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第三話:悪魔との契約
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冷たい祭壇の上に寝かされて真上を見ると、凛々しいリックの顔が、すがりつきたくなるような逞しい身体が、レミーを見つめて覆いかぶさっている。
うっとりしてしまったレミーの心を見透かしたように、ゼパルはこれまでの邪悪な笑みを消して、にっこりとほほ笑んだ。
「レミー、会いたかったよ」
「……!」
目元は優しげに光り、瞳孔が深紅の輝きを秘めている以外には、何もかもがリックと同じ。
こんなことをどれだけ夢見ただろう。
レミーだけを見つめ、欲しい言葉をかけ、優しく頬を撫でてくれるリックをどれだけ夢想して、眠れない夜に一人果てただろう。
「レミー、俺のことをずっと想っていてくれたんだな」
「リック……!」
レミーを絡めとるための狡猾な罠だと知りながら、レミーの目には涙があふれ、頬を伝って祭壇に流れ落ちていった。
「長い、つらい旅を一人で続けていたんだな」
リックの声で、ゼパルは愛おしげにレミーの頬を手のひらで包み込み、親指で涙をぬぐった。
「僕も、僕もずっと……会いたかった……!」
「これからはずっと一緒だ」
悪魔の見せる誘惑の舞台に乗ってはいけないとわかっていたのに、返事をしてしまった。
深紅の瞳が歓喜に細められ、レミーの黒いローブの前合わせから、するりと手が入り込む。
シャツの下から手が入り込み、胸の上を撫でられた。
「フフ……。美味そうな心臓だ。健気な恋心と、失恋の悲しみと、そして欲望に張り裂けそうになっている……」
先ほどの善良そうな笑顔から一転、ゼパルは邪悪な笑みをもらしてスルスルと撫でる。
鼓動が速くなったが、それは恐怖なのか、リックの手が裸の胸を撫でているという興奮なのか、レミーにもよくわからなかった。
息が荒くなってしまわないようにこらえていると、ゼパルがレミーの乳首をつん、とはじいた。
「あっ……」
思わず鼻から声を出してしまい、悪魔の愛撫に感じてしまった自分を恥じて、レミーは顔をそむけた。
「何を恥ずかしがっている。リックにこうして欲しくて、自分で何度も慰めていたのだろう?」
ゼパルはトントンと指の腹で乳首を押し、クルクルとなぞっては指先でまた、つんつんと弾いた。
「あっ……、はあっ……」
指の動きに合わせるように、レミーの唇から喘ぎ声が洩れた。
いつの間にかローブは完全にはだけさせられ、夜の空気に向かって乳首がぷっくりと勃ちあがっている。
じゅうっと音を立てて、ゼパルがもう片方の乳首に吸い付いた。
「んうっ……」
唾液を塗りこめるように舌先で丹念に舐められ、レミーは腰をくねらせた。
「あっ……」
右手でレミーの左胸をまさぐりながら、ゼパルの左手は、するすると下肢に伸びていく。
「な、なにをして……」
男同士の性の交わりでは何をするものなのか、レミーは何も知らない。だが股間のモノは、漠然とした恐怖と快楽の予感に張りつめて、下着の中で濡れた感触を伝えていた。
「案ずるな。きちんと教えてやる。お前がリックを誘惑できる身体であることをな」
「やめ……ろ……」
まやかしに過ぎないとわかっているのに、生まれて初めて身体をほめられ、もしかしたら自分の身体でもリックがその気になってくれるかもしれないと思ってしまいそうになる。
「誰も言ってくれなかったのか?」
ゼパルの手がレミーのローブの裾を乱暴にまくりあげた。
「あっ……」
「お前は美しいぞ。淫らにくねる腰、白くたおやかな手足……」
賛美するかのように、ゼパルはレミーの太ももから腰までを、ゆったりと上下に撫でた。
顔をほめられたことはある。主として村の娘たちに、こんな顔に生まれたかったと。
けれど恋情を含んだ意味合いで言われたことはなかったし、ましてや一番求めていた相手には、ついぞ身体をほめられたことはないのだ。
「どんな村娘もお前の美しさにはかなわない。可哀想に、男でありさえしなければ、リックがお前以外に目を向けることなどなかっただろうに」
それはリックが悪いわけでも、村人が悪いわけでもない。ただ、男に懸想する男がいるとは、誰にも思いもよらないことだったのだ。
悪魔の力によって心を暴かれただけだとわかっていても、レミーの目からは涙がこぼれた。
「この男に、こうして欲しかったのだろう?」
ゼパルはするりと下着を下ろし、じんじんと硬くなったレミーのものを手で握り込んだ。
「それからこうして……」
そのまま上下にしごき始め、淫らな熱に満ちた芯を責め立てる。
「ああっ……!」
自分で慰めるのとはまるで違う刺激に、レミーはたまらず顎を反らせた。
「陰茎をもてあそばれたお前が、どれだけ甘い声で啼くか、どれだけかぐわしい吐息をつくか知ったら、リックならずとも、誰でも臍の下を熱くして、ますます責め立てるだろう。ほら、こうして……」
激しく竿をこすられてレミーが甲高い声を上げ、達してしまいそうになると、ゼパルは手を緩めて亀頭をくりくりと撫でさすり、レミーが涙を滲ませながら息をつこうとすると、また激しくこすり立てる。
「ああっ! あぁっ……!」
「愛らしい声で啼くお前に、たまらなくなったこの男は、どうすると思う?」
「リックは……、リックは……」
リックも自分に欲情してくれるのだろうか。
はあ、はあ……と目尻から涙をこぼしながら、レミーは自分の脚の間にある、リックのズボンに目をやった。
狩人の履く素朴なズボンは股座が盛り上がって、前合わせのボタンがちぎれそうなほどだった。
たとえそこに愛があるのかわからなくても、「それ」は自分が求められているという、確かな「しるし」だった。
「そう急くな。今見せてやる」
「ち、ちが……」
レミーのものから手を離したゼパルは、ベルトを外して前合わせを開けた。
「あっ……」
ぶるんと勢いよく飛び出したモノに、レミーは思わず息をのんだ。
それはすがりつきたくなるほど大きく、地の底で生まれる赤玉髄のように赤黒く、大樹の根のように太く黒い血管を浮かび上がらせていた。
サオの裏側で、溶岩のように赤い光を放っているのは、悪魔の紋章であった。
円の中に刻まれた印章は、この世の者には発音できぬ、ゼパルの真の名を表している。
黒魔導書に記された、それぞれの悪魔が持つサイン。これを身体に刻み込まれたものは、悪魔の下僕に堕ちてしまうのだ。
まさかこのような部分に紋章があるとは、レミーには想像もつかなかった。
暗く淀んだ瘴気を放ち、見ているだけで意識を持っていかれそうになるのに、気がつくと見入っている自分がいる。
悪魔の紋章は間違いなくゼパルのものであろうが、今はリックの姿を借りているはずだ。とするとこの大きく禍々しい陰茎は、どの程度がリックと同じなのだろうか。
ゼパルは禍々しい肉棒を、先走りを垂れ流しているレミーのモノに重ねた。
剥き出しの肉と肉が触れ合った瞬間、火花のような快感が、レミーの体の中心まで貫いた。
「ああっ――!!」
快感が陰茎を駆け上り、すぐにでも射精しそうになる。
その様子にゼパルは目を細め、硬い肉棒をさらに強く押し付けた。
「あっ…! あっ……!」
だめだ、悪魔の紋章を刻まれ、身も心も悪魔の虜になってしまう。
背徳と罪の意識に苛まれ、身体をよじらせながらレミーは悶えた。
リックの陰茎もこんなに大きく硬く、こんなに激しくレミーを求めるだろうか。
「だめ……、だめだっ……!」
「俺と契約すれば、本当のリックのモノを確かめることができるぞ?」
「そんな、ことは……」
「思っていないのか? リックの愛が欲しいのだろう?」
ずん……、とまた邪悪な肉棒がレミーのモノに重たくのしかかった。
「あぁっ……! で、でも……」
「案ずるな。この紋章がお前に刻まれるのは、お前が契約に同意してからだ。俺に犯されて、俺の陰茎がお前の奥まで貫く時、この紋章が胎内に焼き印のように刻まれる」
ゼパルはレミーの頭の脇に手をついて、激しく腰を振り始めた。
「やあっ、あっ、あっ……!」
陰茎がこすれ合い、汗ばんだ空気がリックの胸板からレミーの鼻をくすぐる。
ゼパルのモノであろう先走りが、レミーのものに絡みつくたびに、溶けてしまいそうな甘い疼きが走った。
「中に刻まれた焼き印は、どんな人間にも見つかることはない。その身体のままリックと交われば、欲望のままお前の秘所を犯したリックの陰茎には紋章が刻まれ、お前はリックを手に入れることができるのだ」
「あ、ああっ――!!」
ゼパルの言葉に翻弄されて、レミーの腰に、失禁したのではないかと思うような快感が走った。
リックを永遠に自分のものに……。
「あっ、あっ、あっ……!」
それを想像しただけで股間が熱くなり、まるで今がその時であるかのように、レミーは腰を揺すった。
「あっ、あっ、あんっ、あんっ……!」
「ふふ、想像したらメスのようになったではないか。そうだ、お前の求めているものはそれだ。自覚しろ、焼きつけろ、病みつきになって求めろ」
濡れた硬い陰茎が互いに絡み合い、レミーが腰を振るたびにぬちゅっ、ぬちゅっ、と淫らな音を立てた。
快楽の濁流にのまれて、レミーはびゅるびゅるっー! と射精した。
「あぁぁっー!」
腹にかかる自らの熱い精に、罪悪感にまみれながら吐息をついていると、ゼパルが右手を掲げた。
太く長いリックの指先から、赤とも桃色ともつかぬ粘液が、光を帯びてとろりと流れ落ちていく。
それは精にまみれたレミーの下腹部に垂れて薄桃色に溶けながら股間のあわいへと流れ、湯のように温かくレミーの股を濡らした。
何をされているのかレミーが戸惑っているうちに、ゼパルは濡れた股間に手を這わせた。
陰茎の下の陰嚢よりもさらに奥、小さな窄まりに硬い指が当たる。
「なにを……」
「男のまぐわいを知らぬか? お前はここでリックを誘惑するのだ」
つぷ、と桃色の粘液の滑りを借りて、指が窄まりの中に入って来た。
「ここは、女の秘所よりも男を狂わせる場所だ。ここに陰茎を突き入れ、絶頂する快楽を知れば、誰も戻ってはこられない。リックはお前の身体を離さず、何度も何度も果てるだろう」
ずぷっと太い指が奥を探り、ぐちゅぐちゅと桃色の粘液をまぶしながらレミーの中をかき回す。
「ああっ……!!」
ぬめる粘液の効果か、痛みはなく、むしろじんとした甘い疼きさえ感じるほどだ。
口づけよりも深く、レミーの身体に悪魔は入り込み、熱い指で粘液を押し込みながら内部を撫で、入口の肉ヒダをぐるりとなぞる。
「ここか」
ニヤリと笑って、ゼパルがある一点を押した。
「ああああっ――!」
ちょうど陰茎の根本の裏あたり。そこを撫でられた瞬間、さっき陰茎を触れ合わせた時よりももっと激しい快楽が、レミーに襲い掛かった。
「あぁっ! なんだ、そこはっ……! や、やめ……!」
「お前の身体は、ここで快楽を得るようにできているのだ」
息を乱して逃れようとするレミーを、ゼパルはほくそ笑みながら見下ろして、執拗にそこを責め立てる。
いつの間にか指が増やされ、たっぷりの粘液の中で泳ぐように、レミーの中をかき回している。
「はああぁっ……! そこ……駄目っ……!」
「気持ち良いならばよいではないか?」
ゼパルの指から逃れようと腰を浮かせても、すぐに太く硬い指が追ってきて、また気持ちの良い場所をこすられる。
「ああぁっ!」
「女がどうやって男を誘惑し、陰茎をくわえこむか知っているか?」
ああ、そうだ。リックは村長の娘と結婚してしまった。
「このような、淫らに滑る愛液を秘所から垂れ流し、陰茎を飲み込んで、こうやって締めつけて陰茎を絶頂に導くのだ」
「ああっ!」
指の腹でとんとんと軽く叩かれ、尻から腰へ耐えがたい疼きが突き抜けて、レミーはひとりでに中を締めつけてしまった。
「そうだ。そうやって男の陰茎に奉仕するのだ」
「ああっ、あっ……!!」
指はレミーの感じる場所ばかりを狙ってこすりたて、そのたびにレミーの腰は淫らにくねって陰茎がぴたぴたと腹を打った。
「俺を受け入れれば、お前のココは媚薬の入った愛液を女のように滲ませて、リックの陰茎を容易にくわえ込み、快楽の渦に飲み込むだろう」
――そうだ……女の人はこんないやらしい液体を出して男を誘惑するのだ。
その力が欲しい。
自分にそれが備わっていさえすれば、きっと……。
赤黒く光る紋章の刻まれたゼパルの陰茎を、レミーは涙に濡れる瞳で見下ろした。
「リックを誘惑する力が……誘惑できる身体が……欲しい」
ゼパルの深紅の瞳が、ギラリと光った。
「よかろう! 契約だ!」
リックの黒髪の両脇から、メリメリと音を立てて雄山羊のような角が現れ、頭の上まで伸びていく。
「はははははは! ははははは!」
真っ黒に塗りつぶされた視界にゼパルの哄笑が響き渡り、レミーが恐怖に目を閉じると、ふわりと身体を持ち上げられる気配がした。
「お前は私のものだ!」
うっとりしてしまったレミーの心を見透かしたように、ゼパルはこれまでの邪悪な笑みを消して、にっこりとほほ笑んだ。
「レミー、会いたかったよ」
「……!」
目元は優しげに光り、瞳孔が深紅の輝きを秘めている以外には、何もかもがリックと同じ。
こんなことをどれだけ夢見ただろう。
レミーだけを見つめ、欲しい言葉をかけ、優しく頬を撫でてくれるリックをどれだけ夢想して、眠れない夜に一人果てただろう。
「レミー、俺のことをずっと想っていてくれたんだな」
「リック……!」
レミーを絡めとるための狡猾な罠だと知りながら、レミーの目には涙があふれ、頬を伝って祭壇に流れ落ちていった。
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「これからはずっと一緒だ」
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深紅の瞳が歓喜に細められ、レミーの黒いローブの前合わせから、するりと手が入り込む。
シャツの下から手が入り込み、胸の上を撫でられた。
「フフ……。美味そうな心臓だ。健気な恋心と、失恋の悲しみと、そして欲望に張り裂けそうになっている……」
先ほどの善良そうな笑顔から一転、ゼパルは邪悪な笑みをもらしてスルスルと撫でる。
鼓動が速くなったが、それは恐怖なのか、リックの手が裸の胸を撫でているという興奮なのか、レミーにもよくわからなかった。
息が荒くなってしまわないようにこらえていると、ゼパルがレミーの乳首をつん、とはじいた。
「あっ……」
思わず鼻から声を出してしまい、悪魔の愛撫に感じてしまった自分を恥じて、レミーは顔をそむけた。
「何を恥ずかしがっている。リックにこうして欲しくて、自分で何度も慰めていたのだろう?」
ゼパルはトントンと指の腹で乳首を押し、クルクルとなぞっては指先でまた、つんつんと弾いた。
「あっ……、はあっ……」
指の動きに合わせるように、レミーの唇から喘ぎ声が洩れた。
いつの間にかローブは完全にはだけさせられ、夜の空気に向かって乳首がぷっくりと勃ちあがっている。
じゅうっと音を立てて、ゼパルがもう片方の乳首に吸い付いた。
「んうっ……」
唾液を塗りこめるように舌先で丹念に舐められ、レミーは腰をくねらせた。
「あっ……」
右手でレミーの左胸をまさぐりながら、ゼパルの左手は、するすると下肢に伸びていく。
「な、なにをして……」
男同士の性の交わりでは何をするものなのか、レミーは何も知らない。だが股間のモノは、漠然とした恐怖と快楽の予感に張りつめて、下着の中で濡れた感触を伝えていた。
「案ずるな。きちんと教えてやる。お前がリックを誘惑できる身体であることをな」
「やめ……ろ……」
まやかしに過ぎないとわかっているのに、生まれて初めて身体をほめられ、もしかしたら自分の身体でもリックがその気になってくれるかもしれないと思ってしまいそうになる。
「誰も言ってくれなかったのか?」
ゼパルの手がレミーのローブの裾を乱暴にまくりあげた。
「あっ……」
「お前は美しいぞ。淫らにくねる腰、白くたおやかな手足……」
賛美するかのように、ゼパルはレミーの太ももから腰までを、ゆったりと上下に撫でた。
顔をほめられたことはある。主として村の娘たちに、こんな顔に生まれたかったと。
けれど恋情を含んだ意味合いで言われたことはなかったし、ましてや一番求めていた相手には、ついぞ身体をほめられたことはないのだ。
「どんな村娘もお前の美しさにはかなわない。可哀想に、男でありさえしなければ、リックがお前以外に目を向けることなどなかっただろうに」
それはリックが悪いわけでも、村人が悪いわけでもない。ただ、男に懸想する男がいるとは、誰にも思いもよらないことだったのだ。
悪魔の力によって心を暴かれただけだとわかっていても、レミーの目からは涙がこぼれた。
「この男に、こうして欲しかったのだろう?」
ゼパルはするりと下着を下ろし、じんじんと硬くなったレミーのものを手で握り込んだ。
「それからこうして……」
そのまま上下にしごき始め、淫らな熱に満ちた芯を責め立てる。
「ああっ……!」
自分で慰めるのとはまるで違う刺激に、レミーはたまらず顎を反らせた。
「陰茎をもてあそばれたお前が、どれだけ甘い声で啼くか、どれだけかぐわしい吐息をつくか知ったら、リックならずとも、誰でも臍の下を熱くして、ますます責め立てるだろう。ほら、こうして……」
激しく竿をこすられてレミーが甲高い声を上げ、達してしまいそうになると、ゼパルは手を緩めて亀頭をくりくりと撫でさすり、レミーが涙を滲ませながら息をつこうとすると、また激しくこすり立てる。
「ああっ! あぁっ……!」
「愛らしい声で啼くお前に、たまらなくなったこの男は、どうすると思う?」
「リックは……、リックは……」
リックも自分に欲情してくれるのだろうか。
はあ、はあ……と目尻から涙をこぼしながら、レミーは自分の脚の間にある、リックのズボンに目をやった。
狩人の履く素朴なズボンは股座が盛り上がって、前合わせのボタンがちぎれそうなほどだった。
たとえそこに愛があるのかわからなくても、「それ」は自分が求められているという、確かな「しるし」だった。
「そう急くな。今見せてやる」
「ち、ちが……」
レミーのものから手を離したゼパルは、ベルトを外して前合わせを開けた。
「あっ……」
ぶるんと勢いよく飛び出したモノに、レミーは思わず息をのんだ。
それはすがりつきたくなるほど大きく、地の底で生まれる赤玉髄のように赤黒く、大樹の根のように太く黒い血管を浮かび上がらせていた。
サオの裏側で、溶岩のように赤い光を放っているのは、悪魔の紋章であった。
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黒魔導書に記された、それぞれの悪魔が持つサイン。これを身体に刻み込まれたものは、悪魔の下僕に堕ちてしまうのだ。
まさかこのような部分に紋章があるとは、レミーには想像もつかなかった。
暗く淀んだ瘴気を放ち、見ているだけで意識を持っていかれそうになるのに、気がつくと見入っている自分がいる。
悪魔の紋章は間違いなくゼパルのものであろうが、今はリックの姿を借りているはずだ。とするとこの大きく禍々しい陰茎は、どの程度がリックと同じなのだろうか。
ゼパルは禍々しい肉棒を、先走りを垂れ流しているレミーのモノに重ねた。
剥き出しの肉と肉が触れ合った瞬間、火花のような快感が、レミーの体の中心まで貫いた。
「ああっ――!!」
快感が陰茎を駆け上り、すぐにでも射精しそうになる。
その様子にゼパルは目を細め、硬い肉棒をさらに強く押し付けた。
「あっ…! あっ……!」
だめだ、悪魔の紋章を刻まれ、身も心も悪魔の虜になってしまう。
背徳と罪の意識に苛まれ、身体をよじらせながらレミーは悶えた。
リックの陰茎もこんなに大きく硬く、こんなに激しくレミーを求めるだろうか。
「だめ……、だめだっ……!」
「俺と契約すれば、本当のリックのモノを確かめることができるぞ?」
「そんな、ことは……」
「思っていないのか? リックの愛が欲しいのだろう?」
ずん……、とまた邪悪な肉棒がレミーのモノに重たくのしかかった。
「あぁっ……! で、でも……」
「案ずるな。この紋章がお前に刻まれるのは、お前が契約に同意してからだ。俺に犯されて、俺の陰茎がお前の奥まで貫く時、この紋章が胎内に焼き印のように刻まれる」
ゼパルはレミーの頭の脇に手をついて、激しく腰を振り始めた。
「やあっ、あっ、あっ……!」
陰茎がこすれ合い、汗ばんだ空気がリックの胸板からレミーの鼻をくすぐる。
ゼパルのモノであろう先走りが、レミーのものに絡みつくたびに、溶けてしまいそうな甘い疼きが走った。
「中に刻まれた焼き印は、どんな人間にも見つかることはない。その身体のままリックと交われば、欲望のままお前の秘所を犯したリックの陰茎には紋章が刻まれ、お前はリックを手に入れることができるのだ」
「あ、ああっ――!!」
ゼパルの言葉に翻弄されて、レミーの腰に、失禁したのではないかと思うような快感が走った。
リックを永遠に自分のものに……。
「あっ、あっ、あっ……!」
それを想像しただけで股間が熱くなり、まるで今がその時であるかのように、レミーは腰を揺すった。
「あっ、あっ、あんっ、あんっ……!」
「ふふ、想像したらメスのようになったではないか。そうだ、お前の求めているものはそれだ。自覚しろ、焼きつけろ、病みつきになって求めろ」
濡れた硬い陰茎が互いに絡み合い、レミーが腰を振るたびにぬちゅっ、ぬちゅっ、と淫らな音を立てた。
快楽の濁流にのまれて、レミーはびゅるびゅるっー! と射精した。
「あぁぁっー!」
腹にかかる自らの熱い精に、罪悪感にまみれながら吐息をついていると、ゼパルが右手を掲げた。
太く長いリックの指先から、赤とも桃色ともつかぬ粘液が、光を帯びてとろりと流れ落ちていく。
それは精にまみれたレミーの下腹部に垂れて薄桃色に溶けながら股間のあわいへと流れ、湯のように温かくレミーの股を濡らした。
何をされているのかレミーが戸惑っているうちに、ゼパルは濡れた股間に手を這わせた。
陰茎の下の陰嚢よりもさらに奥、小さな窄まりに硬い指が当たる。
「なにを……」
「男のまぐわいを知らぬか? お前はここでリックを誘惑するのだ」
つぷ、と桃色の粘液の滑りを借りて、指が窄まりの中に入って来た。
「ここは、女の秘所よりも男を狂わせる場所だ。ここに陰茎を突き入れ、絶頂する快楽を知れば、誰も戻ってはこられない。リックはお前の身体を離さず、何度も何度も果てるだろう」
ずぷっと太い指が奥を探り、ぐちゅぐちゅと桃色の粘液をまぶしながらレミーの中をかき回す。
「ああっ……!!」
ぬめる粘液の効果か、痛みはなく、むしろじんとした甘い疼きさえ感じるほどだ。
口づけよりも深く、レミーの身体に悪魔は入り込み、熱い指で粘液を押し込みながら内部を撫で、入口の肉ヒダをぐるりとなぞる。
「ここか」
ニヤリと笑って、ゼパルがある一点を押した。
「ああああっ――!」
ちょうど陰茎の根本の裏あたり。そこを撫でられた瞬間、さっき陰茎を触れ合わせた時よりももっと激しい快楽が、レミーに襲い掛かった。
「あぁっ! なんだ、そこはっ……! や、やめ……!」
「お前の身体は、ここで快楽を得るようにできているのだ」
息を乱して逃れようとするレミーを、ゼパルはほくそ笑みながら見下ろして、執拗にそこを責め立てる。
いつの間にか指が増やされ、たっぷりの粘液の中で泳ぐように、レミーの中をかき回している。
「はああぁっ……! そこ……駄目っ……!」
「気持ち良いならばよいではないか?」
ゼパルの指から逃れようと腰を浮かせても、すぐに太く硬い指が追ってきて、また気持ちの良い場所をこすられる。
「ああぁっ!」
「女がどうやって男を誘惑し、陰茎をくわえこむか知っているか?」
ああ、そうだ。リックは村長の娘と結婚してしまった。
「このような、淫らに滑る愛液を秘所から垂れ流し、陰茎を飲み込んで、こうやって締めつけて陰茎を絶頂に導くのだ」
「ああっ!」
指の腹でとんとんと軽く叩かれ、尻から腰へ耐えがたい疼きが突き抜けて、レミーはひとりでに中を締めつけてしまった。
「そうだ。そうやって男の陰茎に奉仕するのだ」
「ああっ、あっ……!!」
指はレミーの感じる場所ばかりを狙ってこすりたて、そのたびにレミーの腰は淫らにくねって陰茎がぴたぴたと腹を打った。
「俺を受け入れれば、お前のココは媚薬の入った愛液を女のように滲ませて、リックの陰茎を容易にくわえ込み、快楽の渦に飲み込むだろう」
――そうだ……女の人はこんないやらしい液体を出して男を誘惑するのだ。
その力が欲しい。
自分にそれが備わっていさえすれば、きっと……。
赤黒く光る紋章の刻まれたゼパルの陰茎を、レミーは涙に濡れる瞳で見下ろした。
「リックを誘惑する力が……誘惑できる身体が……欲しい」
ゼパルの深紅の瞳が、ギラリと光った。
「よかろう! 契約だ!」
リックの黒髪の両脇から、メリメリと音を立てて雄山羊のような角が現れ、頭の上まで伸びていく。
「はははははは! ははははは!」
真っ黒に塗りつぶされた視界にゼパルの哄笑が響き渡り、レミーが恐怖に目を閉じると、ふわりと身体を持ち上げられる気配がした。
「お前は私のものだ!」
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