冥王さま、異世界に憧れる。~現地の神からいきなり貰った勇者スキルが全く使えない冥王とその妻は破壊神!?~

なまけものなのな

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起源から世界を思う神、樹海と祀るエルフ。

冥王、ペルセポネと彩り豊かな冒険者と交戦に、乱入する者に怒りを覚える。

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 先程まで憎たらしい笑みを浮かべ、あの屍人の臭い男を殺そうとしていた聖国の兵士共が、今となっては、恐怖にかられ逃げ惑う。
 一瞬にして十数名の聖国兵の身体が切断され噴きでる鮮血。そしてペルセポネが地面をすくい上げ空高く打ち上げた大地が、砕け大きな土塊てして落ちてくる。振り落ちる土塊が数多くの兵を潰し沈黙させている。

「敗走する者を攻撃するのは、如何なものか?」
「戦争なんだから彼らは、死ぬ覚悟持ってやってるんでしょ。 それに彼らだって逃げる者を追っかけたんだから、良いんじゃない」

 微笑みながら剣を振り回すペルセポネの動きは、まるで水辺で翼を広げ踊る白鳥のようだ。
 しかしながら、振り落ちる土塊によって美しさと言うより地獄絵図と言ってもいい。

――――地獄はこれよりも酷い光景なんだが。

 そんな俺も二又の槍バイデントを振るい、逃げ遅れ助けを求める眼差しをする聖国の兵士を楽にさせている。

――――だいぶ進んでしまったな。剣聖とやらは深手負っているはずだ。何処かに逃げ隠れているのか?

「めい……ハーデスっ!」

 突然飛んでくるペルセポネの呼びかけに、俺の視界は辺りを見渡した後、燃えさかる真っ赤な炎が俺へと勢い良く一直線に迫る。
 バイデントで突き刺し、地面へと振り落とす。

「あいつもやりやがったわ」
「規格外の女の――――男だ。 警戒しつつペルセポネを殺すぞっ」

 俺とペルセポネに立ちはだかる五人の男女。赤い髪に赤を強調させた防具と衣が、強い口調で『ペルセポネを殺す』と口にする。

――――ペルセポネを殺すだと!

 俺はバイデントを強く握りしめ、怒りに震えると突然のペルセポネの笑い声。

「あぁら、その五色の格好した者は覚えているわ。でもぉ~見た記憶だけで後は、なぁ~んにも覚えてないのよ。印象があるのに色以外印象がないのよねぇ」

――――確かに。名前を名乗っていたはずだ、名乗っていたか? でも、俺たちに近しい名のような気がするが……。

「いっ、このベット家であり俺たちAランク冒険者パーティー【紅蓮の聖典】を……そんな減らず口を言えるのはここまでだ」
「この前の俺たちと一緒だと思ったら大間違いだ」
「そうだ。 俺たち【紅蓮の聖典】は更に強くなった」

 爽やかに薙刀を突き出すのは青い髪に青い格好の青白い肌の青年と、これまた同様に戦斧を前に出し白い歯を出して笑う黄色の髪と黄色の鎧をまとう優男。

「はぁ、長々と考えていた決めゼリフを言われてもねぇ。 私は『この前』や『更に』って言われても全くあなた達の事を色以外忘れているの」

――――ダメだ、思い出せん。確か、彼らは俺たちに近しい名だったような。……うーん、色の印象で出会ってた事は思い出したが、名前までは……。

 五色の男女のパーティー紅蓮の聖典を見ているペルセポネの姿は、肩を落とし、ため息を吐いて哀愁の眼差しをしている。

「ちょっとぉっ、呑気にしてたら痛い目に合うわよ」
「そう、私たち。 ほんとぉぉぅっに強くなったんだから」

 緑色のショートヘアの神官らしい服装の女性が鼻を高くし笑みを浮かべ、ピンクのツインテールで魔法使いの格好した女が睨んでくる。
 その表情に対しペルセポネが、睨み返す。

「なら、ここは戦場なのよ。 その強くなったという事を口ではなく実戦で証明しなさいな」

 不敵の笑みをするペルセポネは、二本の剣を構える。
 俺たちの足が止まった今、逃げていた兵がAランクの冒険者パーティー【紅蓮の聖典】を応援し出す。
 その応援の声に応えるかのように赤い髪の青年は、手に持つ大剣を高く掲げる。そして周りの兵達も歓声を上げる。

「大丈夫か?」
「ええ、Aランクのパーティーと戦って見たかったの。 だから手を出さないで」
「あぁ」

 ペルセポネの口元が緩んでいるように見える。しかしそこ以外は、戦場という場所もあってか張り詰めた空気に真剣な表情をしている。
 俺は『戦って見たかったの』って、そいつらと前に戦ったじゃないか?という返答を飲み込みただ頷いた。
 ピンクのツインテール女魔法使いが、ド派手な火の魔法を連発。緑色ショートヘアの神官女が全員に補助魔法を使いパーティー全員を強化させている。
飛びかかる黄色の男の戦斧がペルセポネに向け振り下ろされると、同時に青の男の薙刀の刃が横から迫る。
 しかし、全てペルセポネはこれを回避する。
 火の魔法を全て蹴散らし、足を踏みこんで緑色ショートヘアが魔法を発動する度に、地面から鋭利な円錐状が飛び出す。そして戦斧と薙刀を払い両者に蹴りを喰らわせる。

「まっ魔法が……」
「あの女、土魔法をっ」
「俺の渾身の」
「この俺もだっ」

 更に口元が緩むペルセポネ。
 唖然とする四色の男女、赤い男が大声を発する。

「奴はさっきまで動いていたっ。 しかし俺たちは、今動いたばかり。 身体が温まってないんだ!」

 その言葉にハッとし四色の男女は目の色が変わる。

――――いやいや、それは違うだろ。

 俺は、その言葉を飲み込む。

――――それに周りの兵どもよ。美しいペルセポネの可憐で華麗な動きを見たか?見てないな。まさに芸術、いや神秘だ。ペルセポネは神だけどな。

 俺は、周りの奴らが残念な事に頭を抱える。
 凛とするペルセポネの視線は五色の男女に向けられ、間合いと取りつつ相手の動きをみている。
 しかし、それすら気付いてないのか赤の男が、大剣を自慢気に振るいながら笑みを浮かべペルセポネに近づく。

「この前のようには行かないぞ、おめぇがお爺様より強くてもなっ」

 赤の男が大剣をペルセポネに突きつける。四人と周りの兵が活気づく。

「おうよっ」
「ふん、俺たち五人は強い」
「聖王さまから与えられた力があるわ」
「五人まとまれば、あんたなんかコテンパンよ」
「あら、そんな御託はいいから早くかかってきなさいな」

 二本の剣をぶらんと下げたまま立ち尽くすペルセポネは、五人に向け微笑む。兵士たちの罵声をも清々しい表情で微笑んでいるが、目は笑っていない。

「その言葉、後悔させてやる。 行くぞッ」
「「「「オウっ!!」」」」

 赤と青に黄色がペルセポネに襲いかかる。
 緑色ショートヘアがすかさず補助魔法らしきものを掛けようとする。しかしペルセポネはそれを阻止しようとはしない。
 ピンク色ツインテールが、火の球を乱発しその後電撃がペルセポネを襲う。
 彼らの連携された一撃を見事に躱したペルセポネを更に追撃する五色の男女。
 先程よりも素早くペルセポネに狙いを定める。
 勢いと威力が上がったような火と電撃が、ペルセポネに目掛け放たれる。数多くの火の球が、煙幕を生みペルセポネの姿が煙に包まれる。

「キャッ」

 ペルセポネの叫び声だが、全く悲痛を感じない平坦な声量に、男三人がペルセポネに向け武器を振るいあげ襲いかかる。

「イプシロンの魔法を喰らったぞぉぉっ」
「貰ったぁぁぁっ!」
「俺たちはお爺様を超えるぅぅっ」

――――はぁ、明らかに芝居だ。

 ニヤッと笑う三人の武器の刃がペルセポネに迫る。
 一瞬にして煙が晴れると、ペルセポネの剣が横に一閃。弾き返され吹っ飛ぶ男三人に巻き込まれる緑色とピンク色。項垂れ中々起き上がれない五人から苦痛の声。

「何か、攻撃の仕掛け……パターンが同じなのよね」

 見下すように彼らを見るペルセポネは、その言葉を放った瞬間、何かを察知したのか真横に飛ぶ。
 後方にあった草木が切り落とされ、短い黄白色の糸が宙を舞っている。
 目を見開くペルセポネ。
 五色の男女の後方にいる大勢の兵士たちの群れが二つに割れ、その間から現れたのは武装した白髪混じりの紺色でオールバックの中年男性と、既に頭髪が無い老人が微笑みながらやってくる。

「不意打ちでも避けられてしまうかいのぉ~」
「父上。 そんな真似をしなくても」
「まぁ、そうでもせんと簡単に殺せんでのぉ」

 煌びやかな刀身の剣を持つハゲ老人は、にこやかな表情が消える。

――――ペルセポネの髪をっ!

 俺は、その老人を睨みつける。するとペルセポネがゆっくり剣を横に上げる。

 一瞬俺を見るペルセポネ。その表情は口角が上がっている。

「まるで、私に恨みでもあるような口ね」
「あぁ、恨みはないぞ。 じゃが、お主がいると枕を高くして寝れんのじゃよ」
「それが恨みでは?」
「お主がワシよりも弱ければそれでよし。 しかしそれでは冒険者ギルドが認めんじゃろう」
「何が言いたい……の?」
「お主の死体を持って行けば。 ワシが強い事が証明できる。 つまりあの時の事もお主が邪魔をした。ベット家がレッドドラゴンを倒した事が事実となるのじゃよ」

 首を傾げるペルセポネの様子に笑いながら口を開くハゲ老人。

「まぁ、かなり昔の話じゃからな。 忘れとると思うけどソチも見た目はあの時と変わらんが、歳と共に動きは鈍くなるでのぉ」

 煌びやかな剣を振り上げると、幾度か振り切る。
 空間が歪みが速い速度で移動する。まさに飛ぶ斬撃ががペルセポネに襲いかかる。
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