クマちゃんと森の街の冒険者とものづくり ~ほんとは猫なんじゃないの?~

猫野コロ

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第125話 お出かけ前の大事な準備と、クマちゃんと彼らの出会い

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 彼らともこもこが出会う、少し前。
 マスターは「俺は便箋を取って来る。また後でな」と袋から出たクマちゃんの頭を優しく撫で、湖畔の家を出て行った。

 無事、クライヴとお出掛け出来ることになった、彼の荷物に擬態したクマちゃんだったが、その前にしなければいけないことがある。
 最初は当然、クマちゃんの凄すぎるパンチで負傷したリオの治療だ。
 今はまだ泣いていないが、きっとたくさん我慢しているのだろう。
 クマちゃんはリオに、早く元気になる牛乳を飲んでください、と伝え

「え、何クマちゃん。俺今ふつうに元気なんだけど……痛っ! ちょっとそこのもこもこした荷物抱えてる人、尖った氷ぶつけてくんのやめて――」

ふつうに痛いらしい彼に瓶を渡した。
 やはり我慢していたようだ。

 しかし、それだけでは足りない。折れた人には何か特別なことをするのだった気がする。
 肉球をペロペロし、一生懸命考えたクマちゃんは、ハッと思い出した。

 ――添え木。

 クマちゃんは何でも売ってくれるお兄ちゃんから程よい木を購入し、スポンサーの彼に魔石を置いて貰ったあと、小さな黒い鼻にキュッと力を入れ、ピンク色の肉球が付いたもこもこの両手で真っ白な杖を振った。


 初めから元気なリオが、クマちゃんに貰った元気になるが甘すぎる牛乳を「めちゃくちゃ甘いんだけど……」と飲みつつ、袋に入ったままアレコレと指示を出し何かを作っているもこもこを眺めていると、彼の方に――直径十五センチほどの太さの――白っぽい丸太が、コロコロと転がって来た。
 先程クマちゃんがお兄さんへぷにっとしたハートを渡し、貰っていた丸太だ。
 リオはそれをもこもこに返すため、中身のなくなった牛乳瓶をコト、とテーブルの隅へ置き、屈んでそれを拾おうとした。
 しかし丸太はコロリと転がりリオから離れた。

「え、まだ触ってないんだけど」

 お兄さんが何かしたのだろうか。リオは不思議に思ったが、丸太へ伸ばしていた手を引っ込め、屈んでいた上体を起こす。
 すると、再びもこもこの丸太が転がって来た。

 微妙に嫌な予感がしたが、もう一度屈んで手を伸ばす。
 クマちゃんの丸太がコロコロと離れて行く。
 リオがスッと身を起こし、部屋の隅へ移動しようとする。
 丸太がコロ――と彼へ近付く。

「えぇ……」

 逃げるリオ。
 追う丸太。   
  
「ちょっとクマちゃん何この丸太! めっちゃ付いてくるんだけど!」

 クマちゃんの丸太に困惑するリオ。
 クライヴの腕の中、獣が入った緑色の袋がもこもことうごめいている。――今は忙しいらしい。


 癒しの魔法でリオに添える木――添え木を作ったクマちゃんは、袋の中で次の作業の準備をしていた。
 うむ。リオはこれで大丈夫だろう。

 あとはクマちゃんの通う学園に行って文通相手の会長からお手紙を受け取るだけだが、その前に大事なことがある。
 ――パンダの変装だ。
 それから、身だしなみにも気を使わなければ。櫛でクマちゃんの髪を綺麗に梳かしてもらおう。


 リオがクマちゃんの丸太と追いかけっこをしている間に、もこもこは目的の物を見つけたらしい。
 袋がもこもことうごめき、猫のような可愛いお手々に櫛を持ったクマちゃんがもこもこと顔をだした。

「可愛い荷物なクマちゃんはお出掛けの準備をしたいようだね」

 クマちゃんの丸太に追いかけられている金髪から視線を逸らし、愛らしいもこもことその肉球に持つ櫛を見たウィルが、クマちゃんに優しく声を掛けた。
 氷のような男が抱える袋から顔を出したもこもこが、深く頷いている。
  
「せっかくだから、君が綺麗に梳かしてあげたらいいのではない?」

 南国の鳥のような青髪の派手な男が、もこもこ愛が強すぎて微かに手が震えているクライヴへ視線を向け「今のクマちゃんはクライヴの荷物ちゃんだからね」と涼やかな声で囀る。
 これなら、愛らし過ぎるもこもこと上手く触れ合えない彼でも、自然にクマちゃんを撫でられるだろう。

 ウィルの予想通り、櫛でそっともこもこの被毛を整えるクライヴは無言で喜びを嚙みしめ、周囲に冷気を放ち、

「寒いんだけど!」

一部から苦情が出ていたが、愛らしいもこもこの頭にパンダ帽を被せると、あまりの可愛さに呼吸を止め、目を開けたまま動かなくなった。



 クライヴの復活を待ち「クマちゃんこの変な丸太どうにかして欲しいんだけど」リオが操作する魔道具で学園の様子を確認した彼らは、石造りで深紅の絨毯が敷かれている古めかしい廊下、もこもこ花畑付近に居る彼らを目指し、怪しいお兄さんが不思議な能力で出した闇色の球体を通り抜けた。

 こちらへ近付いてくる生徒会長達には、花畑の側に到着したルーク達のことが見えていないようだ。
 お兄さんが隠しているのだろう。

「俺らって隠れてた方がいいの?」

 リオはかすれた声でお兄さんへ尋ねた。――彼の足元にはクマちゃんの添え木が転がっている。
 人目を気にすることなど無さそうな、偉そうで不思議なお兄さんは、ここへくると姿を隠そうとする。
 しかし、お兄さんはリオの質問には答えず、
 
「――魔力は隠せ」

低く美しい、頭に響く不思議な声でお告げのようなことを言うと、自分だけ姿を消したまま、その力を解いた。

 リオがお兄さんへ視線を向けている間に、花畑へ向かっていたはずの生徒会長は踵を返し走り去り、その彼を目で追う副会長と呼ばれる男が、苛立っているような、悲しんでいるような声で、

「クソ……俺だって会いてぇよ」 
 
ルーク達に背を向けたまま呟いた。
 もこもこ袋を抱えたクライヴが、愛しのもこもこの願いを叶えるため、もこもこ花畑へ足を踏み入れ、副会長達へ近付こうとする。
 それとほぼ同時に、空気を読むことを知らない荷物ちゃんがこちらへ背を向けている副会長と会計に、

「クマちゃん、クマちゃん」

と幼く愛らしい声を掛ける。

『こんにちは、クマちゃ、パンダちゃ、です』と。

 非常にお行儀が良い、挨拶も上手に出来る完璧な赤ちゃんクマちゃんに感情を揺さぶられたクライヴが、もこもこ袋を柔らかく抱えたまま、綿毛の花畑に片膝を突く。
 ――うっすらと『パンダちゃん』と名乗っていたような気もするが、微かに感じたそれを気にする余裕もない。

 廊下の端に寄り「クマちゃん今パンダって言った?」「君の気のせいなのではない?」「気のせいだろ」と彼らから少しだけ離れた場所でもこもこを見守るリオ達の耳に、副会長と呼ばれる男の声が微かに聞こえてきた――。 



 勢いよく振り返った副会長の目に、もこもこした帽子を被った真っ白な毛並みの、とんでもなく愛らしいもこもこが飛び込んできた。
 先程の、ずっと聞いていたくなるような愛らしい声。

 幼く愛らしい声は『クマちゃん、クマちゃん』と聞こえたが、もこもこの言いたいことは分かった。

『こんにちは、クマちゃ――』と。

 パンダという言葉も頭に浮かんだような気もするが、気のせいだろう。

 目の前の、袋から顔を出し、その縁をもこもこした猫のようなお手々でキュッと掴んでいる、可愛いの権化、クマちゃんを見つめながら、いつもより何倍も回転の遅い己の頭をゆっくりと動かし、副会長が口を開く。

「……ああ、えーと、こんにちは、挨拶も死ぬほど可愛いっすね……」

 彼はつぶらな黒い瞳を見つめ、言葉を返しながら思った。

(マジでクッソ可愛いな。こんなやべーのと見つめ合ってたら発狂すんじゃねぇか。映像もそうとうやべぇが、生は一段とやべぇ……)
 
 副会長の口から、本人も気付かぬうちに思考が漏れ出す。 

「くそっ、目が離せねぇ……。そうか……だから天使っつーのは普段は袋に……『ク』って名前まで書いてあるな……いや、待てよ……まさかクソ可愛いの『ク』か……」 


 副会長の妙な呟きを聞いたリオの口から「えぇ……何言ってんのあいつ……この学園変な奴しか居なくない?」と怪しい人物を警戒するようなかすれ声が漏れる。
 明るく友好的に見える金髪は、意外と警戒心が強い。

「つーかクマちゃんにクソとか聞かせないで欲しいんだけど」

 リオは自分の使ういけない言葉『やべー』をもこもこが覚えつつあることを知らず、副会長の口の悪さを批判する。

「リオ。君が言葉遣いを気にしているとは思わなかったよ」

 声は優しいが目が優しくないウィルが視線で警告する。

『君の使う悪い言葉を、もしもクマちゃんが覚えてしまったら――』と。

 
 副会長がクマちゃんの愛らしさに震え、リオ達が可愛く挨拶をするもこもこを見守っていた時。

 会計の彼は視線の先のもこもこを見て石のように固まっていた。
『クマちゃん、クマちゃん』という子猫のような、幼く愛らしい声に導かれるように振り返った時、綿毛の花畑の中央に白と黒のふわふわの帽子を被った危険な生き物がいたのだ。
 なんだ、あの生後三か月の猫を超える生き物は――。

 つぶらな瞳は潤み、ツヤツヤと光る真っ黒な宝石のようだ。小さな黒いお鼻も可愛く湿っている。健康管理はバッチリだ。
 真っ白に輝く被毛は愛情を籠め丁寧にお手入れされていると分かる。箱入り、否、袋入りだ。
 猫が手を丸め何かを掴んでいる時のように、真っ白で美しい被毛に包まれたもこもこのお手々が、袋の端をキュッと握っている。彼の心臓がキュッと握られたように痛んだ。
 あの緑の袋の『ク』は随分大きく、芸術的だが、まさか――あの生き物が自分で入る袋に、一生懸命自分で書いたのだろうか。
 ――駄目だ。それを想像するのは危険すぎる。そこから先へ進むわけにはいかない。

 頭に浮かびかけた危険すぎるそれをかき消し、猫のように丸く握られたもこもこのお手々をじっと見つめ、ふと思う。まるで緊張しているようだ――。
 緊張――一体何に、と考えた瞬間、先程の『クマちゃん、クマちゃん』という声と、子猫のようなそれが伝えてきた言葉を思い出し、会計はハッとした。
 そうだ、この子猫を超える危険な可愛さを持つ、クマの赤ちゃん的な生き物は、彼らに挨拶をしてくれたのだ。
 こんなにふわふわで、もこもこで真っ白で幼くて愛らしい、人目に付かないようこっそりと大切に隠され育てられている箱入り――袋入りの生き物が、初めて会った人間に緊張しながら、丁寧に『こんにちは、クマちゃ――』と自己紹介まで添えて――。

 普段は冷めているが、猫派で可愛いもの好きな彼は一生懸命な動物にとても弱い。
 緊張しながら挨拶が返ってくるのを待っている、不安げな表情の愛らし過ぎる白いもこもこへ、すぐに挨拶を返そうと口を開きかけた会計の耳に届く「死ぬほど可愛いっすね」という副会長の言葉。

 そして彼は思い出してしまった。
 実家のシャー。風変わりな挨拶をする、彼の実家の可愛い猫。
 頭の中のシャーが、再び彼に伝える。『お前は猫派だろう』と。
 先程までの彼は、すべてを忘れ、認めてしまっていたのだ。
 目の前のもこもこが世界一可愛いもこもこだと――。
 己が猫を裏切ったことに気付いた会計は、気が動転し「そんな……シャー……」と呟くと、その場から駆け出した。

 目を瞑ったまま走り出した会計。
 もこもこ花畑を駆け抜けた彼のまわりに、悲し気な綿毛が舞う。
 閉じられた眦に、キラリと光る雫。
 進行方向に転がる何か。
 駆ける足。
 足の下に円柱。
「あっやべ」廊下に響くかすれ声。

 走ってはいけない場所で目を瞑ったまま走ってしまった会計は、転がしてはいけない場所に転がっていた謎の円柱を勢いよく踏みつけ宙を舞った。

 
 静かになった廊下には、会計と丸太が静かに転がっている。


 リオの横に添えられていたクマちゃんの丸太が衝突事故を起こしてしまった。
 木の皮の無い綺麗な、白っぽい丸太には水滴を吸ったような後が残っている。

「クマちゃんの丸太のせいで怪我人出たんだけど」

 目の前で転がっている会計へ近付くリオの口から、思わず丸太批判が零れる。
 丸太さえなければ――。

「廊下を勢いよく走ったせいではない?」

 もこもこを傷つけたくないウィルがクマちゃんの丸太を庇う。

「だろうな」

 もこもこのすべてを肯定する良くない飼い主な父兄――魔王様のようなもこもこパパが、ウィルの言葉に低く色気のある声で相槌を打った。

 美しい瞳を閉じ、気配を消しているお兄さんの眉間に微かに皺が寄っている。
 事件はいつも彼が見ていない時に起きる。


「あ? 何やってんだアイツ」

 副会長がお行儀が良く愛らしい、すべてが最高のもこもこに挨拶を返し、映像だけでは分からなかった生のもこもこの愛らしさを目に焼き付けようとしていた時――彼の横にいた会計が急に走り出し、何かに乗り上げ、宙を舞い、廊下に落ちたのが視界に入った。


 彼が視線をそちらに映した隙に、天使を支える台座のように動かなかった目つきの鋭すぎる冷気を纏った男が動き出し、転がった会計の方へ歩み寄るのが見えた。
 大きな音に驚いたもこもこが「クマちゃ」という愛らしい声を出したため確認に行ったようだ。


 会計は頬に何かを感じ目を覚ました。
 彼の頬にぷにっとした何かと、ふわふわの何かが当たっている。
 ――まるで、いつか触ってみたいと思っていた、猫の肉球のようだ。
 彼が幸せな気持ちで目を開けるのと、彼の耳に幼く愛らしい「クマちゃ、クマちゃ」という声が届いたのはほぼ同時だった。
 その声からは彼を心配する優しい感情が伝わって来た。

『クマちゃ、いたい?』と。
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