冥王さま、異世界に憧れる。~現地の神からいきなり貰った勇者スキルが全く使えない冥王とその妻は破壊神!?~

なまけものなのな

文字の大きさ
161 / 173
起源から世界を思う神、樹海と祀るエルフ。

冥王、ユカリ達の戸惑いに忠告を与える。

しおりを挟む
 帝国の本陣を離れ戦場の地の中央に位置する所で交戦している剣聖エヴァンの隊と合流する為、俺たちは徒歩でその場所へと向かっている。
 早く駆けつける為に馬車をお願いしたフェルトたが、リフィーナの進言と偵察の兵の言葉で皇帝アドライガは危険とし俺たちは徒歩になった。偵察の兵の言葉だと、突然現れた魔物や残党兵が襲ってきたらしい。

――――リフィーナの言葉が気になる事もないが、多分エルフの国に行くのを遅らせたい、そんな気持ちなんだろうな。

 真剣に歩みの速いユカリとフェルトにフィルの三人よりもリフィーナとミミンそしてドナの三人は更に歩みが速くハキハキと戦場に向かっている。

「確かに魔物がでたり突然襲われて御者を守りながらなんて、戦場では無理ですわ」
「そうよ、だから歩きが最適なの」
「むぅ、人族同士の争いなんて有り得ない」
「私の世界でも、人と人の戦争なんて無かったし」

 会話するユカリ立場の顔が曇っていく。血なまぐさい臭いが流れてくるが、その血臭でなく目の前に、傷つき血が滲む包帯を巻く兵の姿にだ。
 いくつもの大きなテントが並び、元々白であったろう血がこびり付いた服の看護兵かそれに順次た者が行き交っている。
 目の前に見える光景にペルセポネが呟く。

「野戦病院なのかしら?」
「そうみたいだな」
「なら、この先にゴミ――――敵がいるのね」
「あぁ」

――――ゴミと言ってしまっているぞ。

 ペルセポネの言葉をそのままにし、野戦病院を抜けようと足を進める俺だが、そこにフェルトとユカリが俺とペルセポネの足を止める。

「リフィーナ、皆を助けて……ヒールで」
「えっ、あぁ分かったけど。 それやると」
「私も手を貸すから、ここで少し仮眠とって」

 リフィーナの不安な表情の視線はフェルトを指すが、状況を理解出来てないフェルトはユカリの言葉で焦りを見せる。

「向こうでまだ傷ついた人達やエヴァンも戻ってきているのに、仮眠なんて取れないわ」
「フェルト私たち、まともに寝てやしないのよ。 ヒールかエリアヒール使えば、この先回復する手段は無いし……」
「!」
「私だって人なんだから、休みたい。 けどフェルトの真剣な顔でリフィーナとミミン、フィルにドナは必死に応えようと、疲れた顔せずにいるんだよ」
「分かっているわ、分かっていますわよ。 でも兵を救える力があるのに救わないのは……」
「分かっている。 けど私達がここで止まってたらこの先にいる兵士がここに辿り着くことさえ出来ず、負傷し命を落としているかもしれない。 それに私は勇者、ここの人たちも救いたいけど、戦場に行けばより多くの人を救える」
「むぅ、治療はここの人達に任せエヴァンさん達を助けに行くのが一番」

 真剣な顔で言い合うユカリ達にフェルトは、困惑する。揉めあっている中、軽傷のような兵が、集まってくると兵士が怒りを見せる。

「き、貴様ぁぁっ、勇者かっ」
「勇者だぁぁっ、あの神エウラロノースの犬がぁっ」
「人族を狂わし、世界を分断させた元凶!!」

 フラフラしている兵が武器を手にとり、ユカリ達に少しずつ詰め寄ってくる。たが、その中装飾の入った鎧を着けた者が声を上げる。

「も、もしやフェルティエーゼ様、ではっ」

 その声に怒りで満ち溢れていた兵士の怒りが、一瞬で鎮まる。状況を理解出来てない兵もいるみたいだ。

「ダンパー・ニスデです。 フェルティエーゼ様」

 ブロンドの髪をした貴族っぽい男性が、兵士達の前にでて膝を着くと、兵士も同時に膝を着き頭を下げる。

「無事で良かったですわ。 立ってください」
「勇者、勇者がいると声が聞こえるものだからもしやと……」

――――話が長引きそうな。ユカリは困惑たが、リフィーナ達は休んでいるのか。

 話をしているフェルトにペルセポネが近づく。

「ねぇ、話の途中悪いけど。 あなた達はここにいなさい」
「えっ?」
「ちょっとっペルセポネ! 私たちの事考えてなら……」
「そうですペルセポネさん。 私たちは聖国を止めるという」

 フェルトの驚きにリフィーナとユカリがペルセポネに突っかかるが、その言葉を吐いた瞬間ユカリ達の表情が凍りつく。

「はぁ――――邪魔なのよ。 わかる? わからないわよね、でも邪魔なの」
「じゃ、邪魔ってぇっ!」
「そうよ。 不安な事が起きると人はそこで足を止めるわ。 やるべき事を止め、不安な事に目をやり目的を忘れ、いざ目的をやろうとすると深刻が更に増し獲られるものすら失ってしまう」
「私たちは進むって」
「ペルセポネさん。 私たちは進みます、人族の争いを止めます」
「一人が決断を鈍らせて、ここに止まってしまったのに?」

 言葉が止まってしまうユカリとリフィーナ。フェルトも気付いたのか申し訳なさそうな顔。

「ペルセポネ。 いい加減にしろ」
「そうね。 ここで言い争っていても同じだもの」
「ユカリたちは、ここで負傷者を診てくれ」
「わっ、私たっ」

 フェルトの言葉を止めるペルセポネは、ユカリ達に冷たい視線を送る。

「来ても、あっちの負傷している兵を見て、あなたは同じ事を言うんじゃなくて?」
「……」
「俺とペルセポネでその……あれだっ――――先に進んで聖国の兵を止める」
「そういう事。 私とハーデスが行けば向こうにいるアレを助けられるし、聖国の奴らをコロせ――――侵攻を止めてくるわ」

 軽く手を振り俺とペルセポネは、先に進みこの場から去る。
 野戦病院から「なんなのぉっ~!」とリフィーナの叫び声が聞こえるとペルセポネが、ため息を吐く。

「なんか、アホが」
「ペルセポネ、お前もアホだよ」
「なっ」
「素直に『俺らが行くから、ここで治してやって』と言えばいいのに」
「だって」
「気持ちは分かる。 目的を達成させたいが為に忠告しても、人というのは不安が走ればそれを払拭する為に、忠告した約束を破る。 目的を達成させたかったのにな」
「うん。 まぁ、私達がいけは彼女らの目的は達成するし」
「まぁ、ペルセポネが辛くなければそれで良い」
「ありがと」

 笑顔のペルセポネ。

――――やはり可愛く美しい。日の射す大地に色付く花のようだ。

 ペルセポネが、その笑顔で尋ねてくる。

「ねぇ、冥王さま……」
「ここでは、ハーデスだ」
「そうだけど、ハーデス。 武器そのバイデントでいくの?」

――――あっ!!

 魔族の神クロセアノスの時か、あのエウラロノースとの戦いの時か、ハルバードが折れたのを思い出す。

――――手に馴染んでいるこの二又の槍バイデント。おれのもう一つの相棒なのだが。

 俺は、この世界では出来る限りこの世界の武器と決めた。

――――失念していた。もう二又の槍バイデントが馴染みすぎて、ハルバードの事を忘れていた。

 ペルセポネの言葉に俺は足を止め、ただ空を眺め俺は思う。

――――異世界、剣と魔法のファンタジー世界は、やはりそれなりの汎用な武器よりも、強い武器が求められるという事か!!

 俺は異世界にある定義を確信に変える。
 すると「ハーデス。なにしてるの?」とペルセポネの呼ぶ声に俺は足を進める。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

処理中です...