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光弘の家 7
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『納めろ』
蒼は、海神の足元に重なり落ちたエビの残骸を、白い繭に納めた。
どこからか細い筆を出し繭に何かを素早く書き込むと、首から下げた小さな袋に入れてそれを懐へしまう。
力なくうなだれている海神を抱きよせ、蒼は何も言わずその背中を優しく撫でてやった。
・・・・・・能力に大きな差があると、相手の真価に気づけない。
まさに、その言葉を絵に描いたような結末だった。
あまりの力の差に、黒の強大な力を感じ取ることすらできず、エビは無残にも黒に玉砕し、水妖の長である海神の手であっけなく殺されてしまったのだ。
・・・・・妖月の戦う姿を初めて目の当たりにした俺は、愕然としていた。
海神は、余力を十分に残している。
力のほんの一端を垣間見せただけなのに・・・・。
あそこまで圧倒的な強さを誇るものとは思わなかったのだ。
「蒼・・・・・ありがとう。もう、大丈夫だ。」
蒼に顔をうずめていた海神が顔をあげた。
海神は見た目の酷薄とした印象とは違い、驚くほど情が深い。
配下の神妖を自らの責任で手にかけたことは、恐らく想像以上に彼の心に傷をつけたのだろう。
「宵闇には逃げられたよ。また例の、手のやつが現れて邪魔をしたんだ。・・・・君、何か知っているんだろう、あれのこと。」
蒼の問いかけに、黒は生意気そうにわずかに顎を上向けた。
「・・・・君は、僕が知っていると思うのか?」
蒼は小さく噴き出して笑った。
「今更だな。・・・・君が言ったんじゃないか。知らないことは少ないって。」
「だが、全てを知っているわけじゃない。もしかして君・・・・・僕を馬鹿にしている?」
苦しい息遣いの向こうで、黒は顔をしかめた。
「あれのことでわかることは、あまりない。憶測で語ることはできるが、情報として知りえていることは、君の知ることとさほど変わらない。ただ・・・・っ」
背の傷に痛みが走ったのだろう。
黒は息をつめた。
光弘が黒をベッドへ座らせ横たえると、再びうつぶせになった黒は震える息を細く吐きだした。
「無理をするなよ。ひどい傷だ。それに・・・・その傷、よほどのことがなければ、治す気がないんだろう。」
黒は蒼を軽く睨んだ。
「やめろ。君に心配されると傷が余計にうずく。・・・・僕を気に掛けるな。余計なことも・・・言う必要はない。」
「わかってるさ。君ってやつは本当に、嫌なやつだね。」
蒼が大げさにため息をつくと、光弘はそれを不満そうにみつめた。
「冗談だよ、光弘。誓って言う。・・・・君の黒は、いいやつだ。」
黒は冷ややかに蒼を見つめたが、光弘が表情を緩めるのを見て、小さくため息をついた。
「君のセリフには吐き気がする・・・・。まあいい。とにかく、その憶測を裏付けるものがさっき一つ見つかった。・・・・真也が、あの腕の根元を斬り割いてくれたお陰だ。」
「あの時?でも俺、失敗したんだ。・・・本当は引きずり出してやろうと思ったんだけど、守りが強すぎて小さな切れ目しか入れられなかった。」
黒と俺の言葉に、都古がピクリと反応した。
「やはりあれは・・・・。」
都古はこぼれそうなほど大きく目を見開き、黒の顔をみつめている。
黒は目を細めた。
「都古は気づいてたんだ。・・・・・真也、君の攻撃は的を射ていた。・・・・腕の持ち主は、少なくともあの時、命逢にいたんだ・・・・・。」
蒼は、海神の足元に重なり落ちたエビの残骸を、白い繭に納めた。
どこからか細い筆を出し繭に何かを素早く書き込むと、首から下げた小さな袋に入れてそれを懐へしまう。
力なくうなだれている海神を抱きよせ、蒼は何も言わずその背中を優しく撫でてやった。
・・・・・・能力に大きな差があると、相手の真価に気づけない。
まさに、その言葉を絵に描いたような結末だった。
あまりの力の差に、黒の強大な力を感じ取ることすらできず、エビは無残にも黒に玉砕し、水妖の長である海神の手であっけなく殺されてしまったのだ。
・・・・・妖月の戦う姿を初めて目の当たりにした俺は、愕然としていた。
海神は、余力を十分に残している。
力のほんの一端を垣間見せただけなのに・・・・。
あそこまで圧倒的な強さを誇るものとは思わなかったのだ。
「蒼・・・・・ありがとう。もう、大丈夫だ。」
蒼に顔をうずめていた海神が顔をあげた。
海神は見た目の酷薄とした印象とは違い、驚くほど情が深い。
配下の神妖を自らの責任で手にかけたことは、恐らく想像以上に彼の心に傷をつけたのだろう。
「宵闇には逃げられたよ。また例の、手のやつが現れて邪魔をしたんだ。・・・・君、何か知っているんだろう、あれのこと。」
蒼の問いかけに、黒は生意気そうにわずかに顎を上向けた。
「・・・・君は、僕が知っていると思うのか?」
蒼は小さく噴き出して笑った。
「今更だな。・・・・君が言ったんじゃないか。知らないことは少ないって。」
「だが、全てを知っているわけじゃない。もしかして君・・・・・僕を馬鹿にしている?」
苦しい息遣いの向こうで、黒は顔をしかめた。
「あれのことでわかることは、あまりない。憶測で語ることはできるが、情報として知りえていることは、君の知ることとさほど変わらない。ただ・・・・っ」
背の傷に痛みが走ったのだろう。
黒は息をつめた。
光弘が黒をベッドへ座らせ横たえると、再びうつぶせになった黒は震える息を細く吐きだした。
「無理をするなよ。ひどい傷だ。それに・・・・その傷、よほどのことがなければ、治す気がないんだろう。」
黒は蒼を軽く睨んだ。
「やめろ。君に心配されると傷が余計にうずく。・・・・僕を気に掛けるな。余計なことも・・・言う必要はない。」
「わかってるさ。君ってやつは本当に、嫌なやつだね。」
蒼が大げさにため息をつくと、光弘はそれを不満そうにみつめた。
「冗談だよ、光弘。誓って言う。・・・・君の黒は、いいやつだ。」
黒は冷ややかに蒼を見つめたが、光弘が表情を緩めるのを見て、小さくため息をついた。
「君のセリフには吐き気がする・・・・。まあいい。とにかく、その憶測を裏付けるものがさっき一つ見つかった。・・・・真也が、あの腕の根元を斬り割いてくれたお陰だ。」
「あの時?でも俺、失敗したんだ。・・・本当は引きずり出してやろうと思ったんだけど、守りが強すぎて小さな切れ目しか入れられなかった。」
黒と俺の言葉に、都古がピクリと反応した。
「やはりあれは・・・・。」
都古はこぼれそうなほど大きく目を見開き、黒の顔をみつめている。
黒は目を細めた。
「都古は気づいてたんだ。・・・・・真也、君の攻撃は的を射ていた。・・・・腕の持ち主は、少なくともあの時、命逢にいたんだ・・・・・。」
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