320 / 542
第319話 学園生な彼らを学園生らしく起こすクマちゃん。「クマちゃ……」「こいつら……」
しおりを挟む
現在クマちゃんは、クマちゃんの占いで水晶玉に映った彼らを、起こしに来ている。
◇
生徒会役員達の寝方が少々変わっていても、起こして話を聞くぶんには不都合がない。
彼らは村でもこもこの学友達から話を聞くことにした。
だがその前に、新たなホコリがいないか確認せねばならない。
「あ~、今のところ、映像には何も映ってないが……」
マスターは視線を魔道具へ向け、顎鬚を撫でつつ、外の気配を探った。
嫌そうに顔を顰めると、誰に言うともなく呟く。「何の気配もねぇっていうのも、気持ち悪いな」
そうしてすぐに、「あいつら静かすぎて気持ち悪いんだけど」金髪の男からやや失礼なことを言われても無言のまま床に座ってひたすらコクマちゃんカードを見つめている集団に、指示を出した。
「俺たちは一度、白いのの村へ戻る。何かあったら呼びにこい」
◇
お兄さんの闇色の球体に包まれ、一瞬で目的地に着いた、五人と一匹とお兄さんとゴリラちゃん。と聖獣っぽい何か。
「…………」
聖獣っぽい生き物は、予告もなく己の身を包んだ驚異的な力とその持ち主に文句を言うこともできず、鼻の上に深い皺を寄せている。
彼らが運ばれた場所は、昨夜クマちゃんがお友達のために整えた、可愛い家の前だった。
古木の板で作られた、ように見える、味のある道。高床の建物へと続く、短い階段。
両端に置かれた、ランプを持ったクマちゃんの置物は、朝になっても変わらず愛らしい。
爽やかな風が吹き、心地好い緑の香りを、深く吸い込む。
ゲストハウスの周りをチョロチョロ――と流れる小川のせせらぎ、村を囲う密林から届く葉擦れの音に混じり、死んだように眠る人間達の、微かな寝息を拾った。
「あいつら起きんの遅くね?」
リオはスタスタと一段飛ばしで階段を登り、手の甲で紗を払い、室内を見た。
さきほどもこもこの占いで水晶玉に映っていたものとまったく変わらぬ姿で、彼らが寝ている。
潜めていない彼の声にも反応しなかった。つまり、爆睡である。
クマちゃんは、ハッと、もこもこした口元を両手の肉球で押さえた。
お友達の彼らは、クマちゃん達が朝の清掃活動ちゃんを終えても、まだお休み中らしい。
寝すぎは体に良くないのである。
うむ。クマちゃんが学園生らしい感じで起こしてあげよう。
「クマちゃ……」
ルークの腕の中のもこもこが、愛らしい肉球で、うつ伏せで眠っている男の後頭部を指している。
彼は何も言わず、もこもこを魔力で浮かせ、願いを叶えた。
ドレス姿の愛らしいもこもこが、魔王の力を借りて宙を泳ぐ。
「クマちゃ……! クマちゃ……!」
『クマちゃ、頑張って……! クマちゃ、もうすこち……!』
もこもこは猫かきをしながら一生懸命前へ進んでいる。
後ろ足の肉球がほとんど動いていないところも愛らしい。
「クマちゃん可愛いねー」
撮影技師リオが、空中遊泳するもこもこを菱形の魔道具で激写する。
「何この結界。邪魔なんだけど。馬鹿じゃねーのこいつら」
撮影技師の暴言が、学園の試験よりも真剣に結界を維持した彼らに降り注ぐ。
何故ベッドに結界を張り、床で寝るのか。
見守る仲間達は珍しく、幼いもこもこの教育に悪い言葉を使う彼を叱らなかった。
人間と同じように、ベッドに仰向けで眠るクマちゃんのぬいぐるみが、毛布から見えていたからだ。
譲り合うことも、勝敗を決することもできずに朝まで戦っていたらしい。
撮影の邪魔である。これでは前から見た困り顔のもこもこが撮れないだろう。
リオは冷たい表情で伝説の肉球剣を振るった。
結界が――クマちゃーん――と破られる。
「なんだあの珍妙な剣は……。まさか、聖剣――否……或いは神々の……」
聖獣っぽい生き物はリオの腰にぱたぱたと戻された、可愛い羽付き肉球剣を凝視し、慄いた。
片手に魔道具を持ったまま雑に振るわれたそれは、いとも容易く執念深そうな結界を破壊した。
まるで初めから何もなかったかのように、衝撃音すら聞こえなかった。
心を落ち着けるため身を隠したいが、何故か壁がない。
おかしな寝方の人間達を避け、母猫がいる広いベッドに飛び乗る。
「ここにも赤子が……、む? これは偽物か。なかなか良く出来ておる」
「いまめっちゃ危なかったんだけど」
ベッドに胡坐をかき、「クマちゃんめっちゃ困った顔してんじゃん。可愛すぎでしょ」正面から見たもこもこを撮影中だった男は、自由な猫っぽいところのある聖獣らしき生き物に突き飛ばされかけ高速で身を躱し、文句を言った。
が、彼はおねんね赤ちゃんクマちゃん人形に夢中なようだ。
「本物の赤子の世話で忙しかろう。是は我が引き取ってやる」
気位の高そうな獣が大きな前脚でぬいぐるみを囲い、偉そうにしている。
「それも俺のもこもこだから。そっちの子はめちゃくちゃ大人しいんだよね」
リオの主張は聖獣っぽい生き物には伝わらなかった。
とんでもなく大人しい子がぬいぐるみであることはバレているらしい。
強めに言った『俺の』には『返して欲しいんだけど』が含まれていたが、やはり猫っぽい動物の耳には、都合の良い言葉以外届かないようだ。
そうこうしているうちに、もこもこした生き物が生徒会長の後頭部に辿り着き、肉球を落ち着けた。
「クマちゃ……」子猫のようなもこもこは白金髪の上で、お手々についたぷにぷにのお手入れをしている。
「いやクマちゃんそこ乗っちゃダメなとこだから」
真剣に叱るほどの悪事ではない。だがうつ伏せで寝ている人間の後頭部には乗らないほうがいいだろう。
赤ちゃんクマちゃんはハッとしたように口元を押さえ、深く頷いた。
分かってくれたようだ。
「クマちゃ、クマちゃ……」
『クマちゃんてちゅとちゃ、始めまちゅ……』
では、今からクマちゃんテストを始めます。クマちゃんが好きな、白くて美味ちいお飲み物の名前ちゃんは、何ちゃんでしょうか……。
人間の『猫ちゃんそこに乗っちゃダメですよ』に『ニャー』と答える猫のようなもこもこは、生徒会長の後頭部に乗ったまま、緊張気味の表情で、湿ったお鼻の上にキュ、と皺を寄せ、もこもこ問題を出した。
さすがは人間を起こすのが上手なもこもこである。
後頭部でにゃーにゃー言い続ける子猫のようだ。
『だよね』一度言って聞くならもこもこではない。彼は静かに頷いた。
しかしリオはもこもこを甘やかさなかった。
ちゃんと『メッ!』をしないと、悪いクマちゃんになってしまうかもしれない。
「クマちゃん、そいつらクマちゃんテスト受けれないから。寝起きとかじゃなくて寝てるから」
「……たしの……いいクマちゃん……」
「うーん。うなされているようだね」
「この程度、寝ていても答えられるだろう――」
「いや寝てたらどの程度でも関係ないからね」
生徒会長のうわごとに、派手な鳥が頷き、死神が凍てつく眼差しを向ける。
まさか、これほど簡単な問題も答えられぬのか――。
難易度関係ないからぁ――。かすれ声に耳を貸すものはいない。
ベッドでおねんね赤ちゃんクマちゃん人形を抱えていた獣が、偉そうに鼻を鳴らした。「ふん。先刻のあれか」
目つきの悪い男が、可愛げのないほうの獣の鼻息で、カッと目を覚ます。
「夢の中にも愛くるしいもこもこテストが届いたぜ……。答えは、天使みたいに真っ白な、牛乳……」
『赤ん坊だからな――』副会長は頭に浮かんだ余計なことは言わず、もこもこの望む答えだけを返した。
室内に守護者達の気配がある。
この過酷な試練『完全に眠っている人間の脳をクマちゃするテスト』――を乗り越えられぬ者は、寝起きでぼさぼさな頭のまま、オアシスに放り投げられるに違いない。
「クマちゃ……!」
『正解ちゃ……!』
ドレス姿のもこもこが、両手の肉球をテチテチ鳴らし、拍手をする。
「やべぇ……、目の前にお姫さんの格好の天使がいるぜ。最高の朝じゃねぇか」
体を起こさず最高の朝を嚙みしめている副会長は、『お姫さんの格好の天使』の下で何かを呟いている生徒会長には視線を向けなかった。「私の……私の可愛い……」
◇
もこもこに起こされ目覚めた彼らは、朝から愛くるしいもこもこに爽やかではない挨拶をした。
「私の可愛いクマちゃんは、私の可愛いお姫クマちゃんだったんだね。さぁ、王子様役の私と朝のお散歩に行こう。白馬が無くてごめんね」
「会長ー。そういうこと言うと、金の守護者にぶっとばされますって。マジで気をつけてくださいよ。……天使なクマちゃんの鼻と肉球は今日も最高っすね」
「まさか……まさか、ドレスを着てくれる子猫ちゃんなんて、この世にいるわけが……」
天然な生徒会長は、赤ちゃんクマちゃんをくどいているかのような問題のある発言をして、儚げに笑った。
目つきの悪い野性的な美形が、怠そうに彼を止め、もこもこの湿ったお鼻と肉球に、熱い視線を送る。
今日も健康そうじゃねぇか――。
真面目そうな会計は、目を見開き、口元を押さえ、朝からお洒落でお上品なもこもこに驚愕していた。
「まさか聖獣っぽい生き物に視線すら向けないとか思わなかったんだけど。こいつらクマちゃんのこと好き過ぎでしょ」
◇
生徒会役員達の寝方が少々変わっていても、起こして話を聞くぶんには不都合がない。
彼らは村でもこもこの学友達から話を聞くことにした。
だがその前に、新たなホコリがいないか確認せねばならない。
「あ~、今のところ、映像には何も映ってないが……」
マスターは視線を魔道具へ向け、顎鬚を撫でつつ、外の気配を探った。
嫌そうに顔を顰めると、誰に言うともなく呟く。「何の気配もねぇっていうのも、気持ち悪いな」
そうしてすぐに、「あいつら静かすぎて気持ち悪いんだけど」金髪の男からやや失礼なことを言われても無言のまま床に座ってひたすらコクマちゃんカードを見つめている集団に、指示を出した。
「俺たちは一度、白いのの村へ戻る。何かあったら呼びにこい」
◇
お兄さんの闇色の球体に包まれ、一瞬で目的地に着いた、五人と一匹とお兄さんとゴリラちゃん。と聖獣っぽい何か。
「…………」
聖獣っぽい生き物は、予告もなく己の身を包んだ驚異的な力とその持ち主に文句を言うこともできず、鼻の上に深い皺を寄せている。
彼らが運ばれた場所は、昨夜クマちゃんがお友達のために整えた、可愛い家の前だった。
古木の板で作られた、ように見える、味のある道。高床の建物へと続く、短い階段。
両端に置かれた、ランプを持ったクマちゃんの置物は、朝になっても変わらず愛らしい。
爽やかな風が吹き、心地好い緑の香りを、深く吸い込む。
ゲストハウスの周りをチョロチョロ――と流れる小川のせせらぎ、村を囲う密林から届く葉擦れの音に混じり、死んだように眠る人間達の、微かな寝息を拾った。
「あいつら起きんの遅くね?」
リオはスタスタと一段飛ばしで階段を登り、手の甲で紗を払い、室内を見た。
さきほどもこもこの占いで水晶玉に映っていたものとまったく変わらぬ姿で、彼らが寝ている。
潜めていない彼の声にも反応しなかった。つまり、爆睡である。
クマちゃんは、ハッと、もこもこした口元を両手の肉球で押さえた。
お友達の彼らは、クマちゃん達が朝の清掃活動ちゃんを終えても、まだお休み中らしい。
寝すぎは体に良くないのである。
うむ。クマちゃんが学園生らしい感じで起こしてあげよう。
「クマちゃ……」
ルークの腕の中のもこもこが、愛らしい肉球で、うつ伏せで眠っている男の後頭部を指している。
彼は何も言わず、もこもこを魔力で浮かせ、願いを叶えた。
ドレス姿の愛らしいもこもこが、魔王の力を借りて宙を泳ぐ。
「クマちゃ……! クマちゃ……!」
『クマちゃ、頑張って……! クマちゃ、もうすこち……!』
もこもこは猫かきをしながら一生懸命前へ進んでいる。
後ろ足の肉球がほとんど動いていないところも愛らしい。
「クマちゃん可愛いねー」
撮影技師リオが、空中遊泳するもこもこを菱形の魔道具で激写する。
「何この結界。邪魔なんだけど。馬鹿じゃねーのこいつら」
撮影技師の暴言が、学園の試験よりも真剣に結界を維持した彼らに降り注ぐ。
何故ベッドに結界を張り、床で寝るのか。
見守る仲間達は珍しく、幼いもこもこの教育に悪い言葉を使う彼を叱らなかった。
人間と同じように、ベッドに仰向けで眠るクマちゃんのぬいぐるみが、毛布から見えていたからだ。
譲り合うことも、勝敗を決することもできずに朝まで戦っていたらしい。
撮影の邪魔である。これでは前から見た困り顔のもこもこが撮れないだろう。
リオは冷たい表情で伝説の肉球剣を振るった。
結界が――クマちゃーん――と破られる。
「なんだあの珍妙な剣は……。まさか、聖剣――否……或いは神々の……」
聖獣っぽい生き物はリオの腰にぱたぱたと戻された、可愛い羽付き肉球剣を凝視し、慄いた。
片手に魔道具を持ったまま雑に振るわれたそれは、いとも容易く執念深そうな結界を破壊した。
まるで初めから何もなかったかのように、衝撃音すら聞こえなかった。
心を落ち着けるため身を隠したいが、何故か壁がない。
おかしな寝方の人間達を避け、母猫がいる広いベッドに飛び乗る。
「ここにも赤子が……、む? これは偽物か。なかなか良く出来ておる」
「いまめっちゃ危なかったんだけど」
ベッドに胡坐をかき、「クマちゃんめっちゃ困った顔してんじゃん。可愛すぎでしょ」正面から見たもこもこを撮影中だった男は、自由な猫っぽいところのある聖獣らしき生き物に突き飛ばされかけ高速で身を躱し、文句を言った。
が、彼はおねんね赤ちゃんクマちゃん人形に夢中なようだ。
「本物の赤子の世話で忙しかろう。是は我が引き取ってやる」
気位の高そうな獣が大きな前脚でぬいぐるみを囲い、偉そうにしている。
「それも俺のもこもこだから。そっちの子はめちゃくちゃ大人しいんだよね」
リオの主張は聖獣っぽい生き物には伝わらなかった。
とんでもなく大人しい子がぬいぐるみであることはバレているらしい。
強めに言った『俺の』には『返して欲しいんだけど』が含まれていたが、やはり猫っぽい動物の耳には、都合の良い言葉以外届かないようだ。
そうこうしているうちに、もこもこした生き物が生徒会長の後頭部に辿り着き、肉球を落ち着けた。
「クマちゃ……」子猫のようなもこもこは白金髪の上で、お手々についたぷにぷにのお手入れをしている。
「いやクマちゃんそこ乗っちゃダメなとこだから」
真剣に叱るほどの悪事ではない。だがうつ伏せで寝ている人間の後頭部には乗らないほうがいいだろう。
赤ちゃんクマちゃんはハッとしたように口元を押さえ、深く頷いた。
分かってくれたようだ。
「クマちゃ、クマちゃ……」
『クマちゃんてちゅとちゃ、始めまちゅ……』
では、今からクマちゃんテストを始めます。クマちゃんが好きな、白くて美味ちいお飲み物の名前ちゃんは、何ちゃんでしょうか……。
人間の『猫ちゃんそこに乗っちゃダメですよ』に『ニャー』と答える猫のようなもこもこは、生徒会長の後頭部に乗ったまま、緊張気味の表情で、湿ったお鼻の上にキュ、と皺を寄せ、もこもこ問題を出した。
さすがは人間を起こすのが上手なもこもこである。
後頭部でにゃーにゃー言い続ける子猫のようだ。
『だよね』一度言って聞くならもこもこではない。彼は静かに頷いた。
しかしリオはもこもこを甘やかさなかった。
ちゃんと『メッ!』をしないと、悪いクマちゃんになってしまうかもしれない。
「クマちゃん、そいつらクマちゃんテスト受けれないから。寝起きとかじゃなくて寝てるから」
「……たしの……いいクマちゃん……」
「うーん。うなされているようだね」
「この程度、寝ていても答えられるだろう――」
「いや寝てたらどの程度でも関係ないからね」
生徒会長のうわごとに、派手な鳥が頷き、死神が凍てつく眼差しを向ける。
まさか、これほど簡単な問題も答えられぬのか――。
難易度関係ないからぁ――。かすれ声に耳を貸すものはいない。
ベッドでおねんね赤ちゃんクマちゃん人形を抱えていた獣が、偉そうに鼻を鳴らした。「ふん。先刻のあれか」
目つきの悪い男が、可愛げのないほうの獣の鼻息で、カッと目を覚ます。
「夢の中にも愛くるしいもこもこテストが届いたぜ……。答えは、天使みたいに真っ白な、牛乳……」
『赤ん坊だからな――』副会長は頭に浮かんだ余計なことは言わず、もこもこの望む答えだけを返した。
室内に守護者達の気配がある。
この過酷な試練『完全に眠っている人間の脳をクマちゃするテスト』――を乗り越えられぬ者は、寝起きでぼさぼさな頭のまま、オアシスに放り投げられるに違いない。
「クマちゃ……!」
『正解ちゃ……!』
ドレス姿のもこもこが、両手の肉球をテチテチ鳴らし、拍手をする。
「やべぇ……、目の前にお姫さんの格好の天使がいるぜ。最高の朝じゃねぇか」
体を起こさず最高の朝を嚙みしめている副会長は、『お姫さんの格好の天使』の下で何かを呟いている生徒会長には視線を向けなかった。「私の……私の可愛い……」
◇
もこもこに起こされ目覚めた彼らは、朝から愛くるしいもこもこに爽やかではない挨拶をした。
「私の可愛いクマちゃんは、私の可愛いお姫クマちゃんだったんだね。さぁ、王子様役の私と朝のお散歩に行こう。白馬が無くてごめんね」
「会長ー。そういうこと言うと、金の守護者にぶっとばされますって。マジで気をつけてくださいよ。……天使なクマちゃんの鼻と肉球は今日も最高っすね」
「まさか……まさか、ドレスを着てくれる子猫ちゃんなんて、この世にいるわけが……」
天然な生徒会長は、赤ちゃんクマちゃんをくどいているかのような問題のある発言をして、儚げに笑った。
目つきの悪い野性的な美形が、怠そうに彼を止め、もこもこの湿ったお鼻と肉球に、熱い視線を送る。
今日も健康そうじゃねぇか――。
真面目そうな会計は、目を見開き、口元を押さえ、朝からお洒落でお上品なもこもこに驚愕していた。
「まさか聖獣っぽい生き物に視線すら向けないとか思わなかったんだけど。こいつらクマちゃんのこと好き過ぎでしょ」
74
あなたにおすすめの小説
最強魔導師は不毛の大地でスローライフを送る ~凶悪な魔物が跋扈し瘴気漂う腐界でも、魔法があれば快適です~
えぞぎんぎつね
ファンタジー
平民出身の最強の宮廷魔導師ティル・リッシュは貴族主義の宮廷魔導師長に疎まれ、凶悪な魔物がはびこり、瘴気漂う腐界の地の領主として左遷されることになった。
元々腐界の研究がしたかったティルはこれ幸いと辞令を受けて任地に向かう。
途中で仲間になった聖獣の子牛のモラクスと共に腐界で快適なスローライフを始めたのだった。
瘴気は自作の結界で完全に防ぎ、人族の脅威たる魔物はあっさり倒す。
「魔物の肉がうますぎる! 腐界で採れる野菜もうまい!」
「もっも~」
「建築も魔法を使えば簡単だし、水も魔法で出し放題だ」
病気になった聖獣の子狼がやってきたり、腐界で人知れず過ごしてきたエルフ族が仲間になったり。
これは後に至高神の使徒の弟子にして、聖獣の友、エルフの守護者、人族の救世主と呼ばれることになる偉大なるティル・リッシュの腐界開拓の物語である。
※ネオページ、小説家になろう、カクヨムでも公開しています
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
婚約破棄をしておけば
あんど もあ
ファンタジー
王太子アントワーヌの婚約者のレアリゼは、アントワーヌに嫌われていた。男を立てぬ女らしくないレアリゼが悪い、と皆に思われて孤立無援なレアリゼ。彼女は報われぬままひたすら国のために働いた……と思われていたが実は……。
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
王太子に愛されないので、隣国王子に拾われました
鍛高譚
恋愛
「王太子妃として、私はただの飾り――それなら、いっそ逃げるわ」
オデット・ド・ブランシュフォール侯爵令嬢は、王太子アルベールの婚約者として育てられた。誰もが羨む立場のはずだったが、彼の心は愛人ミレイユに奪われ、オデットはただの“形式だけの妻”として冷遇される。
「君との結婚はただの義務だ。愛するのはミレイユだけ」
そう嘲笑う王太子と、勝ち誇る愛人。耐え忍ぶことを強いられた日々に、オデットの心は次第に冷え切っていった。だが、ある日――隣国アルヴェールの王子・レオポルドから届いた一通の書簡が、彼女の運命を大きく変える。
「もし君が望むなら、私は君を迎え入れよう」
このまま王太子妃として屈辱に耐え続けるのか。それとも、自らの人生を取り戻すのか。
オデットは決断する。――もう、アルベールの傀儡にはならない。
愛人に嘲笑われた王妃の座などまっぴらごめん!
王宮を飛び出し、隣国で新たな人生を掴み取ったオデットを待っていたのは、誠実な王子の深い愛。
冷遇された令嬢が、理不尽な白い結婚を捨てて“本当の幸せ”を手にする
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる