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第2話 リーシャ・リンベル
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転生した私はリーシャ・リンベルという、レフレリア王国の王都に住む平凡な一家の長女に産まれた。
……のはいいんだけど。
はっ⁉ 私、この人生2度目……いや憶えてないけど3度目じゃん!
って思いだしたのが、15歳の誕生日の日。
……うん。
幸か不幸か、私に恋人いたことなかったぞ。
私のファーストキスはまだだったのだ!
……悲しい。
リーシャ・リンベルとしての半生と、岩下真帆だった人生の記憶を思いだす。
うん、大丈夫だ。
どっちも私、違和感はない。
ていうか私、こっちの人生では随分と腕白に過ごしてたんだなあ。
両親は冒険者ギルドの職員。
その影響なのか、王都近郊にある魔獣の森と呼ばれる危険区域に、幼い私はちょくちょく勝手に行っていたのであった。
……いや、腕白過ぎだろ。
***
「はああああああああああああ」
入学式を終えて、教室へと入った私。
当然、イワン王子をノックアウトした私だ。
誰も近寄って来ないよ~。
教室は自由席で、奥の席に行くほど天井が近くなるタイプだ。
目立ちたくない私は、一番奥に座ったんだけど……
う~ん、ヒソヒソ話していて、私と目が合うとみんな避けるなあ。
寂しい。
教室には様々な家柄の生徒たちがいる。
制服に紋章を付けている者、控えめな態度の者、傲慢な態度の者など、多々いるけど、それぞれが自分の立場を意識しているようだ。
そんな中で、平民の私はまるで異質な存在のように感じられていそう。
「ねえ、ここいいかな?」
ん? 隣から声が聞こえてきたぞ。
おお! 左隣に可愛い女の子が座ってるぅぅぅぅ。
「は、はい! どうぞ! お邪魔でしたら私は消えますので、遠慮なく座ってくださいませ!」
「あはは、何それ。リーシャって面白いのね。敬語はいいよ~、同い年だし。ていうか王子様とフィアンセなら、私が敬語を使わないといけないのかなあ」
「えっと、フィアンセはイワンが……イワン王子が勝手に言っているだけなので気にしないでもらいたいです」
「そうなの? 私だったら王子様にあんなこと言われたら、受け入れるのに~」
まあ、そりゃそうだよね。
私だって私の前世を殺した奴かもしれないって疑惑がなければ、イワンに惚れていたとは思うぞ。
「ちょっと事情がありまして……それよりいいんですか? 私と話してて。多分じゃなく、私はめっちゃ教室で浮いてると思うんですけど」
「いいっていいって~。私も男爵家で平民とあんまり変わんないからね~。カリーナ・オルロフ。カリーナでいいよ~」
屈託のない笑顔を向けてくるカリーナは栗色の長い髪に茶色い瞳。
胸の大きさも私ぐらいで接しやすい雰囲気を醸し出してくれていた。
「ありがとうカリーナ! 私、絶対友達できないと思ってたから嬉しいよ!」
ヒシっと両手でカリーナの右手を掴んでいく。
「うんうん、リーシャっていい子なんだねえ。手の温もりでわかるよお。……王妃になったら私を出世させろよお」
「って、それが狙いかい!」
「しまったバレたか」
ビシッとツッコむ私だが、すぐにカリーナと2人で笑い声を上げていく。
はっ⁉ 殺気!
「どうしたの? リーシャ」
「ね、ねえカリーナ。一番前に座って、いっぱい女の子の取り巻きがいる、薄いピンク色の髪のめっちゃ美人さんって誰? なんか私を睨んでたんだけど⁉」
そう、私が感じた殺気は二箇所から。
一つは私を王子暴行罪で捕らえようとした、赤青緑に銀髪の男子生徒4人組。
そしてもう一つが、薄いピンク髪の女の子を中心とした女子グループからだった。
「ああ、ソフィア・グラナーク様だね。公爵家の御令嬢様で、イワン王子と近々婚約が発表されるって噂があった御方だよ~」
おふう……それ絶対、私を恨んでるじゃん!
しかも王族の次に権力を持ってそうな公爵家で、取り巻きがいっぱいって!
陰湿なイジメのターゲットになる予感がしてきたぞ。
「ついでに聞くけど、あっちの赤青緑に銀はどんな人?」
「赤青緑に銀? ああ、髪色か~。……リーシャ。その一括りみたいに呼ぶのは不味いって。あの人たち、みんなお偉いさんの息子だよ」
声を潜めるカリーナ。
ああ、あいつらも貴族の上の方なんだな~。
まあそうだとは思ったよ~。
「赤髪のいかにも脳筋って人はボリス・グローマン。元帥様の息子だよ~」
元帥? たしか将軍の上のランクだっけ?
「青髪のいかにもインテリってメガネの人はフェリクス・セルゲイ。宰相様の息子だよ~」
宰相は知ってる。総理大臣ってやつだよね。
「緑髪のいかにも出世欲に燃えている人はユリウス・コートリル。大辺境伯の息子だよ~」
辺境伯? 辺境の伯爵家だっけ?
「銀髪のいかにも正義執行マシーンって人はニコライ・ベーレンス。大司祭様の息子だよ~」
大司祭? 教会でなんか祈ってる人だっけ?
「ありがとうカリーナ。また聞きたいことあったらいっぱい尋ねるからよろしくね」
「お安い御用だよ~」
ふう、とりあえず友人ゲットだ!
そんでもって今の立ち位置を整理しよう。
私はリーシャ・リンベル。
前前世が魔王で、前世が岩下真帆という名の女子高生。
私の前世を殺した奴は、私のファーストキスを狙っている。
要するに、私に好意を持って近づいてきた奴が犯人の可能性が高いのだ。
そしてそんな人物はイワン・レフレリアという、この国の王子しか存在しないのだ。
これもう確定じゃね?
イワンが私の唇を狙っているのは、私を魔王として覚醒させて始末しようとしているからじゃね?
他にいないしなあ。私の唇を狙っている人なんて。
ただ、それなら強引に奪ってこないのもおかしいって言えるんだよなあ。
何せ、前世の私を無言で背中から刺したのだ!
しかも満員電車の中で!
そんな奴が私の唇を強引に奪ってこないのも変だよなあ。
さっきの入学式以前にチャンスなんていくらでもあったのに。
イワンが犯人だとしたら、なぜこんなに優しくしてくれるんだろう。
でも、他に怪しい人なんていないしなあ。
うん、わからん。
ま、それはともかく、え~と、私を嫌ってそうなのが女子は公爵家の令嬢のソフィア。
男子はボリス、フェリクス、ユリウス、ニコライ。
この5人は別の意味で警戒しなくてはいけないかな。
「ところでリーシャ、イワン殿下に無理やり連れてこられたって言ってたけど、何があったの?」
「あ、うん。それは……」
カリーナに説明しようとすると教室の戸が開いて、イワンともう一人、教師っぽい人が入ってくる。
「静粛に、授業を始めます」
教師の人の声に静まり返る教室。
狸に似てる……この教師のあだ名は狸にしよう。
そんでもって、イワンが私の右横に座ってくる。
「やあリーシャ」
「授業が始まってるんだから静かにして」
にこやかスマイルのイワンに、私はぶっきらぼうに対応する。
王子様なのになんでタメ口⁉ やっぱもうデキてるの? って顔してくるカリーナ。
う~ん、説明するのは簡単だけど、さてどう説明すればわかりやすいか次の休み時間までに考えないと。
教師の人のレフレリア王国建国からの、ざっくりとした貴族の使命とやらの話を耳に流しつつ、私はイワンとの出逢いを思い出していく。
っていうか、こいつ、私の15歳の誕生日前からの知り合いなんだよなあ。
無論、王子だって知らずに接していたけど。
イワンとだけ名乗る謎の冒険者。
こっちの世界の私の両親が冒険者ギルドの事務員をしている関係で、私もちょくちょくギルドに顔を出していたのだ。
冒険者ギルドで誰も対処できない高難易度のクエストを、たった1人でクリアしても偉ぶらない。
しかも目立たないように活動して、報酬は孤児院に寄付するという巷で話題の謎のヒーロー。
まあ、私の両親やギルドの上の人たちはイワンが王子様だって知ってたみたい。
だけど子供の私が知ってるはずもなく、凄い人がいるなあって認識だった。
そんなある日、あれは15歳の誕生日の少し前の話だ。
まだ前世を思い出さず、時々、不思議な既視感に襲われた時。
でも、それが何なのかはっきりとは思い出せない日々の頃。
私はイワンと仲良くなったのであった。
***
『リーシャ・リンベル
前世で殺人事件の被害者
年齢 16歳 王立学校1年生
容姿 黒髪 貧乳 身長普通
身分 平民
能力 ?
性格 真面目だが考えなしに行動する癖がある
人生 3度目
目的 前世を殺した勇者を探している』
……のはいいんだけど。
はっ⁉ 私、この人生2度目……いや憶えてないけど3度目じゃん!
って思いだしたのが、15歳の誕生日の日。
……うん。
幸か不幸か、私に恋人いたことなかったぞ。
私のファーストキスはまだだったのだ!
……悲しい。
リーシャ・リンベルとしての半生と、岩下真帆だった人生の記憶を思いだす。
うん、大丈夫だ。
どっちも私、違和感はない。
ていうか私、こっちの人生では随分と腕白に過ごしてたんだなあ。
両親は冒険者ギルドの職員。
その影響なのか、王都近郊にある魔獣の森と呼ばれる危険区域に、幼い私はちょくちょく勝手に行っていたのであった。
……いや、腕白過ぎだろ。
***
「はああああああああああああ」
入学式を終えて、教室へと入った私。
当然、イワン王子をノックアウトした私だ。
誰も近寄って来ないよ~。
教室は自由席で、奥の席に行くほど天井が近くなるタイプだ。
目立ちたくない私は、一番奥に座ったんだけど……
う~ん、ヒソヒソ話していて、私と目が合うとみんな避けるなあ。
寂しい。
教室には様々な家柄の生徒たちがいる。
制服に紋章を付けている者、控えめな態度の者、傲慢な態度の者など、多々いるけど、それぞれが自分の立場を意識しているようだ。
そんな中で、平民の私はまるで異質な存在のように感じられていそう。
「ねえ、ここいいかな?」
ん? 隣から声が聞こえてきたぞ。
おお! 左隣に可愛い女の子が座ってるぅぅぅぅ。
「は、はい! どうぞ! お邪魔でしたら私は消えますので、遠慮なく座ってくださいませ!」
「あはは、何それ。リーシャって面白いのね。敬語はいいよ~、同い年だし。ていうか王子様とフィアンセなら、私が敬語を使わないといけないのかなあ」
「えっと、フィアンセはイワンが……イワン王子が勝手に言っているだけなので気にしないでもらいたいです」
「そうなの? 私だったら王子様にあんなこと言われたら、受け入れるのに~」
まあ、そりゃそうだよね。
私だって私の前世を殺した奴かもしれないって疑惑がなければ、イワンに惚れていたとは思うぞ。
「ちょっと事情がありまして……それよりいいんですか? 私と話してて。多分じゃなく、私はめっちゃ教室で浮いてると思うんですけど」
「いいっていいって~。私も男爵家で平民とあんまり変わんないからね~。カリーナ・オルロフ。カリーナでいいよ~」
屈託のない笑顔を向けてくるカリーナは栗色の長い髪に茶色い瞳。
胸の大きさも私ぐらいで接しやすい雰囲気を醸し出してくれていた。
「ありがとうカリーナ! 私、絶対友達できないと思ってたから嬉しいよ!」
ヒシっと両手でカリーナの右手を掴んでいく。
「うんうん、リーシャっていい子なんだねえ。手の温もりでわかるよお。……王妃になったら私を出世させろよお」
「って、それが狙いかい!」
「しまったバレたか」
ビシッとツッコむ私だが、すぐにカリーナと2人で笑い声を上げていく。
はっ⁉ 殺気!
「どうしたの? リーシャ」
「ね、ねえカリーナ。一番前に座って、いっぱい女の子の取り巻きがいる、薄いピンク色の髪のめっちゃ美人さんって誰? なんか私を睨んでたんだけど⁉」
そう、私が感じた殺気は二箇所から。
一つは私を王子暴行罪で捕らえようとした、赤青緑に銀髪の男子生徒4人組。
そしてもう一つが、薄いピンク髪の女の子を中心とした女子グループからだった。
「ああ、ソフィア・グラナーク様だね。公爵家の御令嬢様で、イワン王子と近々婚約が発表されるって噂があった御方だよ~」
おふう……それ絶対、私を恨んでるじゃん!
しかも王族の次に権力を持ってそうな公爵家で、取り巻きがいっぱいって!
陰湿なイジメのターゲットになる予感がしてきたぞ。
「ついでに聞くけど、あっちの赤青緑に銀はどんな人?」
「赤青緑に銀? ああ、髪色か~。……リーシャ。その一括りみたいに呼ぶのは不味いって。あの人たち、みんなお偉いさんの息子だよ」
声を潜めるカリーナ。
ああ、あいつらも貴族の上の方なんだな~。
まあそうだとは思ったよ~。
「赤髪のいかにも脳筋って人はボリス・グローマン。元帥様の息子だよ~」
元帥? たしか将軍の上のランクだっけ?
「青髪のいかにもインテリってメガネの人はフェリクス・セルゲイ。宰相様の息子だよ~」
宰相は知ってる。総理大臣ってやつだよね。
「緑髪のいかにも出世欲に燃えている人はユリウス・コートリル。大辺境伯の息子だよ~」
辺境伯? 辺境の伯爵家だっけ?
「銀髪のいかにも正義執行マシーンって人はニコライ・ベーレンス。大司祭様の息子だよ~」
大司祭? 教会でなんか祈ってる人だっけ?
「ありがとうカリーナ。また聞きたいことあったらいっぱい尋ねるからよろしくね」
「お安い御用だよ~」
ふう、とりあえず友人ゲットだ!
そんでもって今の立ち位置を整理しよう。
私はリーシャ・リンベル。
前前世が魔王で、前世が岩下真帆という名の女子高生。
私の前世を殺した奴は、私のファーストキスを狙っている。
要するに、私に好意を持って近づいてきた奴が犯人の可能性が高いのだ。
そしてそんな人物はイワン・レフレリアという、この国の王子しか存在しないのだ。
これもう確定じゃね?
イワンが私の唇を狙っているのは、私を魔王として覚醒させて始末しようとしているからじゃね?
他にいないしなあ。私の唇を狙っている人なんて。
ただ、それなら強引に奪ってこないのもおかしいって言えるんだよなあ。
何せ、前世の私を無言で背中から刺したのだ!
しかも満員電車の中で!
そんな奴が私の唇を強引に奪ってこないのも変だよなあ。
さっきの入学式以前にチャンスなんていくらでもあったのに。
イワンが犯人だとしたら、なぜこんなに優しくしてくれるんだろう。
でも、他に怪しい人なんていないしなあ。
うん、わからん。
ま、それはともかく、え~と、私を嫌ってそうなのが女子は公爵家の令嬢のソフィア。
男子はボリス、フェリクス、ユリウス、ニコライ。
この5人は別の意味で警戒しなくてはいけないかな。
「ところでリーシャ、イワン殿下に無理やり連れてこられたって言ってたけど、何があったの?」
「あ、うん。それは……」
カリーナに説明しようとすると教室の戸が開いて、イワンともう一人、教師っぽい人が入ってくる。
「静粛に、授業を始めます」
教師の人の声に静まり返る教室。
狸に似てる……この教師のあだ名は狸にしよう。
そんでもって、イワンが私の右横に座ってくる。
「やあリーシャ」
「授業が始まってるんだから静かにして」
にこやかスマイルのイワンに、私はぶっきらぼうに対応する。
王子様なのになんでタメ口⁉ やっぱもうデキてるの? って顔してくるカリーナ。
う~ん、説明するのは簡単だけど、さてどう説明すればわかりやすいか次の休み時間までに考えないと。
教師の人のレフレリア王国建国からの、ざっくりとした貴族の使命とやらの話を耳に流しつつ、私はイワンとの出逢いを思い出していく。
っていうか、こいつ、私の15歳の誕生日前からの知り合いなんだよなあ。
無論、王子だって知らずに接していたけど。
イワンとだけ名乗る謎の冒険者。
こっちの世界の私の両親が冒険者ギルドの事務員をしている関係で、私もちょくちょくギルドに顔を出していたのだ。
冒険者ギルドで誰も対処できない高難易度のクエストを、たった1人でクリアしても偉ぶらない。
しかも目立たないように活動して、報酬は孤児院に寄付するという巷で話題の謎のヒーロー。
まあ、私の両親やギルドの上の人たちはイワンが王子様だって知ってたみたい。
だけど子供の私が知ってるはずもなく、凄い人がいるなあって認識だった。
そんなある日、あれは15歳の誕生日の少し前の話だ。
まだ前世を思い出さず、時々、不思議な既視感に襲われた時。
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