【完結】転生したら登場人物全員がバッドエンドを迎える鬱小説の悪役だった件

2626

文字の大きさ
108 / 128

記憶の中の父親は

しおりを挟む
 「大丈夫……じゃなさそうじゃの」
ガイア村に戻ったら、キプリオスのじいさんに真っ先に心配されてしまった。
「うん、ちょっと想定外の事が起きてね」
ペトロニウスまでやって来た。
「『父親殺し』……!では、最後の拠点にいるのは……」
ああ、『共感』で筒抜けなんだったっけ。
「僕の血縁上の父親、リヴィウス・コンスタンティンだろうね」
「……カイン!」
俺は直後にストラトスに捕まって元『執務室』に連れ込まれた。
キプリオスのじいさんとペトロニウスまで付いてきて、俺を囲んで凄まじい威圧感を出す。
「何も家族を殺す必要は無いんじゃぞ!」
「そうだ!」
「家族や同胞を奪われた私達だからこそ、あえて言わせて貰う。そんな必要は何処にも無いのだ!」

『なあ、カイン。オマエにとってリヴィウスは家族?』
『いや……そう言えば俺には父親が存在していたのだな。俺の家族はデボラの母上とディーンだけだと思っていた』

「僕にとっての父親は2才児を襲って顔に一生消えない傷痕を残すような男じゃないよ」

……仕事で忙しいのに、ヘトヘトに疲れているのに、休みの日にあちこち連れ出してくれて。何度学校に呼び出されても、一度だって手を上げたりせずに辛抱強く俺を諭してくれた。俺が小学生の時に描いた似顔絵を、マジで恥ずかしいから止めて欲しかったのに、いつまでも壁に額縁に入れて飾っていて。財布をあさったら下手くそ極まりないひらがなの『かたたたたきけん(原文ママ)』が入っている。
本当にバカじゃねえのって今でも思う。俺はどうしようもないムカつくクソガキだったのにさ。……で、最後に焼け跡で見つかった時には、母親の体を庇うように、覆い被さるように死んでいたって。
『優しい、良い男だな』
『だろ?でももう二度と会えない』
『ああ。地獄のどん底にいる俺達が、天国の住人と会える訳が無い』

「心配してくれてありがとう。でも僕はあくまでもヤヌシア州の執政官で貴族だ。一族の名誉のためなら父親であろうと殺さなきゃいけない。それが貴族と言うものだから」
取りあえず真意でも無ければ嘘でも無い事を言うと、3人とも黙ってしまった。
「僕よりも今日、奴隷からやっと解放出来たみんなの手当てをしなきゃ。……僕はもう間に合わないけれど、彼らは間に合ったからね」
俺達にとっての父親はリヴィウスじゃない。
俺にとっては焼け死んだ親父だけだし、カインにとっては存在さえしていなかった。
とは言えそんな俺達の裏事情をぶちまけたって混乱を招くだけなので、最優先事項を持ち出して俺は3人を宥めたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

処理中です...