3 / 84
3
しおりを挟む
「お嬢様、お目覚めになられたのですね。お加減はいかがですか?」
無表情で淡々と話してくる彼女は、専属侍女のサーシャだ。
あまり口数は多くはないが、仕事ぶりはまさに、かゆいところに手が届くような感じで私はとても気に入っている。
私は身体をお越し『もう大丈夫よ』とサーシャに伝えた。
「ご無事で何よりです。
お医者様からは、脳震盪との事でした。
念のため、また明日いらっしゃるそうです」
「分かったわ・・・」
転んだ事がお母さまにバレたら大変だから、お医者様には口止めしなきゃいけない。
「そろそろ、旦那様と奥様がお戻りになるかと思いますので、安静にしていてください。レモン水をお持ちしましたが、他に何か御入用な物はございますか?」
私はにっこりと微笑みながら『ありがとう。特に無いわ』と伝えたのだった。
サーシャがサイドテーブルに飲み物を置いてから、再度、口を開く。
「目覚めて、すぐで申し訳ないのですが、先ほど、王宮の使いの者から、ウィルフォード殿下のお手紙をお預かりしております。こちらもサイドテーブルに置いておきますので、後ほどご確認ください。それでは失礼致します」
サーシャは胸に手を当てながら頭を下げて挨拶をし、退出して行ったのだ。
そうして、私は冷たいレモン水を飲みながら、手紙を手に取る。
思わず、『ふぅっ』とため息が出てしまった。
そう、先ほど思い出した婚約者だ。
彼はウィルフォード・ネイトピア。この国の第三王子である。
話に聞くと、国王からの強い打診で、お互いが3歳の時に婚約を結んだそうだ。
そして、私が前世を思い出すきっかけとなったお茶会の相手。
何故ため息が出たかと言うと、前世を思い出して気付いてしまったのだ。
彼が私の事を良く思っていない事に。
さぁここで、いつものお茶会の様子を説明させてほしい。
笑顔で話しかける私に、しかめ面のウィルフォード様。
返事はしてくれるが、話題はいつも私からだ。
前世を思い出した私には、とても耐え難い状況だった。
これだけの、そぶりをされて気が付かないなんて、今までの私は、ある意味只者ではないのかもしれない。
けど。
・・・そう言えば、3年前に一度だけプレゼントを貰ったことがあった。
『あげる、あけてみて』ってぶっきら棒に言われたけど、そんなの気にしない私は、ワクワクしながらプレゼントを開けたのだ。
そうして、出てきたのはフレームが赤いメガネだった。
?
なんでメガネ?私、目が悪くないのに。
・・・でもウィルフォード様がくれたのだから、特別なメガネなんだわ。
そう思い、私は置いてあるメガネをジーっと見ていたのだ。
それから、暫くすると、目の前のウィルフォード様が指を握りしめて伏し目がちにソワソワとしているではないか。
だから私は、(これはきっと、メガネの効果を聞きたいのね!)
そう思った私は早速、手に取り掛けてみたのだった。
すると・・・。
あれ?掛けても何ともないよ。
・・・壊れてるのかな?
でも、あげたものが壊れてるなんて知ったら、ウィルフォード様が傷ついちゃう。
そして私は笑顔で告げたのだった。
「ウィルフォードさま、ありがとうございます。たいせつにします」と。
一応、自宅へ帰り、調べてみると何の変哲もない伊達メガネだったのだ。
メガネを掛けた私を見てウィルフォード様はなんだか残念そうな顔をしていたけれど、今思えば、あのメガネは何だったのか。
謎は謎のまま、現在進行中だ。
無表情で淡々と話してくる彼女は、専属侍女のサーシャだ。
あまり口数は多くはないが、仕事ぶりはまさに、かゆいところに手が届くような感じで私はとても気に入っている。
私は身体をお越し『もう大丈夫よ』とサーシャに伝えた。
「ご無事で何よりです。
お医者様からは、脳震盪との事でした。
念のため、また明日いらっしゃるそうです」
「分かったわ・・・」
転んだ事がお母さまにバレたら大変だから、お医者様には口止めしなきゃいけない。
「そろそろ、旦那様と奥様がお戻りになるかと思いますので、安静にしていてください。レモン水をお持ちしましたが、他に何か御入用な物はございますか?」
私はにっこりと微笑みながら『ありがとう。特に無いわ』と伝えたのだった。
サーシャがサイドテーブルに飲み物を置いてから、再度、口を開く。
「目覚めて、すぐで申し訳ないのですが、先ほど、王宮の使いの者から、ウィルフォード殿下のお手紙をお預かりしております。こちらもサイドテーブルに置いておきますので、後ほどご確認ください。それでは失礼致します」
サーシャは胸に手を当てながら頭を下げて挨拶をし、退出して行ったのだ。
そうして、私は冷たいレモン水を飲みながら、手紙を手に取る。
思わず、『ふぅっ』とため息が出てしまった。
そう、先ほど思い出した婚約者だ。
彼はウィルフォード・ネイトピア。この国の第三王子である。
話に聞くと、国王からの強い打診で、お互いが3歳の時に婚約を結んだそうだ。
そして、私が前世を思い出すきっかけとなったお茶会の相手。
何故ため息が出たかと言うと、前世を思い出して気付いてしまったのだ。
彼が私の事を良く思っていない事に。
さぁここで、いつものお茶会の様子を説明させてほしい。
笑顔で話しかける私に、しかめ面のウィルフォード様。
返事はしてくれるが、話題はいつも私からだ。
前世を思い出した私には、とても耐え難い状況だった。
これだけの、そぶりをされて気が付かないなんて、今までの私は、ある意味只者ではないのかもしれない。
けど。
・・・そう言えば、3年前に一度だけプレゼントを貰ったことがあった。
『あげる、あけてみて』ってぶっきら棒に言われたけど、そんなの気にしない私は、ワクワクしながらプレゼントを開けたのだ。
そうして、出てきたのはフレームが赤いメガネだった。
?
なんでメガネ?私、目が悪くないのに。
・・・でもウィルフォード様がくれたのだから、特別なメガネなんだわ。
そう思い、私は置いてあるメガネをジーっと見ていたのだ。
それから、暫くすると、目の前のウィルフォード様が指を握りしめて伏し目がちにソワソワとしているではないか。
だから私は、(これはきっと、メガネの効果を聞きたいのね!)
そう思った私は早速、手に取り掛けてみたのだった。
すると・・・。
あれ?掛けても何ともないよ。
・・・壊れてるのかな?
でも、あげたものが壊れてるなんて知ったら、ウィルフォード様が傷ついちゃう。
そして私は笑顔で告げたのだった。
「ウィルフォードさま、ありがとうございます。たいせつにします」と。
一応、自宅へ帰り、調べてみると何の変哲もない伊達メガネだったのだ。
メガネを掛けた私を見てウィルフォード様はなんだか残念そうな顔をしていたけれど、今思えば、あのメガネは何だったのか。
謎は謎のまま、現在進行中だ。
72
あなたにおすすめの小説
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
煤かぶり姫は光の貴公子の溺愛が罰ゲームだと知っている。
朝霧心惺
恋愛
「ベルティア・ローレル。僕の恋人になってくれないかい?」
煌めく猫っ毛の金髪に太陽の瞳、光の貴公子の名を欲しいがままにするエドワード・ルードバーグ公爵令息の告白。
普通の令嬢ならば、嬉しさのあまり失神してしまうかもしれない状況に、告白された令嬢、ベルティア・ローレルは無表情のままぴくりとも頬を動かさない。
何故なら———、
(罰ゲームで告白なんて、最低の極みね)
黄金の髪こそが美しいという貴族の価値観の中で、煤を被ったような漆黒の髪を持つベルティアには、『煤かぶり姫』という蔑称がある。
そして、それは罰ゲーム結果の恋人に選ばれるほどに、貴族にとっては酷い見た目であるらしい。
3年間にも及ぶ学園生活も終盤に迫ったこの日告白されたベルティア、実家は伯爵家といえども辺境であり、長年の凶作続きにより没落寸前。
もちろん、実家は公爵家に反抗できるほどの力など持ち合わせていない。
目立つ事が大嫌いでありながらも渋々受け入れた恋人生活、けれど、彼の罰ゲームはただ付き合うだけでは終わらず、加速していく溺愛、溺愛、溺愛………!!
甘すぎる苦しみが、ベルティアを苦しめる。
「どうして僕の愛を疑うんだっ!!」
(疑うも何も、そもそもこの恋人ごっこはあなたへの罰ゲームでしょ!?)
【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。
なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。
本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』
鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
--
【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました
22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。
華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。
そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!?
「……なぜ私なんですか?」
「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」
ーーそんなこと言われても困ります!
目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。
しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!?
「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」
逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?
【完結】人生2回目の少女は、年上騎士団長から逃げられない
櫻野くるみ
恋愛
伯爵家の長女、エミリアは前世の記憶を持つ転生者だった。
手のかからない赤ちゃんとして可愛がられたが、前世の記憶を活かし類稀なる才能を見せ、まわりを驚かせていた。
大人びた子供だと思われていた5歳の時、18歳の騎士ダニエルと出会う。
成り行きで、父の死を悔やんでいる彼を慰めてみたら、うっかり気に入られてしまったようで?
歳の差13歳、未来の騎士団長候補は執着と溺愛が凄かった!
出世するたびにアプローチを繰り返す一途なダニエルと、年齢差を理由に断り続けながらも離れられないエミリア。
騎士団副団長になり、団長までもう少しのところで訪れる愛の試練。乗り越えたダニエルは、いよいよエミリアと結ばれる?
5歳で出会ってからエミリアが年頃になり、逃げられないまま騎士団長のお嫁さんになるお話。
ハッピーエンドです。
完結しています。
小説家になろう様にも投稿していて、そちらでは少し修正しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる