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立ち上がろうと
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翌日、俺が登園した時に珍しくレクスが教室にいた。いつもは『鍛える!』とか言って、運動場や魔法訓練場で始業ギリギリまでトレーニングしているんだけれど。ヴァロはいつも寝坊しかけて駆け込みで来るから(夜中まで研究をやっているそうです、はい。)、別にいなくても何もおかしくない。
……昨日のレクスの様子が気になっていたので、いつもより俺はかなり早く登園したのだ。
人気のない廊下を歩いていたら、何とヴァロが俺の後を追いかけてきた。
いつもは始業の鐘の音の直前に、城から逃げてきたシンデレラのごとく教室に駆け込んでくるのに……。
「……おはよう、ヴァロ」
「うむ……おはようである、カイン」
俺達は軽く頷き合って、教室に入った。
「…………」
レクスはボーッと椅子に座り、頬杖をついて宙を眺めていたが、やがて俺達の気配に気付いて顔を向けた。
「カインとヴァロか」
「おはよう、レクス」
「おはようである、レクス」
3人きりの教室の中で、レクスはもう少しだけボーッとしていたが、立ち上がった。
「ちょっと一緒に鍛えようぜ」
頭で悩んでもどうしようも無い時は、思いっきり体を動かすと良い考えが浮かぶ。
「うん」
「うむ」
俺達は魔法訓練場に向かった。まだ学園に学生や教職員が集まるよりも時間が早すぎて、校舎の中にも外にも誰もいなくて閑散としていた。たまに忙しそうな清掃業者とすれ違うくらいだった。
訓練場で、軽く体をほぐして温めたり、深呼吸して瞑想したりして、魔法模擬戦のための準備運動をしていた時だった。
『――おい!』
カインがいきなり騒ぎ出した。
『何だ?』
『この魔法訓練場の裏手の倉庫に人が集まっているぞ。こんな朝早く、貴族が倉庫に一体何の用だ?……この反応、魔力の低い平民を貴族達が大勢で囲んで……いや、平民共を人質に取っているのか!?』
――ああああああああああああああああああ!!!!!
まさか、あの貴族派の女子生徒達か!?
いや、貴族派の生徒がエヴィアーナ公爵家の指示でクレオパトラ嬢へ報復しているのか?
いずれにせよ――過激な最終手段に出やがったのは確定した!
俺はレクスの手を掴んだ。
「ん?」
レクスの口を俺はあらかじめ押さえてから言う。
「クレオパトラ嬢達が危ないかも知れない」
「!」
「何処であるか!?」
ヴァロが小声で聞いてきたので、
「こっちだ!」
俺は走り出した。
……昨日のレクスの様子が気になっていたので、いつもより俺はかなり早く登園したのだ。
人気のない廊下を歩いていたら、何とヴァロが俺の後を追いかけてきた。
いつもは始業の鐘の音の直前に、城から逃げてきたシンデレラのごとく教室に駆け込んでくるのに……。
「……おはよう、ヴァロ」
「うむ……おはようである、カイン」
俺達は軽く頷き合って、教室に入った。
「…………」
レクスはボーッと椅子に座り、頬杖をついて宙を眺めていたが、やがて俺達の気配に気付いて顔を向けた。
「カインとヴァロか」
「おはよう、レクス」
「おはようである、レクス」
3人きりの教室の中で、レクスはもう少しだけボーッとしていたが、立ち上がった。
「ちょっと一緒に鍛えようぜ」
頭で悩んでもどうしようも無い時は、思いっきり体を動かすと良い考えが浮かぶ。
「うん」
「うむ」
俺達は魔法訓練場に向かった。まだ学園に学生や教職員が集まるよりも時間が早すぎて、校舎の中にも外にも誰もいなくて閑散としていた。たまに忙しそうな清掃業者とすれ違うくらいだった。
訓練場で、軽く体をほぐして温めたり、深呼吸して瞑想したりして、魔法模擬戦のための準備運動をしていた時だった。
『――おい!』
カインがいきなり騒ぎ出した。
『何だ?』
『この魔法訓練場の裏手の倉庫に人が集まっているぞ。こんな朝早く、貴族が倉庫に一体何の用だ?……この反応、魔力の低い平民を貴族達が大勢で囲んで……いや、平民共を人質に取っているのか!?』
――ああああああああああああああああああ!!!!!
まさか、あの貴族派の女子生徒達か!?
いや、貴族派の生徒がエヴィアーナ公爵家の指示でクレオパトラ嬢へ報復しているのか?
いずれにせよ――過激な最終手段に出やがったのは確定した!
俺はレクスの手を掴んだ。
「ん?」
レクスの口を俺はあらかじめ押さえてから言う。
「クレオパトラ嬢達が危ないかも知れない」
「!」
「何処であるか!?」
ヴァロが小声で聞いてきたので、
「こっちだ!」
俺は走り出した。
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