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第16話 リーシャの両親
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年中無休である冒険者ギルドは休日の今日も朝から混雑していた。
壁には様々な依頼が貼られ、冒険者たちが熱心にそれらを眺めている。
カウンターでは職員たちが忙しそうに仕事をこなし、部屋の隅では冒険者たちが武器の手入れをしている。
この独特の雰囲気に私は子供の頃から慣れ親しんでいたのだ。
「あれ? リーシャ、帰ってくるのは夏季休暇じゃなかったのかい?」
お母さんが私に気づき、手にしていた書類を置いて声をかけてきた。
「しかも友達を沢山連れて来て、遊ぶなら別の場所にしなさい」
お父さんも私に気づき、依頼人との話を中断して顔を出してきた。
2人とも私と同じ黒髪で、40歳だけど少し若く見える。
ちなみに、職場結婚で私を産んでいるのだ。
ふむふむ、朝から忙しそう。
さて今日は、みんなに冒険者ギルドが何たるかを見てもらおうかな?
イワン以外の、みんなの驚いた表情を見て私は少し誇らしく感じた。
普段は貴族として振る舞う彼らが、ギルドの活気に圧倒されている様子が面白かった。
特にソフィアが目を輝かせて見回す姿は新鮮だった。
冒険者ギルドは依頼人から様々な依頼を受け、それを冒険者たちに斡旋するのが主な仕事だ。
護衛業に薬草の採取、食材となる動物や魚の調達。
他には魔獣と呼ばれる存在が、人の住むエリアに迷い込んで来た場合への対処。
他にも土木工事や飲食店へのお仕事斡旋など、幅広く活動しているのだ。
そんでもって適正な依頼料や報酬を算出するという、頭脳もいるお仕事なのだ。
というのをみんなに説明していると。
ギルドにいる冒険者たちは、私とイワンの姿にヒソヒソ声を出す。
あ~、イワンって王立学校に入る前に謎の凄腕冒険者をやっていたもんね~。
今は学業に専念しているみたいだけど。
私については幼い頃からギルドに出入りしていたし、当然顔見知りが多いのだ。
王立学校に行ってるってマジだったのかと、私の制服姿を見て驚いているようだった。
「リーシャちゃん、魔獣の森を闊歩していたように、貴族どもを蹂躙してるってマジだったのか……」
「俺が聞いた話だと、すでに王宮をも陥落させたらしい。卒業したらレフレリア王国滅亡で、リーシャちゃんの新王国が始まるんだとさ」
んん?
「ちょっとちょっと、おっちゃんたち、何を変な噂してるのさ。私は卒業したらギルドの職員になるんだからね!」
そんな私の本音に、ギルドだけではなく、イワンたちも驚きの声をあげる。
「そ、それって結婚してもかい?」
「何言ってんのイワン。お母さんだって結婚してもずっとここで働いているし」
「そうですわ! 我がグラナーク公爵家で買い取り、運営しましょう。安心してくださいませ。受付から事務処理まで、全て爺やに不眠不休でやらせますわ。リーシャさんにはのんびりギルドマスターをやってもらいますわ!」
「いやいやソフィア。公爵家が民間の独立機関を買い取ったらマズいでしょ」
「俺は反対しないぜ! ここに住んで、俺が王宮まで毎日走ればいいんだからな!」
「ボリス、家は普通に違うところだぞ? まあ、距離的には似たような感じかな?」
「ギルドの職員になるのですか? ふむ……冒険者ギルド運営の書籍を読み込まなければなりませんね」
「ん~、フェリクス、ジャンルとしてニッチすぎて、そんな本なさそうじゃないかな?」
「ふ~ん。辺境伯は誰かに譲って、俺も職員になるのも悪くねえな」
「ユリウスは冒険者のほうがよくない? って! 貴族は捨てなくていいからね!」
「ギルドの職員か~。私の適職な気がしてきたよ~」
「カリーナならそつなくこなせそう。いつでもウエルカムだよ~」
「現実的な問題として、ギルドがリーシャ嬢を採用するかどうか……いえ、リーシャ嬢ですので要らぬ心配ですね」
「ちょっ⁉ ニコライ、それってどういうこと⁉」
「それは俺から説明しよう」
そう言って、私たちを大きなテーブル席に誘導するお父さん。
お母さんもやってきて席に着いた。
「それで! 私がギルドに採用されないって何? お母さんもお父さんも知ってたの?」
「まあ落ち着けリーシャ。冒険者ギルドは王国から独立した機関なのだ。王立学校に通った経歴は、ギルドからすれば王国からのスパイと勘ぐってしまうのだ」
なんと……
お父さんの説明に絶句する私。
冒険者ギルドで忙しく働く両親の姿を見て、私もこの場所で働きたいと強く思っていたのに!
キッと、私を王立学校に無理矢理入れたイワンを睨む。
「し、知らなかったんだ。ごめん、リーシャ。僕を詰ってくれて構わない。王家として、全力でギルドの独立は護られると説明して、リーシャが職員になれるよう尽力を約束するよ」
それって逆効果なんじゃ……と思わなくもないけど、王立学校が居心地良くて居着いている私だ。
イワンは自分のせいで私がギルドに就職できないと、自責の念に苛まれているようだった。
しかも彼は私を救おうと努力しようとしているんだし。
イワンを責めるのはお門違いだろう。
「でもねリーシャ。ギルドの職員よりも、もっと沢山の選択肢ができたのよ。リーシャは本当にギルドの職員になりたいの?」
「いや、まあ、お父さんもお母さんも働いてるし、私もそうなりたいなあって感じだけど」
え? 突然始まる私の将来問題?
そりゃ私の前前世が魔王とか勇者に命を狙われている問題があって、ギルドにいたほうがいいかなあ……なんて思惑もあったけど。
でもこれは口にできないしな~。
今日ここへ来たのは、みんなにギルド職員の大変さを教えようというプランだったのに~。
「その程度の軽い気持ちなんだろ? なら……」
「お父さん! 軽くなんてないよ! 見てて! やってやるから」
うおおおおおおおっと気合いを入れて、知人である現ギルドマスターのおっさんを脅して……もといお願いして本日1日アルバイトするのであった。
へいらっしゃい! と受付で依頼を受注したり、冒険者が持ってきた素材や薬草を適正価格で買い取ったり、書類を作成したりと全力でやっていったのであった。
両親の表情には誇らしさと心配が入り混じっていた。
私が一生懸命働く姿を見て嬉しそうだったが、同時に何か言いたげな様子も感じられた。
彼らの複雑な思いが私にも伝わってくる。
「リーシャは御両親を慕っているのですね」
「輝いてますわリーシャさん♪」
「へえ、大変なんだな、ギルドって」
「意外と肉体労働なんですね」
「さっきの酔っ払い冒険者を倒したリーシャは凄かったな!」
「いえ、あれは職員の仕事ではないような?」
「あはは~、リーシャらしいわ~」
そんなみんなの感想に、両親は嘆息したのであった。
私の両親は私がギルドの職員になることを望んでいないようだった。
両親は私に様々な可能性を与えたいと考えているようだ。
しかし私にもリーシャ・リンベルとしての生きる道がある。
両親にはそれを理解してほしいもんだよ。
ふ~、疲れた1日になってしまった。
でもまあ、私が働いたおかげで両親は休めたからいいかな?
結局、私の休日にみんなを連れて遊びに出かけるプランは、見事に失敗したのであった。
けど、何故か私の好感度は上がったっぽい。
お母さんもお父さんも、みんなに変なこと吹き込んでいないだろうな?
***
『リーシャの両親
年齢 どっちも40歳
容姿 どっちも黒髪で中肉中背
身分 レフレリア王国王都冒険者ギルドの職員
能力 事務能力高め
性格 働き者
人生 順調に消化中
目的 リーシャが幸せになってもらうこと』
壁には様々な依頼が貼られ、冒険者たちが熱心にそれらを眺めている。
カウンターでは職員たちが忙しそうに仕事をこなし、部屋の隅では冒険者たちが武器の手入れをしている。
この独特の雰囲気に私は子供の頃から慣れ親しんでいたのだ。
「あれ? リーシャ、帰ってくるのは夏季休暇じゃなかったのかい?」
お母さんが私に気づき、手にしていた書類を置いて声をかけてきた。
「しかも友達を沢山連れて来て、遊ぶなら別の場所にしなさい」
お父さんも私に気づき、依頼人との話を中断して顔を出してきた。
2人とも私と同じ黒髪で、40歳だけど少し若く見える。
ちなみに、職場結婚で私を産んでいるのだ。
ふむふむ、朝から忙しそう。
さて今日は、みんなに冒険者ギルドが何たるかを見てもらおうかな?
イワン以外の、みんなの驚いた表情を見て私は少し誇らしく感じた。
普段は貴族として振る舞う彼らが、ギルドの活気に圧倒されている様子が面白かった。
特にソフィアが目を輝かせて見回す姿は新鮮だった。
冒険者ギルドは依頼人から様々な依頼を受け、それを冒険者たちに斡旋するのが主な仕事だ。
護衛業に薬草の採取、食材となる動物や魚の調達。
他には魔獣と呼ばれる存在が、人の住むエリアに迷い込んで来た場合への対処。
他にも土木工事や飲食店へのお仕事斡旋など、幅広く活動しているのだ。
そんでもって適正な依頼料や報酬を算出するという、頭脳もいるお仕事なのだ。
というのをみんなに説明していると。
ギルドにいる冒険者たちは、私とイワンの姿にヒソヒソ声を出す。
あ~、イワンって王立学校に入る前に謎の凄腕冒険者をやっていたもんね~。
今は学業に専念しているみたいだけど。
私については幼い頃からギルドに出入りしていたし、当然顔見知りが多いのだ。
王立学校に行ってるってマジだったのかと、私の制服姿を見て驚いているようだった。
「リーシャちゃん、魔獣の森を闊歩していたように、貴族どもを蹂躙してるってマジだったのか……」
「俺が聞いた話だと、すでに王宮をも陥落させたらしい。卒業したらレフレリア王国滅亡で、リーシャちゃんの新王国が始まるんだとさ」
んん?
「ちょっとちょっと、おっちゃんたち、何を変な噂してるのさ。私は卒業したらギルドの職員になるんだからね!」
そんな私の本音に、ギルドだけではなく、イワンたちも驚きの声をあげる。
「そ、それって結婚してもかい?」
「何言ってんのイワン。お母さんだって結婚してもずっとここで働いているし」
「そうですわ! 我がグラナーク公爵家で買い取り、運営しましょう。安心してくださいませ。受付から事務処理まで、全て爺やに不眠不休でやらせますわ。リーシャさんにはのんびりギルドマスターをやってもらいますわ!」
「いやいやソフィア。公爵家が民間の独立機関を買い取ったらマズいでしょ」
「俺は反対しないぜ! ここに住んで、俺が王宮まで毎日走ればいいんだからな!」
「ボリス、家は普通に違うところだぞ? まあ、距離的には似たような感じかな?」
「ギルドの職員になるのですか? ふむ……冒険者ギルド運営の書籍を読み込まなければなりませんね」
「ん~、フェリクス、ジャンルとしてニッチすぎて、そんな本なさそうじゃないかな?」
「ふ~ん。辺境伯は誰かに譲って、俺も職員になるのも悪くねえな」
「ユリウスは冒険者のほうがよくない? って! 貴族は捨てなくていいからね!」
「ギルドの職員か~。私の適職な気がしてきたよ~」
「カリーナならそつなくこなせそう。いつでもウエルカムだよ~」
「現実的な問題として、ギルドがリーシャ嬢を採用するかどうか……いえ、リーシャ嬢ですので要らぬ心配ですね」
「ちょっ⁉ ニコライ、それってどういうこと⁉」
「それは俺から説明しよう」
そう言って、私たちを大きなテーブル席に誘導するお父さん。
お母さんもやってきて席に着いた。
「それで! 私がギルドに採用されないって何? お母さんもお父さんも知ってたの?」
「まあ落ち着けリーシャ。冒険者ギルドは王国から独立した機関なのだ。王立学校に通った経歴は、ギルドからすれば王国からのスパイと勘ぐってしまうのだ」
なんと……
お父さんの説明に絶句する私。
冒険者ギルドで忙しく働く両親の姿を見て、私もこの場所で働きたいと強く思っていたのに!
キッと、私を王立学校に無理矢理入れたイワンを睨む。
「し、知らなかったんだ。ごめん、リーシャ。僕を詰ってくれて構わない。王家として、全力でギルドの独立は護られると説明して、リーシャが職員になれるよう尽力を約束するよ」
それって逆効果なんじゃ……と思わなくもないけど、王立学校が居心地良くて居着いている私だ。
イワンは自分のせいで私がギルドに就職できないと、自責の念に苛まれているようだった。
しかも彼は私を救おうと努力しようとしているんだし。
イワンを責めるのはお門違いだろう。
「でもねリーシャ。ギルドの職員よりも、もっと沢山の選択肢ができたのよ。リーシャは本当にギルドの職員になりたいの?」
「いや、まあ、お父さんもお母さんも働いてるし、私もそうなりたいなあって感じだけど」
え? 突然始まる私の将来問題?
そりゃ私の前前世が魔王とか勇者に命を狙われている問題があって、ギルドにいたほうがいいかなあ……なんて思惑もあったけど。
でもこれは口にできないしな~。
今日ここへ来たのは、みんなにギルド職員の大変さを教えようというプランだったのに~。
「その程度の軽い気持ちなんだろ? なら……」
「お父さん! 軽くなんてないよ! 見てて! やってやるから」
うおおおおおおおっと気合いを入れて、知人である現ギルドマスターのおっさんを脅して……もといお願いして本日1日アルバイトするのであった。
へいらっしゃい! と受付で依頼を受注したり、冒険者が持ってきた素材や薬草を適正価格で買い取ったり、書類を作成したりと全力でやっていったのであった。
両親の表情には誇らしさと心配が入り混じっていた。
私が一生懸命働く姿を見て嬉しそうだったが、同時に何か言いたげな様子も感じられた。
彼らの複雑な思いが私にも伝わってくる。
「リーシャは御両親を慕っているのですね」
「輝いてますわリーシャさん♪」
「へえ、大変なんだな、ギルドって」
「意外と肉体労働なんですね」
「さっきの酔っ払い冒険者を倒したリーシャは凄かったな!」
「いえ、あれは職員の仕事ではないような?」
「あはは~、リーシャらしいわ~」
そんなみんなの感想に、両親は嘆息したのであった。
私の両親は私がギルドの職員になることを望んでいないようだった。
両親は私に様々な可能性を与えたいと考えているようだ。
しかし私にもリーシャ・リンベルとしての生きる道がある。
両親にはそれを理解してほしいもんだよ。
ふ~、疲れた1日になってしまった。
でもまあ、私が働いたおかげで両親は休めたからいいかな?
結局、私の休日にみんなを連れて遊びに出かけるプランは、見事に失敗したのであった。
けど、何故か私の好感度は上がったっぽい。
お母さんもお父さんも、みんなに変なこと吹き込んでいないだろうな?
***
『リーシャの両親
年齢 どっちも40歳
容姿 どっちも黒髪で中肉中背
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