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第354話 美しい男の名。ギルド職員の熱い想い。頑張れば足くらいはいける。
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現在クマちゃんは、彼の想いに感動している。
きっと、頑張ればできるちゃん、と。
◇
一部の金髪から鬱陶しいと言われているギルド職員は、まるで神に祈りを捧げるように、神聖なポーズで、みつばちの可愛い姿を思い浮かべていた。
――マスターのところにまで、可愛いクマちゃんが。
自分のもとには来てくれるだろうか。いや、もしかすると、アイスを配っている彼のところへ行ってしまったかもしれない。
諦めて美しい己だけで考えるべきか。
――否、それを決めるのはまだ早い。美しい『俺』が美しいポーズで、神と恐ろしい魔王と美しいクマちゃんペンに祈りを捧げていれば、神経由か恐ろしい魔王経由か美しいクマちゃんペン経由で、美しい『俺』の美しい祈りが、『愛らしいクマちゃん』、あるいは『カタログ』へと届くだろう。
そうして、金髪の店長よりも芸術的で、可愛いクマちゃんが思わず『クマちゃ』――うちゅくちいちゃ――と言ってしまうような、美しい花畑を作るのだ。
ギルド職員は、己の妄想のなかでヨチヨチするもこもこに、そっと尋ねてみた。
一番好きな花は――いえ、一番好きなお菓子は何ですか?
『クマちゃ……』
なるほど、大好きなのは……『一番美しい俺』、ですね――。
「クマちゃ……」
ああ、まるですぐ近くで、そっと寄り添ってくれているみたいだ――。
きっと、彼が美しい目を開けると、眼前で、もこもこのお口がもこもこと動き、「クマちゃ……」と――。
至近距離で可愛らしい声が!
鬱陶しいギルド職員はカッ! と目を開いた。
◇
「クマちゃ……」
『ぎるど職員ちゃ……』
まだ赤ちゃんで、すぐに大人の真似をしたがるクマちゃんは、仲良しのリオと同じように、ギルド職員の男を『ギルド職員ちゃん』と呼んだ。
美しいが鬱陶しい男が、恐ろしい魔王を視界に入れぬよう気を付けながら、「本当に可愛らしい声ですね……ああ、その美声で美しい俺の名前を……いいえ、なんでもありません」若干暴走しかけ、すっと姿勢を正した。
「クマちゃ……!」
クマちゃんはハッとした、クマちゃんが役職ちゃんをつけて呼んだせいで、ギルド職員ちゃんは寂しくなってしまったらしい。
心優しい赤ちゃんは反省し、彼の名前をそっと呼んだ。
「クマちゃ……」
『ギルちゃ……』
「くっ……可愛すぎて『違います』なんて言えない……」
ついでに何だか聞き覚えがあるような。
本当は名前で呼んで欲しかったが、長いと赤ちゃんには覚えられないかもしれない。
ヴァレンティノは己の美しい名前の紹介を諦め、魔王にしか聞こえぬほどの小声で「ヴァレンティノ……いえ、ティーノです」と名乗った。
クマちゃんには聞こえなかった。だが、ルークは一瞬だけ男を見た。
もしかしたら一生に一度くらいは、魔王が彼の名を呼ぶこともあるのかもしれない。
◇
彼はクマちゃんにオススメされた商品を見て目を輝かせた。
腕のなかのふわふわが可愛すぎて少し集中しにくいが、こうなったら両方見るしかない。
小さな妖精クマちゃん達はヨチヨチ、と歩き回り、小さな手を動かしながら、キャンバスに絵を描いている。
この商品を、自分の花畑のどこにでも、好きなところに置けるのだ。
これはとんでもないことである。
頭の上のベレー帽のようなナッツチョコ、イチゴクリーム、キャラメルチョコ帽も、指先でつまんでみたくなるほど愛らしい。
「クマちゃ……! クマちゃ……!」
続けてクマちゃんが出してくれたのは、小さなアトリエだった。
その中でも、妖精クマちゃん達が、絵を飾ったり、床でお絵描きをしたりしている。
妖精クマちゃんが、絵の端にサインを入れた。肉球で。ぽむ――と。
「…………」
ギルド職員が鬱陶しい声も出せず、ぐっと下唇をかむ。
最高だ。こんな風に愛らしい生き物と、一緒に絵を描いて生きて行けたなら――。
美しく鬱陶しいギルド職員は『イーゼル付きキャンバス、お絵描き妖精クマちゃん付き』をじっと見つめ、まなじりの涙をキラリと光らせながら誓った。
「俺も……。今日からこの小さなアトリエに住みます……!」と。
「クマちゃ……!」
クマちゃんはハッとしたように、もこもこのお口を押さえた。
『ちゅむちゃ……!』と。少し離れた場所から渋い声が聞こえる。「おい、仕事は」
一人と一匹はプニっとした握手を交わし、「くっ……!」人間は興奮をおさえ、別れた。
そうして、クマちゃんと魔王が、自分達の花畑の準備を始める。
仲間達が中央にあけておいた、クマちゃんのための地で。
きっと、頑張ればできるちゃん、と。
◇
一部の金髪から鬱陶しいと言われているギルド職員は、まるで神に祈りを捧げるように、神聖なポーズで、みつばちの可愛い姿を思い浮かべていた。
――マスターのところにまで、可愛いクマちゃんが。
自分のもとには来てくれるだろうか。いや、もしかすると、アイスを配っている彼のところへ行ってしまったかもしれない。
諦めて美しい己だけで考えるべきか。
――否、それを決めるのはまだ早い。美しい『俺』が美しいポーズで、神と恐ろしい魔王と美しいクマちゃんペンに祈りを捧げていれば、神経由か恐ろしい魔王経由か美しいクマちゃんペン経由で、美しい『俺』の美しい祈りが、『愛らしいクマちゃん』、あるいは『カタログ』へと届くだろう。
そうして、金髪の店長よりも芸術的で、可愛いクマちゃんが思わず『クマちゃ』――うちゅくちいちゃ――と言ってしまうような、美しい花畑を作るのだ。
ギルド職員は、己の妄想のなかでヨチヨチするもこもこに、そっと尋ねてみた。
一番好きな花は――いえ、一番好きなお菓子は何ですか?
『クマちゃ……』
なるほど、大好きなのは……『一番美しい俺』、ですね――。
「クマちゃ……」
ああ、まるですぐ近くで、そっと寄り添ってくれているみたいだ――。
きっと、彼が美しい目を開けると、眼前で、もこもこのお口がもこもこと動き、「クマちゃ……」と――。
至近距離で可愛らしい声が!
鬱陶しいギルド職員はカッ! と目を開いた。
◇
「クマちゃ……」
『ぎるど職員ちゃ……』
まだ赤ちゃんで、すぐに大人の真似をしたがるクマちゃんは、仲良しのリオと同じように、ギルド職員の男を『ギルド職員ちゃん』と呼んだ。
美しいが鬱陶しい男が、恐ろしい魔王を視界に入れぬよう気を付けながら、「本当に可愛らしい声ですね……ああ、その美声で美しい俺の名前を……いいえ、なんでもありません」若干暴走しかけ、すっと姿勢を正した。
「クマちゃ……!」
クマちゃんはハッとした、クマちゃんが役職ちゃんをつけて呼んだせいで、ギルド職員ちゃんは寂しくなってしまったらしい。
心優しい赤ちゃんは反省し、彼の名前をそっと呼んだ。
「クマちゃ……」
『ギルちゃ……』
「くっ……可愛すぎて『違います』なんて言えない……」
ついでに何だか聞き覚えがあるような。
本当は名前で呼んで欲しかったが、長いと赤ちゃんには覚えられないかもしれない。
ヴァレンティノは己の美しい名前の紹介を諦め、魔王にしか聞こえぬほどの小声で「ヴァレンティノ……いえ、ティーノです」と名乗った。
クマちゃんには聞こえなかった。だが、ルークは一瞬だけ男を見た。
もしかしたら一生に一度くらいは、魔王が彼の名を呼ぶこともあるのかもしれない。
◇
彼はクマちゃんにオススメされた商品を見て目を輝かせた。
腕のなかのふわふわが可愛すぎて少し集中しにくいが、こうなったら両方見るしかない。
小さな妖精クマちゃん達はヨチヨチ、と歩き回り、小さな手を動かしながら、キャンバスに絵を描いている。
この商品を、自分の花畑のどこにでも、好きなところに置けるのだ。
これはとんでもないことである。
頭の上のベレー帽のようなナッツチョコ、イチゴクリーム、キャラメルチョコ帽も、指先でつまんでみたくなるほど愛らしい。
「クマちゃ……! クマちゃ……!」
続けてクマちゃんが出してくれたのは、小さなアトリエだった。
その中でも、妖精クマちゃん達が、絵を飾ったり、床でお絵描きをしたりしている。
妖精クマちゃんが、絵の端にサインを入れた。肉球で。ぽむ――と。
「…………」
ギルド職員が鬱陶しい声も出せず、ぐっと下唇をかむ。
最高だ。こんな風に愛らしい生き物と、一緒に絵を描いて生きて行けたなら――。
美しく鬱陶しいギルド職員は『イーゼル付きキャンバス、お絵描き妖精クマちゃん付き』をじっと見つめ、まなじりの涙をキラリと光らせながら誓った。
「俺も……。今日からこの小さなアトリエに住みます……!」と。
「クマちゃ……!」
クマちゃんはハッとしたように、もこもこのお口を押さえた。
『ちゅむちゃ……!』と。少し離れた場所から渋い声が聞こえる。「おい、仕事は」
一人と一匹はプニっとした握手を交わし、「くっ……!」人間は興奮をおさえ、別れた。
そうして、クマちゃんと魔王が、自分達の花畑の準備を始める。
仲間達が中央にあけておいた、クマちゃんのための地で。
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