【完結】転生したら登場人物全員がバッドエンドを迎える鬱小説の悪役だった件

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何で俺だけ独身なんだ!?

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 ――月日が経つのは早い。
俺達が高等部に進学してもう半年が過ぎた。
あと2年半後には卒業して、成人した貴族として公に認められる。

 あの『魔幸薬』の事件から色々とあった。
資金源であるヴェネット商会と切り離された貴族派はいきなり大人しくなった。かなりの数の貴族派の連中がその件で逮捕されたために、勢力も急激に衰えたのだ。
だが首謀者と思しきエヴィアーナ公爵には、あと一歩の所でスルリと逃れられてしまった。
こともあろうに――執政官のエヴィアーナ公爵を見張っているべきヤヌシア州の総督が金銭関係の醜聞を握られていて、ほぼ言いなりの操り人形になっていたらしい。あの皇太子殿下自らが調査に乗り出して、その不正が根こそぎ暴かれたため、総督も貴族牢の中にすぐさま収監された。

だが、エヴィアーナ公爵は、そのままヤヌシア州の執政官の役目が続ける事が出来ている。
罷免するだけの証拠と証人が見つからなかったのだ。巧妙にも。

新しい総督として、あのルキッラ皇女と彼女が降嫁した先であるボイオン大公が任命されて現地に赴いている。
しかしヤヌシア州は貴族派の完全な牙城かつ温床で、上から下まで腐敗しきっていて、とても二人は苦労していると言う噂だ……。

 全ては『ウルトラハッピーエンド』のため、いずれヤヌシア州を中心に起こる、あの大飢饉と疫病を防ぐべく、俺は領地経営や政治のあれこれをガイウス様から学園帰りに毎日のように教わっている。
ディーンも近衛騎士になりたいようで、よくヴァリアンナ嬢と一緒に訓練しているようだ。
俺より学園の成績も良いから、むしろディーンがレーフ公爵家の跡取りになってくれても俺は大歓迎なんだけれど、内心でそう言ったらカインに凄まじい剣幕で怒られた。

『貴様にはヤツに負けないと言う気概は無いのか!ヘラヘラしてナヨナヨとして、それでもレーフ公爵家の跡取りか!』
『あはは……』
『笑って誤魔化すな!逃げるな!貴族として覚悟を決めろ!そんな有様では誰も、何も幸せになど出来ないぞ!』
『……なあ、カイン、オマエも変わったなあ』
『どこがだ?』
『まさかあのカインが俺を激励してくれるなんて、本当に驚いたよ』
『……そんなつもりでは!』
『あはは。ただ、今日もデボラは元気だからな。デボラが元気な限り、オマエだって誰かを恨む事は出来ない訳だ。そうだろ?』
『……チッ。そう言うジンは……今では誰かを恨んでいないのか?』
『恨んでいるって言うか……アイツらをとても妬んでいるよ?』

 今までの期間に俺達の周りで起きた事を手短に言うと――、

レクスとクレオパトラ嬢が文通を始めた!
『私を婚約者にして下されば色々とユィアン侯爵家に融通ができますのなの』って迫ったテオドラ嬢がハリカルナッシン男爵家の養女となり、そのままヴァロの婚約者になった!
ディーンとヴァリアンナ嬢の婚約確定も秒読みになった!
コンモドゥスがアレクトラさんの契約・婚約者として結婚式の準備をしている!
皇太子殿下夫妻には3人目がもうすぐ生まれるってさ!
ガイウス様もパパになって幸せそうだしな!
アグリッパさんもとってもとっても若いゾエ夫人を溺愛している!
ポンポニアも初孫が生まれたって事で、今だけは産後の娘の手伝いのために休暇を取っている!
何ならデボラさえも何となく、ほんのり……スティリコさんと……淡く……良い雰囲気なのだ!

 なのに、俺だけが、何故か、どうしてか、未だに……『スーパーミラクルパーフェクトフリー』なのである!
『超奇跡的完璧独身』とも……言う!
人生の敗北を認めるようで、言いたくは無かったけれどな!

これで何も妬むなって言われて『おかのしたー』なんてすぐに言えるほど、俺は聖人君子じゃないのだ!
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