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白妙の心 8
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すっかり今までの調子を取り戻した蒼は、白妙に不思議そうな視線を向けた。
「それにしても、白妙、君・・・・・・ずいぶん落ち着いているよね。ボクは君が憎んでいる黒と同じ、妖鬼なのに。・・・嫌じゃないのか?」
白妙は少し首を傾けた。
「馬鹿なことを・・・。お前はお前だろう。つまらないことを聞くな。」
「・・・君は、種族差別しないんだな。」
「・・・どうだろうな。私は2千年前の神妖狩りの時、渦中にいた。妖鬼という種族への暗い感情や印象が一切ないと言えば嘘になるだろう・・・。だが、お前とは直接言葉を交わす機会が多くあり、海神とのかかわり合い方も見てきた。・・・それを見間違えるほど愚かではないつもりだが。」
「神妖狩りか・・・・・・。あれは最高に悪趣味だった。笛の音で全てを狂わせ、好き放題に殺戮の限りを尽くし、この地を汚したんだ。」
龍粋のことが脳裏をよぎったのだろう。
厚い氷の下に冷たく表情を沈めた海神に気づき、蒼は彼の頭を胸に強く抱き寄せた。
「ねぇ・・・海神。あれは全て妖鬼の王が仕組んだ罠だった。君や宵闇に責任はない。・・・君たちは被害者なんだから。」
ふいに蒼の口から飛び出した名前に、白妙の心臓はすくみ上がった。
なぜ、蒼は宵闇の名を口にしたのだろう。
神妖狩りのさなか、宵闇の姿は欠片すら見つけられなかった。
ようやく彼の姿を目にできたのは、妖鬼の王が死んでから10年ほど時が経ってしまってからのことだったのに・・・・・・。
白妙は掠れた声で蒼に問いかけた。
「蒼・・・お前なぜ、宵闇の責任がどうなどと言ったのだ。あれはあの時一度も姿を見せていなかったはずなのに。」
蒼は海神の髪をなで、少し考えているようだった。
海神も白妙と同じく動揺していた。
わずかに身じろぐと腕の中から蒼を見上げる。
「君たち・・・・・・もしかして、知らないのか。あの時笛を吹き鳴らしていた者が、誰だったのかを・・・・・・。」
「・・・まさか。」
「・・・・・・。」
蒼の沈黙が、何よりも雄弁に答えを語っていた。
海神が、乾いてひきつった喉をこくりと上下させ、からからに乾いた唇をどうにか開く。
「・・・宵闇・・・なのか。」
「・・・・・・うん。」
長い間を置き、はっきりとうなずいた蒼を見ながら、白妙は頭の芯がしびれたようになり、何も考えられなくなっていた。
「内緒なんだけどね。・・・三毛はちょっと特殊な能力を持ってるんだ。物や場所に残った『名残』を鮮明に読み取ることができる。・・・妖鬼の王の館に残されていた道具のうち、気になるものをいくつか確認させたんだ。・・・その中の二つのものに、宵闇の姿が記憶されていた。・・・君も少し見たことがある。」
「黄色の妖鬼が使っていたものと同種のものか・・・・・・。」
「そ。神妖の精神を乱す笛と、一時的に心を奪い操作する呪印が描かれた道具だ。君が黄色のところで見た呪印は、剣に刻まれたものだったよね。」
「それにしても、白妙、君・・・・・・ずいぶん落ち着いているよね。ボクは君が憎んでいる黒と同じ、妖鬼なのに。・・・嫌じゃないのか?」
白妙は少し首を傾けた。
「馬鹿なことを・・・。お前はお前だろう。つまらないことを聞くな。」
「・・・君は、種族差別しないんだな。」
「・・・どうだろうな。私は2千年前の神妖狩りの時、渦中にいた。妖鬼という種族への暗い感情や印象が一切ないと言えば嘘になるだろう・・・。だが、お前とは直接言葉を交わす機会が多くあり、海神とのかかわり合い方も見てきた。・・・それを見間違えるほど愚かではないつもりだが。」
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「ねぇ・・・海神。あれは全て妖鬼の王が仕組んだ罠だった。君や宵闇に責任はない。・・・君たちは被害者なんだから。」
ふいに蒼の口から飛び出した名前に、白妙の心臓はすくみ上がった。
なぜ、蒼は宵闇の名を口にしたのだろう。
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ようやく彼の姿を目にできたのは、妖鬼の王が死んでから10年ほど時が経ってしまってからのことだったのに・・・・・・。
白妙は掠れた声で蒼に問いかけた。
「蒼・・・お前なぜ、宵闇の責任がどうなどと言ったのだ。あれはあの時一度も姿を見せていなかったはずなのに。」
蒼は海神の髪をなで、少し考えているようだった。
海神も白妙と同じく動揺していた。
わずかに身じろぐと腕の中から蒼を見上げる。
「君たち・・・・・・もしかして、知らないのか。あの時笛を吹き鳴らしていた者が、誰だったのかを・・・・・・。」
「・・・まさか。」
「・・・・・・。」
蒼の沈黙が、何よりも雄弁に答えを語っていた。
海神が、乾いてひきつった喉をこくりと上下させ、からからに乾いた唇をどうにか開く。
「・・・宵闇・・・なのか。」
「・・・・・・うん。」
長い間を置き、はっきりとうなずいた蒼を見ながら、白妙は頭の芯がしびれたようになり、何も考えられなくなっていた。
「内緒なんだけどね。・・・三毛はちょっと特殊な能力を持ってるんだ。物や場所に残った『名残』を鮮明に読み取ることができる。・・・妖鬼の王の館に残されていた道具のうち、気になるものをいくつか確認させたんだ。・・・その中の二つのものに、宵闇の姿が記憶されていた。・・・君も少し見たことがある。」
「黄色の妖鬼が使っていたものと同種のものか・・・・・・。」
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