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【最強の敵、半兵衛君を説得せよ、美濃攻略編】
第35話 長谷川真昼、トリックプレーに引っかかる
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「ほ、報告ぅぅぅぅ!」
清洲城の作戦会議室。
私たちが「どうやって半兵衛君を攻略するか」で頭を抱えていると、天井から一益さんがドサッと落ちてきた。
「どうした久助、慌てて。半兵衛が攻めてきたか?」
信長様が身構える。
しかし一益さんの口から出た言葉は、予想の斜め上を全力疾走していた。
「稲葉山城、陥落しました!」
「はあ⁉」
その場にいた全員の声がハモった。
「誰が落とした! 武田か? それとも朝倉か?」
権六さんの動転する大声が響き渡る。
「いえ……竹中半兵衛です。手勢わずか16名で城を乗っ取り、主君・龍興を追放しました」
シン……。
会議室が静まり返る。全員、顎が外れて床につくんじゃないかって顔をしてる。
「じゅ、16人で……⁉」
私が震える声で呟く。
野球チーム2つ分もない人数だよ? ベンチ入りメンバーより少ないよ!
チートにも程があるでしょ!
「クッ……ククク……ハハハハハハ!」
突然、信長様が腹を抱えて爆笑し始めた。
「傑作だ! 味方の城を乗っ取る家臣がどこにいる! 最高の大うつけじゃねえか!」
信長様、ツボに入りすぎです。
「主君への諫言のために城を奪うなんざ、イカれてやがる。気に入った!」
信長様は笑い涙を拭うと、真顔に戻って私と秀吉さんを指差した。
「欲しい。喉から手が出るほどあいつが欲しい。城ごと俺に寄越せと言ってこい」
「ええっ⁉」
「真昼、お前の予測不能な言動と、秀吉の誠実な交渉術。この化学反応であいつを口説き落とせ」
「ちょ、無茶言わないでください!」
「失敗したら……わかってるな? 全治三ヶ月級の千本ノックだ」
「ひいいい! 悪魔! 鬼! ブラック企業!」
「承知いたしました……私の命に代えても!」
秀吉さんは悲壮な覚悟を決めてるけど、私は嫌だよ千本ノック!
こうして私と秀吉さんは、再び美濃へ向かうために走り出した。
最強の敵にして、最高の変人・半兵衛君。
一体何を考えてるの~⁉
私には天才の思考回路がさっぱり理解できないよ!
***
稲葉山城の天守閣。
主のいなくなった城で、半兵衛は静かに月を見上げていた。
「……さて、ここからどうゲームメイクしましょうか、モリミチさん」
呟く彼の横顔には、勝利者とは思えないほど、どこか寂しげな天才ゆえの孤独が漂っていた。
***
稲葉山城の巨大な城門前。
どんよりとした曇り空が、私の気分をさらに重くさせる。
今日は織田軍の使者として、再び竹中半兵衛君をスカウトに来ているのだ。
「頼もう! 織田家家臣、木下藤吉郎秀吉! 並びに長谷川真昼! 半兵衛殿にお目通り願いたい!」
秀吉さんが声を張り上げる。
しばらくして、門がギギギと重々しい音を立てて開いた。
現れたのは相変わらず涼しい顔をした半兵衛君と、手元で鈍く光るモリミチボール。
「……何の用ですか。美濃に戻る決意をされましたか? 帰蝶様」
取り付く島もないとはこのことだ。
でも、ここで引き下がるわけにはいかない。
秀吉さんが一歩前に出て、懐から書状を取り出した。
「信長様からの破格の条件です。貴殿を織田家野球部の守備コーチ兼、参謀として迎え入れたい。報酬は美濃半国! さらに、いつでも信長様に意見でき、なおかつ拒否権付きでございます」
おおっ、好条件! 特に最後のやつ、ブラック企業じゃありえない特権だよ。
私のお父さんがいっつもお母さんとお姉ちゃんに拒否権発動されて、体育座りで泣いていたのを思い出すよ。
「半兵衛君! 私からもお願い! 一緒に野球やろうよ! 織田家はブラックだけど、毎日刺激的だよ? 福利厚生はないけど、やりがいはあるから!」
私も必死にアピールする。
でも、半兵衛君の瞳は冷ややかだった。
「お断りします」
即答かい。
「私の主君は斎藤家ただ一つ。たとえ龍興様が不在で、女遊びに興じていようと、義龍様より託された美濃を守るのが私の使命です」
頑固だなぁ。
手元のモリミチボールも明滅して同調する。
『半兵衛の覚悟は本物じゃ。こいつは華やかな世界より、泥臭い夢を選ぶものよ』
交渉決裂。
門が再び閉ざされ、私たちはトボトボと清洲城へ戻るしかなかった。
***
「……であるか。あいつの頭はカチコチか!」
報告を聞いた信長様は、歯噛みして悔しがった。
でも、瞳はどこか楽しそうに輝いている。
「だが、そこがいい。簡単に尻尾を振るような奴なぞつまらんからな」
信長様はパンと手を叩いて立ち上がった。
「こうなったら力づくよ! 稲葉山城を落とす!」
「「「オオオオッ!」」」
全軍に出撃命令が下る。
でも、私たち現場の人間は不安でいっぱいだ。
「信長様、また突撃戦法で半兵衛君に挑むんですか? 今度はもっと厳重に対策されてますよ?」
私が恐る恐る尋ねると、信長様はニヤリと笑った。
「案ずるな。策はある」
策? 信長様の策って、大体ろくなことにならない気がするんだけど……。
それから織田軍は木曽川を越え、稲葉山城へ向かうルートを進軍していた。
兵士たちの士気も「打倒半兵衛!」で高まっている。
私も金属バットを担いで、気合を入れて歩いていた。
「今度こそ、半兵衛君倒してモリミチボールをゲットしてやる!」
そう意気込んでいたんだけど、先頭を行く信長様が突然馬首を巡らせた。
「全軍、右向け右! 目標、犬山城!」
「「「はあぁぁぁぁぁ⁉」」」
私、秀吉さん、さらには権六さんまでもが、目玉が飛び出るほど驚愕した。
えっ? 稲葉山じゃないの? 犬山城って、信長様の従兄弟の織田信清が守ってる、敵対勢力の城だよね?
「お館様! 乱心ですか⁉ 美濃は目の前ですぞ!」
権六さんが叫ぶが、信長様は不敵に笑うだけ。
「敵を欺くにはまず味方からよ。半兵衛は稲葉山城に篭って、俺たちの正面突破を待ち構えているはず。その隙に、油断している犬山を喰らう!」
なるほど、陽動か!
味方すら騙すなんて、性格悪いにも程があるよ!
「遅れるなよ! 犬山までノンストップだ!」
織田軍は方向転換し、猛スピードで犬山城へ殺到した。
そんな犬山城の城主・織田信清は、櫓の上であくびをしていた。
「ふぁ~あ。信長の奴、稲葉山へ向かったそうだな。半兵衛にコテンパンにされればいい気味よ」
彼は完全に油断していた。
野球なんて子供の遊び、城攻めには役に立たないと高をくくっていたのだ。
「殿! 大変です! 清洲軍が……清洲軍がこちらへ向かってきます!」
「な、なんだと⁉ 嘘を言うな!」
信清が慌てて外を見ると、土煙を上げて迫る織田軍の大軍勢が見えた。
しかも先頭には、金属バットを振り回す私がいる!
「ひいぃっ! なんでここに⁉ 美濃攻めはどうした⁉」
美濃の国衆に援軍を求める暇もない。
私たちはあっという間に城門の前まで到達した。
「開門んんんんん!」
私は日頃のブラック企業への鬱憤を込めて、金属バットを城門に叩きつける!
ガゴォォォォン!!
凄まじい衝撃音が響き、頑丈なはずの城門がひしゃげた。
「な、なんだあの武器は⁉ 金棒か⁉」
城壁の上の兵士たちがビビっている。
「フン、球遊びの道具で城が落ちるかよ! 矢を射かけろ!」
信清が叫ぶが、もう遅い。
私や成政さんの連打で蝶番が悲鳴を上げ、城門が轟音と共に倒れ込んだ。
「ヒェッ、信長の寵姫長谷川真昼、噂通りのバケモンじゃぁぁぁ!」
信清の悲鳴がこだまする。
なんだとこの野郎。私をか弱い女子高生扱いしなかった奴の末路を思い知らせてやる。
そこからは一方的な蹂躙だった。
野球の特訓で基礎体力が段違いの織田軍に対し、美濃を当てにして調練をサボっていた犬山兵は手も足も出ない。
「急な予定変更はブラック企業の常套手段だぁぁ!」
私は叫びながら暴れまわる。
ストレス解消にはもってこいだね!
犬山城は瞬く間に陥落した。
信清は抵抗すらせず、とっとと裏門から逃げ出していた。
「おのれ信長! 覚えていろ! 甲斐の武田信玄公を頼って、必ず復讐してやる!」
泣きながら逃亡する信清。
負け犬の遠吠え乙!
勝利に沸く織田軍の中で、私はバットを杖にして息をついた。
「はぁ、はぁ……信長様、私たちまで騙すなんて性格悪いですよ!」
私が文句を言うと、信長様は馬上でニヤリと笑った。
「結果オーライだろ? これで美濃への足がかりは盤石よ」
***
稲葉山城の静まり返る大広間の半兵衛の元に、犬山落城の報が届いた。
「……犬山が落ちましたか」
半兵衛は表情を変えずに報告を聞いた。
手元のモリミチボールが、感心したように明滅する。
『見事な陽動じゃな。味方すら欺くとは、信長の采配、侮れん』
半兵衛はふっと笑みを浮かべ、眼下の景色を見つめながら呟いた。
「……やりますね、信長殿。彼は案外に猪武者ではないのかもしれません」
ただ、まだ道三の足元にも及ばない。
「次はどう来ますか……。楽しみですね、モリミチさん」
『うむ。西美濃三人衆との連携を強化せねばな』
半兵衛とモリミチは、まだ見ぬ次なる対決に向けて静かに闘志を燃やしていた。
清洲城の作戦会議室。
私たちが「どうやって半兵衛君を攻略するか」で頭を抱えていると、天井から一益さんがドサッと落ちてきた。
「どうした久助、慌てて。半兵衛が攻めてきたか?」
信長様が身構える。
しかし一益さんの口から出た言葉は、予想の斜め上を全力疾走していた。
「稲葉山城、陥落しました!」
「はあ⁉」
その場にいた全員の声がハモった。
「誰が落とした! 武田か? それとも朝倉か?」
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「いえ……竹中半兵衛です。手勢わずか16名で城を乗っ取り、主君・龍興を追放しました」
シン……。
会議室が静まり返る。全員、顎が外れて床につくんじゃないかって顔をしてる。
「じゅ、16人で……⁉」
私が震える声で呟く。
野球チーム2つ分もない人数だよ? ベンチ入りメンバーより少ないよ!
チートにも程があるでしょ!
「クッ……ククク……ハハハハハハ!」
突然、信長様が腹を抱えて爆笑し始めた。
「傑作だ! 味方の城を乗っ取る家臣がどこにいる! 最高の大うつけじゃねえか!」
信長様、ツボに入りすぎです。
「主君への諫言のために城を奪うなんざ、イカれてやがる。気に入った!」
信長様は笑い涙を拭うと、真顔に戻って私と秀吉さんを指差した。
「欲しい。喉から手が出るほどあいつが欲しい。城ごと俺に寄越せと言ってこい」
「ええっ⁉」
「真昼、お前の予測不能な言動と、秀吉の誠実な交渉術。この化学反応であいつを口説き落とせ」
「ちょ、無茶言わないでください!」
「失敗したら……わかってるな? 全治三ヶ月級の千本ノックだ」
「ひいいい! 悪魔! 鬼! ブラック企業!」
「承知いたしました……私の命に代えても!」
秀吉さんは悲壮な覚悟を決めてるけど、私は嫌だよ千本ノック!
こうして私と秀吉さんは、再び美濃へ向かうために走り出した。
最強の敵にして、最高の変人・半兵衛君。
一体何を考えてるの~⁉
私には天才の思考回路がさっぱり理解できないよ!
***
稲葉山城の天守閣。
主のいなくなった城で、半兵衛は静かに月を見上げていた。
「……さて、ここからどうゲームメイクしましょうか、モリミチさん」
呟く彼の横顔には、勝利者とは思えないほど、どこか寂しげな天才ゆえの孤独が漂っていた。
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稲葉山城の巨大な城門前。
どんよりとした曇り空が、私の気分をさらに重くさせる。
今日は織田軍の使者として、再び竹中半兵衛君をスカウトに来ているのだ。
「頼もう! 織田家家臣、木下藤吉郎秀吉! 並びに長谷川真昼! 半兵衛殿にお目通り願いたい!」
秀吉さんが声を張り上げる。
しばらくして、門がギギギと重々しい音を立てて開いた。
現れたのは相変わらず涼しい顔をした半兵衛君と、手元で鈍く光るモリミチボール。
「……何の用ですか。美濃に戻る決意をされましたか? 帰蝶様」
取り付く島もないとはこのことだ。
でも、ここで引き下がるわけにはいかない。
秀吉さんが一歩前に出て、懐から書状を取り出した。
「信長様からの破格の条件です。貴殿を織田家野球部の守備コーチ兼、参謀として迎え入れたい。報酬は美濃半国! さらに、いつでも信長様に意見でき、なおかつ拒否権付きでございます」
おおっ、好条件! 特に最後のやつ、ブラック企業じゃありえない特権だよ。
私のお父さんがいっつもお母さんとお姉ちゃんに拒否権発動されて、体育座りで泣いていたのを思い出すよ。
「半兵衛君! 私からもお願い! 一緒に野球やろうよ! 織田家はブラックだけど、毎日刺激的だよ? 福利厚生はないけど、やりがいはあるから!」
私も必死にアピールする。
でも、半兵衛君の瞳は冷ややかだった。
「お断りします」
即答かい。
「私の主君は斎藤家ただ一つ。たとえ龍興様が不在で、女遊びに興じていようと、義龍様より託された美濃を守るのが私の使命です」
頑固だなぁ。
手元のモリミチボールも明滅して同調する。
『半兵衛の覚悟は本物じゃ。こいつは華やかな世界より、泥臭い夢を選ぶものよ』
交渉決裂。
門が再び閉ざされ、私たちはトボトボと清洲城へ戻るしかなかった。
***
「……であるか。あいつの頭はカチコチか!」
報告を聞いた信長様は、歯噛みして悔しがった。
でも、瞳はどこか楽しそうに輝いている。
「だが、そこがいい。簡単に尻尾を振るような奴なぞつまらんからな」
信長様はパンと手を叩いて立ち上がった。
「こうなったら力づくよ! 稲葉山城を落とす!」
「「「オオオオッ!」」」
全軍に出撃命令が下る。
でも、私たち現場の人間は不安でいっぱいだ。
「信長様、また突撃戦法で半兵衛君に挑むんですか? 今度はもっと厳重に対策されてますよ?」
私が恐る恐る尋ねると、信長様はニヤリと笑った。
「案ずるな。策はある」
策? 信長様の策って、大体ろくなことにならない気がするんだけど……。
それから織田軍は木曽川を越え、稲葉山城へ向かうルートを進軍していた。
兵士たちの士気も「打倒半兵衛!」で高まっている。
私も金属バットを担いで、気合を入れて歩いていた。
「今度こそ、半兵衛君倒してモリミチボールをゲットしてやる!」
そう意気込んでいたんだけど、先頭を行く信長様が突然馬首を巡らせた。
「全軍、右向け右! 目標、犬山城!」
「「「はあぁぁぁぁぁ⁉」」」
私、秀吉さん、さらには権六さんまでもが、目玉が飛び出るほど驚愕した。
えっ? 稲葉山じゃないの? 犬山城って、信長様の従兄弟の織田信清が守ってる、敵対勢力の城だよね?
「お館様! 乱心ですか⁉ 美濃は目の前ですぞ!」
権六さんが叫ぶが、信長様は不敵に笑うだけ。
「敵を欺くにはまず味方からよ。半兵衛は稲葉山城に篭って、俺たちの正面突破を待ち構えているはず。その隙に、油断している犬山を喰らう!」
なるほど、陽動か!
味方すら騙すなんて、性格悪いにも程があるよ!
「遅れるなよ! 犬山までノンストップだ!」
織田軍は方向転換し、猛スピードで犬山城へ殺到した。
そんな犬山城の城主・織田信清は、櫓の上であくびをしていた。
「ふぁ~あ。信長の奴、稲葉山へ向かったそうだな。半兵衛にコテンパンにされればいい気味よ」
彼は完全に油断していた。
野球なんて子供の遊び、城攻めには役に立たないと高をくくっていたのだ。
「殿! 大変です! 清洲軍が……清洲軍がこちらへ向かってきます!」
「な、なんだと⁉ 嘘を言うな!」
信清が慌てて外を見ると、土煙を上げて迫る織田軍の大軍勢が見えた。
しかも先頭には、金属バットを振り回す私がいる!
「ひいぃっ! なんでここに⁉ 美濃攻めはどうした⁉」
美濃の国衆に援軍を求める暇もない。
私たちはあっという間に城門の前まで到達した。
「開門んんんんん!」
私は日頃のブラック企業への鬱憤を込めて、金属バットを城門に叩きつける!
ガゴォォォォン!!
凄まじい衝撃音が響き、頑丈なはずの城門がひしゃげた。
「な、なんだあの武器は⁉ 金棒か⁉」
城壁の上の兵士たちがビビっている。
「フン、球遊びの道具で城が落ちるかよ! 矢を射かけろ!」
信清が叫ぶが、もう遅い。
私や成政さんの連打で蝶番が悲鳴を上げ、城門が轟音と共に倒れ込んだ。
「ヒェッ、信長の寵姫長谷川真昼、噂通りのバケモンじゃぁぁぁ!」
信清の悲鳴がこだまする。
なんだとこの野郎。私をか弱い女子高生扱いしなかった奴の末路を思い知らせてやる。
そこからは一方的な蹂躙だった。
野球の特訓で基礎体力が段違いの織田軍に対し、美濃を当てにして調練をサボっていた犬山兵は手も足も出ない。
「急な予定変更はブラック企業の常套手段だぁぁ!」
私は叫びながら暴れまわる。
ストレス解消にはもってこいだね!
犬山城は瞬く間に陥落した。
信清は抵抗すらせず、とっとと裏門から逃げ出していた。
「おのれ信長! 覚えていろ! 甲斐の武田信玄公を頼って、必ず復讐してやる!」
泣きながら逃亡する信清。
負け犬の遠吠え乙!
勝利に沸く織田軍の中で、私はバットを杖にして息をついた。
「はぁ、はぁ……信長様、私たちまで騙すなんて性格悪いですよ!」
私が文句を言うと、信長様は馬上でニヤリと笑った。
「結果オーライだろ? これで美濃への足がかりは盤石よ」
***
稲葉山城の静まり返る大広間の半兵衛の元に、犬山落城の報が届いた。
「……犬山が落ちましたか」
半兵衛は表情を変えずに報告を聞いた。
手元のモリミチボールが、感心したように明滅する。
『見事な陽動じゃな。味方すら欺くとは、信長の采配、侮れん』
半兵衛はふっと笑みを浮かべ、眼下の景色を見つめながら呟いた。
「……やりますね、信長殿。彼は案外に猪武者ではないのかもしれません」
ただ、まだ道三の足元にも及ばない。
「次はどう来ますか……。楽しみですね、モリミチさん」
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