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20.求婚-3

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「いいですよ。よろしくお願いします」
「……!」

 返事を聞いたキアーは、飛びあがりそうなほど表情を輝かせ、シュルークを抱き締めた。

「ありがとうございます。大事にします」
「どのような、手続きを……、すればよろしいですか?」
「聖職者を立ち会わせず、役場へ申請するだけで完了する方法があります。保証人が必要ですがそれはオーラン殿に頼みましょう」

 事務的なことを確認しておきたいのに、キアーは彼の逞しい腕と厚い胸板の間から顔を出そうとするシュルークの邪魔をする。せっかく出しても口づけしようとしてくるので、シュルークは顔を背けたり手で遮ったりして抵抗した。

「他に何か、必要な……」
「それよりはやく、唇を許してください」
「わかりまし――」

 シュルークが観念するやいなや、キアーはちゅ、と音を立てて唇を吸ってきた。軽いものを何度かして、それでは終わらず舌を潜り込ませてくる。
 口を開いて彼を受け入れてやりながら、シュルークはこの分だともう一度性交が始まりそうだと、キアーの精力と今の勢いから想像した。
 案の定、素肌を抱き締める彼の手が、腰から臀部へ下りていく。

 キアーはなぜかシュルークとよく口づけをしたがった。人によるのかもしれないがシュルークは口腔からあまり快感を感じず、特に挿入されている間は息苦しいのでやめてもらいたいぐらいだ。それでもキアーが欲しがるし、応じてやった方が彼も盛り上がるので好きにさせている。

「はぁ……、シュルーク」
「あっ……、キアー様」

 興奮し息を荒げるキアーは、背中側から回して尻を揉んでいた手をさらに下ろし、シュルークの剥き出しの秘所へ指を挿し入れた。先ほど何度も彼の剛直を呑み込んだその場所は、二人の混じりあった体液を垂らしながら、男の太い指を難無く咥え、またシュルークに快感を与える。

 そうしてまた始まろうかというとき、部屋の扉がバン、と勢いよく開かれた。
 シュルークとキアーは驚いて入り口へ顔を向ける。

「オーラン殿……!」

 そこに立っていたのは、近衛兵の武装をしたままのオーランだった。室内へ足を踏み入れる彼の後に、宦官のサドリも続いてくる。

 キアーは慌てて体を離し、シュルークの肩に服をかける。それに対し、シュルークは入ってきた二人が顔見知りだったので、既に落ち着いていた。
 皇宮内の風紀が乱れるので、人目をはばかろうとこんな場所で性交をしていれば、流石に処罰を受ける。とはいえもう見つかってしまったからには今さら慌てても仕方がない。既に服の前を閉め終わっているキアーに対し、シュルークはのろのろと袖に腕を通す。

「二人とも、今すぐ立て。……陛下がお呼びだ」

 そんな二人に、苦りきった表情のオーランはなぜかファルハードの元への出頭を言い渡したのであった。
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