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第352話 行商クマちゃん。加速する肉球。多すぎるオススメ商品。
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ふらふらしているクライヴちゃんの肩を肉球で叩いたり揉んだり「クマちゃ……!」『クライヴちゃ……!』声をかけたりしながら、彼が元気になるのを待っていると、マスターの渋い声が聞こえた。
「あ~、白いの、こいつは俺がなんとかするから、お前はウィルのところへ行ってくれ。あいつも困ってたぞ」
「クマちゃ……」
『クライヴちゃ……』
「こいつなら三十秒……いや、五秒で起きる」
マスターはそういって、死にかけクライヴの看病を引き受けた。
◇
「クマちゃ……」
もこもこを抱えて移動するルークを、赤ちゃんが見上げる。
『クライヴちゃんは元気ちゃんになりまちたか……』と。
「もう起きてる」
彼は色気のある声でそう答え、次なるターゲットがいる場所へと移動した。
美しいものとクマちゃんをこよなく愛する男もまた、魅力的すぎる商品しか載っていないカタログの罠に囚われていた。
「うーん、やはり一度置いてみたほうがいいかもしれない……」
購入済の花畑に雑貨を追加しながら、『小さなクマ妖精の町風ガーデニング』に必要な要素を思い浮かべる。
愁いを帯びた表情の美しい青年の背後にも、肉球を持つ者の白、黄色、黒の影が――。
「クマちゃ……」
『ウィルちゃ……』
そんなウィルちゃんにオススメちゃんの商品ちゃんはこちらちゃんです……。
どこかアンニュイな赤子の声が、ウィルの鼓膜を『クマちゃ……』と揺らした。
「おや、可愛らしい商人が僕の名を呼んでいるね」
男がふ、と笑みをもらす。癒しと商品を求め、本を片手に振り返る。
彼の大事なもこもこは、どうやら死神の心配をしているらしい。
心優しい赤子のためにも、彼にはこの国で『もこもこへの耐性』をつけてもらったほうがいいだろう。
ウィルはそうして、少々荒めの治療方法について考えながら、手を伸ばし、魔王からカタログと商人をまとめてシャラ――と受け取った。
「クマちゃ……! クマちゃ……!」
テチテチテチ!
「これは……」
ウィルは『みちばちクマちゃんオススメ商品』の素晴らしさとその数に息をのんだ。
カタログに映し出され、現在も増えているのは〝妖精クマちゃん用の小さなドア〟だった。
原材料はチョコレートとクッキー。まるで本物の木で作られているかのように、精巧なそれ。
ドアが開けられたかと思うと、ちょこ、と小さな妖精クマちゃんがお顔をのぞかせる。
『見つかっちゃった!』とでもいうように、もこもこのお口にもこもこのお手々を当て、うるうるのつぶらな瞳で、彼を見上げるのだ。
色もデザインも飾りも豊富なそれは、どこに設置しても確実に、見る者を満足させるだろう。
ただの草むら、否、樹に直接貼るのもいい。リオに勧めて家の壁にも取り付けてもらおうか。
ウィルはリオが『サンルームちゃん地獄』の罠で菓子不足に陥っていることを知らず、『クマちゃんグッズ蒐集家』をさらなる地獄へ叩き落とそうとしていた。
『妖精ちゃんのドアちゃん地獄』である。
「クマちゃ……! クマちゃ……!」
彼にオススメの商品はまだまだあるらしい。彼の髪色を思わせる、青系統の屋根の白い家が続々と浮かび上がってきた。
――可愛いクマちゃんを抱えてカタログを眺めていると、夢の世界で買い物をしているような気分になる。
ウィルは彼にぴったりな商品をオススメしてくれた可愛らしい行商クマちゃんに愛情たっぷりの声でお礼を告げた。
「どうもありがとうクマちゃん。どの商品も一流のものばかりだね。全部購入させていただくよ」
彼の声を聞いたみつばちクマちゃんは、一瞬ハッと動きをとめ、さらに熱を入れて、クマちゃんマークをタッチし続けた。
「クマちゃ……! クマちゃ……!」
全部ちゃんでちゅね……! と。
「あ~、白いの、こいつは俺がなんとかするから、お前はウィルのところへ行ってくれ。あいつも困ってたぞ」
「クマちゃ……」
『クライヴちゃ……』
「こいつなら三十秒……いや、五秒で起きる」
マスターはそういって、死にかけクライヴの看病を引き受けた。
◇
「クマちゃ……」
もこもこを抱えて移動するルークを、赤ちゃんが見上げる。
『クライヴちゃんは元気ちゃんになりまちたか……』と。
「もう起きてる」
彼は色気のある声でそう答え、次なるターゲットがいる場所へと移動した。
美しいものとクマちゃんをこよなく愛する男もまた、魅力的すぎる商品しか載っていないカタログの罠に囚われていた。
「うーん、やはり一度置いてみたほうがいいかもしれない……」
購入済の花畑に雑貨を追加しながら、『小さなクマ妖精の町風ガーデニング』に必要な要素を思い浮かべる。
愁いを帯びた表情の美しい青年の背後にも、肉球を持つ者の白、黄色、黒の影が――。
「クマちゃ……」
『ウィルちゃ……』
そんなウィルちゃんにオススメちゃんの商品ちゃんはこちらちゃんです……。
どこかアンニュイな赤子の声が、ウィルの鼓膜を『クマちゃ……』と揺らした。
「おや、可愛らしい商人が僕の名を呼んでいるね」
男がふ、と笑みをもらす。癒しと商品を求め、本を片手に振り返る。
彼の大事なもこもこは、どうやら死神の心配をしているらしい。
心優しい赤子のためにも、彼にはこの国で『もこもこへの耐性』をつけてもらったほうがいいだろう。
ウィルはそうして、少々荒めの治療方法について考えながら、手を伸ばし、魔王からカタログと商人をまとめてシャラ――と受け取った。
「クマちゃ……! クマちゃ……!」
テチテチテチ!
「これは……」
ウィルは『みちばちクマちゃんオススメ商品』の素晴らしさとその数に息をのんだ。
カタログに映し出され、現在も増えているのは〝妖精クマちゃん用の小さなドア〟だった。
原材料はチョコレートとクッキー。まるで本物の木で作られているかのように、精巧なそれ。
ドアが開けられたかと思うと、ちょこ、と小さな妖精クマちゃんがお顔をのぞかせる。
『見つかっちゃった!』とでもいうように、もこもこのお口にもこもこのお手々を当て、うるうるのつぶらな瞳で、彼を見上げるのだ。
色もデザインも飾りも豊富なそれは、どこに設置しても確実に、見る者を満足させるだろう。
ただの草むら、否、樹に直接貼るのもいい。リオに勧めて家の壁にも取り付けてもらおうか。
ウィルはリオが『サンルームちゃん地獄』の罠で菓子不足に陥っていることを知らず、『クマちゃんグッズ蒐集家』をさらなる地獄へ叩き落とそうとしていた。
『妖精ちゃんのドアちゃん地獄』である。
「クマちゃ……! クマちゃ……!」
彼にオススメの商品はまだまだあるらしい。彼の髪色を思わせる、青系統の屋根の白い家が続々と浮かび上がってきた。
――可愛いクマちゃんを抱えてカタログを眺めていると、夢の世界で買い物をしているような気分になる。
ウィルは彼にぴったりな商品をオススメしてくれた可愛らしい行商クマちゃんに愛情たっぷりの声でお礼を告げた。
「どうもありがとうクマちゃん。どの商品も一流のものばかりだね。全部購入させていただくよ」
彼の声を聞いたみつばちクマちゃんは、一瞬ハッと動きをとめ、さらに熱を入れて、クマちゃんマークをタッチし続けた。
「クマちゃ……! クマちゃ……!」
全部ちゃんでちゅね……! と。
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