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第一章 ゼイウェンの花 編
14 エーナの決意
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「買いました! …彼女のことをね。」
……………。
…………………………………………。
…………………………………………………………あれ?
「………せいやっ。」
「あてっ!」
コールにパスンと、頭を叩かれる。
(何、紛らわしいこと言ってるんですか! 場の空気、凍り付いてますよ!)
(あれれ、不発だったか~。)
(不発だったか~……………じゃないですよ! も少し空気を読んでください!)
小声で、コールから痛烈なダメ出しを食らう。自信あったんだけどなぁ………。
エーナの方からも、冷たい視線を感じる。
「………正確に言いますと、彼女は今、私の商会の人間です。」
そう言い視線を送ると、コールは鞄からその証明をする旨の書類を取り出し、人々に掲げた。
まあ、このようなジョークを言ったとしても、“公商紋章”を持つ人間を隷属させることができないのは公然の事実。だからこそ、みんな微妙な反応をしたのだろう。
……………そう、捉えることにする。
すると、婦人は先ほどと変わらない表情で、僕に問いを重ねる。
「……………あなたの下に居るから、彼女を信用しても大丈夫と?」
農家の人々も、それに同調するような反応をする。
ま、普通は納得しないよね。でも………。
「この金色の“公商紋章”。それが示す信用は、婦人もご存知のはずでしょう?」
僕の見せる笑顔に、婦人は少々怪訝な表情を浮かべる。
「どうかしらね。フーロン商会という、良い前例があるから。」
腕組みをして少し考えて、僕は、婦人や人々の方を向く。
「僕のそばにいる限り、噓はつかせません。……………何をしても、ね。」
そう、最大限の笑顔で答える。コールとエーナは、何故か額に小さく汗を浮かべていた。
婦人は小さくため息をつくと、懐から小さなハンカチを出して額を拭った。
「…まあ、頼んでおいて信用できない、というのはおかしな話よね。」
「……………………………。」
婦人は、エーナの方へと目をやった。彼女は、未だ口を開かずに居た。
そんなミナの様子を悟ったのだろう。彼女を思いを、汲んだのであろう。
「どうして、あなたがこの場所へと戻ってきたのか。私には分からない。だけど………。」
観衆から向けられる視線に、無言を貫く、彼女の決意を。
婦人の拳には、自然に力が入っていた。彼女が伏せる目に浮かぶその思いは、僕にもよく伝わってきた。
「私には………この街のために尽くしてくれたあなたへの恩を、仇で返すことはできません。」
婦人は………公としての立場、彼女の中にある心情。どちらとでも捉えることができる返しをしてくれた。
…恩を仇で返すことができない。そう、彼女が口にしてくれたおかげで、僕も大分動きやすくなった。
「…婦人のお気持ち、よく分かりました。しかし………レーヴの民は、どう思っているでしょうね?」
そう言って、意地の悪い笑みを浮かべて、いつの間にか静まり返った民衆を見渡す。一番初めに出てきたおじさんも、何かを言いたいが、しかし躊躇している様子が見える。
………そのおじさんが何か決意し、口を開こうとした瞬間だった。
「ちょっと、待ってくださいっ!!」
一人の女性が、観衆の中から声を上げた。ざわめく観衆を押しのけ、その声の主は僕たちの方へと姿を現した。
「セリ…………さん…………………。」
出てきた女性を見て、エーナはそう呟いた。
……………。
…………………………………………。
…………………………………………………………あれ?
「………せいやっ。」
「あてっ!」
コールにパスンと、頭を叩かれる。
(何、紛らわしいこと言ってるんですか! 場の空気、凍り付いてますよ!)
(あれれ、不発だったか~。)
(不発だったか~……………じゃないですよ! も少し空気を読んでください!)
小声で、コールから痛烈なダメ出しを食らう。自信あったんだけどなぁ………。
エーナの方からも、冷たい視線を感じる。
「………正確に言いますと、彼女は今、私の商会の人間です。」
そう言い視線を送ると、コールは鞄からその証明をする旨の書類を取り出し、人々に掲げた。
まあ、このようなジョークを言ったとしても、“公商紋章”を持つ人間を隷属させることができないのは公然の事実。だからこそ、みんな微妙な反応をしたのだろう。
……………そう、捉えることにする。
すると、婦人は先ほどと変わらない表情で、僕に問いを重ねる。
「……………あなたの下に居るから、彼女を信用しても大丈夫と?」
農家の人々も、それに同調するような反応をする。
ま、普通は納得しないよね。でも………。
「この金色の“公商紋章”。それが示す信用は、婦人もご存知のはずでしょう?」
僕の見せる笑顔に、婦人は少々怪訝な表情を浮かべる。
「どうかしらね。フーロン商会という、良い前例があるから。」
腕組みをして少し考えて、僕は、婦人や人々の方を向く。
「僕のそばにいる限り、噓はつかせません。……………何をしても、ね。」
そう、最大限の笑顔で答える。コールとエーナは、何故か額に小さく汗を浮かべていた。
婦人は小さくため息をつくと、懐から小さなハンカチを出して額を拭った。
「…まあ、頼んでおいて信用できない、というのはおかしな話よね。」
「……………………………。」
婦人は、エーナの方へと目をやった。彼女は、未だ口を開かずに居た。
そんなミナの様子を悟ったのだろう。彼女を思いを、汲んだのであろう。
「どうして、あなたがこの場所へと戻ってきたのか。私には分からない。だけど………。」
観衆から向けられる視線に、無言を貫く、彼女の決意を。
婦人の拳には、自然に力が入っていた。彼女が伏せる目に浮かぶその思いは、僕にもよく伝わってきた。
「私には………この街のために尽くしてくれたあなたへの恩を、仇で返すことはできません。」
婦人は………公としての立場、彼女の中にある心情。どちらとでも捉えることができる返しをしてくれた。
…恩を仇で返すことができない。そう、彼女が口にしてくれたおかげで、僕も大分動きやすくなった。
「…婦人のお気持ち、よく分かりました。しかし………レーヴの民は、どう思っているでしょうね?」
そう言って、意地の悪い笑みを浮かべて、いつの間にか静まり返った民衆を見渡す。一番初めに出てきたおじさんも、何かを言いたいが、しかし躊躇している様子が見える。
………そのおじさんが何か決意し、口を開こうとした瞬間だった。
「ちょっと、待ってくださいっ!!」
一人の女性が、観衆の中から声を上げた。ざわめく観衆を押しのけ、その声の主は僕たちの方へと姿を現した。
「セリ…………さん…………………。」
出てきた女性を見て、エーナはそう呟いた。
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