魔王召喚 〜 召喚されし歴代最強 〜

四乃森 コオ

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ゴルド

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「奴を包囲しろ!絶対にこの場から逃すな」

「「「「「 ハッ!! 」」」」」


怪しい人物が発見されたとの報告を受けて現場に急行した聖騎士小隊。
現場に到着するとそこには浅黒い色の肌をした大男が立っていた。
そして、その姿を見た瞬間にその男が魔族であると察した小隊長らしき聖騎士が号令を出し、即座に男を包囲したのだった。


「いやいや、逃げねぇよ。わざわざ自分より弱い奴らを相手に逃げるわけ ────── 」

「貴様、魔族だな。どうやってガルディア王国内に侵入したのかは分からんが、いったい何をしに来た」

「何をしに来たか?うーむ、そうだな・・・。まぁ~観光だな」

「ふざけるな!!そんなわけがないだろ」

「なんだなんだ?ヒト族の国は魔族の入国を認めていないのか?それは初耳だな」

「千年前に結ばれた不可侵条約があるだろ!」

「そんな大昔のモノを引っ張り出されても困っちまうよ。それに ───── 観光だって言ってんだろ。別に侵略してるわけじゃないんだから問題ねぇだろ」

「そんな戯言を信じられるわけがないだろ」

「ハァ~・・・、そんなに高圧的にこられると心が痛むねぇ~」

「隊長、応援が到着しました」


部下からの報告を受けた小隊長が視線を送ると、二つの小隊計十名の聖騎士が現場に到着し、すぐさま男の包囲に加わる。
今回各都市に送り込まれた聖騎士小隊は六小隊ずつ。
すなわちジルコンサスに配置された半数の聖騎士が男を取り囲んだわけである。


「十五…二十…二十五…三十っと・・・。いいねいいね~。これだけいると潰しがいがあるぜ」


聖騎士十五名、街を警備する騎士十五名、合計三十名が男の周囲で剣を構えて殺気立つ。


「貴様、観光ではなかったのか?」

「ああ、そうだったな。まぁ~偵察も観光みたいなもんだろ?」

「捕縛しろ!!」

「「「「「 オウ!!!!! 」」」」」


ダッダッダッダッダッ ──────── 。

号令のもと九名の聖騎士が男へと迫る。
しかし、圧倒的不利とも思える状況にも関わらず男は笑みを浮かべ続け、右の拳を悠々と空へ向けて突き上げる。
そして、次の瞬間その拳を地面に向かって叩きつけたのであった。

ブンッ ───── ドゴーーーンッ!!

ブワァッ ───── ゴゴゴゴゴォォォォォ ──────── 。

叩きつけられた拳から放たれる衝撃波。
それは男を中心に全方位へと向けられた。
そして、彼に迫っていた聖騎士たちは軒並み衝撃波に飲み込まれ四方へと弾き飛ばされたのだった。


「「「「「「 ぐわぁぁぁぁぁ 」」」」」


体勢を崩されながら飛ばされる聖騎士たち。
しかし、そこは王国でも選りすぐりの者たちなだけはあり、衝撃波を受けながらもすぐさま体勢を整えると再び敵に剣を向けて臨戦態勢をとる。
そうして現場に緊張感が漂う中、ようやく彼らにとって待望の援軍が到着する。


「お待たせしたッス」

「グリフレット様が到着された。前を開けろ」


第十聖騎士団団長グリフレット現着。
その姿が見えただけで団員たちから不要な緊張が消えていく。
そして、身体中から力がみなぎるような感覚を覚え、彼らの顔からは自信が溢れ出す。
一対一の勝負において自分たちの団長が敗けるわけがない ───── 彼らの目からはそんな思いが雄弁に語られていた。


「お前がコイツらの親玉か?」

「そうッス。第十聖騎士団団長のグリフレットッス。そういうアンタは誰なんスか?」

「俺か?俺は魔族の戦士ゴルドだ」


高らかに自身の名を明らかにしたゴルド。
そして、それに合わせて戦士であることを告げたことによって、彼がガルディア王国を訪れた目的を容易に察することができたグリフレット。


「まぁ~そっちの思惑は分からないッスけど、あえて・・・何しに来たんスか?返答によってはここで捕縛することになるッスよ」

「お~それは怖い怖い。それで・・・お前は強いのか?」

「う~ん・・・どうッスかね?」


ゴルドの問いに対して腕を組みながらわざとらしく考えるふりをするグリフレット。


十二の剣ナンバーズの中ではまぁまぁってとこッスかね。あっ!十二の剣ナンバーズっていうのは、十二ある聖騎士団を率いる十二名の団長のことで、ガルディア王国最強の騎士のことッス」

「ご丁寧に説明までありがとよ。その十二の剣ナンバーズ?だっけか。その中でまぁまぁってことは、そんなに大したことないんじゃねぇのか?」

「アハハハハ。大丈夫ッスよ!少なくともアンタよりは強いんで心配は無用ッス!!」

「誰もお前の心配なんかしてねぇよ」


一切の悪気もなく満面の笑みで答えるグリフレットの言葉を完全な煽りであると受け取ったゴルドは憤りをみせる。
そして、ここから二人の激闘が始まる。


「みんな下がるッス。ここからは俺がガガッとやっちゃうッス」


グリフレットの指示を受けた聖騎士たちはすぐさまゴルドの包囲を解き、彼の戦いの邪魔にならないように後方へと下がる。

フォンッフォンッフォンッフォンッフォンッ ──────── 。

両手に持った武器が勢いよく風を切る。
彼の手を軸にして風車のように高速回転してみせるオリハルコン製のトンファー。
まるで自身の手足のように扱いながら準備運動をするグリフレットの姿にゴルドは目を輝かせる。


「フフフッ。なかなか良い動きをするな」


フォンッフォンッフォンッフォンッフォンッ ──────── 。


「お待たせしたッス。申し訳ないッスけど、ババッと終わらせてもらうッスよ」

「お前こそすぐに死んでくれるなよ」


──────── ドンッ!

──────── ドンッ!

二人の姿が視界から消える。
そして次の瞬間、二つの物体が衝突して衝撃波が生まれる。
よく目を凝らして見てみると、そこにはゴルドの右拳とグリフレットのトンファーが激しくぶつかり合う光景があった。

ギィーン、ギィーン、ギィーン ─────── 。


「いいぞいいぞ。もっと俺を楽しませろ」


キィーン、キィーン、キィーン ─────── 。


「別にアンタを楽しませるためにやってるわけじゃないッス。大人しくさっさとボコられるッスよ」


ガキィーン、ガキィーン、ガキィーン ─────── 。


「やなこった。お前こそさっさと殴り潰されろ」


ドーーーンッ!!

ドーーーンッ!!

ドーーーンッ!!

ドーーーンッ!!

ドーーーンッ!!

ガラガラガラガラガラッ ──────── 。

周囲の建物を破壊しながら激しくぶつかり合う二人。
嬉々とした表情をしながら徐々に気持ちがヒートアップしていくゴルドに対して、まだまだ余裕をみせて戦うグリフレット。


「オラオラオラオラ」


ドドドドドドドドド ──────── 。


「デカい割になかなか俊敏ッスね」

「そりゃどうも。まだまだ上げていくぜ」


ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!


「無闇に街を壊すんじゃないッス!」


フォンッフォンッフォンッフォンッフォンッ ──────── ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ。


「まったく…どんだけ頑丈なんスか」

「ガハハハハ。軽い軽い軽い。その程度の攻撃では俺に傷ひとつ付けられんぞ」


そんな二人の熱戦が繰り広げられている最中、突如として二人の前の空間に亀裂が入る。

ピキッ…ピキピキピキッ…。

ズズッ…ズズズズズッ ──────── 。

そして、その亀裂から生じた黒いゲートらしきモノからもう一人魔族が姿を現す。
ゴルドと同じく浅黒い色の肌をしているが、彼と比べてかなり細く小さい。
見た目だけでいえば十歳前後の少年に見える。
しかし、そこからの彼らの会話から二人の立場が対等であることが伺えるのであった。


「えっ?何してんのゴルド」

「今いいとこなんだよ。邪魔すんなよミルケ」

「いやいや、なんかヤバそうなのと戦ってない?」

「あ?あーなんだっけな?十二の剣ナンバーズとかいうこの国で最強の騎士の一人らしいぞ」

「新手ッスか?今取り込み中なんで後にしてもらいたいんスけどね。パパッと倒すしかないか」

「いやいや、さっさと帰るよゴルド」

「おい!今いいところだって言っただろうが」

「ハァ~…。まだ敵の主力と戦うには早いって。早くしないと置いて行くよ~」

「あーーーーー!クソックソックソッ。やっと身体が温まってきたってのによーーー」


そういうとゴルドは拳を収めてグリフレットに背を向ける。


「逃げるんスか?」

「はぁ?見逃してやるだけだ。勘違いすんじゃねぇぞ」


ミルケと呼ばれる少年の傍へと移動したゴルドはグリフレットの方へと振り返り語気を強める。


「お前、グリフレットとかいったか。お前は俺の獲物だ。次会う時は覚悟しておけ」

「まぁ~覚えていたら覚えとくッスよ。それよりもアンタらはいったい何者なんスか?」

「だから魔族だって言ってんだろ」

「いやいや、そういう意味じゃないでしょ。本当にゴルドは頭が悪いな」

「あ?なんだと!」

「まぁ~いいや。ヒト族の騎士さんたち、ボクらはただの先遣隊だよ。本番はこれからだからね。楽しみにしといてよ」


ズズッ…ズズズズズッ ──────── 。

そう言い放つと、ミルケとゴルドは闇の中へと消えていった。
突如としてガルディア王国に現れた魔族。
彼らの行動からこれより魔族によるガルディアに対しての侵略が開始されることが予想される。
そして、先遣隊であるといいながらも十二の剣ナンバーズと互角に渡り合う実力を見せつけたゴルド。
こうして今回の件を境にガルディア王国は大きな混乱の渦に飲み込まれていくことになるのであった。





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