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宵闇の心 4
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「宵闇!!」
白妙の悲鳴のような叫び声が響いた。
黒は再び宵闇の身体を支え、他の誰にも聞こえないよう、彼にささやいた。
「僕はどうすればいい。・・・・あなたを、救いたい。」
黒の言葉に宵闇は激痛に顔を歪めながら、なんとか微笑んでみせた。
瞳に宿る赤い光をどうにか自我で抑え込もうとしているが、張り裂けた魂はほとんどちぎれかけていて・・・・今黒と話しているこの宵闇の魂は、砕け散りそうな程弱っていた。
「・・・・お前にこんなこと、頼むべきじゃないのは・・・わかってる。・・・だけどもう、限界なんだ。」
「・・・・宵闇。」
黒は、宵闇が自分に何を望んでいるのか理解した。
「ごめんな。・・・・俺がもっと、綺麗な気持ちで白妙を愛することができてたら、よかったのに・・・・。」
「・・・・宵闇・・・・あなたの白妙への想いはいつだって、誰よりも・・・・何よりも美しく、尊く僕の目に映っている。・・・もう、自分を傷つけないで。あなたはなにも、悪くないんだ・・・・。」
黒はそっと宵闇を地面へおろし、愛刀である紗叉を引き抜いて宵闇と対峙した。
「ありがとう・・・・ごめんな。」
駆け寄ってくる白妙を遮るように、黒は自分と宵闇の周りに風を巻き起こした。
ゴウゴウと音を立てて風が逆巻く中、黒が唇を動かし宵闇に何かを告げると、宵闇は目を見開き涙を溢して、それに答えた。
黒は微笑み再び口を開いたが、宵闇は首を激しく横に振っている。
風が止み、再び静けさが戻ると同時に、白妙と彼女に寄り添う海神の姿があらわになった。
それを目にした宵闇の瞳が再び真っ赤に染まり、同時に宵闇の身体を薄紅色の閃光が一筋、音もなく走る。
白妙の叫び声が辺りを引き裂くように響き渡り、彼女は力なく崩れ落ちていった。
真っ赤な血しぶきを花びらのように撒き散らしながら、地に落ちていく宵闇を抱き止め、黒は感情を殺した瞳で彼の瞳の奥底を見つめる。
「お前・・・俺の為に、もう何もするなよ。・・・もう、十分なんだからさ。・・・白妙を、みてやって・・・・。」
黒は宵闇を抱く腕に力を込めた。
「ああ・・・・。また、お前に・・・琴を、やれなかった・・・な。」
黒は宵闇の最期の言葉を聞き届けると、たもとから小さな緑色の石を取り出した。
光を浴びるとそれは、たちまち桜の色へと色味を変えていく。
血に濡れた宵闇の黒い衣の上から石をあて、黒は口の中で何かをつぶやいた。
宵闇の身体は包み込まれるように淡く輝き、わずかに残っていた宵闇の心と純粋な魂が、小さな光の欠片となって、黒の身体へ吸い寄せられるようにしみ込んでいく。
「待つよ・・・・。大丈夫、それまでは貴方からもらった、あの楽器があるから・・・・。」
白妙の悲鳴のような叫び声が響いた。
黒は再び宵闇の身体を支え、他の誰にも聞こえないよう、彼にささやいた。
「僕はどうすればいい。・・・・あなたを、救いたい。」
黒の言葉に宵闇は激痛に顔を歪めながら、なんとか微笑んでみせた。
瞳に宿る赤い光をどうにか自我で抑え込もうとしているが、張り裂けた魂はほとんどちぎれかけていて・・・・今黒と話しているこの宵闇の魂は、砕け散りそうな程弱っていた。
「・・・・お前にこんなこと、頼むべきじゃないのは・・・わかってる。・・・だけどもう、限界なんだ。」
「・・・・宵闇。」
黒は、宵闇が自分に何を望んでいるのか理解した。
「ごめんな。・・・・俺がもっと、綺麗な気持ちで白妙を愛することができてたら、よかったのに・・・・。」
「・・・・宵闇・・・・あなたの白妙への想いはいつだって、誰よりも・・・・何よりも美しく、尊く僕の目に映っている。・・・もう、自分を傷つけないで。あなたはなにも、悪くないんだ・・・・。」
黒はそっと宵闇を地面へおろし、愛刀である紗叉を引き抜いて宵闇と対峙した。
「ありがとう・・・・ごめんな。」
駆け寄ってくる白妙を遮るように、黒は自分と宵闇の周りに風を巻き起こした。
ゴウゴウと音を立てて風が逆巻く中、黒が唇を動かし宵闇に何かを告げると、宵闇は目を見開き涙を溢して、それに答えた。
黒は微笑み再び口を開いたが、宵闇は首を激しく横に振っている。
風が止み、再び静けさが戻ると同時に、白妙と彼女に寄り添う海神の姿があらわになった。
それを目にした宵闇の瞳が再び真っ赤に染まり、同時に宵闇の身体を薄紅色の閃光が一筋、音もなく走る。
白妙の叫び声が辺りを引き裂くように響き渡り、彼女は力なく崩れ落ちていった。
真っ赤な血しぶきを花びらのように撒き散らしながら、地に落ちていく宵闇を抱き止め、黒は感情を殺した瞳で彼の瞳の奥底を見つめる。
「お前・・・俺の為に、もう何もするなよ。・・・もう、十分なんだからさ。・・・白妙を、みてやって・・・・。」
黒は宵闇を抱く腕に力を込めた。
「ああ・・・・。また、お前に・・・琴を、やれなかった・・・な。」
黒は宵闇の最期の言葉を聞き届けると、たもとから小さな緑色の石を取り出した。
光を浴びるとそれは、たちまち桜の色へと色味を変えていく。
血に濡れた宵闇の黒い衣の上から石をあて、黒は口の中で何かをつぶやいた。
宵闇の身体は包み込まれるように淡く輝き、わずかに残っていた宵闇の心と純粋な魂が、小さな光の欠片となって、黒の身体へ吸い寄せられるようにしみ込んでいく。
「待つよ・・・・。大丈夫、それまでは貴方からもらった、あの楽器があるから・・・・。」
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