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17.発見-3
渡り廊下の途切れたところから外れ、宿舎へ続く暗い道へ出る。サドリがさりげなく近づいてきて、後ろではなくほとんど隣へ並んで歩き、足元を照らしてくれた。
サドリはマハスティとの一件以来、また喋らなくなり、素知らぬ顔で当初の口がきけず耳も聞こえないという設定を続けている。
広い皇宮は移動だけでも一仕事で、私室へ戻るまでに目が冴えてしまう。だがそれでも、寝台へ横になればすぐにまた眠ることができる。性交の後はいつも、体を動かしたことによる爽快感と共に疲労感があり、これが寝つきをよくしてくれていた。
シュルークには以前から、強いて挙げれば不満が一つあった。それは外へ出られず友もおらず、娯楽もなく働いて眠るだけの毎日で、時間がゆるやかすぎることだった。祖国での記憶がなくて空虚な心の中には、帝国での日々も蓄積されず空っぽのままだ。仕事中はまだいいが、それが終わって眠るまでの間は、遅く充実感のない時間が過ぎ、眠くなるのを待つしかできない。
しかし、ファルハードとの性交は、仕事中を凌駕ほど時間の流れが速く、待つどころか何か考え事をする暇もないほど充実している。また、死と痛みを避けるだけの体が味わった未知の快感は、ある意味シュルークにとって初めての娯楽でもあった。ファルハードが記録上、後宮の女たちを手厚く抱いていることは知っていた。ただ、これほど悦いとは思いもよらなかった。
立場上自分から求めることは許されないが、シュルークはファルハードとの性交をすっかり気に入っていたのだ。
特に、今回は前回との間隔が長く空いていたので、より深く眠れるだろう。
前回から間が空いたのは、シュルークがファルハードに後宮の女を抱く頻度を以前のまま維持するよう進言したためと考えられた。二度目に抱かれてから、三度目四度目とシュルークが寝室へ呼ばれる頻度が高くなってしまった。これでは皇帝の子を儲けるための後宮が機能不全へ陥るし、女たちの不満も溜まる。そう伝えれば、ファルハードは元通りの頻度で後宮の女を抱くようになった。
これで少し困ったのはシュルークの方である。ファルハードに呼ばれない夜は、眠るまで私室の寝台で横になって、眠くなるのを待つ。以前は時間が遅いと思いながらぼんやりするだけだったが、今はあの眠りに落ちる心地よい疲労感を、時間を忘れるほどの快楽を知っている。
そうして夜に発散できない熱と疼きを抱えるようになったシュルークは、なぜ妃たちが妃になる可能性の無いシュルークを敵視するのか、ようやく理解できた気になった。あれほど悦いものなら、たしかに求めてしまうのも納得できる。自分に与えられる回数が減るから、妃になれなかろうとシュルークにまで割かれるのは不満に感じるはずだ。人によっては行き過ぎて、マハスティのように嫉妬で狂うこともあるだろうと。
残念ながら彼女たちの求めている愛を誤解しているシュルークだが、誰ともそれについて議論しないので正されることはない。
サドリはマハスティとの一件以来、また喋らなくなり、素知らぬ顔で当初の口がきけず耳も聞こえないという設定を続けている。
広い皇宮は移動だけでも一仕事で、私室へ戻るまでに目が冴えてしまう。だがそれでも、寝台へ横になればすぐにまた眠ることができる。性交の後はいつも、体を動かしたことによる爽快感と共に疲労感があり、これが寝つきをよくしてくれていた。
シュルークには以前から、強いて挙げれば不満が一つあった。それは外へ出られず友もおらず、娯楽もなく働いて眠るだけの毎日で、時間がゆるやかすぎることだった。祖国での記憶がなくて空虚な心の中には、帝国での日々も蓄積されず空っぽのままだ。仕事中はまだいいが、それが終わって眠るまでの間は、遅く充実感のない時間が過ぎ、眠くなるのを待つしかできない。
しかし、ファルハードとの性交は、仕事中を凌駕ほど時間の流れが速く、待つどころか何か考え事をする暇もないほど充実している。また、死と痛みを避けるだけの体が味わった未知の快感は、ある意味シュルークにとって初めての娯楽でもあった。ファルハードが記録上、後宮の女たちを手厚く抱いていることは知っていた。ただ、これほど悦いとは思いもよらなかった。
立場上自分から求めることは許されないが、シュルークはファルハードとの性交をすっかり気に入っていたのだ。
特に、今回は前回との間隔が長く空いていたので、より深く眠れるだろう。
前回から間が空いたのは、シュルークがファルハードに後宮の女を抱く頻度を以前のまま維持するよう進言したためと考えられた。二度目に抱かれてから、三度目四度目とシュルークが寝室へ呼ばれる頻度が高くなってしまった。これでは皇帝の子を儲けるための後宮が機能不全へ陥るし、女たちの不満も溜まる。そう伝えれば、ファルハードは元通りの頻度で後宮の女を抱くようになった。
これで少し困ったのはシュルークの方である。ファルハードに呼ばれない夜は、眠るまで私室の寝台で横になって、眠くなるのを待つ。以前は時間が遅いと思いながらぼんやりするだけだったが、今はあの眠りに落ちる心地よい疲労感を、時間を忘れるほどの快楽を知っている。
そうして夜に発散できない熱と疼きを抱えるようになったシュルークは、なぜ妃たちが妃になる可能性の無いシュルークを敵視するのか、ようやく理解できた気になった。あれほど悦いものなら、たしかに求めてしまうのも納得できる。自分に与えられる回数が減るから、妃になれなかろうとシュルークにまで割かれるのは不満に感じるはずだ。人によっては行き過ぎて、マハスティのように嫉妬で狂うこともあるだろうと。
残念ながら彼女たちの求めている愛を誤解しているシュルークだが、誰ともそれについて議論しないので正されることはない。
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