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18.助言-1
性交の快楽が、自らの空虚で遅い時間の流れを早めて充実させ、夜も早々に寝付かせてくれると発見したシュルークは、ファルハードの寝所へ呼ばれない日の熱をどう静めるか思案し、他の男に抱かれればよいと考えついた。
仕事以外にやることもなく、初めての前向きな思考に行動を起こすのも早い。シュルークは早速、手近な男の候補の一人である近衛兵のオーランを呼び出した。もう一人の候補であるキアーは、シュルークが行動した日は夜勤だったので後回しになった。
夜中、女官の宿舎と兵士の宿舎のちょうど中間あたりにある、物置代わりの建物の一室で待っていると、約束の時間にオーランがやってきた。ランプを片手に、静かに部屋の中へ入り、後ろ手に扉を閉める。
室内には、宿舎の家具やシーツなどの布製品の、各宿舎に保管しきれない分や予備が置かれていた。夜間に人気はないが、日中は頻繁に人や物の出入りがあるため埃っぽくはない。
シュルークは予備の寝台の木枠に腰かけ、傍らの棚に杖を立て掛けた状態でオーランを出迎えた。
「お疲れのところご足労いただきありがとうございます、オーラン様」
「いえ、……サドリ殿は」
オーランは黒っぽい焦げ茶色の髪と、薄茶色の瞳で、暗い中のランプの明かりだけではほとんど色がわからない。ただ、敵意はなくとも警戒心を持っていることはわかる。
勤務を終えて宿舎へ戻ってからここへ来たようで、近衛の鎧を外した私服だが、腰に下げた短剣が彼の警戒を物語っている。なお、シュルークの方は他に服がないので女官の制服のままである。
「サドリ様は夜に私を宿舎の部屋へ送り届ければ、それで役目が終わりになります。その後私が私用で再度外出することは想定されていませんし、私もお伝えする義務はございません」
伝えれば当然のようについてくるだろうから、シュルークはサドリが宦官の宿舎へ帰るのを見送って出てきた。サドリの役目は監視ではなく護衛で、女官の宿舎は私室で内鍵さえかければ基本的に安全と考えられているからこその抜け穴だろう。
シュルーク一人と分かると、オーランは表情をより険しくした。筋骨隆々な男に威圧されては恐ろしくもなりそうなものであるが、シュルークは同様に体格のよいファルハードで慣れていたし、彼とは後宮の女たちのような命を狙われる利害関係はないので危害を加えられることもないだろうと、落ち着いていられた。
「それで、私にどのようなご用でしょうか、女官長」
「私的なお願いですので、私の立場はお忘れください」
シュルークは座ったまま、帽子を取って棚に置き、オーランに素顔を見せる。オーランは警戒を続けながら、お互いの顔色が見える距離まで近づいてきて、テーブルにランプを置いて腕組みした。
「わかった、話を聞こう」
彼が警戒しつつも少し砕けた口調に変えたのは、気を許したふりをしてシュルークの意図を探ろうとしているのだろう。だが例えば、突然死角から誰かが飛び掛かっても、オーランは即座に相手を倒せる。それぐらい内心では用心を続けている。
それでも、シュルークが望んでいるのは結果だけだ。彼の警戒が解けなくても構わない。
「はい。私と性交してほしいのです」
仕事以外にやることもなく、初めての前向きな思考に行動を起こすのも早い。シュルークは早速、手近な男の候補の一人である近衛兵のオーランを呼び出した。もう一人の候補であるキアーは、シュルークが行動した日は夜勤だったので後回しになった。
夜中、女官の宿舎と兵士の宿舎のちょうど中間あたりにある、物置代わりの建物の一室で待っていると、約束の時間にオーランがやってきた。ランプを片手に、静かに部屋の中へ入り、後ろ手に扉を閉める。
室内には、宿舎の家具やシーツなどの布製品の、各宿舎に保管しきれない分や予備が置かれていた。夜間に人気はないが、日中は頻繁に人や物の出入りがあるため埃っぽくはない。
シュルークは予備の寝台の木枠に腰かけ、傍らの棚に杖を立て掛けた状態でオーランを出迎えた。
「お疲れのところご足労いただきありがとうございます、オーラン様」
「いえ、……サドリ殿は」
オーランは黒っぽい焦げ茶色の髪と、薄茶色の瞳で、暗い中のランプの明かりだけではほとんど色がわからない。ただ、敵意はなくとも警戒心を持っていることはわかる。
勤務を終えて宿舎へ戻ってからここへ来たようで、近衛の鎧を外した私服だが、腰に下げた短剣が彼の警戒を物語っている。なお、シュルークの方は他に服がないので女官の制服のままである。
「サドリ様は夜に私を宿舎の部屋へ送り届ければ、それで役目が終わりになります。その後私が私用で再度外出することは想定されていませんし、私もお伝えする義務はございません」
伝えれば当然のようについてくるだろうから、シュルークはサドリが宦官の宿舎へ帰るのを見送って出てきた。サドリの役目は監視ではなく護衛で、女官の宿舎は私室で内鍵さえかければ基本的に安全と考えられているからこその抜け穴だろう。
シュルーク一人と分かると、オーランは表情をより険しくした。筋骨隆々な男に威圧されては恐ろしくもなりそうなものであるが、シュルークは同様に体格のよいファルハードで慣れていたし、彼とは後宮の女たちのような命を狙われる利害関係はないので危害を加えられることもないだろうと、落ち着いていられた。
「それで、私にどのようなご用でしょうか、女官長」
「私的なお願いですので、私の立場はお忘れください」
シュルークは座ったまま、帽子を取って棚に置き、オーランに素顔を見せる。オーランは警戒を続けながら、お互いの顔色が見える距離まで近づいてきて、テーブルにランプを置いて腕組みした。
「わかった、話を聞こう」
彼が警戒しつつも少し砕けた口調に変えたのは、気を許したふりをしてシュルークの意図を探ろうとしているのだろう。だが例えば、突然死角から誰かが飛び掛かっても、オーランは即座に相手を倒せる。それぐらい内心では用心を続けている。
それでも、シュルークが望んでいるのは結果だけだ。彼の警戒が解けなくても構わない。
「はい。私と性交してほしいのです」
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