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「エル、学校は楽しいかい?」
今日からまた1週間の始まりだ。
うちは都合が付く時は、家族みんなで食事を取ると言う約束がある。
そんな中、兄が聞いてきた。
「もちろん楽しいですわ!私、メル以外のお友達も出来ましたの」
「なに!?本当か?」
父が食い気味に聞いてくる。
「ええ、アグネス・ムーア子爵令嬢です。彼女はとても朗らかな方なのですよ。
私も、メルも仲良くさせてもらっています。」
「そうか。よかったな!学園時代に仲良くなった友は、一生の友になり得るからな。
大事にしなさい。」
父は余程嬉しいのか、『そうか、そうか』と微笑みを浮かべ、何度も呟いている。
そんな父を見ていた母が『今度、お茶会にお友達を招待してはどうかしら?』とにこやかに言ってくれた。
そんな両親に私も嬉しくなり、『今日、二人に聞いてきますね』と伝えたのだ。
だがその時、蚊帳の外になってしまった兄が口を開いた。
「じゃあ、僕も参加しようかな!」
「え?剣の稽古は大丈夫なのですか?」
茶を飲むなら剣を振っていたい、と考える兄だ。
思わぬ発言に耳を疑ってしまった。
「・・・エル。その言い方だと、剣の稽古しか、していないみたいじゃないか。
ちゃんと、次期公爵としての手伝いも、しているんだよ」
「そうでしたわ。お兄様、ごめんなさい。」
「まぁ、確かに、剣の稽古も欠かさないからね。
でも、僕もエルのお友達に会いたいから、時間を作るよ!」
私はそんな兄に『ありがとう』と伝えた。
視線を感じ、斜め向かいを見ると父がソワソワとしている。何だろうと思い様子を伺うと。
「ゔ、うん。
・・・・私も参加しようかな」
「あなたは、お仕事があるでしょう。お茶会に参加は無理でも挨拶はできますわ。
私と一緒に挨拶をしましょうね。」
母の反論の余地を与えない返事をされ、父は渋々納得したのであった。
そして朝食も終わり、学校へと向かう。
クラスには既に、メルティアとアグネスが話をしていた。
お茶会の話をしたら、『是非に』と言われたので今日帰ったら招待状を書こうと思う。
そんなこんなでチャイムが鳴った。
今日は魔力についての授業だ。
まさか、この世界に魔法があるなんて、今まで知らなかった。
家族の誰も魔法を使っていなかったからだ。
すごいわ!異世界って言ったら、やっぱり魔法よね!
ドキドキ・ワクワクしていたら、先生がやって来た。
・・・ん?・・・あれは!?
良く目を凝らして見ると、先生のお腰に付いていたのは、前世、子供から大人まで大人気だった、モンスターを捕まえて戦わせる某アニメに登場する、ボールに似た物をぶら下げていたのだ。
何が入っているのかしら。
装着の仕方といい、まるっきり、あのボールみたいよね?
私は頭を捻りながら考えていると、授業が始まった。
先生の話を要約すると。
私達の身体には魔力が流れているが、それ単体では使う事が出来ない。
使うには媒体するものが必要。
そして、媒体として使うのが、先生のお腰に付いているボール。こと、マジッククレーと言うのだ。
しかも、この国は攻撃魔法が禁止されていると言う。
ファイアボールとか、派手な魔法を使ってみたかった私は、少し心が萎んでしまった。
このマジッククレーを作るのが授業の内容なのだ。
そして、マジッククレーは1つ作れば何でもできるのではなく、1つに1用途の魔法しか付与出来ない。
だから、何個も連なって付けていたのね。
・・・納得だわ。
火をつける・氷を出す・風を起こす。これだけで、3つのマジッククレーが必要となる。
便利なのか、不便なのか、良く分からない仕様だ。
そして、このマジッククレーを使い易くする為に、埋め込んだ物がドタイヤー等なのだ。
要するに、マジッククレーは家電の動力の様な物で、埋め込まなくても単体で使えるのだ、と先生は言っている。
今まで当たり前の様に生活していたが、家の中の魔力?製品全て魔力で動いているんだって。
・・・ずっと電気だと思っていた。
そして、このマジッククレーを家族が全く使わなかったのも分かる。
メイドがいるのに、家事製品を持つはずもない。
以前は、攻撃魔法もあったが、今は、隣国とも友好的だし、逆に治安が乱れるとの事で、禁止されている。
それと、この世界。モンスターもいないんですって!
だから、戦う必要がないのだ。
なんとも平和な世界である。
・・・平和サイコー!
だからと言って、技術が失われてはいけないので、資料は王宮に保管してあるらしい。
このマジッククレーは、粘土の様にコネコネして作り上げる。
粘土を触ると、頭の中に回路が浮かぶのでプログラミングの様に、1つ1つ動作を落とし込んでいくのだ。
例えば、火をつけたい場合、火だけを想像してもダメだ。
火がつく原理を順番ずつ想像してコネコネしながら入力していく。
そうして完成すると、白色だった粘土に属性の色が付き、硬いボールとなるのだ。
学園では、基本的な火・風・水・氷の作り方を教えてくれる。
アレンジすればもっと凄い物が作れる様になるらしい。
授業後にメルティアが言っていたが、街にマジッククレー専門ショップがあって、アレンジ商品などの買取り・販売をしているそうだ。
ちょっとしたお小遣い稼ぎをしている方もいるんだって。
期待とは違った魔法事情だったけれど、これはこれで楽しそうだ。
私は、便利な家事製品が出来ないかなって思いを巡らせたのであった。
今日からまた1週間の始まりだ。
うちは都合が付く時は、家族みんなで食事を取ると言う約束がある。
そんな中、兄が聞いてきた。
「もちろん楽しいですわ!私、メル以外のお友達も出来ましたの」
「なに!?本当か?」
父が食い気味に聞いてくる。
「ええ、アグネス・ムーア子爵令嬢です。彼女はとても朗らかな方なのですよ。
私も、メルも仲良くさせてもらっています。」
「そうか。よかったな!学園時代に仲良くなった友は、一生の友になり得るからな。
大事にしなさい。」
父は余程嬉しいのか、『そうか、そうか』と微笑みを浮かべ、何度も呟いている。
そんな父を見ていた母が『今度、お茶会にお友達を招待してはどうかしら?』とにこやかに言ってくれた。
そんな両親に私も嬉しくなり、『今日、二人に聞いてきますね』と伝えたのだ。
だがその時、蚊帳の外になってしまった兄が口を開いた。
「じゃあ、僕も参加しようかな!」
「え?剣の稽古は大丈夫なのですか?」
茶を飲むなら剣を振っていたい、と考える兄だ。
思わぬ発言に耳を疑ってしまった。
「・・・エル。その言い方だと、剣の稽古しか、していないみたいじゃないか。
ちゃんと、次期公爵としての手伝いも、しているんだよ」
「そうでしたわ。お兄様、ごめんなさい。」
「まぁ、確かに、剣の稽古も欠かさないからね。
でも、僕もエルのお友達に会いたいから、時間を作るよ!」
私はそんな兄に『ありがとう』と伝えた。
視線を感じ、斜め向かいを見ると父がソワソワとしている。何だろうと思い様子を伺うと。
「ゔ、うん。
・・・・私も参加しようかな」
「あなたは、お仕事があるでしょう。お茶会に参加は無理でも挨拶はできますわ。
私と一緒に挨拶をしましょうね。」
母の反論の余地を与えない返事をされ、父は渋々納得したのであった。
そして朝食も終わり、学校へと向かう。
クラスには既に、メルティアとアグネスが話をしていた。
お茶会の話をしたら、『是非に』と言われたので今日帰ったら招待状を書こうと思う。
そんなこんなでチャイムが鳴った。
今日は魔力についての授業だ。
まさか、この世界に魔法があるなんて、今まで知らなかった。
家族の誰も魔法を使っていなかったからだ。
すごいわ!異世界って言ったら、やっぱり魔法よね!
ドキドキ・ワクワクしていたら、先生がやって来た。
・・・ん?・・・あれは!?
良く目を凝らして見ると、先生のお腰に付いていたのは、前世、子供から大人まで大人気だった、モンスターを捕まえて戦わせる某アニメに登場する、ボールに似た物をぶら下げていたのだ。
何が入っているのかしら。
装着の仕方といい、まるっきり、あのボールみたいよね?
私は頭を捻りながら考えていると、授業が始まった。
先生の話を要約すると。
私達の身体には魔力が流れているが、それ単体では使う事が出来ない。
使うには媒体するものが必要。
そして、媒体として使うのが、先生のお腰に付いているボール。こと、マジッククレーと言うのだ。
しかも、この国は攻撃魔法が禁止されていると言う。
ファイアボールとか、派手な魔法を使ってみたかった私は、少し心が萎んでしまった。
このマジッククレーを作るのが授業の内容なのだ。
そして、マジッククレーは1つ作れば何でもできるのではなく、1つに1用途の魔法しか付与出来ない。
だから、何個も連なって付けていたのね。
・・・納得だわ。
火をつける・氷を出す・風を起こす。これだけで、3つのマジッククレーが必要となる。
便利なのか、不便なのか、良く分からない仕様だ。
そして、このマジッククレーを使い易くする為に、埋め込んだ物がドタイヤー等なのだ。
要するに、マジッククレーは家電の動力の様な物で、埋め込まなくても単体で使えるのだ、と先生は言っている。
今まで当たり前の様に生活していたが、家の中の魔力?製品全て魔力で動いているんだって。
・・・ずっと電気だと思っていた。
そして、このマジッククレーを家族が全く使わなかったのも分かる。
メイドがいるのに、家事製品を持つはずもない。
以前は、攻撃魔法もあったが、今は、隣国とも友好的だし、逆に治安が乱れるとの事で、禁止されている。
それと、この世界。モンスターもいないんですって!
だから、戦う必要がないのだ。
なんとも平和な世界である。
・・・平和サイコー!
だからと言って、技術が失われてはいけないので、資料は王宮に保管してあるらしい。
このマジッククレーは、粘土の様にコネコネして作り上げる。
粘土を触ると、頭の中に回路が浮かぶのでプログラミングの様に、1つ1つ動作を落とし込んでいくのだ。
例えば、火をつけたい場合、火だけを想像してもダメだ。
火がつく原理を順番ずつ想像してコネコネしながら入力していく。
そうして完成すると、白色だった粘土に属性の色が付き、硬いボールとなるのだ。
学園では、基本的な火・風・水・氷の作り方を教えてくれる。
アレンジすればもっと凄い物が作れる様になるらしい。
授業後にメルティアが言っていたが、街にマジッククレー専門ショップがあって、アレンジ商品などの買取り・販売をしているそうだ。
ちょっとしたお小遣い稼ぎをしている方もいるんだって。
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