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起源から世界を思う神、樹海と祀るエルフ。
冥王、苦痛の悪臭から結びつく転移者達を知る。
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荒々しい声が駆け巡り、阿鼻叫喚の状態かと思いきや指揮陣に着けば、音が静かな様子。偵察の兵が、大きな天蓋を守る兵との掛け声が聞こえる程だ。
その天蓋へ真っ先に入るフェルト。
「おおおお、お父様。 ご無事で!?」
「フェルティエーゼ。 おぉ、お前も無事で何よりだ」
その声は外にいる俺たちにまで届くほど、漏れている。中の様子は見えないが、皇帝アドライガの周りに数名いるようで、「おぉ~っ」と歓喜の声が上がる。
外にいる俺とペルセポネの横を通り過ぎて、その天蓋に入っていく数名の偵察の兵とおぼしき身軽な者が入っていく。
「陛下。 ジージョ・アンラグ隊とクルミル・ヤイロ隊が、聖国の魔法兵隊によって壊滅し逃走。 フカタス・ニテラ隊も危険な状態です」
「右翼の隊が?」
「陛下。 ロゼ・ラコーカ隊にスアリ・エクア隊が相手を打ち破りましたが、プレーグ・タンファー隊の大多数の兵が負傷」
「ロゼ隊はそのままに、スアリ隊はプレーグ隊を……」
テーブルに置かれた駒を動かし戦局を考える皇帝アドライガと側近達。
アドライガからの指示を受け取った偵察兵が、駆け足でこの天蓋から出ていった。
再びフェルトと皇帝アドライガとの会話と思いきや、その声は天蓋の外にいる俺には聴こえない。
聞こえなくなって不思議そうなペルセポネと目が合ったその時、俺の前に現れたのはコベソ。
「ハーデスさん、ペルセポネさん。 シャルルが迷惑を掛けた」
「いや、全く掛かって……馬車の件はかかったかな」
「ふふふっ、そうですね。 ところで……」
天蓋の中が明るそうに見えるが、外から覗くと薄暗く感じる。コベソも天蓋の中を覗き込むように視線を動かすと。
「魔法のせいで聴こえんし見えん。 あれじゃ次何をするか分からん」
「魔法……なの?」
「何か遮断する類の魔法か?」
「そう、魔法なんです。 ですが、そんな事よりも今帝国と聖国の戦いが」
穏やかな会話の流れだったが、コベソが焦り出す。
「……いやいや、何故人族同士が戦っているのか疑問になりません?」
「うーん、あんまりかなぁ」
「まぁ、そうだな」
俺とペルセポネの返答にコベソの気が抜けた表情。
「へっ? まぁまぁ、この世界ではエウラロノースの管理の元、人族同士では戦いが起きないのはご存知ですよね?」
「あぁ、それは知っている」
「ええ、でも現在起きている」
「矛盾しているわ。 同じ神、信仰対象なのに争う人のよう」
ペルセポネの言葉にコベソは頷く。
「帝国の人間も、聖国の人間も同じ。 しかし違うのは……」
「違うのは?」
「帝国の人間は、本来の人間に近いって事です」
「本来のって?」
帝国やヒグマクスは異界の樹海に近く、時より魔素が大量に流れてくる。その魔素の影響でエウラロノースの『人族同士が争わない』という深層心理に埋め込まれていると。
「かなり昔、いまだエウラロノースや魔族の神がいなかった時代の神によって産み出された人間……それが、帝国とヒグマクスの人間」
「つまり、あの野盗」
「ええ、ヒグマクスに入って野盗に襲われたのはその理由もあるかと」
すると、ペルセポネが首を傾げる。
「でも、なんで争うの? 人同士争うなんて無意味だわ――――言語があるのに。 それに私の仕事増えるし」
――――ペルセポネの言うことは最もだ。だけどペルセポネ、仕事してないのに……仕事増えないぞ。
「あれは……」
コベソは転移者であった。一緒にトンドも転移したのだが、彼等は巻き込まれたと。なんとエウラロノース3人が揉め事の途中で通りかかった時、ビルの看板が落下しその下敷きに。
本来の転移者で勇者と呼ばれたと。
コベソとトンドは真っ白の空間に、包み込まれるほどの大いなる存在にスキルを貰い、若返りながら生きている。
「オレは、エウラロノースを恨んでいるんだ」
「転移に巻き込まれたからか?」
「いや、再び大量の魔素によって魔王が現れた。 その時転移した来た者が、私とトンドの師であり友……阿久津弘樹」
コベソの発する名前にペルセポネが、ポンと手を叩く。
「アクツヒロキ? まるで、あんたの商会の名前と同じねぇ」
「おお、そうです。 彼は『将来、こじんまりとした店をだして、ゆっくりとのんびり暮らす』と言ってましたから」
「こじんまりと?」
「大きくなってしまいましたが……」
――――話が脱線しているが。
苦笑いするコベソが、我に返る。
「話が逸れました。 本題は、エウラロノースに次ぐ勇者……阿久津弘樹。 彼はエウラロノースと魔族の神、そして聖国の聖女アルダーの危険性を謳ったんです」
真剣な顔のコベソに対しペルセポネが「誰だってあの3人ヤバいわ。父みたい」と若干引き気味。
――――ゼウス、最高神で神々の王でもあり俺の弟。その性格は女にだらしない。
ペルセポネの返答に、疑問符が浮かんだコベソ。
「ん、それはどういう」
「えっ?」
「まぁ、こっちの話だ。 それよりも確かにあの3人は危険だが、それと何故聖国と帝国の戦いが関係している?」
「阿久津は、召喚された時エウラロノースの放つ何かに気づき魔王を倒した後、召喚された地である帝国でそれを、放つ何かを解き放つ」
「もしかして!」
「もしかして?あれかっ!」
眉間に皺を寄せるペルセポネの表情に俺は、エウラロノースの放つ何かというのがわかる。
――――あの、死を招く程の激臭か?
「お二人共、既に気づいているとは……さすがです」
「あれはキツいわ」
「あの臭さ――――この俺でも耐えれん」
俺とペルセポネの言葉に、コベソは首を傾げ固まる。
「臭い? におい……では無いのですが」
「は?」
「いや、ヤツが発する害ある何かと言ったら悪臭だけしか思いつかんが?」
「悪臭!? だからあの香炉を――――まぁ……。 あっ阿久津の言う『放つ何か』が、もしかしてそれなのか!?」
目を見開くコベソは、その香炉を自らの空間収納から取り出す。
解き放たれる香炉から溢れ出す悪臭!
「早くしまえっ」
「早くしまいなさいって」
俺とペルセポネはその言葉をコベソに言い放った後直ぐに口鼻を手で塞ぎ、苦しい表情。
俺たちの顔を見たコベソは、直ぐにその香炉をしまう。
臭いを払うペルセポネは、コベソを睨むつける。
「急に出さないで」
「その臭い、本当に苦痛だ。 本来なら死を迎える激臭だぞ」
「そう言えば、阿久津は何時もマスクしていた」
「その激臭がヤツの『放つ何か』と言っている――――その臭いを無効化出来るやつ出来たか?」
「手はつけましたが、まだです」
「本当に早く欲しいぐらいだ。 ヤツの臭いは苦痛でしかない。 炎でかき消しながら戦うのも面倒でな」
「炎でかき消す?」
エウラロノースとの一戦を話すとコベソは何度も頷きながら眉間に皺を寄せる。
「早急に取り掛かってみます」
「本当にぃ?」
「ええ、ユカリ嬢ちゃんを殺されたら……阿久津が報われないと思って」
「コベソは、いつもユカリの事『ユカリ嬢ちゃん』って言うよね?」
「確かに……でも報われないとは?」
――――勇者として召喚された、その阿久津弘樹が、なぜユカリが死んだら困る?
俺の疑問にコベソが真剣な顔で答える。
「阿久津は、ユカリ嬢ちゃん――――鈴木ユカリの父親だから……です」
その言葉を放つコベソは、例の臭いの無効化を進めるためこの場を離れる。すると、天蓋からリフィーナの声が。
「ユカリ、早く出てよっ」
俺とペルセポネは、その声に振り向く。
目を見開くユカリが、天蓋の入口に立っていた。
その天蓋へ真っ先に入るフェルト。
「おおおお、お父様。 ご無事で!?」
「フェルティエーゼ。 おぉ、お前も無事で何よりだ」
その声は外にいる俺たちにまで届くほど、漏れている。中の様子は見えないが、皇帝アドライガの周りに数名いるようで、「おぉ~っ」と歓喜の声が上がる。
外にいる俺とペルセポネの横を通り過ぎて、その天蓋に入っていく数名の偵察の兵とおぼしき身軽な者が入っていく。
「陛下。 ジージョ・アンラグ隊とクルミル・ヤイロ隊が、聖国の魔法兵隊によって壊滅し逃走。 フカタス・ニテラ隊も危険な状態です」
「右翼の隊が?」
「陛下。 ロゼ・ラコーカ隊にスアリ・エクア隊が相手を打ち破りましたが、プレーグ・タンファー隊の大多数の兵が負傷」
「ロゼ隊はそのままに、スアリ隊はプレーグ隊を……」
テーブルに置かれた駒を動かし戦局を考える皇帝アドライガと側近達。
アドライガからの指示を受け取った偵察兵が、駆け足でこの天蓋から出ていった。
再びフェルトと皇帝アドライガとの会話と思いきや、その声は天蓋の外にいる俺には聴こえない。
聞こえなくなって不思議そうなペルセポネと目が合ったその時、俺の前に現れたのはコベソ。
「ハーデスさん、ペルセポネさん。 シャルルが迷惑を掛けた」
「いや、全く掛かって……馬車の件はかかったかな」
「ふふふっ、そうですね。 ところで……」
天蓋の中が明るそうに見えるが、外から覗くと薄暗く感じる。コベソも天蓋の中を覗き込むように視線を動かすと。
「魔法のせいで聴こえんし見えん。 あれじゃ次何をするか分からん」
「魔法……なの?」
「何か遮断する類の魔法か?」
「そう、魔法なんです。 ですが、そんな事よりも今帝国と聖国の戦いが」
穏やかな会話の流れだったが、コベソが焦り出す。
「……いやいや、何故人族同士が戦っているのか疑問になりません?」
「うーん、あんまりかなぁ」
「まぁ、そうだな」
俺とペルセポネの返答にコベソの気が抜けた表情。
「へっ? まぁまぁ、この世界ではエウラロノースの管理の元、人族同士では戦いが起きないのはご存知ですよね?」
「あぁ、それは知っている」
「ええ、でも現在起きている」
「矛盾しているわ。 同じ神、信仰対象なのに争う人のよう」
ペルセポネの言葉にコベソは頷く。
「帝国の人間も、聖国の人間も同じ。 しかし違うのは……」
「違うのは?」
「帝国の人間は、本来の人間に近いって事です」
「本来のって?」
帝国やヒグマクスは異界の樹海に近く、時より魔素が大量に流れてくる。その魔素の影響でエウラロノースの『人族同士が争わない』という深層心理に埋め込まれていると。
「かなり昔、いまだエウラロノースや魔族の神がいなかった時代の神によって産み出された人間……それが、帝国とヒグマクスの人間」
「つまり、あの野盗」
「ええ、ヒグマクスに入って野盗に襲われたのはその理由もあるかと」
すると、ペルセポネが首を傾げる。
「でも、なんで争うの? 人同士争うなんて無意味だわ――――言語があるのに。 それに私の仕事増えるし」
――――ペルセポネの言うことは最もだ。だけどペルセポネ、仕事してないのに……仕事増えないぞ。
「あれは……」
コベソは転移者であった。一緒にトンドも転移したのだが、彼等は巻き込まれたと。なんとエウラロノース3人が揉め事の途中で通りかかった時、ビルの看板が落下しその下敷きに。
本来の転移者で勇者と呼ばれたと。
コベソとトンドは真っ白の空間に、包み込まれるほどの大いなる存在にスキルを貰い、若返りながら生きている。
「オレは、エウラロノースを恨んでいるんだ」
「転移に巻き込まれたからか?」
「いや、再び大量の魔素によって魔王が現れた。 その時転移した来た者が、私とトンドの師であり友……阿久津弘樹」
コベソの発する名前にペルセポネが、ポンと手を叩く。
「アクツヒロキ? まるで、あんたの商会の名前と同じねぇ」
「おお、そうです。 彼は『将来、こじんまりとした店をだして、ゆっくりとのんびり暮らす』と言ってましたから」
「こじんまりと?」
「大きくなってしまいましたが……」
――――話が脱線しているが。
苦笑いするコベソが、我に返る。
「話が逸れました。 本題は、エウラロノースに次ぐ勇者……阿久津弘樹。 彼はエウラロノースと魔族の神、そして聖国の聖女アルダーの危険性を謳ったんです」
真剣な顔のコベソに対しペルセポネが「誰だってあの3人ヤバいわ。父みたい」と若干引き気味。
――――ゼウス、最高神で神々の王でもあり俺の弟。その性格は女にだらしない。
ペルセポネの返答に、疑問符が浮かんだコベソ。
「ん、それはどういう」
「えっ?」
「まぁ、こっちの話だ。 それよりも確かにあの3人は危険だが、それと何故聖国と帝国の戦いが関係している?」
「阿久津は、召喚された時エウラロノースの放つ何かに気づき魔王を倒した後、召喚された地である帝国でそれを、放つ何かを解き放つ」
「もしかして!」
「もしかして?あれかっ!」
眉間に皺を寄せるペルセポネの表情に俺は、エウラロノースの放つ何かというのがわかる。
――――あの、死を招く程の激臭か?
「お二人共、既に気づいているとは……さすがです」
「あれはキツいわ」
「あの臭さ――――この俺でも耐えれん」
俺とペルセポネの言葉に、コベソは首を傾げ固まる。
「臭い? におい……では無いのですが」
「は?」
「いや、ヤツが発する害ある何かと言ったら悪臭だけしか思いつかんが?」
「悪臭!? だからあの香炉を――――まぁ……。 あっ阿久津の言う『放つ何か』が、もしかしてそれなのか!?」
目を見開くコベソは、その香炉を自らの空間収納から取り出す。
解き放たれる香炉から溢れ出す悪臭!
「早くしまえっ」
「早くしまいなさいって」
俺とペルセポネはその言葉をコベソに言い放った後直ぐに口鼻を手で塞ぎ、苦しい表情。
俺たちの顔を見たコベソは、直ぐにその香炉をしまう。
臭いを払うペルセポネは、コベソを睨むつける。
「急に出さないで」
「その臭い、本当に苦痛だ。 本来なら死を迎える激臭だぞ」
「そう言えば、阿久津は何時もマスクしていた」
「その激臭がヤツの『放つ何か』と言っている――――その臭いを無効化出来るやつ出来たか?」
「手はつけましたが、まだです」
「本当に早く欲しいぐらいだ。 ヤツの臭いは苦痛でしかない。 炎でかき消しながら戦うのも面倒でな」
「炎でかき消す?」
エウラロノースとの一戦を話すとコベソは何度も頷きながら眉間に皺を寄せる。
「早急に取り掛かってみます」
「本当にぃ?」
「ええ、ユカリ嬢ちゃんを殺されたら……阿久津が報われないと思って」
「コベソは、いつもユカリの事『ユカリ嬢ちゃん』って言うよね?」
「確かに……でも報われないとは?」
――――勇者として召喚された、その阿久津弘樹が、なぜユカリが死んだら困る?
俺の疑問にコベソが真剣な顔で答える。
「阿久津は、ユカリ嬢ちゃん――――鈴木ユカリの父親だから……です」
その言葉を放つコベソは、例の臭いの無効化を進めるためこの場を離れる。すると、天蓋からリフィーナの声が。
「ユカリ、早く出てよっ」
俺とペルセポネは、その声に振り向く。
目を見開くユカリが、天蓋の入口に立っていた。
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