166 / 324
宵闇の再来 2
しおりを挟む
白妙の刀が宵闇の首を薙ぎ払う雷光となって一直線に走ると、宵闇はそれをかすめるように、わずかに身体をのけぞらせながらかわす。
白妙の猛追は緩むことなく、縦横無尽に刃を走らせながら、宵闇の胸を目掛け鋭く突き入れ、手首を返すと、すかさず横一線に刃を走らせた。
宵闇は舞い踊っているようにさえ見える優雅な動きで、襲い来る全ての剣先を避け切ると、横一線に向かい来る最後の一撃を、自らの刀の鞘で受けた。
そのまましばらく競り合うと、お互い弾かれたように間合いをとる。
ゆっくりと闇色の刀を引き抜き鞘を投げ捨て、宵闇は眼光を鋭くした。
「お前・・・・本気か。」
この宵闇を野放しにはできない。
穢れ堕ちた神妖は、欲望に果てしなく忠実で、次々と貪欲に食らいつき留まることはできないのだ。
白妙には、分かっていた。
本来の宵闇であれば、こんな風に荒み切った悪夢のような現実を、絶対に求めたりはしないと・・・・。
宵闇は、自らの過ごした世界を決して見限ったりはしない。
宵闇を失った今、例え相手が穢れ堕ちた彼自身だとしても、自分が折れてしまうわけにはいかないのだ。
黒の妖鬼によって壊されてしまった、本来の宵闇の魂があげる悲痛な叫び声が、どこか遠くから聴こえてきたような気がした。
「私は、この世界を守らなければならない。・・・・お前は、殺し過ぎる。神妖界の守護として、私はお前を・・・殺す。」
「そうか・・・・。」
宵闇は、ニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
「海神だけではない。・・・この世界も、お前の心を縛っているのだな。」
そう言って一気に遠間へ逃れ、その場を去ろうとする宵闇の腕を、白妙は慌てて鞭へと変形させた武器で、即座に絡め取った。
「どこへ行く。」
「この世界の生みの親である、命逢の大樹を破壊し、神妖どもを皆殺しにしてやる。もちろん、お前の大切な海神もだ。・・・そうなれば、もはやお前を縛るものはない。お前は、俺を選ぶしかなくなる。」
白妙は、宵闇の答えに戦慄した。
「させない・・・・・。」
溢れそうになる涙をこらえながら、白妙は瞬時に武器を刀へと変形させ、覚悟を決めると、そのまま宵闇を勢いよく引き寄せた。
引き寄せられた宵闇は目を見開き、足元へ刀を落とした・・・・・。
自分の胸倉を強く掴む白くなめらかな手。
そして、唇に重ねられた・・・白妙の柔らかな温もり。
同時に、焼けるような激痛が身の内を貫いていく。
白妙は、重ねただけの唇をゆっくりと離した。
「宵闇・・・・私も、お前を死ぬほど愛しているのに。・・・・なぜ、こんなことになった。」
深々と突き刺された刀は宵闇の背を抜け、そこから流れ出した彼の温もりが、柄を握る白妙の、雪のように白い手を、ひたひたと侵していく。
「白妙・・・・。やはり・・・・俺と共に逝っては、くれないんだな。」
「・・・・・すまない。私はまだ・・・」
「・・・いいよ。・・・・お前はきっと、それでいい。」
そう言って苦痛の中見せてきた宵闇の微笑みの中に、白妙は、以前の彼の欠片を見た。
内臓が打ち震えるほどの恐ろしさと苦しみに襲われた白妙は、思わず刀を引き抜き手を離そうとする。
そんな自分の両手に、宵闇の手が静かに重ねられられ、白妙はビクリと身を震わせ、目を見開いた。
白妙の猛追は緩むことなく、縦横無尽に刃を走らせながら、宵闇の胸を目掛け鋭く突き入れ、手首を返すと、すかさず横一線に刃を走らせた。
宵闇は舞い踊っているようにさえ見える優雅な動きで、襲い来る全ての剣先を避け切ると、横一線に向かい来る最後の一撃を、自らの刀の鞘で受けた。
そのまましばらく競り合うと、お互い弾かれたように間合いをとる。
ゆっくりと闇色の刀を引き抜き鞘を投げ捨て、宵闇は眼光を鋭くした。
「お前・・・・本気か。」
この宵闇を野放しにはできない。
穢れ堕ちた神妖は、欲望に果てしなく忠実で、次々と貪欲に食らいつき留まることはできないのだ。
白妙には、分かっていた。
本来の宵闇であれば、こんな風に荒み切った悪夢のような現実を、絶対に求めたりはしないと・・・・。
宵闇は、自らの過ごした世界を決して見限ったりはしない。
宵闇を失った今、例え相手が穢れ堕ちた彼自身だとしても、自分が折れてしまうわけにはいかないのだ。
黒の妖鬼によって壊されてしまった、本来の宵闇の魂があげる悲痛な叫び声が、どこか遠くから聴こえてきたような気がした。
「私は、この世界を守らなければならない。・・・・お前は、殺し過ぎる。神妖界の守護として、私はお前を・・・殺す。」
「そうか・・・・。」
宵闇は、ニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
「海神だけではない。・・・この世界も、お前の心を縛っているのだな。」
そう言って一気に遠間へ逃れ、その場を去ろうとする宵闇の腕を、白妙は慌てて鞭へと変形させた武器で、即座に絡め取った。
「どこへ行く。」
「この世界の生みの親である、命逢の大樹を破壊し、神妖どもを皆殺しにしてやる。もちろん、お前の大切な海神もだ。・・・そうなれば、もはやお前を縛るものはない。お前は、俺を選ぶしかなくなる。」
白妙は、宵闇の答えに戦慄した。
「させない・・・・・。」
溢れそうになる涙をこらえながら、白妙は瞬時に武器を刀へと変形させ、覚悟を決めると、そのまま宵闇を勢いよく引き寄せた。
引き寄せられた宵闇は目を見開き、足元へ刀を落とした・・・・・。
自分の胸倉を強く掴む白くなめらかな手。
そして、唇に重ねられた・・・白妙の柔らかな温もり。
同時に、焼けるような激痛が身の内を貫いていく。
白妙は、重ねただけの唇をゆっくりと離した。
「宵闇・・・・私も、お前を死ぬほど愛しているのに。・・・・なぜ、こんなことになった。」
深々と突き刺された刀は宵闇の背を抜け、そこから流れ出した彼の温もりが、柄を握る白妙の、雪のように白い手を、ひたひたと侵していく。
「白妙・・・・。やはり・・・・俺と共に逝っては、くれないんだな。」
「・・・・・すまない。私はまだ・・・」
「・・・いいよ。・・・・お前はきっと、それでいい。」
そう言って苦痛の中見せてきた宵闇の微笑みの中に、白妙は、以前の彼の欠片を見た。
内臓が打ち震えるほどの恐ろしさと苦しみに襲われた白妙は、思わず刀を引き抜き手を離そうとする。
そんな自分の両手に、宵闇の手が静かに重ねられられ、白妙はビクリと身を震わせ、目を見開いた。
0
あなたにおすすめの小説
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
48歳主婦の宅建試験挑戦―そして年下彼がくれた勇気と恋
MisakiNonagase
恋愛
「お母さん」でも「奥さん」でもない、私の名前を呼び止めたのは、26つも年下の彼だった。
「48歳、主婦。私が手に入れたのは、資格(ライセンス)と、甘く切ない自由だった。」
スーパーのパートに明け暮れる平凡な主婦・中西京香、48歳。
目的もなく始めた宅建試験への挑戦が、枯れかけていた彼女の人生を激変させる。
インスタの勉強垢で出会ったのは、娘よりも年下の22歳大学生・幸正。
「不倫なんて、別の世界の出来事だと思っていた――」
そんな保守的で、誰より否定的な考えを持っていたはずの京香が、孤独な受験勉強の中で彼と心を通わせ、気づけば過去問演習よりも重い「境界線」を越えていく。
資格取得、秘めた大人の恋。そして再スタート、
50歳を迎えた彼女が見つけた、自分だけの「地平線」とは。
不動産、法学、そして予期せぬ情熱が交錯する、48歳からの再生と自立の物語。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
公爵家の伝統だと思っていたら、冷徹公爵様の溺愛でした
星乃和花
恋愛
(毎日21:30更新ー全8話)
家族にも周囲にもあまり顧みられず、
「私のことなんて、誰もそんなに気にしない」
と思って生きてきたリリアナ。
ある事情から、冷徹と噂されるヴァレントワ公爵家で働くことになった彼女は、
当主エドガーの細やかな気づかいに驚かされる。
温かいお茶、手袋、外出時のエスコート。
好みの食事までさりげなく用意されて――
けれど自己評価の低いリリアナは、それらすべてを
「これが公爵家の伝統……!」
「さすが名門のお作法……!」
と盛大に勘違い。
一方の冷徹公爵様は、そんな彼女にだけ少しずつ甘さをこぼし始めて……?
これは、
“この家の作法”だと思っていたら、
どうやら冷徹公爵様の溺愛だったらしい
やさしくて甘い勘違いラブコメです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
追放先で気づいた。この世界の精霊使いは全員、聞き方を間違えている~最安もふもふ白狐と始めた、問いかけの冒険~
Lihito
ファンタジー
精霊と暮らす世界で、ノエルはギルドを追い出された。処理ミスは誰より少ない。でも「やりづらい」の一言で、理由には足りた。
手元に残ったのは、最安で契約した手のひらサイズの白い子狐だけ。言葉はたどたどしいし、力もない。誰が見ても「使えない」と笑う精霊だ。
たどり着いた町では疫病が広がっていた。高額な精霊が三度探して見つからない薬草。ノエルは最弱の白狐と半日で見つけ出す。
力で勝ったんじゃない。聞く範囲を絞り、段階を分け、小さな鼻に合った問いを重ねただけ。
——なぜこの世界では、誰も精霊への「聞き方」を知らないのか。
その違和感が、ノエルの旅を動かしていく。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる