魔王召喚 〜 召喚されし歴代最強 〜

四乃森 コオ

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魔族のことは・・・

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~ 首都メルサ ~

「魔族が攻めてくるらしいぞ」

「おいおいおい、それって魔族の大軍がここメルサを目指して来るってことじゃないのか」

「俺たちメルサにいて大丈夫なのか?」

「大丈夫よ。きっと国王様や聖騎士団の方々がなんとかしてくださるわ」



~ 商人の街ロコン ~

「魔族関連の情報はどんな些細なことでも構わないから報告してくれ!もちろん情報料はしっかりと払わせてもらう」

「各街道の警戒も強めないとな」

「仕入れ先にも連絡を入れといてくれ」

「万が一にも精霊の森が抜かれた場合を想定すると、ロコンからリザリオにかけての搬送路は特に気をつけておかないと」

「各地の商人とも協力して情報を集めていくしかないな」



~ 冒険者の街リザリオ ~

「どうやら今現在王国内に入り込んでいるのはまだ三~四人らしいぞ」

「第十聖騎士団の連中が実際に戦ったが、取り逃したらしい」

「南から攻めてくるなら聖騎士どもより先に俺たち冒険者がぶつかるわけだな」

「まぁ~綺麗な戦い方しかできない聖騎士様じゃ~魔族の相手は難しいだろ」

「常に凶暴な魔獣とやり合ってる俺たち冒険者と偉そうにふんぞり返ってる騎士どもじゃ、実践経験の差が歴然なんだよ」



~ 中間都市モア ~

「魔族が攻めてくるってのは本当なのかねぇ」

「魔族なんて歴史や童話の中だけの存在だと思っていたのに・・・。まさか本当に現れるなんて」

「ワシらの生活はどうなってしまうんじゃ」

「モアは首都メルサに近いし、もしもの時は聖騎士団が助けに来てくれるよ」



~ 中間都市ギャシャドゥル ~

「あ~~~あ、また来ないのかな~?魔族」

「前回は私たち『九尾の狐』が不在の間に好き勝手やってくれたらしいわね」

「位置的にもギャシャドゥルが最も精霊の森に近いからな。精霊の結界が突破されたらまずこの街に来るぞ」

「まぁ~次来たらホークの爺さんが黙ってないだろうけど」

「ホークのじじいなんかに獲物はやらねぇよ。俺たち兄弟で魔族をぶっ殺してやる」



~ 中間都市ジルコンサス ~

「魔族なんて大丈夫なのかしら?」

「ホント怖いわよね~。そんなのおとぎ話の中だけだと思ってたのにね~」

「ここまで話が大きくなってくると、配置される聖騎士団の数も増えるんじゃないのか?」

「いや、聖騎士団はあくまでも首都メルサの防衛を優先するだろう。そうなったら頼りになるのは冒険者たちか・・・」



各地で魔族に関する噂が囁かれ始めていた頃、スズネたち宿り木のホームをある人物が訪れていた。

コンコンコンッ ──────── 。


「はーい」


ガチャッ。


「えっ!?あなたは ──────── 」


魔族襲来の一報は瞬く間にガルディア王国全土へと広まり、それに伴い民衆による不安の声は日に日に大きくなっていく。
そして、それによって生まれた混乱の渦にスズネたちもまた巻き込まれていくことになるのだった。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


ガラガラガラガラ ──────── 。


「まったく・・・これで何回目よ」

「魔族がらみの話っすかね?」


ガラガラガラガラ ──────── 。


「まぁ~今の状況を考えると間違いなくそうでしょうね」

「そ…そうなると…」


ガラガラガラガラ ──────── 。


「クロノ・・・」

「知るか!魔族が何をしようが俺には関係ねぇよ」

「まったく、この国の者どもは!毎度毎度旦那様に迷惑をかけよって。たまには自分たちの力でなんとかすればいいのじゃ!!」

「それができないから呼ばれてるんすけどね」

「フンッ!情けない奴らなのじゃ!!」


馬車に揺られるスズネたち御一行。
彼女たちが目指すはガルディア王国の首都メルサ。
もちろん呼び出したのは国王レオンハルトである。
国王による召喚命令を無視できるわけもなく、中には堂々と悪態をつく者がいながらも、彼女たちは言われるがままに馬車に乗ることしかできないのであった。


「アハハハハ、本当に毎度毎度すまないな。俺たち聖騎士団も魔族の捜索を続けてはいるんだが、なかなか思うように進んでいなくてな」

「そんなそんな、ガウェインさんが謝ることではないですよ」


スズネたちを乗せた馬車を先導するのは、十二の剣ナンバーズ第四席ガウェイン率いる第四聖騎士団。
いったいなぜそのようなことになっているのかというと、数日前まで時間を遡ることになる。
ゴルドたちと接触してからというもの、連日彼らの動向を探りながら捜索を続けていた聖騎士団。
しかしながら、彼らと相対してから一週間が経とうとしているにも関わらず、未だその行方が分からぬ状況であった。
そんな中で王国の各地では不安の声が広がり続けており、その不安が不満へと変わってしまうことを避けたい国王レオンハルトは、ついにクロノを王城へ召喚することを決めたのだった。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


ガルディ王国王城 ~ 謁見の間 ~


「面を上げてくれ。クロノ殿、そして冒険者パーティ宿り木、まずは此度の召喚に応じてくれたことに感謝する」

「ホントだよ!毎度毎度呼び出しやがって。こっちだって暇じゃねぇんだよ」

「貴様という奴は…いつものことながら国王陛下に対して無礼であるぞ!!」


このやり取りもいつも通りである。
レオンハルトに対して嫌味を言うクロノと、それに言動に対して怒りを顕にする内務大臣ドルーマン。
もはや誰一人としてツッコミを入れたりはしない。
しかし、今回のクロノはいつもと違っていた。
今の彼が抱く怒りは嫌味ひとつで収まるようなものではなかったのだ。


「テメェーは黙ってろ!おい、国王だかなんだか知らねぇけどな、お前ら…とりあえず自分たちが声をかけたら誰しもが文句も言わずにすっ飛んで来るとでも思ってんだろ?そして、それが当然だともな!そんな傲慢な態度してっから獣人どもや魔族に反感を買うんだよ。いい加減学べ!愚か者どもが!!」


──────── !?

クロノの言うことはごもっともである。
レオンハルト自身これまでそのことに疑問を抱いたこともなかった。
それは彼の父である先代国王の時もそうであったし、当然これまでの歴代国王の時代もそうであったわけで、その中で生きてきた彼自身がそうなってしまうこともまた自然な流れなのかもしれない。
しかし、レオンハルトはこの瞬間に自身の過ちに気づいたのだ。
まさにこれまでの常識が音を立てて崩れ落ちたのであった。


「ハハッ…クハハハハ」

「国王様?」

「いやいや、まさにその通りであるな。ありがとうクロノ殿。貴殿の言葉によって、また一つ己の愚かさを知ることができた。礼を言う」

「フンッ。次からは気をつけろよ」


レオンハルトからの素直な感謝の言葉を受けて照れくさそうな表情をみせるクロノ。
王とはどう在るべきか ────── 同じ立場にある者同士だからこそ、伝えられることがある。
そんな存在が近くにいてくれることに心から感謝するレオンハルトなのであった。
その時 ───── 彼ら二人の間に心地良い緊張感が漂う中で一際明るい少女の声が響き渡る。


「クロノ様ーーーーー」


綺麗な金髪をなびかせながら一人の少女がクロノ目掛けて駆け寄ってくる。
しかし、彼女の手が想い人へと届くことはない。


「現れよったな!貴様、そう易々と旦那様に触れられると思うな」


クロノに駆け寄ろうとする少女の前にラーニャが立ちはだかる。
まるでその出現を予期していたかのように先回りをして、見事に少女の動きを封じたのだった。


「ちょっと離してくださいませ。私はクロノ様に用があるのです」

「何をふざけたことを。わっちの目が黒いうちは旦那様にベタベタと触らせたりはさせんのじゃ」

「「 グヌヌヌヌ ──────── 」」


少女の登場に頭を抱えるレオンハルト。
それもそのはず、この緊張感漂う中で周囲のことなど一切気にすることなくクロノへと駆け寄っていき、今まさにラーニャと一進一退の攻防を繰り広げているのは、彼の愛娘であり、このガルディア王国の王女であるルナなのであった。


「クロノ様~。 ───── ちょっとラーニャさん、そこを退いてもらえませんこと」

「黙るのじゃ…。貴様だけはここを通すわけにはいかんのじゃよ」


久しぶりに会う想い人。
大興奮のあまり周りが見えなくなってしまったルナなのだが、ラーニャによる鉄壁のガードを前に近づくことさえ許されない。
そのような状況を前にしてますます頭が痛くなるレオンハルト。
はっきり言って今はそのようなことをしている場合ではない。
そして、レオンハルトはすぐに衛兵を呼び、ルナを部屋から連れ出すようにと命を出す。


「衛兵!」

「「ハッ!!」」

「直ちにルナを外へ連れて行き、自室に閉じ込めておいてくれ」

「「承知致しました!!」」


ガシッ。

二人の衛兵により両脇を抱えられるルナ。


「なっ!?ちょっと!下ろしてください。お父様!こんな仕打ちはあんまりですわーーーーー」


久々の再会を邪魔されて怒り心頭なルナであったが、二人の衛兵に抱えられ、大きな声を出して喚き散らしながら謁見の間を後にしたのであった。
こうして落ち着きを取り戻した場。
スズネはここで改めて今回呼ばれた理由をレオンハルトに質問する。


「我が娘が失礼をした」

「アハハハハ…。ところで国王様、この度はどのような要件で私たちを召喚なされたのでしょうか?」

「ああ、今回そなたたちを、いやクロノ殿を呼んだのは、今まさに巷を騒がせている件について少し話を聞きたいと思ったからだ」


レオンハルトは重い口を開き、今ガルディア王国全土を巻き込むほどになっている事件について、クロノに助言を求めるために召喚したことを告げる。

魔族のことは魔族に聞くべし ───── ということである。




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