97 / 101
NNTC合宿編
第九十三話 告白
しおりを挟む
娯楽室【休憩エリア】
「ふう……楽しかった!いいリフレッシュなったよ!」
花恋は大きく伸びをして、満足気な笑顔を見せる。
一通りスポーツを楽しんだ修人と花恋は、休憩エリアでまったりとくつろいでいた。
「ほい、お疲れさん。」
修人は自販機で買ってきたドリンクを花恋に手渡した。
「ありがと、修兄ちゃん。」
「しっかし、すごいな花恋は。どんなスポーツも人並み以上にこなしちゃうんだもんなあ。」
修人の言葉通り、花恋はどのスポーツにおいてもハイスコアを叩き出し、対戦形式のゲームにおいては修人が常に敗北を喫していたのであった。
「パパが色々教えてくれたからね。そのおかげでメジャーなスポーツはある程度できるようになったんだあ。」
「ああ、そういえば親父さんは十種競技の選手だったんだっけ?当時からすごいガタイが良かったよな。」
「そうそう。あの頃はよく洋兄と一緒に色んな所に連れまわされてたなあ。」
花恋は昔を思い出し、苦笑する。
「へえ……それで、いろいろスポーツをやってきた中でどうして花恋はサッカーを選んだんだ?」
「それは……」
修人の何気ない質問に、花恋は突然押し黙ってしまう。
「それは?」
修人に促されると、花恋はひとつ深呼吸をする。
そして、今までずっと胸の内に秘めていた、思いの丈を告白するのであった。
「サッカーをしている修兄ちゃんが、かっこいいと思ったからだよ。」
「え……俺?」
「うん。小学生サッカー地区大会の決勝戦で初めて修兄ちゃんを見て、私もサッカーを始めたいって思ったの。
最初は洋兄の応援をしてたんだけど、だんだん修兄ちゃんの方ばかり見るようになっちゃってて……気づいたら、修兄ちゃんの応援をしてたんだ。」
「はは……洋一郎が聞いたら、卒倒しそうな話だな。」
「少しでも修兄ちゃんに近づきたい。そう思って私はサッカーを始めたんだよ?」
「だとしたら、当時の俺はかなりグッジョブだな。こんなに運動神経バツグンな花恋が、数あるスポーツの中からサッカーを選んでくれたんだからな。」
「でも、私の選択は間違ってなかったって思うよ。だって今、修兄ちゃんのチームの一員になれて、こうして隣に座って笑っていることができてるんだから。」
「そうか……俺も嬉しいよ。花恋みたいなすごい選手がうちのチームに入ってくれて……その……ホントにありがとな。」
「うん……」
恥ずかしいセリフをかました二人の間に、しばしの沈黙が流れる。
この変な空気を払拭しようと、花恋はついに本題を切り出すのであった。
「ねえ、修兄ちゃん。洋兄の高校に修行しに行った時のこと、覚えてる?」
「え……ああ、覚えてるよ!洋一郎がスパルタで大変だったよな。」
「そうだけど……!そうじゃなくて!私のその……キスのこと……」
花恋は顔を赤くしながら口ごもる。
「あ……ああ。覚えてるよ。」
修人もまた当時の出来事を思い出し、顔を赤くする。
「あれ、どーゆう意味かわかる?修兄ちゃん?」
「あれは……その……」
修人の頭の中は真っ白になっていた。
鼓動が早鐘を打つのが自分でもはっきりとわかる。
『皇帝の視野』を持ち、冷静沈着に試合を支配していた男の精神は、たった今目の前にいる一人の少女によってグチャグチャにかき乱されていたのであった。
「じゃあ、今改めて言うね。私はずっと前からあなたのことが……修兄ちゃんのことが好きでした。だから……私の彼氏になってくれませんか?」
「ふう……楽しかった!いいリフレッシュなったよ!」
花恋は大きく伸びをして、満足気な笑顔を見せる。
一通りスポーツを楽しんだ修人と花恋は、休憩エリアでまったりとくつろいでいた。
「ほい、お疲れさん。」
修人は自販機で買ってきたドリンクを花恋に手渡した。
「ありがと、修兄ちゃん。」
「しっかし、すごいな花恋は。どんなスポーツも人並み以上にこなしちゃうんだもんなあ。」
修人の言葉通り、花恋はどのスポーツにおいてもハイスコアを叩き出し、対戦形式のゲームにおいては修人が常に敗北を喫していたのであった。
「パパが色々教えてくれたからね。そのおかげでメジャーなスポーツはある程度できるようになったんだあ。」
「ああ、そういえば親父さんは十種競技の選手だったんだっけ?当時からすごいガタイが良かったよな。」
「そうそう。あの頃はよく洋兄と一緒に色んな所に連れまわされてたなあ。」
花恋は昔を思い出し、苦笑する。
「へえ……それで、いろいろスポーツをやってきた中でどうして花恋はサッカーを選んだんだ?」
「それは……」
修人の何気ない質問に、花恋は突然押し黙ってしまう。
「それは?」
修人に促されると、花恋はひとつ深呼吸をする。
そして、今までずっと胸の内に秘めていた、思いの丈を告白するのであった。
「サッカーをしている修兄ちゃんが、かっこいいと思ったからだよ。」
「え……俺?」
「うん。小学生サッカー地区大会の決勝戦で初めて修兄ちゃんを見て、私もサッカーを始めたいって思ったの。
最初は洋兄の応援をしてたんだけど、だんだん修兄ちゃんの方ばかり見るようになっちゃってて……気づいたら、修兄ちゃんの応援をしてたんだ。」
「はは……洋一郎が聞いたら、卒倒しそうな話だな。」
「少しでも修兄ちゃんに近づきたい。そう思って私はサッカーを始めたんだよ?」
「だとしたら、当時の俺はかなりグッジョブだな。こんなに運動神経バツグンな花恋が、数あるスポーツの中からサッカーを選んでくれたんだからな。」
「でも、私の選択は間違ってなかったって思うよ。だって今、修兄ちゃんのチームの一員になれて、こうして隣に座って笑っていることができてるんだから。」
「そうか……俺も嬉しいよ。花恋みたいなすごい選手がうちのチームに入ってくれて……その……ホントにありがとな。」
「うん……」
恥ずかしいセリフをかました二人の間に、しばしの沈黙が流れる。
この変な空気を払拭しようと、花恋はついに本題を切り出すのであった。
「ねえ、修兄ちゃん。洋兄の高校に修行しに行った時のこと、覚えてる?」
「え……ああ、覚えてるよ!洋一郎がスパルタで大変だったよな。」
「そうだけど……!そうじゃなくて!私のその……キスのこと……」
花恋は顔を赤くしながら口ごもる。
「あ……ああ。覚えてるよ。」
修人もまた当時の出来事を思い出し、顔を赤くする。
「あれ、どーゆう意味かわかる?修兄ちゃん?」
「あれは……その……」
修人の頭の中は真っ白になっていた。
鼓動が早鐘を打つのが自分でもはっきりとわかる。
『皇帝の視野』を持ち、冷静沈着に試合を支配していた男の精神は、たった今目の前にいる一人の少女によってグチャグチャにかき乱されていたのであった。
「じゃあ、今改めて言うね。私はずっと前からあなたのことが……修兄ちゃんのことが好きでした。だから……私の彼氏になってくれませんか?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~
root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。
そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。
すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。
それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。
やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」
美人生徒会長の頼み、断れるわけがない!
でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。
※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。
※他のサイトにも投稿しています。
イラスト:siroma様
初恋♡リベンジャーズ
遊馬友仁
青春
【第五部開始】
高校一年生の春休み直前、クラスメートの紅野アザミに告白し、華々しい玉砕を遂げた黒田竜司は、憂鬱な気持ちのまま、新学期を迎えていた。そんな竜司のクラスに、SNSなどでカリスマ的人気を誇る白草四葉が転入してきた。
眉目秀麗、容姿端麗、美の化身を具現化したような四葉は、性格も明るく、休み時間のたびに、竜司と親友の壮馬に気さくに話しかけてくるのだが――――――。
転入早々、竜司に絡みだす、彼女の真の目的とは!?
◯ンスタグラム、ユ◯チューブ、◯イッターなどを駆使して繰り広げられる、SNS世代の新感覚復讐系ラブコメディ、ここに開幕!
第二部からは、さらに登場人物たちも増え、コメディ要素が多めとなります(予定)
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件
沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」
高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。
そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。
見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。
意外な共通点から意気投合する二人。
だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは――
> 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」
一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。
……翌日、学校で再会するまでは。
実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!?
オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる