百年分の溺愛を君に

ぽんぽこまだむ

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第十話:えっちは両想いになってから

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 ファビオはずっと、サトルが自分の愛情を信じていないことを知っていた。
 当たり前だろう。出会うなり家に連れ帰り、外にも出さず、ひたすら「かわいい」「愛おしい」と言って愛で、自らの欲望のままに快楽を教え込んだのだから。

 この愛らしい子を守れるならば、それでもいいと思っていた。
 サトルを初めて見た瞬間に感じた輝きは、一緒に暮らすうちに高まっていく一方だった。
 サトルは「自分は平凡だ、普通だ」と言うが、サトルのような子は、この国のどこにもいない。
 この国でサトルのような子が育つようになるには、あと百年はかかるだろう。
 傷ついた国を立て直し、人心が安定し、教育が行き届き、さらにそんな国で育った人々が子を産み……。

 サトルは希望であり、未来だ。
 遥か遠く手が届かないと思っていた未来が、偶然の奇跡で手の中に落ちてきたのだ。
 どうしてもその輝きをすぐそばで見たくて、本人の気持ちを無視して連れ帰り、愛玩してしまった。

 好いてもらえなくてもかまわない、と思っていた。
 サトルを愛玩している時だけ、過去も現在もわからなくなって、光あふれる水の中でたゆたっているような幸福に包まれることができた。

 なのに、気づいたら本当の愛情が欲しくなってしまった。信頼が欲しいと思ってしまった。
 だからお願いに負けて、一人で出かけさせてしまった。
 迷いに迷ったが、どうしても心からの信頼が欲しくて、尾行もつけさせなかった。

 ホアンをマークしていた部下から、聡に接触していると聞かされた時は、喚き散らして後悔した。

 もしものことがあったら……、あの輝きがくすんでしまったら……。
 すぐに取り押さえるよう言うこともできた。しかしそれではガスパルを摘発することができない。

 ファビオは、ガスパルもろとも青少年売春組織を壊滅させることを選んだ。
 サトルを、確実に安全に保護するよりも……。

 もっと早く助けられたのに、自分は……。

「私にはもう、サトルをかわいがる資格はないのかもしれない……」
 泣きながら謝ると、サトルはファビオの頬にそっと手を添えた。

「僕……かわいくない、ですか……?」
「かわいい! かわいい!」
 涙にむせびながらサトルを抱きしめると、温かい幸せが全身に満ちていった。

「サトル……。お願いだ、私から君をかわいがることを取り上げないでくれ……」

 サトルを愛することができない毎日など、もう想像がつかない。考えてみただけで、それは恐ろしく、暗く、過去の亡霊と現在の重荷に満ちていた。

「……いいですよ」

 温かい唇が頬に触れた瞬間、止まりかけていた涙が再びボロボロと流れ落ちた。

 ◇ ◇ ◇

「しょっぱい……」
 息が苦しくなるまで夢中でキスを交わし、唇を離すと、サトルが吐息とともにつぶやいた。

「済まない」

 サトルは小さくかぶりを振ってまた唇を重ねてきた。
 柔らかく可憐な唇が、ちゅっ、ちゅっと唇を吸ってくれる。隙間からちゅるっと舌を差し込むと、「んっ」と息を漏らしてちゅうちゅうと吸いついてきた。

 駄目だ、もう我慢の限界だ。
 触れるだけではダメだ。身体の中までサトルを味わいたい。

「サトル、今すぐ私の寝室に連れて行っていいかい?」

 サトルはファビオの服をぎゅっと握りしめ、コクリと頷いた。

 ◇ ◇ ◇

 途中で我慢できなくなって階段の踊り場でもう一度たっぷりキスをしたりしながらも、どうにか寝室にたどり着くと、ファビオはサトルを抱きしめたままベッドに倒れ込み、さっそく服を脱がし始めた。

「サトル、メガネもかわいいけれど、壊してしまうかもしれないので外してくれないか」

 サトルがメガネをヘッドボードに置くや否や、その手を絡めとってシーツに押し付けた。
 親指と人差し指の間をすりすりと指でさすりながら、素顔のサトルを間近で覗き込むと、黒い瞳は熱っぽく潤み、愛らしい頬は火照っていた。

「かわいいよ、サトル。こんなにかわいいなんて」
 ファビオはサトルの前髪をかき上げながら額を撫で、欲望のままに唇を吸った。

「んんっ……」
 サトルは湿り気を帯びた吐息を漏らし、シーツに力なく伸ばしていた膝を曲げる。
 すでに昂った互いのモノが股間でこすれあい、触れ合う音はぐちゅぐちゅと湿っていた。

「今日は最後までしようね」
「うん……いいですよ……」

 許可が出るが早いか、ファビオはベッドサイドから潤滑剤を取り出し、たっぷりと手に取るとサトルの尻の間に手を這わせた。

「あっ……」

 サトルが腰を浮かせたのに合わせて、つぷっと指を滑り込ませる。
 中は柔らかくファビオを迎え入れ、指を動かすたびにきゅうきゅうと締めつけてきた。

 ──ああ……。なんてかわいらしいんだろう……。
「んん……っ」

 再び唇を奪い、ちゅうちゅうと唇でサトルの下唇をしごくと、サトルは鼻から吐息を漏らして腰を傾けた。
 指を増やして中を探ると、指の腹にぷっくりとした秘所が当たった。

 ──ここもかわいい、かわいい……。

 夢中でくちゅくちゅとかわいがると、サトルは腰を浮かせて悶えた。

「や、ん……っ、あっ、なんですかそこぉっ……」
「サトルと私が愛し合うための場所だよ」

 くちゅっ、とまたそこを押す。

「はぁんっ……」

 前立腺をまさぐりながら、頭を押さえて口内に舌を差し込み、唾液を流し込むと、サトルはコクンと喉を鳴らして飲み込んだ。

「ん、んんっ……!」
「ああ……もう我慢できない。入れるよ」

 じゅぷじゅぷと吸い付く内壁から指を引き抜き、代わりに自分のモノをあてがうと、サトルは少し身体を強張らせる。

「痛かったら言ってほしい」
 やめられるかどうか自信はなかったが、背中を撫でながら声をかけると、サトルはコクリと頷いた。

 ずぷっ……
「あ……、んんっ……!」

 熱い内壁は、ファビオの昂ったモノをギチギチと締め付けたが、サトルは目の端に涙を浮かべながらも圧迫感に耐えている。

 なんて愛おしいのだろう。
 そう思うとますます陰茎が昂ぶり、はち切れそうになってしまう。
 頬にキスをして、背中から腰を撫でさすりながらゆっくりと押し入っていくと、やがてこちゅん、と奥に当たる感触がした。

「は、あっ……」
「入ったよ」
「ん……、大丈夫です……」

 サトルは懸命に息をしながら答えた。
 その健気さがたまらなく愛おしく、ファビオはサトルをぎゅうっと抱きしめた。
 鼻のすぐ下にあるサトルの頭はわずかに汗ばんで、湿った空気とともにサトルの身体の匂いを伝えている。
 ファビオの上半身がサトルを抱きしめ、ファビオの下半身はサトルに包まれている。
 気が遠くなるような一体感を抱きしめていると、サトルがファビオの胸元でつぶやいた。

「なんでだろ……。苦しいのに、なんかふわふわして……。嬉しいみたいな……」
「サトル……!」
 ファビオは堪らなくなって、腰を振り始めた。

 ず……ちゅ、ず……ちゅ、
 できるだけゆっくり、優しくしなければ。

「あ……、あ……」

 しかし繋がった部分がこすれ合い、快感が高まっていくと、サトルの声が甘さを帯びて、中をきゅうっと締めつける。
 ついつい、滾った肉棒を中で激しく往復させてしまう。

「あ……、あんっ、あんっ……」
 
 もっと隅々までかわいがりたい……。
 薄紅色の乳首に中指を当ててクリクリっと押すと、サトルの膝が跳ねた。
 その瞬間、中で陰茎がグリッと奥を突き、サトルは目尻に涙を光らせて、ますます身体を反らせた。

「はぁんっ! やぁっ……」

 毎日ファビオに愛撫されて熟れた身体は、陰茎を受け入れて、悦びに甘い鳴き声を上げている。

「んんっ!」

 唇をふさいでくちゅくちゅと舌を吸いつけると、ますます腰を浮かせて身体をうねらせた。

「んっ、んっ、んんっ……!」

 やがて腰をうねらせるだけでは足りなくなったのか、サトルは自ら腰を動かし始めた。
 唇を離すと、聡は目を半分だけ開け、唇の端から唾液を少し垂らしたまま、ずちゅずちゅと身体をゆさぶっている。

「ああ、かわいいよ……! なんてかわいらしいんだ!」

 ぱん、ぱん、ぱんっ……!
 夢中になって腰を打ち付けると、サトルは甘い吐息を漏らして悶えた。

 ぱん、ぱん、ぱんっ……
 「あっ……あぁっ……!」

 ファビオのモノが中でサトルの秘所をこするたびに、サトルは甘い声を上げて締めつける。
 サトルの張りつめたおちんちんは、二人の腹の間でこすれ、染み出る先走りで湿った音を立てた。

「あっ、んんっ……! あぁっ……!」

 ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ……

 次第に互いの息づかいが早まり、突き上げのリズムが重なっていく。

「はぁんっ、あぁんっ! あぁんっ! イッちゃうぅっ……」

 サトルが涙を滲ませながら身体を震わせ始めた。絶頂が近い。

「いいよ。一緒に出そうね」

 サトルの首を抱き寄せると、サトルはファビオの背中にしがみついてくる。
 愛おしくて唇を吸うと、必死で吸い付きながら甘い声を漏らした。

「んんっ、んんっ……! んんっ!!」

 身体をしならせて内壁を震わせながら、サトルがびゅっ! びゅっ! と放つと同時に、ファビオも熱く滾るモノをサトルの奥にぶつけ、どぷっ! どぷどぷっ──!! と思い切り精を注ぎ込んだ。

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