない住宅街に停めていると、あらぬことをしでかしそうだから……なんて言えるわけがない。それらしい言い訳をした隼人の真意に、幸いにも鞠花は気づかず額面通りに受け取ったようだ。
感謝されるのがいたたまれないが、顔には出さず彼女と共にコンビニへ向かう。
「ねぇ、川嶋くんはおなか減ってない? 明日の朝ごはんある? 欲しいものがあったら一緒に買うからカゴに入れてね」
「いや、そういうのって男の台詞じゃない?」
「そう? 今時、男の人がなんでも奢る前提なのは変だと思うけど。今日だっていろいろ奢ってもらったし、なんかお返ししないと気が済まないというか……」
確かに、今日の支払いはほとんど隼人が済ませた。
別にデートは男が奢るものだという見栄や先入観ではなく、単に好きな子に尽くしたい欲を発散していただけなのだが、あまりに鞠花が申し訳なさそうな顔をするので、駐車場代とドライブウェイの通行料は払ってもらった。
それで納得してもらえたのかと思ったが、どうやら彼女にとっては不平等だと感じられたらしい。
御曹司だからエリートだからといって、奢ってもらって当然とならないところが、隼人にとっては新鮮で好ましく感じるポイントだが、こっちがやりたくてやっていることなのだから、素直に受け取ってほしいし――時にその遠慮深さが命取りになることも自覚してほしい。
(ああ、もう、この天然小悪魔め! 上目遣いでそんないじらしいこと言われたら、男の理性はあっという間に崩壊しちゃうから! 『じゃあ身体で払って』とか、エロ親父みたいなこと言って押し倒したくなるから! ホント、ここがコンビニでよかった!)
「……――あー、じゃあ、ガムでも買うかな」
なけなしの理性で煩悩をねじ伏せ、板ガムを彼女のカゴに入れる。
それでもまだちょっと不満そうだったが、無理強いするわけにもいかないと思ったのか、鞠花は素直に自分の買い物分と合わせて清算し、店を出るとそれを渡してくれた。
「もう家まですぐそこだし、ここまででいいよ。大通りに出るまでに、一方通行グルグル回ってでなきゃいけないの、面倒でしょ」
「そのくらい全然面倒じゃないけど……それなら歩いて送ろうかな。家に帰るまでがデートだからね」
「遠足じゃないんだから……」
屁理屈をこねる隼人に遠慮がちな鞠花も折れた様子で、トランクからレジャーバッグを取り出し、手を繋いでマンションまでの道を歩き出す。
送迎を拒否した割に離れがたいと思ってくれているのか、デートの終点に近づくにつれて足取りがゆっくりになり、絡めた指先に力が入っていく。
そのいじらしい仕草に心臓がキュッと締められ、さりげなく隼人も握り返す。
古典的に「コーヒーでも飲んでいく?」などと言って、隼人を部屋に上げるつもりなのか。
いや、車をあのコンビニに停めたままなのを知っているし、真面目な彼女が自分の都合で長時間駐車を許すとも思えないから、きっと正面玄関が見える頃には手を離すのだろう。
それに、車に乗ったままでは欲望に負けて、ついホテルに走ってしまうとも限らない。
隼人はそれが分かっていて、あえて徒歩での送迎を選んだ。
我ながらずるい奴だと内心苦笑しつつも、紳士の誓いを破らないことが一番大事だと言い聞かせているうちに、マンション前まで着いてしまった。
「はい、到着」
「……送ってくれてありがとう。今日はとっても楽しかった」
「僕も楽しかった。本当は夜もずっと一緒にいたかったけど……」
繋いだ手を解いて鞠花の頬を撫で、触れるだけのキスをする。
「今日はこのまま君を家に帰すよ。身体目当てだと思われたくないからね」
「え……か、川嶋くんなら、別に……」
羞恥と期待が入り混じるまなざしで見つめられ、あやうく理性が瓦解するところだったが、こちらにも譲れない意地があるのでぐっと耐えた。
「黒田、僕を甘やかさないで。先週は言わなかったけど、バーに呼び出して告白したあとも、ホテルなんか寄らずに帰すつもりだったんだ。すぐに返事がもらえるとも限らないし、気持ちが通じ合わせたからってホテルに直行するなんて、がっついてるみたいでカッコ悪いだろ。けど、結局あんなことになって……正直今も全然余裕ないけどさ、初デートくらいは紳士でいさせて。僕にカッコつけさせてよ、お願い」
「う、うん……」
「ありがとう。おやすみ、黒田」
「おやすみ、なさい……」
まだ物欲しそうな目をしたままの鞠花に後ろ髪を引かれつつも、もう一度だけ軽いキスをして未練を断ち切るように手を振ると、こちらを向いたまま手を振り返しながらエントランスに向かって歩き出した。
その後姿が見えなくなるまで見送り、外廊下に再び現れた彼女を視線で追っているうちに、彼女が立ち止まった。
すぐそこにある玄関をくぐるのかと思っていたら、手すりにもたれながら階下をキョロキョロと見渡し……こちらを見留めるなり破顔して、手を振ってきた。
その可愛らしい様にドキドキとしつつも手を振り返すと、満足したのか猫のようにするりと身を翻して彼の予想通りの部屋に消えたのを確認すると、ずるずるとその場にへたり込んでしまう。
(ぐぬうあああああ……もう! 僕の彼女の天然小悪魔度は天井知らずか!)
しばらくそのまま悶絶していたが、他の住人が帰宅してきた足音が聞こえたため、慌てて立ち上がって急ぎ足でコンビニに舞い戻った。
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