TS? 入れ替わり? いいえ、女の身体に男の俺と女の俺が存在しています! ~俺の身体は冷蔵庫に保管中~

ハムえっぐ

文字の大きさ
23 / 32

第23話 氷華の真の目的は?

しおりを挟む
「……氷華さん、君の実験についてもっと詳しく教えてくれ。俺たちが協力するなら、その内容をはっきりさせないと俺たちは納得できない」

 俺は深呼吸して、はっきりと口にした。
 部屋の中が一瞬にして静まり返った。

 氷華は静かに笑い、優雅に髪をかき上げた。
 彼女の仕草は優雅だが、その目はまるで氷のように冷たい。

「ふふ、相模原勇、君の覚悟は素晴らしいわ。……いいでしょう。私の実験について詳しく説明してあげる」

「氷華さん、勇に変なことさせないでよね! 私たちがいるんだから、勇1人で背負うなんて絶対に許さない!」

「……修道院の言う通りだ。勇、お前がそんな覚悟をするのはいいが、俺たちを無視して1人で突っ走るのは許さねえぞ!」

 聖愛の意志がこもった言葉と武彦の力強い言葉。
 それを聞いた女の勇も脳内で呟いてくる。

『君、聖愛と戦場君の言う通りよ。君1人で抱え込むなんて、絶対に駄目』

「……ありがとう、聖愛、武彦、女の俺。氷華さん、それでは説明をお願いします」

 氷華はふっと笑い、優雅に首を振った。

「ふふ、いいでしょう。……では、説明を始めましょう。私の実験は魔法と科学の完全な融合を目指すものよ。……具体的には、この世界の電気エネルギーを利用して、指輪の魔法結晶を活性化させ、新たな魔法の力を引き出すこと。……その結果、魔法の力を無限に増幅し、時空を自由に操る力を手に入れるの」

「……時空を操る⁉ そんなことが本当に可能なのか⁉」

 俺が叫ぶと、氷華は冷静に続ける。

「ええ、可能よ。……指輪に封じられた魔法結晶は、時空を操作するエネルギーを生み出す力を持っているわ。……でも、そのエネルギーを引き出すには膨大な電力が必要なの。私の世界では、そのエネルギーを賄うことはできなかった。……でも、この世界なら話は別よ。科学が発展したこの世界の電気を使えば、指輪の力を最大限に引き出すことができるわ」

「……それって、どういう仕組みなんだ⁉ 具体的に教えてくれ!」

 武彦が拳を握りしめ、声を荒げる。氷華は静かに笑い、説明を続ける。

「ふふ、戦場武彦、君の疑問はもっともよ。指輪の魔法結晶は、魔法と科学が融合した特殊な物質で、時空の歪みを制御する力を持っているわ。その結晶を活性化させるには、私の魔法のエネルギーだけでは足りない。科学の力が不可欠なの。この世界の電気エネルギーは魔法の結晶に必要な振動を与え、結晶内部の時空操作の回路を活性化させるのよ。その結果、指輪は空間転移や結界生成を超える力、例えば時間を巻き戻す力を引き出すことができるわ」

「……時間を巻き戻す⁉ そんなことが本当にできるの⁉」

 聖愛が目を丸くし、驚愕の声を上げる。
 氷華は頷き、続ける。

「ええ、聖愛様、時間を巻き戻すことは理論上可能よ。指輪の魔法結晶は時空の歪みを制御する力を持っているわ。その歪みを操作すれば過去の特定の時点に戻ることができるの。ただし、そのためには膨大なエネルギーと、強い意志が必要なの。そしてその代償として指輪を使う者の魂が削られるわ」

「……魂が削られる。それはわかりました。でも、膨大なエネルギーを得るためにこの世界が危険に晒されるのには抵抗を感じます」

 俺の呟きを聞き、氷華は冷静に続ける。

「ふふ、心配しないで。私の実験は、この世界の人間に直接的な危害を加えるものではないわ。私の計算では数日間は電気が使えなくなる程度よ。ただし指輪を使う者の魂が消えるリスクは避けられないわ。相模原勇、君がその覚悟を持っているなら、私の実験に協力してくれるかしら?」

 その氷華さんの言葉に俺は覚悟を決めた。

『……君⁉ 何を考えてるの⁉ そんな成功するかわからない実験に協力するなんて、絶対に駄目よ! 君の魂がただ消えるだけってオチは、私が許さないから!』

 女の勇の声が震えていた。
 彼女の感情が俺の心に直接伝わってくる。……けど、俺はもう決めたんだ。

「……氷華さん、もしその指輪が本当に時間を巻き戻す力を持っているなら、俺にはお願いがある。……女の俺のいた世界も時間を巻き戻してほしい」

「……⁉」

 部屋の中が再び静まり返った。聖愛が目を丸くし、武彦が「勇⁉」と叫び、女の勇が脳内で絶句している。

『……君⁉ 何を言ってるの⁉ 私の世界を⁉ そんなこと、君が……』

(……君の気持ちはわかる。けど、俺は……俺は君の世界も救いたい。時間が巻き戻るなら君の世界も何とかなるかもしれない。なら、俺は君の世界も救うために戦う)

『君……本当にバカね。君がそんな覚悟をするなんて』

「……ありがとう、もう1人の女の俺」

 俺はそう呟きながら指輪を握りしめた。夕陽が沈み、部屋の中が暗闇に包まれる。

「……ふふ、相模原勇、君たちの絆は本当に素晴らしいわ。……でも、覚えておきなさい。クロノスはもうすぐこの世界に現れる。その時、君たちの覚悟が試されるわよ」

 氷華の言葉に俺たちは一瞬静まり返った。
 ……クロノス。女の勇の世界を滅ぼした侵略者。
 その名前を聞くだけで背筋が寒くなる。

「……氷華さん、そのクロノスについても教えてください」

 俺が訊くと、氷華は静かに笑った。

「クロノスは私の世界の王だった男。彼は魔法と科学の融合を極め、全ての世界を支配しようとした愚か者よ。彼は指輪を奪うために、どんな手段も選ばない。必ずやって来ると思ってなさい。そして彼がこの世界に現れる時、君たちの世界は最大の危機を迎えるわ」

「……そんな奴が来るなら、俺たちは絶対に負けない! 勇、俺たちでクロノスをぶっ飛ばしてやろうぜ!」

 武彦が拳を握りしめ、力強く叫ぶ。
 聖愛も頷き、俺のセーラー服の袖をぎゅっと握った。

「仕方ないわ。修道院聖愛、戦場武彦。君たちに私の魔法を一部渡してあげる」

 氷華さんの身体が青白く発光し、聖愛と武彦を包んでいった。

(なんと……ズルい。俺も欲しい)

『君、私はもう貰っているのを忘れないで。私に指輪を託した異世界人から貰った、マシンガンの能力よ』

(そっか、あれも魔法なんだね)

 聖愛と武彦も最初は戸惑ったが、すぐに自分の力を理解したようだ。

「勇、私も戦うよ! 氷華さんの魔法を使って、私もみんなを守るから!」

 聖愛は回復能力のようだ。
 俺の太ももについていた小さな傷を見つけ、淡い温かい光を出して治癒してくれた。
 ありがたい、これで死なない程度に無茶して動ける。

「俺は力が増したみたいだ。早く実戦で試したいぜ」

 武彦は武力か。
 ありがたい、攻撃役は何人いてもいいからな。

『君、気を引き締めて。クロノスは私の世界を滅ぼした男よ。彼の力は、私たちが想像する以上に強大。……絶対に油断しないで』

(……わかってる。……これからが本番だ)

 静かな部屋の中、俺たちの心臓の鼓動だけが響き続けていた。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...