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「君との婚約は破棄する! もう限界だ」
その言葉は私がずっと待ち望んでいたものだった。
「そうですか……それはとても残念です。だって……思い通りに復讐できるわけですから」
ついに、今まで受けた数々のひどい仕打ちへの無念を晴らすことができるのだ。
「メリッサ、君は一体、何を言っているんだ……。やれやれ、ショックすぎて頭がおかしくなってしまったようだね」
ルーザ王子が呆れるように私に言う。
「そうですよね。何もわかりませんよね。もう限界と先ほど、ルーザ王子はおっしゃいましたが、具体的に何が限界なのでしょうか? 私は今まであなたにとって不都合となるような振る舞いはしておりません。むしろ、私の方があなたのような、どうしようもない人間と婚約させられて限界なんですが……」
彼が心底嫌がるように声のトーンを使い分けながら、揶揄うように言う。
「ほう? メリッサ、今君は自分の発言の意味を理解した上で台詞を口にしたのかな? だとしたら、ただでは済まさないが……!」
怒りのこもった強い声が飛んでくる。
が、しかし……私にとっては何の問題もなければ、怖がる理由もない。
彼は王子という立場ではあるが、圧倒的な権力と財力以外に持ち合わせているものが一つもない。つまりはそれさえ奪えば何もできない可哀想な人間なのだ。
「私に嫌がらせをしたのが間違いでしたね。覚悟してください」
「だから、何の話をしているのだ!」
ルーザ王子がその言葉を放った刹那、
「なな、な、何だ! お前ら私にたてつくきか! 私をどうする気だ……!?」
自分の置かれている状況に、野生の勘なのかいち早く察したルーザ王子が、声をうわずらせ、明らかな動揺を見せた。
「まだわからないんですか? 呆れてしまいますよ。ルーザ王子、あなたは今、絶体絶命の状況下にいるわけです。いつまでそうしているおつもりですか? 早急にすべきことがあるのでは?」
「戦えということか……ならば、仕方ないな」
ルーザ王子は、自分に剣を向けている三人の兵士を横目で見ながら嘆いた。
「戦ってどうするおつもりです? まさか、あなたごときの剣技で圧倒できると? あなたが雇っている兵士らを?」
今、ルーザ王子は三人の凄腕の兵士に完全包囲されている。
そして、その兵士とは普段はルーザ王子の護衛を担当している者たちだ。
「侮るなよ……私を誰だと思っている。ルーザ・ドルリアス様だぞ! 如何なる悪をも焼きはらうとされているドルリアス家の血筋を引く者であり、この国の時期王だ!」
「それが、どうしたのです……あなたはいつだって自分の権力を行使するだけで、自らを犠牲にして誰かを救おうとしたことすらないくせに、何を威張っているのですか。見ているこちらが恥ずかしい。そうですよね……ゼルス・ドルリアス皇帝陛下」
そう言うと、背後からゆっくりとした足音で人影が近づき、私の隣に並んだ。
その言葉は私がずっと待ち望んでいたものだった。
「そうですか……それはとても残念です。だって……思い通りに復讐できるわけですから」
ついに、今まで受けた数々のひどい仕打ちへの無念を晴らすことができるのだ。
「メリッサ、君は一体、何を言っているんだ……。やれやれ、ショックすぎて頭がおかしくなってしまったようだね」
ルーザ王子が呆れるように私に言う。
「そうですよね。何もわかりませんよね。もう限界と先ほど、ルーザ王子はおっしゃいましたが、具体的に何が限界なのでしょうか? 私は今まであなたにとって不都合となるような振る舞いはしておりません。むしろ、私の方があなたのような、どうしようもない人間と婚約させられて限界なんですが……」
彼が心底嫌がるように声のトーンを使い分けながら、揶揄うように言う。
「ほう? メリッサ、今君は自分の発言の意味を理解した上で台詞を口にしたのかな? だとしたら、ただでは済まさないが……!」
怒りのこもった強い声が飛んでくる。
が、しかし……私にとっては何の問題もなければ、怖がる理由もない。
彼は王子という立場ではあるが、圧倒的な権力と財力以外に持ち合わせているものが一つもない。つまりはそれさえ奪えば何もできない可哀想な人間なのだ。
「私に嫌がらせをしたのが間違いでしたね。覚悟してください」
「だから、何の話をしているのだ!」
ルーザ王子がその言葉を放った刹那、
「なな、な、何だ! お前ら私にたてつくきか! 私をどうする気だ……!?」
自分の置かれている状況に、野生の勘なのかいち早く察したルーザ王子が、声をうわずらせ、明らかな動揺を見せた。
「まだわからないんですか? 呆れてしまいますよ。ルーザ王子、あなたは今、絶体絶命の状況下にいるわけです。いつまでそうしているおつもりですか? 早急にすべきことがあるのでは?」
「戦えということか……ならば、仕方ないな」
ルーザ王子は、自分に剣を向けている三人の兵士を横目で見ながら嘆いた。
「戦ってどうするおつもりです? まさか、あなたごときの剣技で圧倒できると? あなたが雇っている兵士らを?」
今、ルーザ王子は三人の凄腕の兵士に完全包囲されている。
そして、その兵士とは普段はルーザ王子の護衛を担当している者たちだ。
「侮るなよ……私を誰だと思っている。ルーザ・ドルリアス様だぞ! 如何なる悪をも焼きはらうとされているドルリアス家の血筋を引く者であり、この国の時期王だ!」
「それが、どうしたのです……あなたはいつだって自分の権力を行使するだけで、自らを犠牲にして誰かを救おうとしたことすらないくせに、何を威張っているのですか。見ているこちらが恥ずかしい。そうですよね……ゼルス・ドルリアス皇帝陛下」
そう言うと、背後からゆっくりとした足音で人影が近づき、私の隣に並んだ。
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