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後編
35.一年後-2
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イリスの視線に気づいたアルヴィドは、隣に寝転がると、抱き寄せて唇を重ねた。
軽く音を立てながら唇をついばむ。
「イリス……」
アルヴィドはイリスへ触れる際に、緊張しながら了解を取ることはなくなった。昔の彼の行いとも、一年前セムラクが破れて正気を失った際とも違い、触れて愛情を示してもイリスを傷つけないと理解できるようになったからだ。
なお、不眠症気味だったアルヴィドは一年の間にそれも改善し、結果目の下に陣取っていた濃い隈は綺麗に消えた。多少顔色も良くなり、とりあえず四十代に見られることはなくなった。また、体力の必要な戦闘系魔術の担当教師になったことから自然と鍛えられ、背丈のわりに痩せていた体には薄く筋肉がついてきた。
心身共に健康を取り戻しつつある。
「ん、アルヴィド……」
アルヴィドが上へ覆いかぶさる体勢になり、口づけが深くなっていく。
こういう時のアルヴィドの表情は、あまり覇気のない普段と異なり、焼けるような熱情のこもった眼差しをしている。
性的な触れ合いをするようになった当初は、イリスには多少なりとも緊張や恐れもあった。だがそれはアルヴィドの方も同じで、乗り越えようと努力するうちに、お互い不安はなくなった。アルヴィドは獣のように本能的な欲求に支配されているのではなく、彼の愛情の発露の一部がこれらの触れ合いだと感じるようになったためだ。
イリスのガウンの裾を、アルヴィドの手が分け入って腿に触れる。少し冷たい指先に、イリスは身を捩った。
それを急ぎ過ぎという忠告に感じたのか、アルヴィドの手は上の方へ戻ってきて、体の曲線を撫でつつガウンの結び目を緩める。
乱された胸元から手が忍び込んできて、乳房をくすぐるように弄んだ。手のひら全体で掬うように揉んで、時折乳輪の輪郭を指先で引っかくように刺激を与えられる。
触れ合うようになった初めはくすぐったくて仕方なく笑い転げていたイリスだが、今ではその優しすぎる手つきで簡単に快感の領域へ追い立てられるようになった。
「は、あっ……」
吐息と共にか細い声を漏らしていると、アルヴィドの青い瞳が迫って口を塞がれる。
指先は冷たいのに舌はイリスよりも熱いくらいで、温度を分け合うように絡み合わせた。
彼の肩へ腕をまわし、目を閉じて口づけと体の快楽へ身を委ねていると、胸を弄んでいた手が、するすると下り始める。
ガウンの前を割り開きながら、腹部まで滑っていき、腿の前側や腰骨の辺りを撫でるに留まり、中心へはすぐにたどり着かない。
腿の内側の足の付け根のすぐそばへ手を這わせた後、ようやく、下着の上から秘所を掠めた。
濡れ始めている部分を指先で確かめられ、辱めるような動きにイリスは羞恥で顔を背ける。
すると体を離したアルヴィドは、イリスを起こして背中側から抱き込むようにして上体を支えた。
これでイリスは、何をされようとしているのかよく見えるようになってしまった。
項へ軽く口づけながら、アルヴィドの手が下着の中へ差し入れられる。
「イリス……」
耳元で呼ぶ声と吐息に気を逸らされた隙に、秘裂をアルヴィドの指が直接なぞった。
「ふ、あ……」
ぬめるそこへ指を滑らせた後、その上のしこりを、少しだけ力を込めて圧迫する。
ついに来た強い刺激に、イリスの腰がぴくりと震えた。
芯芽へ断続的に与えられる刺激がぞくぞくと全身を突き抜け、高みへ追いやっていく。
背中越しのアルヴィドの体の温度と安心感は、イリスをたやすく絶頂へ押し上げた。
「あ、だめ、くるっ……、んぁっ――!」
びくん、と体を強く緊張させて、一瞬自分を失う。
そしてすぐに波は引いていき、心地よい疲労に脱力した。
以前は自分の体の支配を失うことが恐ろしく、この現象にも少なからず恐怖した。だが今は、愛する人との交わりで迎える絶頂は、ただひたすらに気持ちよくて多幸感をもたらすものだと思っている。
軽く音を立てながら唇をついばむ。
「イリス……」
アルヴィドはイリスへ触れる際に、緊張しながら了解を取ることはなくなった。昔の彼の行いとも、一年前セムラクが破れて正気を失った際とも違い、触れて愛情を示してもイリスを傷つけないと理解できるようになったからだ。
なお、不眠症気味だったアルヴィドは一年の間にそれも改善し、結果目の下に陣取っていた濃い隈は綺麗に消えた。多少顔色も良くなり、とりあえず四十代に見られることはなくなった。また、体力の必要な戦闘系魔術の担当教師になったことから自然と鍛えられ、背丈のわりに痩せていた体には薄く筋肉がついてきた。
心身共に健康を取り戻しつつある。
「ん、アルヴィド……」
アルヴィドが上へ覆いかぶさる体勢になり、口づけが深くなっていく。
こういう時のアルヴィドの表情は、あまり覇気のない普段と異なり、焼けるような熱情のこもった眼差しをしている。
性的な触れ合いをするようになった当初は、イリスには多少なりとも緊張や恐れもあった。だがそれはアルヴィドの方も同じで、乗り越えようと努力するうちに、お互い不安はなくなった。アルヴィドは獣のように本能的な欲求に支配されているのではなく、彼の愛情の発露の一部がこれらの触れ合いだと感じるようになったためだ。
イリスのガウンの裾を、アルヴィドの手が分け入って腿に触れる。少し冷たい指先に、イリスは身を捩った。
それを急ぎ過ぎという忠告に感じたのか、アルヴィドの手は上の方へ戻ってきて、体の曲線を撫でつつガウンの結び目を緩める。
乱された胸元から手が忍び込んできて、乳房をくすぐるように弄んだ。手のひら全体で掬うように揉んで、時折乳輪の輪郭を指先で引っかくように刺激を与えられる。
触れ合うようになった初めはくすぐったくて仕方なく笑い転げていたイリスだが、今ではその優しすぎる手つきで簡単に快感の領域へ追い立てられるようになった。
「は、あっ……」
吐息と共にか細い声を漏らしていると、アルヴィドの青い瞳が迫って口を塞がれる。
指先は冷たいのに舌はイリスよりも熱いくらいで、温度を分け合うように絡み合わせた。
彼の肩へ腕をまわし、目を閉じて口づけと体の快楽へ身を委ねていると、胸を弄んでいた手が、するすると下り始める。
ガウンの前を割り開きながら、腹部まで滑っていき、腿の前側や腰骨の辺りを撫でるに留まり、中心へはすぐにたどり着かない。
腿の内側の足の付け根のすぐそばへ手を這わせた後、ようやく、下着の上から秘所を掠めた。
濡れ始めている部分を指先で確かめられ、辱めるような動きにイリスは羞恥で顔を背ける。
すると体を離したアルヴィドは、イリスを起こして背中側から抱き込むようにして上体を支えた。
これでイリスは、何をされようとしているのかよく見えるようになってしまった。
項へ軽く口づけながら、アルヴィドの手が下着の中へ差し入れられる。
「イリス……」
耳元で呼ぶ声と吐息に気を逸らされた隙に、秘裂をアルヴィドの指が直接なぞった。
「ふ、あ……」
ぬめるそこへ指を滑らせた後、その上のしこりを、少しだけ力を込めて圧迫する。
ついに来た強い刺激に、イリスの腰がぴくりと震えた。
芯芽へ断続的に与えられる刺激がぞくぞくと全身を突き抜け、高みへ追いやっていく。
背中越しのアルヴィドの体の温度と安心感は、イリスをたやすく絶頂へ押し上げた。
「あ、だめ、くるっ……、んぁっ――!」
びくん、と体を強く緊張させて、一瞬自分を失う。
そしてすぐに波は引いていき、心地よい疲労に脱力した。
以前は自分の体の支配を失うことが恐ろしく、この現象にも少なからず恐怖した。だが今は、愛する人との交わりで迎える絶頂は、ただひたすらに気持ちよくて多幸感をもたらすものだと思っている。
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