心が読める令嬢は冷酷非道?な公爵様に溺愛されました

光子

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10話 変化

 

 人が充実し、仕事の分担や出勤時間がハッキリされると、今度はサザンカとクレパスの悪い箇所が目立った。いや、浮き彫りにされた、の言い方が正しいかな?今までは、人数不足を言い訳に、『遅れた』や、『出来ない』がまかり通ったが、人材が充実した今、彼女達のそれは、ただの遅刻であり、サボりになった。

「いいわよビオラ。サザンカは今まで頑張って来たんだし、人が増えたから気が抜けちゃったのよね」

 私はフォローすると、サザンカに仕事に入るように声を掛けた。
 一礼し、慌てたように持ち場に行くサザンカ。

「奥様はお優しいですね」
「あはは……そうかな?」

 そんなつもりは無いんだけど、私がいない時代から、ここでアレン様に尽くして来てくれた人達だから、無下に出来ないんですよね。

「奥様、アレン様は本日、仕事が早く終わり、もうすぐお戻りになられます」
「え、本当?ならーー」
「夕食をご一緒出来るよう、料理人には話を通しております」

 おお…!やっぱりスマルトも優秀ね!
 今やクレパスを抜いて、皆の頼れるリーダー化してます。アレン様も、スマルトに補佐を任したりしているし……素晴らしいですね。
 やっぱり、私の心を読む力は本物です。



 ***

「……大分、屋敷の雰囲気が変わったな」

 夕食時、アレン様はダイニングルームを見渡しながら、そう呟いた。

「お陰様で好きにさせて頂いております」

 嫁いだ当初に比べれば、あのホラー映画に出てくる屋敷と違って、薄汚れた外壁は全て塗り直し、割れた窓ガラスも修繕して、お庭のボーボーに生えた草木もお手入れし、屋敷の中も全て清掃!壊れていた物品はラドリエル公爵家の財力を使って一掃し、比べ物にならないくらい!素敵なお家に生まれ変わりました!
 ダイニングルームだって、ボロボロの机と椅子から全て一新したんですよ。

「あ、でも……調子に乗って、結構お金使っちゃったんですけど……」

 折角なので良い物をと、高額な買い物をしてしまった。

「……好きにすればいい」

 渡した領収書に目もくれず、アレン様は食事を進めた。
 それは、私が無駄な買い物をしないって、信頼してくれてるってこと?

「お金は腐るほどある」

 ……言ってみたーい、そんな台詞。
 あ、そっか。私、そんな方の妻になったんでした!

「ふふ」
「何がおかしい?」
「いえ。アレン様とこうして食事をとるのが初めてなので、とても嬉しいんです」
「……」

 無表情で黙り込む旦那様。でも、それは照れているだけなんだって、何となく分かるようになりました。

「…………仕事が少し落ち着いたから、明日からは暫く、夕食は一緒にとれるーーと、思う」
「!本当ですか?嬉しいです!」

 こんな広いダイニングルームで一人で食事をするのは寂しいし、アレン様と親睦を深めるチャンスです!

「……僕と一緒に食事して喜ぶなんて、君以外いないよ」
「そーーーうでしょうね」

 そんな事ありませんよ。と言いたかったんだけど、それは嘘だとバレるなと思い、正直に肯定した。

「……」

 何故か、傍で待機している執事やメイドの皆さんの方が、ピリッと空気が張り詰めた気がします。
 悪魔の公爵相手にそんな事言っていいのか?怒り狂った旦那様に、奥様が殺されてしまうじゃないか?とか、考えている人がいるのかもしれない。
 今までアレン様にこうして話しかける相手なんて、いなかったでしょうしね。

「……そうか」

 無表情で頷くアレン様。
 あれ?何故でしょう?いつも通りの無表情なのに、私の目には凄い凹んでいるように見えます。

 私は口元をナプキンで拭くと、椅子から立ち上がり、アレン様の近くまで歩いた。

「アレン様」

 隣の席に座り、そっと手に触れる。

 《やっぱり……僕は皆に嫌われているんだな……》

 凄い凹んでる…!いや、嫌われてると言うよりかは、怖がられているって言い方の方が正しい気がしますけどーーて、そうじゃなくて!

「アレン様、お願いがあるんです」

「……お願い?君はお願いばかりだな」

 私を睨み付けるように言うアレン様のお姿は、まるで私のお願いに嫌気がさしているように見える。が、実際はーーー

 《何でも言って欲しい。カリアの願いなら、僕は何でも叶えるよ》

 ーーーうん、どうして本心と、表の言葉と態度にこんなに違いがあるのでしょう?不思議ですね。

「ほんの少しでもいいんです……アレン様が思ったことを、素直に、素直に(大切なので二回目)口に出してみて欲しいんです」
「…………素直に?」

 心底不思議そうな顔するの、止めてもらえます?
 自分が素直じゃない言葉を発してるの、分かって無いんですか?
 アレン様はもう少し、素直に言葉を言えるようになれば、嫌われなくて済むんです!


「アレン様、私が好きですか?」
「ーーー」

 《好きに決まってる。僕のお嫁さんなんだから、大切だし、可愛いし、綺麗だし、愛してる!何故急にそんなことを聞くんだ?》

「……言う必要は無い」

 《結婚式で誓いの言葉を言い合ったばかりなのに……まさか、もう僕の事を嫌いになったのか?!だから、僕に確認を?!》

 違いますし発想が斜め上ですし、そんな心の声と正反対の突き放す言葉を口にする意味もわかんないですけど!駄目だこの人……!私がしっかり、教育していかなくちゃ!

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