35 / 173
異世界の人族の神
冥王、異世界で魔王と出会う。
しおりを挟む
全身黒の禍々しい形取られた甲冑に、目の所が赤く光る暗黒騎士で魔王のバスダト。
右拳が、ユカリに直撃し防ぐことも出来ず飛ばされ、ユカリは痛みでもがいている。
「オマエらも、ああなりたくなければ武器を下ろせ」
「何言ってるの?」
「オマエら一介の冒険者が、魔王に楯突く事すら出来んのがわからんのか?」
魔王バスダトは、両腕を広げ攻撃して来いとアピールしている様にみえる。
そこにペルセポネが、剣を振るい辺りに響く程金属音がなるが弾かれ、数歩後ろへよろけている。
「私には、如何なる武器が効かない!!」
「ファイアボールっ」
腕でお腹を摩り、膝まつきながら苦痛の顔をして必死に放つ火球五つは、俺の目の前を一瞬で通り過ぎる。
「なんで?」
バスダトの前でかき消される火球を見たユカリは肩を落とし、それを見ていたペルセポネは、数歩下がりしっかりと剣を握る。
「この黒いオーラは、邪魔な魔法を破る【破邪魔】。我が力より低い魔法は全て無効になる」
誇らしげに黒いオーラを腕で仰ぐバスダトの言葉に俺とペルセポネは、一瞬思考が止まってしまったかとバスダトを直視する。
――――パジャマ?
「魔王!!寝間着じゃねえんだよぉ」
くだらない言葉を吐くペルセポネの顔が一気に紅潮し、フワッと長い髪が拡がると、地面を蹴るや急に迫るペルセポネがバスダトに飛びつき金属音と共に火花が飛び散り、二本の剣筋が止まることなく、激しく金属音が幾つも重なり鳴り響く。
激しく剣をぶつけられる魔王バスダトは、一歩も動かず、ただ腕を広げ、ペルセポネの攻撃を全身で受け止めている。
「クックックッ。 貴様が、いくらレベルが高くても、この私に傷一つ、つける事なぞできん」
あらゆる斬撃を与えてもかすり傷すらつかないバスダトの鎧。
ペルセポネは、俺の近くに飛びバスダトから離れると、バスダトの低い笑い声と赤い目が微かに青が混ざり紫色に変わっている。
「クックックッ。 まさかまさかだ。勇者お前のレベル――――」
バスダトの青が混ざった紫色の目の先にはユカリがいる。
「――――レベル。 30言ってないとはな!! 28か」
19から28とはアレだけ魔族を殺すと、9もレベル上がるんだなと、俺は感心していると続けてバスダトが不穏な言葉を放つ。
「――――勇者のレベルが30達すると、魔王が発生する……。 そして勇者のレベルが30半ば……35辺りで魔王を倒す為の力【破邪】を手に入れる。 だがそれすら持ってなくレベル30も達してない勇者に魔族すら相手にならんわ!!」
バスダトは、ゆっくりとユカリに近づ来ながら再び声をユカリにかけ始める。
「勇者よ。 貴様はレベル30にも達してないのに何故我、魔王がここにいるのか。 わかるか?」
横に顔を振るユカリは、回復ポーションを飲んで立ち上がり剣を構え、魔王バスダトを牽制するがそれすら怯む事等無いバスダトは、ゆっくりとユカリに近づいている。
「我が神、そして魔族の神、魔神様が人族を滅亡へと進言したのだ。 そこで魔神様は、『勇者のレベルが30になるのを待つ』お遊びは終わり。 我ら魔族が一丸となって貴様ら人族を滅亡させる事になったのだ。 クックックッ」
「――――だけど、私は人族を守る」
「我を破る術がないレベルの低い勇者なんぞ死んで人族が滅亡するのをただ、見ていろぉっ!!」
強く剣の柄を握るユカリは、歯を食いしばって腰を落とし、魔王バスダトの攻撃を迎え撃つため剣を構え直す。
両目が赤く光る魔王バスダトは、右手を自分の左腰脇にやるとゆっくりと真っ黒で所々紫色が浮き出る大剣を抜き出した。
「我、魔王だが暗黒騎士でもある。 勇者よ一騎打ち受けてやろう」
コクンと頷くユカリを見たペルセポネは、少し頭を抱えるが、頷く反応を確認したバスダトは、両手で大剣の柄を握りしめ歩みを加速させる。
「ハーデス!!」
「あぁ」
ユカリの頭上から振り下ろされるバスダトの大剣に、顔を引き攣り涙目になるユカリの前にペルセポネが現れ、二本の剣でバスダトの大剣を受け止める。
そして、俺はユカリの腕を掴みバスダトから遠ざけ、追撃に警戒する。
「ハーデスさん……」
「ユカリ。 俺とペルセポネがヤツを惹き付けて置くからそのうちにあの、中央の魔族を倒してレベル上げろ」
「ですが、35行かなかったら、破邪の力取れなかったら?」
「ダメだったとかどうでもいい。 兎に角やれる事をやれ。 ダメならダメで他の方法を探せばいい」
「他の方法…… 」
「うるさい!!四の五の言わずに、あの中央の魔族を殺れ」
俺が怒鳴るとユカリは、目をひんむいた後涙を袖で拭って、この場を避けるように遠回りしながら中央の魔族に向かっていく。
「ヌヌヌッヌ!! 我が部下を殺らせんっ」
「お前の相手は私達」
「冒険者如きにィィ!!」
ペルセポネは、受け止めていたバスダトの大剣を押し返すとバスダトは、よろけながらペルセポネと少し距離をとり構え直す。
バスダトは、大剣を軽々しく振るってペルセポネに向かって来いと手招きをする。
「ハーデス。 アイツ止めといて」
「ん?」
ペルセポネは、急に走り出しバスダトの脇を抜け、それをバスダトは追撃し始めるが、そこに俺がペルセポネに迫るバスダトの行く手を阻む。
「黒いの! その妙な武器で我を倒せると浅はかな者よ」
「まぁ、我妻が来るまで遊んでやろう」
「妻? そうかそうか、あの双剣の女。 お前の妻なのか……」
「だからどうした?」
「貴様を倒した後、あの女我の妾にしてやろうゾ」
「――――出来るものならしてみろ!!」
ゆっくりと言葉を吐く俺を見る魔王バスダトは、赤い目が紫色に変わると、再び笑い声が溢れてくる。
「クックックッ、貴様そのレベルで私に楯突く、いやその言葉を言えるとは……己の力量を知らんと見える」
「生憎、この世界の力量なぞ知らん」
「レベルが物語っているでは無いか!!経験、技術技量があれば僅差のレベルであれば戦いに勝つ事も出来よう。だが!圧倒的なレベルの差ではそれも無意味。しかも一介の冒険者と魔王ではその結果は歴然」
魔王バスダトは、大剣の先を地面に刺して剣を支えにし顎を少し上げ見下ろすかのように俺を見てくる。
「俺がどんな者かわからん癖に」
「分かるぞ、分か……。 なに?」
「……」
――――ユカリその目、コベソ達と同じ【鑑識眼】で俺の事分かってしまったのか?だとするとコベソやトンドにも直ぐに分かってたんでは?いやカツオフィレの聖女にもバレて無かったし……。
「お前……勇者か? いや、あの黒髪の女こそ勇者……。まさかッ!!」
「勇者?」
「人族の神!! 勇者をもう一人召喚してたとは!! 卑怯な」
「魔族、魔王が卑怯だと?」
「う、うるさい。 だがこの暗黒騎士で魔王バスダトが二人の勇者の首を魔神様に献上させてもらうゥ!」
剣を持ち上げ体全体に纏わる黒いオーラ【破邪魔】を大きく焚き上げているバスダトの目の先、冥王を超えた先にペルセポネの姿が目に入る。
ペルセポネは、右腕と左脇を交差し剣を横にして腰を落とし魔族がいる中央部隊に狙いを定めている。
「――――破壊……空……裂!!」
左右に向けていた剣を横に広げ、胸を張り出すペルセポネの前、中央部隊の魔族全体、何も無い空間にまるでペルセポネが剣で横に切り裂いた亀裂が入ると遠くの魔族から悲痛な叫び声が飛び上がるり亀裂が消えていく。
その状況を見ている魔王バスダトは、肩をずり下げ赤い目が大きくなり、唖然として身動きすら無くなっている。
「……」
「――――破壊……地……裂!!」
ペルセポネは、地面に向け二本の剣を丸を描くかの様に振るう。浮き上がっくる巨大な岩盤が現れ地面が歪む。剣を岩盤面に突き刺す。
「でぇええぇやっぁあぁぁ!!」
俺と魔王バスダトの頭が徐々にそれを見上げ、この辺り一帯大きな影に包まれる。
「何をする気だ……」
バスダトの一言が漏れるが、薄々感じ取っているのだろう大きな大地の塊が俺たちの頭上遥高く飛んでいるんだ。
更に、ペルセポネがじゃが見込むと天高く飛び姿を消してしまった。
ユカリは少し走るのを遅らせ、空を見上げながら進んでいる中、向かう先の中央部隊でも苦痛の叫びが飛び交う魔族達が、影に覆われた瞬間少し静かになる。
大地の隙間から太陽の陽射しが漏れる。
更に陽射しが増える。
ここからでもハッキリと分かる。
あの巨大な大地の欠片が細切りにされ大気の摩擦熱で岩が紅く地面に向け轟音と共に中央部隊へ降下する。
徐々に近づきその大きさと、迫り来る紅く燃え上がる無数の岩。
恐怖と苦痛の悲鳴が、逃げる事の出来ない魔族達が、もがいているように中央部隊の黒く蠢いている。
燃える岩が突き刺さって行く大地。
叫び声すらかき消す岩と大地の衝撃する爆音。
そして、その光景をだだ肩を落として見つめる魔王バスダト。
粉塵が巻き起こり立ち込める煙で、中央部隊の状況が確認できないが、今でも落ちている岩を背にペルセポネが、地面に降り立つ。
「――――ふぅ。あっ!!」
何か驚くペルセポネは、辺りをキョロキョロし出すとユカリを発見し大声でユカリを呼ぶ。
「ユカリ、ごめーん。 何人か殺しちゃったかも。 頑張ってえ」
「え、えぇぇ……」
ペルセポネの声に反応するユカリだが、歩みは既に止めて中央部隊の被害に合わないよう身を潜めて地面に伏せていたが、その顔は青ざめているのがわかる。
「お、おい。 男っ――――何してくれてるんだ!!」
「えっ?」
「おめぇの妻。 俺の部下にひでぇ事を」
「敵対しているんだ。 倒すの当たり前だろーが」
「あれじゃ、一方的な殺戮だぞ。 おぞましく血も涙もない。 まるで極悪非道な魔王みたいじゃないか!!」
怒りを表立ち俺に怒鳴り散らしてくる魔王バスダトは、肩を落とすも、未だ轟音が鳴り響く中央部隊がいる場所を観ては、頭を抱える。
ペルセポネは、二本の剣をそれぞれの手に握ったまま、俺たちに近づいてくる。
「さぁーて後は……魔王だけ」
「きっ、貴様らぁ。我が部下、我が軍隊を……力を象徴する、武力主義の我らを――――ゆるさん」
「ハーデス。 ユカリが戻ってくるまで楽しみましょ」
「おいおい。 楽しむって」
「ふん。 貴様らがどんなに強かろうと俺のこの鎧の前では無意」
「私達では傷さえ付けられない分、楽しませてもらうわ」
「バスダト!!」
「貴様らなんぞ幾らレベルが高くとも、我に叶うと思うのか?」
「そんなのやって見ないと……」
俺はハルバードを持ち少し腰を落として構える。
そして、ペルセポネも魔王バスダトの動きを見て間合いを取りつつジリジリと近づいている。
赤い目が一瞬青く光ると本来の色と混ざり紫色になる魔王バスダトの目は、ペルセポネに視線を送る。
「な、何よ!!」
「きっ貴様。なんなんだ!?――――そのレ、レベルゥでぇぇ!!」
少したじろぐ魔王バスダトは、視線を俺にゆっくり移すと、目の光が大きく広がり、手の動きが驚きを隠せてない。
「男!! 貴様も……何だ? ――――そのスキルゥゥ」
「あ、あぁ――――スキルかぁ」
「そのスキル! 貴様が本来の勇者か?」
「だったらどうする?」
「ふん……ん? レベルが低いな。 低すぎるぞ勇者よ。 そんなんで叶うと思うのも甚だしいわっ」
「うるさいヤツね。 そろそろ攻めてもいいかしら?」
「いつでも。 その高レベルでも私のこの鎧に傷一つ付けられないからな」
高笑いする魔王バスダトに、飛び付く勢いでペルセポネは迫り剣を振るう。
何度何度斬りつけても最初と変わらずに、魔王バスダトは平然とたっている。
「ハーデス!!」
「あぁ」
ハルバードで突き刺し、払い除けを幾度もし当たりさえするが本当に傷一つ付かない。
ペルセポネと連携しお互いに変わりながら次々に斬りつけ鎧の数箇所から火花が飛び散る。
だが、それでもびくともしない魔王バスダトだが、俺も正直飽きてくる。
――――効かない攻撃に、イラつくなぁ~。
神力が微かに注がれるハルバードで魔王バスダトの肩に狙いを定め突き刺す。
「ハーデス!!」
「きっ、貴様っ。何故この鎧にぃぃぃぃ!?」
「ユカリを待たずに終わりにしてまおうかと」
「でも、ハーデス。 そうしたらあの臭女が」
「サンドバッグでハルバードの練習しているような状況が……。 めんどくさくなった」
「めんどくさく……。 男っ!! 貴様の能力【偽装】使ったな!?」
「【偽装】だと? そんなもん使った事すら無い」
「な、訳あるか!! この鎧傷一つ付ける事が出来るとしたら勇者の【破邪】にレベル35は超えてなければならないのだ」
「――――そのレベルもよく分からんし」
確かにレベル、レベルと言われるが俺自身もこの世界でレベルの概念がよく分からん。
魔物や魔族を倒してレベルアップするとしたらその仕組みはどうなのか?
この世界の人と勇者等の転生転移者がレベルアップする仕組みとか。
どうしてペルセポネは高レベルなのか?
そして、俺のレベルは低いのか……。
詳しく聞いても無いが、聞いてもそれが俺に当てはまるのかも分からないから、異世界に来て少し残念な所はレベルアップが分からない事かな。
――――みんなどうやってレベル上げているのか?
魔族を次々に殺してレベルを上げるユカリしか見てないから、分からないことだらけ。
だから、魔王バスダトを倒してあの臭い女の神を降ろせば知れる事。
だが、ユカリがそこまでレベルが上がらなさそうでついつい力が入ってしまった。
「ヌッグッグッグッぐぐぐぅぅ!!」
「変わらんだろ?」
「【偽装】つかってるーーーーーんだろっ!! わかっているんだ! 我が【鑑識眼】早く偽装を看破しろ」
魔王バスダトの目が更に大きく、鉄仮面の隙間から光が漏れ出すほどに俺を凝視する。
「いい加減にしたらどう?」
上から斜めに振り下ろすペルセポネの剣。ぼんやりと光を纏う刀身が、魔王バスダトの鎧に長い傷が入る。
「グヌッヌヌッヌゥ!! 貴様ぁぁ勇者出ないのにィィ!! 貴様も【偽装】かぁっ」
激しく威圧を撒き散らし怒号を浴びせて、魔王バスダトから突風が吹き荒れ俺たちを退く。
「女ァァ! レベル差の横暴かぁぁぁ?」
ペルセポネを向いていた鉄仮面が、俺に向くと魔王バスダトは人差し指を俺に指し、今まで大きかった赤い目が通常に戻っていた。
「貴様、我が看破できない程の【偽装】スキル、侮っていたわ!! あの女勇者を隠れ蓑にして本命は男、お前だったとはなぁっ!!」
「へっ?」
――――オレ、ユウシャジャナイヨ――――
「高レベルの冒険者連れて、魔王である我を愚弄するとは!!」
黒い甲冑に黒いオーラ【破邪魔】が濃くなり、魔王バスダトにまとわりつくと、ペルセポネと俺が付けた傷が無くなる。
「いくらお前らが勇者であれ! 高レベルであれ。 卑怯なお前らに、この魔王バスダト、一切の手抜きもせん!!」
魔王バスダトの手元で空間が歪み、その中から刀身が長く幅広く所々紫に光る真っ黒の大剣を抜き数回振り回す。
「グッハッハッ!! お前らに初めて魅せるこの禍々しきこの【紫漆黒剣】のサビにしてくれるわ!!」
「あの~」
「なんだ女?」
「それ、打ち合った時出してた」
「はっ、あぁぁ?そんな訳あるか!!」
「バスダト。 それ本当だ」
「グヌッヌヌッ。 男勇者貴様が言うならっ」
「おーい。 なんで私の言葉に?」
「ふん。女は信用ならんし、勇者の言葉なら信用高いだろ」
「……」
――――魔王バスダト、過去に何かあったのか?
黒い大剣【紫漆黒剣】を両手で構え俺たちに剣先を向け、一段と黒いオーラを炊きあげる。
黒いオーラ【破邪魔】には魔法が効かない。
魔王バスダトの甲冑は、通常物理攻撃が効かない。
ごく普通の冒険者なら有効手段も無く、ただ逃げ惑うか死を選ぶしかないが、俺とペルセポネは、魔王バスダトを倒す事は簡単。
だが、ユカリの手で倒さないと臭い女の神エウラロノースを降ろす事が出来ない。
ペルセポネの二本の剣が魔王バスダトの大剣を翻弄し俺のハルバードで、バスダトの動きを制限する。
魔王バスダトが体制を崩すと俺とペルセポネの刃が、バスダトの鎧が、激しくヒビ割れ、所々穴が開き始める。
「オノレぇー小賢しいわっ!!」
「あんた! 魔王なんだから魔法無いの?」
「ふん、女!! あるに決まっておる。 だが、この魔王バスダト、暗黒騎士でもある」
「だから?」
「騎士は、魔法なんぞ使わん」
「ぬっ!!」
上から大きく振り上げ魔王バスダトの大剣【紫漆黒剣】は、ペルセポネの頭上を目掛け空を斬る音を立てながら振り下ろした。
金属音がぶつかり合い轟音と共に大地をつたって響く。
ペルセポネは、右手に持つ剣を振るいあげ魔王バスダトの剣を防ごうとするも、そこで止まったまま、動かない。
「ふん、女。 お前が我に楯突いた事アホ、バカだと理解し後悔し、命を粗末にした事を反省しろ」
「何が! アホ、バカと。それ自分でしょ!」
「なにぃぃっ!! なんで生きているっ。 今【紫漆黒剣】で切ったでは無いか!?」
「切ったのは私」
「我、無事」
「貴方はユカリに殺してもらう。 私が切ったのはアレ」
ペルセポネは右手に持つ剣で、魔王バスダトの視線を促すとその先に目をやる魔王バスダトは、驚愕したのか赤い目が激しく光り出す。
「なっ、我のぉー【紫漆黒剣】んんーーー!!」
刀身が綺麗な切り口、斬られた刀身は、見事に地面に刺さっている。
それを見た魔王バスダトは、身震いをしながらも固まったまま、唖然としているのが分かる。
「これで、魔法使わないとねぇー」
「グヌッ、グズ――――」
魔王バスダトの目が滲む。
――――もしかして、魔王……バスダト。泣いているのか?
「――――えぇいっ。使ってやらぁ!!この魔王バスダト。魔法も魔王並だと知れっ」
折れた剣を投げ捨てる魔王バスダトは、両手両腕を広げ、自信に満ち溢れた、いや、やけくそになって俺たちの前に立ち尽くす。
――――やけくそだ。でも魔法、魔王並と言ってたなそりゃそうだ。魔王じゃん。
右拳が、ユカリに直撃し防ぐことも出来ず飛ばされ、ユカリは痛みでもがいている。
「オマエらも、ああなりたくなければ武器を下ろせ」
「何言ってるの?」
「オマエら一介の冒険者が、魔王に楯突く事すら出来んのがわからんのか?」
魔王バスダトは、両腕を広げ攻撃して来いとアピールしている様にみえる。
そこにペルセポネが、剣を振るい辺りに響く程金属音がなるが弾かれ、数歩後ろへよろけている。
「私には、如何なる武器が効かない!!」
「ファイアボールっ」
腕でお腹を摩り、膝まつきながら苦痛の顔をして必死に放つ火球五つは、俺の目の前を一瞬で通り過ぎる。
「なんで?」
バスダトの前でかき消される火球を見たユカリは肩を落とし、それを見ていたペルセポネは、数歩下がりしっかりと剣を握る。
「この黒いオーラは、邪魔な魔法を破る【破邪魔】。我が力より低い魔法は全て無効になる」
誇らしげに黒いオーラを腕で仰ぐバスダトの言葉に俺とペルセポネは、一瞬思考が止まってしまったかとバスダトを直視する。
――――パジャマ?
「魔王!!寝間着じゃねえんだよぉ」
くだらない言葉を吐くペルセポネの顔が一気に紅潮し、フワッと長い髪が拡がると、地面を蹴るや急に迫るペルセポネがバスダトに飛びつき金属音と共に火花が飛び散り、二本の剣筋が止まることなく、激しく金属音が幾つも重なり鳴り響く。
激しく剣をぶつけられる魔王バスダトは、一歩も動かず、ただ腕を広げ、ペルセポネの攻撃を全身で受け止めている。
「クックックッ。 貴様が、いくらレベルが高くても、この私に傷一つ、つける事なぞできん」
あらゆる斬撃を与えてもかすり傷すらつかないバスダトの鎧。
ペルセポネは、俺の近くに飛びバスダトから離れると、バスダトの低い笑い声と赤い目が微かに青が混ざり紫色に変わっている。
「クックックッ。 まさかまさかだ。勇者お前のレベル――――」
バスダトの青が混ざった紫色の目の先にはユカリがいる。
「――――レベル。 30言ってないとはな!! 28か」
19から28とはアレだけ魔族を殺すと、9もレベル上がるんだなと、俺は感心していると続けてバスダトが不穏な言葉を放つ。
「――――勇者のレベルが30達すると、魔王が発生する……。 そして勇者のレベルが30半ば……35辺りで魔王を倒す為の力【破邪】を手に入れる。 だがそれすら持ってなくレベル30も達してない勇者に魔族すら相手にならんわ!!」
バスダトは、ゆっくりとユカリに近づ来ながら再び声をユカリにかけ始める。
「勇者よ。 貴様はレベル30にも達してないのに何故我、魔王がここにいるのか。 わかるか?」
横に顔を振るユカリは、回復ポーションを飲んで立ち上がり剣を構え、魔王バスダトを牽制するがそれすら怯む事等無いバスダトは、ゆっくりとユカリに近づいている。
「我が神、そして魔族の神、魔神様が人族を滅亡へと進言したのだ。 そこで魔神様は、『勇者のレベルが30になるのを待つ』お遊びは終わり。 我ら魔族が一丸となって貴様ら人族を滅亡させる事になったのだ。 クックックッ」
「――――だけど、私は人族を守る」
「我を破る術がないレベルの低い勇者なんぞ死んで人族が滅亡するのをただ、見ていろぉっ!!」
強く剣の柄を握るユカリは、歯を食いしばって腰を落とし、魔王バスダトの攻撃を迎え撃つため剣を構え直す。
両目が赤く光る魔王バスダトは、右手を自分の左腰脇にやるとゆっくりと真っ黒で所々紫色が浮き出る大剣を抜き出した。
「我、魔王だが暗黒騎士でもある。 勇者よ一騎打ち受けてやろう」
コクンと頷くユカリを見たペルセポネは、少し頭を抱えるが、頷く反応を確認したバスダトは、両手で大剣の柄を握りしめ歩みを加速させる。
「ハーデス!!」
「あぁ」
ユカリの頭上から振り下ろされるバスダトの大剣に、顔を引き攣り涙目になるユカリの前にペルセポネが現れ、二本の剣でバスダトの大剣を受け止める。
そして、俺はユカリの腕を掴みバスダトから遠ざけ、追撃に警戒する。
「ハーデスさん……」
「ユカリ。 俺とペルセポネがヤツを惹き付けて置くからそのうちにあの、中央の魔族を倒してレベル上げろ」
「ですが、35行かなかったら、破邪の力取れなかったら?」
「ダメだったとかどうでもいい。 兎に角やれる事をやれ。 ダメならダメで他の方法を探せばいい」
「他の方法…… 」
「うるさい!!四の五の言わずに、あの中央の魔族を殺れ」
俺が怒鳴るとユカリは、目をひんむいた後涙を袖で拭って、この場を避けるように遠回りしながら中央の魔族に向かっていく。
「ヌヌヌッヌ!! 我が部下を殺らせんっ」
「お前の相手は私達」
「冒険者如きにィィ!!」
ペルセポネは、受け止めていたバスダトの大剣を押し返すとバスダトは、よろけながらペルセポネと少し距離をとり構え直す。
バスダトは、大剣を軽々しく振るってペルセポネに向かって来いと手招きをする。
「ハーデス。 アイツ止めといて」
「ん?」
ペルセポネは、急に走り出しバスダトの脇を抜け、それをバスダトは追撃し始めるが、そこに俺がペルセポネに迫るバスダトの行く手を阻む。
「黒いの! その妙な武器で我を倒せると浅はかな者よ」
「まぁ、我妻が来るまで遊んでやろう」
「妻? そうかそうか、あの双剣の女。 お前の妻なのか……」
「だからどうした?」
「貴様を倒した後、あの女我の妾にしてやろうゾ」
「――――出来るものならしてみろ!!」
ゆっくりと言葉を吐く俺を見る魔王バスダトは、赤い目が紫色に変わると、再び笑い声が溢れてくる。
「クックックッ、貴様そのレベルで私に楯突く、いやその言葉を言えるとは……己の力量を知らんと見える」
「生憎、この世界の力量なぞ知らん」
「レベルが物語っているでは無いか!!経験、技術技量があれば僅差のレベルであれば戦いに勝つ事も出来よう。だが!圧倒的なレベルの差ではそれも無意味。しかも一介の冒険者と魔王ではその結果は歴然」
魔王バスダトは、大剣の先を地面に刺して剣を支えにし顎を少し上げ見下ろすかのように俺を見てくる。
「俺がどんな者かわからん癖に」
「分かるぞ、分か……。 なに?」
「……」
――――ユカリその目、コベソ達と同じ【鑑識眼】で俺の事分かってしまったのか?だとするとコベソやトンドにも直ぐに分かってたんでは?いやカツオフィレの聖女にもバレて無かったし……。
「お前……勇者か? いや、あの黒髪の女こそ勇者……。まさかッ!!」
「勇者?」
「人族の神!! 勇者をもう一人召喚してたとは!! 卑怯な」
「魔族、魔王が卑怯だと?」
「う、うるさい。 だがこの暗黒騎士で魔王バスダトが二人の勇者の首を魔神様に献上させてもらうゥ!」
剣を持ち上げ体全体に纏わる黒いオーラ【破邪魔】を大きく焚き上げているバスダトの目の先、冥王を超えた先にペルセポネの姿が目に入る。
ペルセポネは、右腕と左脇を交差し剣を横にして腰を落とし魔族がいる中央部隊に狙いを定めている。
「――――破壊……空……裂!!」
左右に向けていた剣を横に広げ、胸を張り出すペルセポネの前、中央部隊の魔族全体、何も無い空間にまるでペルセポネが剣で横に切り裂いた亀裂が入ると遠くの魔族から悲痛な叫び声が飛び上がるり亀裂が消えていく。
その状況を見ている魔王バスダトは、肩をずり下げ赤い目が大きくなり、唖然として身動きすら無くなっている。
「……」
「――――破壊……地……裂!!」
ペルセポネは、地面に向け二本の剣を丸を描くかの様に振るう。浮き上がっくる巨大な岩盤が現れ地面が歪む。剣を岩盤面に突き刺す。
「でぇええぇやっぁあぁぁ!!」
俺と魔王バスダトの頭が徐々にそれを見上げ、この辺り一帯大きな影に包まれる。
「何をする気だ……」
バスダトの一言が漏れるが、薄々感じ取っているのだろう大きな大地の塊が俺たちの頭上遥高く飛んでいるんだ。
更に、ペルセポネがじゃが見込むと天高く飛び姿を消してしまった。
ユカリは少し走るのを遅らせ、空を見上げながら進んでいる中、向かう先の中央部隊でも苦痛の叫びが飛び交う魔族達が、影に覆われた瞬間少し静かになる。
大地の隙間から太陽の陽射しが漏れる。
更に陽射しが増える。
ここからでもハッキリと分かる。
あの巨大な大地の欠片が細切りにされ大気の摩擦熱で岩が紅く地面に向け轟音と共に中央部隊へ降下する。
徐々に近づきその大きさと、迫り来る紅く燃え上がる無数の岩。
恐怖と苦痛の悲鳴が、逃げる事の出来ない魔族達が、もがいているように中央部隊の黒く蠢いている。
燃える岩が突き刺さって行く大地。
叫び声すらかき消す岩と大地の衝撃する爆音。
そして、その光景をだだ肩を落として見つめる魔王バスダト。
粉塵が巻き起こり立ち込める煙で、中央部隊の状況が確認できないが、今でも落ちている岩を背にペルセポネが、地面に降り立つ。
「――――ふぅ。あっ!!」
何か驚くペルセポネは、辺りをキョロキョロし出すとユカリを発見し大声でユカリを呼ぶ。
「ユカリ、ごめーん。 何人か殺しちゃったかも。 頑張ってえ」
「え、えぇぇ……」
ペルセポネの声に反応するユカリだが、歩みは既に止めて中央部隊の被害に合わないよう身を潜めて地面に伏せていたが、その顔は青ざめているのがわかる。
「お、おい。 男っ――――何してくれてるんだ!!」
「えっ?」
「おめぇの妻。 俺の部下にひでぇ事を」
「敵対しているんだ。 倒すの当たり前だろーが」
「あれじゃ、一方的な殺戮だぞ。 おぞましく血も涙もない。 まるで極悪非道な魔王みたいじゃないか!!」
怒りを表立ち俺に怒鳴り散らしてくる魔王バスダトは、肩を落とすも、未だ轟音が鳴り響く中央部隊がいる場所を観ては、頭を抱える。
ペルセポネは、二本の剣をそれぞれの手に握ったまま、俺たちに近づいてくる。
「さぁーて後は……魔王だけ」
「きっ、貴様らぁ。我が部下、我が軍隊を……力を象徴する、武力主義の我らを――――ゆるさん」
「ハーデス。 ユカリが戻ってくるまで楽しみましょ」
「おいおい。 楽しむって」
「ふん。 貴様らがどんなに強かろうと俺のこの鎧の前では無意」
「私達では傷さえ付けられない分、楽しませてもらうわ」
「バスダト!!」
「貴様らなんぞ幾らレベルが高くとも、我に叶うと思うのか?」
「そんなのやって見ないと……」
俺はハルバードを持ち少し腰を落として構える。
そして、ペルセポネも魔王バスダトの動きを見て間合いを取りつつジリジリと近づいている。
赤い目が一瞬青く光ると本来の色と混ざり紫色になる魔王バスダトの目は、ペルセポネに視線を送る。
「な、何よ!!」
「きっ貴様。なんなんだ!?――――そのレ、レベルゥでぇぇ!!」
少したじろぐ魔王バスダトは、視線を俺にゆっくり移すと、目の光が大きく広がり、手の動きが驚きを隠せてない。
「男!! 貴様も……何だ? ――――そのスキルゥゥ」
「あ、あぁ――――スキルかぁ」
「そのスキル! 貴様が本来の勇者か?」
「だったらどうする?」
「ふん……ん? レベルが低いな。 低すぎるぞ勇者よ。 そんなんで叶うと思うのも甚だしいわっ」
「うるさいヤツね。 そろそろ攻めてもいいかしら?」
「いつでも。 その高レベルでも私のこの鎧に傷一つ付けられないからな」
高笑いする魔王バスダトに、飛び付く勢いでペルセポネは迫り剣を振るう。
何度何度斬りつけても最初と変わらずに、魔王バスダトは平然とたっている。
「ハーデス!!」
「あぁ」
ハルバードで突き刺し、払い除けを幾度もし当たりさえするが本当に傷一つ付かない。
ペルセポネと連携しお互いに変わりながら次々に斬りつけ鎧の数箇所から火花が飛び散る。
だが、それでもびくともしない魔王バスダトだが、俺も正直飽きてくる。
――――効かない攻撃に、イラつくなぁ~。
神力が微かに注がれるハルバードで魔王バスダトの肩に狙いを定め突き刺す。
「ハーデス!!」
「きっ、貴様っ。何故この鎧にぃぃぃぃ!?」
「ユカリを待たずに終わりにしてまおうかと」
「でも、ハーデス。 そうしたらあの臭女が」
「サンドバッグでハルバードの練習しているような状況が……。 めんどくさくなった」
「めんどくさく……。 男っ!! 貴様の能力【偽装】使ったな!?」
「【偽装】だと? そんなもん使った事すら無い」
「な、訳あるか!! この鎧傷一つ付ける事が出来るとしたら勇者の【破邪】にレベル35は超えてなければならないのだ」
「――――そのレベルもよく分からんし」
確かにレベル、レベルと言われるが俺自身もこの世界でレベルの概念がよく分からん。
魔物や魔族を倒してレベルアップするとしたらその仕組みはどうなのか?
この世界の人と勇者等の転生転移者がレベルアップする仕組みとか。
どうしてペルセポネは高レベルなのか?
そして、俺のレベルは低いのか……。
詳しく聞いても無いが、聞いてもそれが俺に当てはまるのかも分からないから、異世界に来て少し残念な所はレベルアップが分からない事かな。
――――みんなどうやってレベル上げているのか?
魔族を次々に殺してレベルを上げるユカリしか見てないから、分からないことだらけ。
だから、魔王バスダトを倒してあの臭い女の神を降ろせば知れる事。
だが、ユカリがそこまでレベルが上がらなさそうでついつい力が入ってしまった。
「ヌッグッグッグッぐぐぐぅぅ!!」
「変わらんだろ?」
「【偽装】つかってるーーーーーんだろっ!! わかっているんだ! 我が【鑑識眼】早く偽装を看破しろ」
魔王バスダトの目が更に大きく、鉄仮面の隙間から光が漏れ出すほどに俺を凝視する。
「いい加減にしたらどう?」
上から斜めに振り下ろすペルセポネの剣。ぼんやりと光を纏う刀身が、魔王バスダトの鎧に長い傷が入る。
「グヌッヌヌッヌゥ!! 貴様ぁぁ勇者出ないのにィィ!! 貴様も【偽装】かぁっ」
激しく威圧を撒き散らし怒号を浴びせて、魔王バスダトから突風が吹き荒れ俺たちを退く。
「女ァァ! レベル差の横暴かぁぁぁ?」
ペルセポネを向いていた鉄仮面が、俺に向くと魔王バスダトは人差し指を俺に指し、今まで大きかった赤い目が通常に戻っていた。
「貴様、我が看破できない程の【偽装】スキル、侮っていたわ!! あの女勇者を隠れ蓑にして本命は男、お前だったとはなぁっ!!」
「へっ?」
――――オレ、ユウシャジャナイヨ――――
「高レベルの冒険者連れて、魔王である我を愚弄するとは!!」
黒い甲冑に黒いオーラ【破邪魔】が濃くなり、魔王バスダトにまとわりつくと、ペルセポネと俺が付けた傷が無くなる。
「いくらお前らが勇者であれ! 高レベルであれ。 卑怯なお前らに、この魔王バスダト、一切の手抜きもせん!!」
魔王バスダトの手元で空間が歪み、その中から刀身が長く幅広く所々紫に光る真っ黒の大剣を抜き数回振り回す。
「グッハッハッ!! お前らに初めて魅せるこの禍々しきこの【紫漆黒剣】のサビにしてくれるわ!!」
「あの~」
「なんだ女?」
「それ、打ち合った時出してた」
「はっ、あぁぁ?そんな訳あるか!!」
「バスダト。 それ本当だ」
「グヌッヌヌッ。 男勇者貴様が言うならっ」
「おーい。 なんで私の言葉に?」
「ふん。女は信用ならんし、勇者の言葉なら信用高いだろ」
「……」
――――魔王バスダト、過去に何かあったのか?
黒い大剣【紫漆黒剣】を両手で構え俺たちに剣先を向け、一段と黒いオーラを炊きあげる。
黒いオーラ【破邪魔】には魔法が効かない。
魔王バスダトの甲冑は、通常物理攻撃が効かない。
ごく普通の冒険者なら有効手段も無く、ただ逃げ惑うか死を選ぶしかないが、俺とペルセポネは、魔王バスダトを倒す事は簡単。
だが、ユカリの手で倒さないと臭い女の神エウラロノースを降ろす事が出来ない。
ペルセポネの二本の剣が魔王バスダトの大剣を翻弄し俺のハルバードで、バスダトの動きを制限する。
魔王バスダトが体制を崩すと俺とペルセポネの刃が、バスダトの鎧が、激しくヒビ割れ、所々穴が開き始める。
「オノレぇー小賢しいわっ!!」
「あんた! 魔王なんだから魔法無いの?」
「ふん、女!! あるに決まっておる。 だが、この魔王バスダト、暗黒騎士でもある」
「だから?」
「騎士は、魔法なんぞ使わん」
「ぬっ!!」
上から大きく振り上げ魔王バスダトの大剣【紫漆黒剣】は、ペルセポネの頭上を目掛け空を斬る音を立てながら振り下ろした。
金属音がぶつかり合い轟音と共に大地をつたって響く。
ペルセポネは、右手に持つ剣を振るいあげ魔王バスダトの剣を防ごうとするも、そこで止まったまま、動かない。
「ふん、女。 お前が我に楯突いた事アホ、バカだと理解し後悔し、命を粗末にした事を反省しろ」
「何が! アホ、バカと。それ自分でしょ!」
「なにぃぃっ!! なんで生きているっ。 今【紫漆黒剣】で切ったでは無いか!?」
「切ったのは私」
「我、無事」
「貴方はユカリに殺してもらう。 私が切ったのはアレ」
ペルセポネは右手に持つ剣で、魔王バスダトの視線を促すとその先に目をやる魔王バスダトは、驚愕したのか赤い目が激しく光り出す。
「なっ、我のぉー【紫漆黒剣】んんーーー!!」
刀身が綺麗な切り口、斬られた刀身は、見事に地面に刺さっている。
それを見た魔王バスダトは、身震いをしながらも固まったまま、唖然としているのが分かる。
「これで、魔法使わないとねぇー」
「グヌッ、グズ――――」
魔王バスダトの目が滲む。
――――もしかして、魔王……バスダト。泣いているのか?
「――――えぇいっ。使ってやらぁ!!この魔王バスダト。魔法も魔王並だと知れっ」
折れた剣を投げ捨てる魔王バスダトは、両手両腕を広げ、自信に満ち溢れた、いや、やけくそになって俺たちの前に立ち尽くす。
――――やけくそだ。でも魔法、魔王並と言ってたなそりゃそうだ。魔王じゃん。
0
あなたにおすすめの小説
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる