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盗賊の砦②
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そして次の瞬間には、お頭と呼ばれていた人物が吹っ飛ばされて壁にめり込んでいた。そして、彼は真っ黒焦げになっていた。
「おっお頭ぁ!…てめぇ、なにさらしとんじゃあ!」
そんなこと言われても、僕にも何がなんだか分からないよ。僕の隣ではサキさんがドン引きしてるし…。なんか、さっきの一撃で僕の中にたまっていた怒りが少し減った気がする。もしかしてこれは…
『あなたの予想通り、チート能力のひとつです。感情をエネルギー源として、大きな力を作り出すことができます。』
「なるほど。僕がさっき盗賊の頭のセリフが頭に来たときの怒りがそのままお頭に解放されたのか…そりゃ確かにあれだけ吹っ飛ばされるわ…」
「なにを1人でぶつくさ喋っとんじゃあ!てめぇ…ただじゃおかねぇ!おめぇら!やっちまうぞ!」
その声を合図に、物陰に隠れていた盗賊の仲間たちがわらわらと集まってきた。総勢10人くらいだろうか。
「まずいわ…このままだと私含めてみんなやられちゃう。」
僕ら2人と盗賊10人では圧倒的に不利だ。間違いなくやられてしまうだろう。だけども、僕はただの人間じゃない。
「大丈夫。もう一度、さっきの能力を使ってみます。」
サキさんが大きくうなずいた。
さて、と。僕が使えるチート能力の1つ目、「感情解放」。これは、僕がプレイしていたマジセカに出てくる最強の能力の1つだ。ただ、大きな感情の揺れが必要なので、おいそれと使えるものではない。使いどころを見極める目が必要だ。残念ながら(?)、僕は初心者などではなく、"経験者"。使い方はなんとなく分かるのだ。
さて、実際にやってみようか。
☆
ここで一度、「感情解放」のシステムについて説明しよう。決してメタいなどと考えてはいけない。考えたらそこで負けだよ。そんなことはどうでもいい。本題に移ろう。
僕が先ほど解放した"怒り"のパワーは、火属性魔法として実体化する。だから、怒りのパワーが強ければ強いほど火力も格段にアップする。
その他の感情は、また別の属性魔法として実体化するが、今回はとりあえず火属性魔法のみを使役して戦うとしよう。
☆
僕は、記憶の中から怒りの思い出のみをひたすらかき集める。
「むむ…………むぅ…………」
どんどん怒りは蓄積される。
「はっ、こいつはバカかぁ?1人でなにをうなってんだぁ?……ギャッハハハ!怖じけついちまったのかぁ?」
横目で何か言われてるが気にしない。僕はひたすら集中する。くそっ……………なんで……………なんで僕がこんな目にっ…………………………
「…………………………………」
「ソウタ?どうしたの?」
「……して」
「えっ?」
「どうして……………………ゲームの世界に入り込んだんだぁ!!いくらゲームが好きでもこれは許せねぇ!まだまだ現実世界にやり残したことがたくさんあるんだっ…
彼女作ったり………………デートしたり………………祭り行ったり……………やれるかもしれないのにっ……………」
僕の前に3つの魔方陣が現れる。
「僕の…………僕の青春を返せぇっ!!!!」
僕のセリフとともに、火柱が盗賊共を襲う。
その様子はなかなかグロテスクなので、言葉としてここに表すのは控えさせていただこう。
…数秒して、視界が明るくなって見えたのは、文字通りの肺だった。彼らは壮絶な最期だったのだろう。ただ、彼らのこれまでやってきたことに比べたらまあましだろう。神様が僕を許してくれることを祈っている。
まだ僕の頭の片隅に、彼らの断末魔が残っていた。うーん、断末魔ってやっぱり耳障りだな。
「あ…………アハハ………。あな、あなた、どうしたらこんな極大魔法が使えるのよ………………」
僕の後ろにいたサキさんは、とてつもなく引いていた。
だけども、僕はなぜか清々しかった。盗賊共を倒せてもこういう気持ちにはなれないだろう。なんて…なんて空が青いんだ…!
「物事には限度ってものがあるでしょっ!!!」
「おっお頭ぁ!…てめぇ、なにさらしとんじゃあ!」
そんなこと言われても、僕にも何がなんだか分からないよ。僕の隣ではサキさんがドン引きしてるし…。なんか、さっきの一撃で僕の中にたまっていた怒りが少し減った気がする。もしかしてこれは…
『あなたの予想通り、チート能力のひとつです。感情をエネルギー源として、大きな力を作り出すことができます。』
「なるほど。僕がさっき盗賊の頭のセリフが頭に来たときの怒りがそのままお頭に解放されたのか…そりゃ確かにあれだけ吹っ飛ばされるわ…」
「なにを1人でぶつくさ喋っとんじゃあ!てめぇ…ただじゃおかねぇ!おめぇら!やっちまうぞ!」
その声を合図に、物陰に隠れていた盗賊の仲間たちがわらわらと集まってきた。総勢10人くらいだろうか。
「まずいわ…このままだと私含めてみんなやられちゃう。」
僕ら2人と盗賊10人では圧倒的に不利だ。間違いなくやられてしまうだろう。だけども、僕はただの人間じゃない。
「大丈夫。もう一度、さっきの能力を使ってみます。」
サキさんが大きくうなずいた。
さて、と。僕が使えるチート能力の1つ目、「感情解放」。これは、僕がプレイしていたマジセカに出てくる最強の能力の1つだ。ただ、大きな感情の揺れが必要なので、おいそれと使えるものではない。使いどころを見極める目が必要だ。残念ながら(?)、僕は初心者などではなく、"経験者"。使い方はなんとなく分かるのだ。
さて、実際にやってみようか。
☆
ここで一度、「感情解放」のシステムについて説明しよう。決してメタいなどと考えてはいけない。考えたらそこで負けだよ。そんなことはどうでもいい。本題に移ろう。
僕が先ほど解放した"怒り"のパワーは、火属性魔法として実体化する。だから、怒りのパワーが強ければ強いほど火力も格段にアップする。
その他の感情は、また別の属性魔法として実体化するが、今回はとりあえず火属性魔法のみを使役して戦うとしよう。
☆
僕は、記憶の中から怒りの思い出のみをひたすらかき集める。
「むむ…………むぅ…………」
どんどん怒りは蓄積される。
「はっ、こいつはバカかぁ?1人でなにをうなってんだぁ?……ギャッハハハ!怖じけついちまったのかぁ?」
横目で何か言われてるが気にしない。僕はひたすら集中する。くそっ……………なんで……………なんで僕がこんな目にっ…………………………
「…………………………………」
「ソウタ?どうしたの?」
「……して」
「えっ?」
「どうして……………………ゲームの世界に入り込んだんだぁ!!いくらゲームが好きでもこれは許せねぇ!まだまだ現実世界にやり残したことがたくさんあるんだっ…
彼女作ったり………………デートしたり………………祭り行ったり……………やれるかもしれないのにっ……………」
僕の前に3つの魔方陣が現れる。
「僕の…………僕の青春を返せぇっ!!!!」
僕のセリフとともに、火柱が盗賊共を襲う。
その様子はなかなかグロテスクなので、言葉としてここに表すのは控えさせていただこう。
…数秒して、視界が明るくなって見えたのは、文字通りの肺だった。彼らは壮絶な最期だったのだろう。ただ、彼らのこれまでやってきたことに比べたらまあましだろう。神様が僕を許してくれることを祈っている。
まだ僕の頭の片隅に、彼らの断末魔が残っていた。うーん、断末魔ってやっぱり耳障りだな。
「あ…………アハハ………。あな、あなた、どうしたらこんな極大魔法が使えるのよ………………」
僕の後ろにいたサキさんは、とてつもなく引いていた。
だけども、僕はなぜか清々しかった。盗賊共を倒せてもこういう気持ちにはなれないだろう。なんて…なんて空が青いんだ…!
「物事には限度ってものがあるでしょっ!!!」
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