上 下
73 / 79

21.所有者-3 *

しおりを挟む
「ふぅ、あ……」

 少し体を持ち上げられたシュルークは、先ほどまで咥えていた指を失い、寂しげにひくひくと疼いていた膣口へ宛てがわれた熱の塊に、期待するような恍惚とした表情を浮かべた。
 そして張り出した亀頭が、傍目には小さな膣口を限界までこじ開けながら、彼女の自重を利用して体内へ消えていく。

「ふーっ、んん、うぅーっ……!」

 シュルークは歯を食いしばって体を仰け反らせ、過ぎた快感に身悶えている。ファルハードは彼女の体を押さえつけるように、背後から前へ腕を回して乳房を握った。
 キアーはこのような乱暴な触れ方はしたことがない。それなのに、いつもキアーを穏やかに受け止めてくれていたシュルークは、余裕も消え失せるほど悦楽に浸っている。

 挿入に馴染む間も置かず、筋骨隆々とした男の肉体により、華奢な彼女を跳ね上げるような下からの律動が始まった。

「あッ、ああっ、ひぃ、あぁッ!」

 ファルハードの太く硬い男根が、シュルークの赤い肉の口を何度も穿つ。苦痛の反応と信じるには蕩けた女の表情が、キアーを混沌の渦に引きずり込む。
 少し前にキアーが彼女の中へ放った種が、ファルハードの逸物で掻き出され、シュルークの愛液と混ざりながら零れ落ちていく。彼女の体が、キアーのものではなくなっていく。キアーが追い出されていく。
 ともすれば、最初から彼女はキアーのものではなかったのかもしれない。シュルークがファルハードに抱かれていることは知っていた。だが、どのように抱かれているのかは、一度も見たことがなかった。これほど乱れていると知っていれば、希望など持たなかった。
 キアーにもねだった一番奥は、ファルハードにかかればむしろ触れてはいけない場所のようにシュルークを狂わせる。簡単な話だ。彼女の体をあれほど艶やかで淫らにしたのは、ファルハードだったのだ。

「お、あっ、くるッ、来ます、うあっ、陛下……っ、んああ――!」

 絶頂の悲鳴と共に、見せつけられている結合部が、シュルークの膣口が、ぐっと締まった。
 体の硬直と共にぎゅっと絞り上げ、弛緩し、その後の余韻に合わせてきゅうきゅうと繰り返し収縮する。結局出されなかった種を、催促するかのようだ。

「もう果てたか。乱暴に犯された方が好いとは、浅ましい」

 情感を滲ませながら、ファルハードは自分の上で未だ震えるシュルークを蔑んだ。
 彼女は、キアーの前では女だった。だが、ファルハードの下では、雌だった。
 敗北を分かっているのに、キアーの中には苦しい、怒りのような熱が巡っている。

 あまりの光景に何も言えなくなっているキアーに、ファルハードが久々に目を向けた。彼は、シュルークだけではなく、キアーにも思い知らせようとしている。そう直感した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】妹にあげるわ。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:154,955pt お気に入り:3,955

目覚めた公爵令嬢は、悪事を許しません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:39,606pt お気に入り:3,318

名前を忘れた私が思い出す為には、彼らとの繋がりが必要だそうです

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:120pt お気に入り:101

貴方達から離れたら思った以上に幸せです!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:205,056pt お気に入り:12,345

毒花令嬢の逆襲 ~良い子のふりはもうやめました~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:62,886pt お気に入り:3,602

恋心を利用されている夫をそろそろ返してもらいます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:8,401pt お気に入り:1,261

ダイニングキッチン『最後に晩餐』

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:248pt お気に入り:1

短編集(SF・不思議・現代・ミステリ・その他)

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:1

処理中です...