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第19話 デート ユリウスの場合
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本日はユリウスとのデートだ。
場所は魔獣の森。
巨大な木々が空を覆う薄暗い森の中には不思議な生命力が満ちていた。
時折聞こえる獣の鳴き声は、一般人が耳にしたら気絶しちゃうだろう不気味さがある。
「うっしゃあ! 今日は俺の番だな! じゃあリーシャ! 今日は俺を鍛えてくれ! リーシャの横に立てる男になるためにな!」
ここを選んだのはそういう理由かい。
「はいはい、じゃあ奥まで行ってみようっか」
なんかデートというより、部下を鍛える上官の気分になってきたぞ。
これはユリウスが、勇者や魔法から1番縁遠い存在だと言えなくもないかな?
でも鍛えるっていってもなあ。
私の場合、幼い時に特に何も考えずに森を駆け回っていただけだしなあ。
そうだ、子猫ちゃんはいるかな?
「お~い子猫ちゃ~ん!」
魔獣の森の奥地まで行って、叫んでみる。
「ゼエゼエ、リーシャ……走るの速えな」
おっと、しまった。
つい、いつものように走ってしまった。
でもよくついて来れたな、ボリス程ではないけどユリウスの身体能力は高そうだね。
「うにゃああああああああん」
お、きたきた。
ズシンズシンと足音を立てて、巨大な子猫ちゃんが喉を鳴らしながらやってきたのであった。
「どう? あれから変わったことあった?」
「にゃあにゃあにゃあ」
「うんうん、そっか。でさあ、悪いんだけどユリウスと戦って鍛えてくれない?」
「うにゃああああああああん」
「良いってさ、ユリウス」
「……色々ツッコみたいが、まあいい、上等だぜ! 巨大猫! 勝負だ!」
そうして始まる人間vs巨大な子猫。
おお、ユリウスやるなあ。
今の子猫ちゃんの爪攻撃は結構本気だったぞ。
それを剣でいなして子猫ちゃんを斬りつけていく。
でも子猫ちゃんも負けじと爪攻撃や噛みつき攻撃をユリウスに繰り出す。
ユリウスは子猫ちゃんの爪をかわしながら、瞬時に反撃の隙を見出す。
その動きには無駄がなく、まるで長年の訓練の成果を見せつけられているようだった。
しかし徐々に疲労が彼の動きを鈍らせていく。
やがて体力の限界がきたユリウスが地面に倒れ伏した。
あ~これは勝負あったね。
戦いが終わった後、子猫ちゃんは私の元に寄ってきて大きな頭をすり寄せてきた。
その温もりと柔らかい毛並みに触れながら、私は不思議な安心感に包まれた。
まるで昔から撫でまくっていたかのような感触だった。
ま、ユリウスは勇者ではないかな?
思い返せば、魔獣の森の異変を解決しようと意気込んでいたユリウスなのだ。
端から犯人候補から外しても良かったかもしれない。
「ねえ? 1つ聞いていい? どうして強くなりたいの? 前に魔王の部下だった家系だから、今仕えている王国に疑われないで役に立ちたいって言ってたけど、もう十分強いと思うよ?」
倒れたユリウスに私は尋ねる。
子猫ちゃんも勝者として満足しているようで、敗者のユリウスを大きな舌で舐めたのであった。
ユリウスがゆっくりと立ち上がった。
「ちっ! 強いといっても魔獣に負けちゃったら意味ねえさ。俺は最強になりてえんだ! 再び魔王が復活しても恐怖で支配されないようになあ! ……でねえと愛する女性を幸せにできねえだろ」
後半は小声だったけど、私は聞き逃さなかったぞ。
愛する人を幸せにしたくて強くなる、か。
魔王に仕えていた家系。
その事実がユリウスにとってどれほどの重荷になっているのか、私には想像もつかない。
でも、そんな過去を背負いながらも前を向いて生きる姿に、私は尊敬の念を抱かずにはいられなかった。
しかも我が強くて乱暴者なイメージのユリウスだけど、ちゃんと女の子を大事に想う紳士な一面がある。
ユリウスの直情径行な性格に翻弄されながらも、私はどこか魅力を感じずにはいられない。
彼の熱い想いが伝わってくる。
まさかこのオラオラ系の男子が、そんな繊細な一面を持っているとは思わなかった。
ユリウスの真剣な眼差しを見ていると、胸の奥で何かが熱くなる。
彼の純粋さと情熱が私の心に響いてくる。
でも同時に自分の正体を隠している罪悪感も湧いてきて、複雑な感情に襲われてくる。
「そういえば祖先が魔王に仕えていたっていうけど、何か伝承が残っていたりしない? 例えば魔王がこんなことをやったとか、勇者にどう倒されたとか?」
私の問いかけをユリウスが首を振って否定した。
「詳しいことって伝わってないんだよな。ただ魔王って呼ばれた人智を超えた存在だ。それぐらいしかわかってないぜ」
う~む、やっぱりそう上手い話はないか。
「明日から帰省すっからよ。何かわかったら休み明けに教えるぜ。ついでに修行して次は大猫を倒し、リーシャの唇は俺がもらう!」
ユリウスはガッツポーズをしながら宣言する。
直球な奴だなあ。
まあ、そこがユリウスの良いところで、裏表がないから接しやすいかも。
「ファーストキスは、子猫ちゃんを倒しただけでは無理だからね! もうちょっと強くなって私に挑戦して倒しに来なさい!」
私はビシッと指を差して宣言する。
それからユリウスが悔しそうな顔をするけど、何だかんだで笑い合うのであった。
うん、ユリウスが勇者はないかな?
でもまだ確定は危険だ。
勇者が誰かを見極めてからでないとね。
***
『岩下真帆殺害事件
第5容疑者
ユリウス・コートリル
年齢 16歳 王立学校1年生
容姿 緑髪 イケメン 三白眼
身分 レフレリア王国大辺境伯家の嫡子
能力 発揮する機会はないが馬術は得意
性格 オラオラ系
人生 リーシャに出会うまでは順調だった
目的 リーシャと結婚すること(確定?)』
場所は魔獣の森。
巨大な木々が空を覆う薄暗い森の中には不思議な生命力が満ちていた。
時折聞こえる獣の鳴き声は、一般人が耳にしたら気絶しちゃうだろう不気味さがある。
「うっしゃあ! 今日は俺の番だな! じゃあリーシャ! 今日は俺を鍛えてくれ! リーシャの横に立てる男になるためにな!」
ここを選んだのはそういう理由かい。
「はいはい、じゃあ奥まで行ってみようっか」
なんかデートというより、部下を鍛える上官の気分になってきたぞ。
これはユリウスが、勇者や魔法から1番縁遠い存在だと言えなくもないかな?
でも鍛えるっていってもなあ。
私の場合、幼い時に特に何も考えずに森を駆け回っていただけだしなあ。
そうだ、子猫ちゃんはいるかな?
「お~い子猫ちゃ~ん!」
魔獣の森の奥地まで行って、叫んでみる。
「ゼエゼエ、リーシャ……走るの速えな」
おっと、しまった。
つい、いつものように走ってしまった。
でもよくついて来れたな、ボリス程ではないけどユリウスの身体能力は高そうだね。
「うにゃああああああああん」
お、きたきた。
ズシンズシンと足音を立てて、巨大な子猫ちゃんが喉を鳴らしながらやってきたのであった。
「どう? あれから変わったことあった?」
「にゃあにゃあにゃあ」
「うんうん、そっか。でさあ、悪いんだけどユリウスと戦って鍛えてくれない?」
「うにゃああああああああん」
「良いってさ、ユリウス」
「……色々ツッコみたいが、まあいい、上等だぜ! 巨大猫! 勝負だ!」
そうして始まる人間vs巨大な子猫。
おお、ユリウスやるなあ。
今の子猫ちゃんの爪攻撃は結構本気だったぞ。
それを剣でいなして子猫ちゃんを斬りつけていく。
でも子猫ちゃんも負けじと爪攻撃や噛みつき攻撃をユリウスに繰り出す。
ユリウスは子猫ちゃんの爪をかわしながら、瞬時に反撃の隙を見出す。
その動きには無駄がなく、まるで長年の訓練の成果を見せつけられているようだった。
しかし徐々に疲労が彼の動きを鈍らせていく。
やがて体力の限界がきたユリウスが地面に倒れ伏した。
あ~これは勝負あったね。
戦いが終わった後、子猫ちゃんは私の元に寄ってきて大きな頭をすり寄せてきた。
その温もりと柔らかい毛並みに触れながら、私は不思議な安心感に包まれた。
まるで昔から撫でまくっていたかのような感触だった。
ま、ユリウスは勇者ではないかな?
思い返せば、魔獣の森の異変を解決しようと意気込んでいたユリウスなのだ。
端から犯人候補から外しても良かったかもしれない。
「ねえ? 1つ聞いていい? どうして強くなりたいの? 前に魔王の部下だった家系だから、今仕えている王国に疑われないで役に立ちたいって言ってたけど、もう十分強いと思うよ?」
倒れたユリウスに私は尋ねる。
子猫ちゃんも勝者として満足しているようで、敗者のユリウスを大きな舌で舐めたのであった。
ユリウスがゆっくりと立ち上がった。
「ちっ! 強いといっても魔獣に負けちゃったら意味ねえさ。俺は最強になりてえんだ! 再び魔王が復活しても恐怖で支配されないようになあ! ……でねえと愛する女性を幸せにできねえだろ」
後半は小声だったけど、私は聞き逃さなかったぞ。
愛する人を幸せにしたくて強くなる、か。
魔王に仕えていた家系。
その事実がユリウスにとってどれほどの重荷になっているのか、私には想像もつかない。
でも、そんな過去を背負いながらも前を向いて生きる姿に、私は尊敬の念を抱かずにはいられなかった。
しかも我が強くて乱暴者なイメージのユリウスだけど、ちゃんと女の子を大事に想う紳士な一面がある。
ユリウスの直情径行な性格に翻弄されながらも、私はどこか魅力を感じずにはいられない。
彼の熱い想いが伝わってくる。
まさかこのオラオラ系の男子が、そんな繊細な一面を持っているとは思わなかった。
ユリウスの真剣な眼差しを見ていると、胸の奥で何かが熱くなる。
彼の純粋さと情熱が私の心に響いてくる。
でも同時に自分の正体を隠している罪悪感も湧いてきて、複雑な感情に襲われてくる。
「そういえば祖先が魔王に仕えていたっていうけど、何か伝承が残っていたりしない? 例えば魔王がこんなことをやったとか、勇者にどう倒されたとか?」
私の問いかけをユリウスが首を振って否定した。
「詳しいことって伝わってないんだよな。ただ魔王って呼ばれた人智を超えた存在だ。それぐらいしかわかってないぜ」
う~む、やっぱりそう上手い話はないか。
「明日から帰省すっからよ。何かわかったら休み明けに教えるぜ。ついでに修行して次は大猫を倒し、リーシャの唇は俺がもらう!」
ユリウスはガッツポーズをしながら宣言する。
直球な奴だなあ。
まあ、そこがユリウスの良いところで、裏表がないから接しやすいかも。
「ファーストキスは、子猫ちゃんを倒しただけでは無理だからね! もうちょっと強くなって私に挑戦して倒しに来なさい!」
私はビシッと指を差して宣言する。
それからユリウスが悔しそうな顔をするけど、何だかんだで笑い合うのであった。
うん、ユリウスが勇者はないかな?
でもまだ確定は危険だ。
勇者が誰かを見極めてからでないとね。
***
『岩下真帆殺害事件
第5容疑者
ユリウス・コートリル
年齢 16歳 王立学校1年生
容姿 緑髪 イケメン 三白眼
身分 レフレリア王国大辺境伯家の嫡子
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